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【異世界に水洗トイレを作ります!】

お母さん! 異世界に水洗トイレを作る!②

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 _______「ゴーレムの城」_______


 水洗トイレの完成を祝い、俺たち4人は祝杯を挙げていた。

「ぐわっははは! 俺は天才だ~!」

 盛り上がる中、おもむろに魔法少女が席を立つ。

「魔法少女よ! なんだ、うんこか!?」

「違うわよ!!」

  振り返って反論する魔法少女は図星だったのか頬を赤らめ、口を尖らせる。
 俺はゴーレム幼女がどこからか持ってきた赤ワインを飲みながらオッサンのように下品に笑った。

  _____数分後。

「____きゃあああ!!!」

 先程、完成した水洗トイレの方から悲鳴が聞こえ、俺たちは持っていた石のグラスを置きトイレまで走った。


__「ゴーレムの森 トイレ小川」__


 トイレの前につくと魔法少女がハンケツで地面に横たわり泣いていた。
 不謹慎だが俺はその姿をみて生唾をごくりと飲んだ。

「ミーレ!! 大丈夫かい?!」

 ああ。
 そうだった。
 先ずはその言葉をかけなきゃいけなかった。
 尻に夢中で忘れていた。

 魔法婆が魔法少女に駆け寄ると、魔法少女は疲弊した様子で途切れ途切れに口を開く。

「レミー... ...。あたし、お嫁にいけない... ...」

 魔法少女は泣いていた。
 それも尻を抑えながら。

「魔法少女よ! 何があった!?」

 魔法少女は首を横に振り、答えようとしない。

「トイレで何かあったのか?」

 魔法少女は首を縦に振る。

「で、何があった!?」

「... ...」

 重要な事を聞こうとすると、魔法少女は黙ってしまう。
 そして、それ以上、何も答えてくれなかった。
 こいつに聞いても意味がない。
 そう思った俺は禍々しいオーラを放つ水洗トイレの内部に入った。


 ______「トイレ内部」_______


 一見、何の変哲もない普通のトイレ。
 昼間と違うといえば明かりの有無と太陽と月の違いだけか。
 魔法少女がここで糞をしたのだろう若干の糞の臭いが残っている。
 流石、クマをいつも食っているだけある。
 臭い。

「... ...なんだ、何もないじゃないか」

 魔法少女をハンケツ状態にした原因は分からずじまい。
 もしかして、ここにはもう、証拠は残ってないのか?
 俺はトイレを出る際に便器の横に落ちていた小石を蹴り、便器の中に落としてしまう。
 すると、小川からバシャバシャバシャと勢いが良い音が... ...。
 
 一瞬、体がこわばったが恐る恐る下を覗く。
 便器の中には普段と変わらない穏やかな川の流れ。
 なんだ、空耳か... ...。
 
 ______いや、違う!

 俺はズボンに入っていた糸くずを丸め、便器から小川に落とす。
 すると、予想していた通り、小魚たちがその糸くずに群がりはじめた。

 「そうか、うんこを食べに集まってきたのか... ...」

 俺は大した発見をした訳でもないのにノーベル賞受賞者のようなオーラを醸し出す。
 そして、一匹の小魚が勢いよくジャンプすると便器を飛び越え、トイレの中に。
 その光景を見て一つの仮説が立つ。

 ____魔法少女がうんこをした瞬間に小魚たちがうんこを食べようと群がった。
 そして、一匹のスケベな小魚が魔法少女のケツにキスしたのではないだろうか。

 ケツに今まで味わったことのない感覚に見舞われ、魔法少女は意気消沈してしまったのではないだろうか。
 あくまで仮説に過ぎないけど。
 
 横たわる魔法少女に仮説が合っているか確認をする。
 それを聞き、魔法少女の瞳から一筋の宝石が流れ落ち、小川の流れがそれを何処かに流していった。

 仮説が事実に変わった瞬間。

 それは同時にこの水洗トイレ計画が失敗に終わり、暗礁に乗り上げてしまったことを意味する。
 小川のせせらぎは変わらずゆっくりと流れ、俺たちを笑うように一羽のふくろうが鳴き始めた。









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