18 / 212
第一章【ゴーレム幼女と魔法少女達】
お母さん! 魔法と能力は違うらしい!
しおりを挟む
______「ゴーレムの城内部」______
_____ぐう~。
「アハハ! いっぱい泣いたら腹減ったみそ!」
「そうね。お腹減ったわね」
確かに俺も腹が減った。
そういや、昨日の晩から何も食ってない。
... ...普通か。
「ちょっと、待ってるみそ!」
ゴーレムはバカデカイ熊をヒョイと持ち上げ、外国の児童向けアニメみたいに土煙を上げて足をシャカリキのように回す。
□ □ □
「ほい! ご飯だみそ! みんなで一緒に食べよう!」
食卓にはさっきまで動いていたクマの丸焼きが並んだ。
本当にここの住民たちは慈愛の心がないな... ...。
と思ったが、背に腹は変えられない状況で俺もありがたく頂戴した。
「うわあ! クマうめえ!」
「ふふふ。あたしが調理したんだから当然だみそ」
弾力のある歯応え。
さっぱりとした赤身は和牛とは一線を画す味。
赤身と言えば外国産の牛を想像するが、それとも違い、雑な感想になってしまうが野性味を感じる味だ。
クマは雑食で木の実なんかも食べると聞く。
微かに香るクルミのような風味は正にそれ。
添加物などを一切使用していないので素材本来の味が堪能できる。
「本当に美味しいね! このクマ!」
「そうね。これは当たりかもね」
食卓を囲むとギスギスした雰囲気も一変し、まるで親戚の食事会のようだ。
並べられている食材を見るとアマゾンの原住民に歓迎されたかのようだが... ...。
食事をしながら城の内部を見渡すと綺麗に内装が作られている事に気付く。
フロアは大理石のような白いタイルが敷かれ、耐震的に必要なのか等間隔に石柱が並んでいる。
造り途中なのか家具などの調度品はない。
そういえば、ゴーレム幼女の家も女の子らしい、可愛らしい内装だった。
ゴーレム幼女は料理に対しては雑だが、部屋のコーディネートに関してはセンスがいいのかもしれない。
「ゴーレム、一つ聞いていいか?」
「なんだみそ?」
ゴーレムは口にクマを詰め込み、もごもご。
「そういえば、ホワイトシーフ王国では何の仕事をしていたんだ?」
「もごもごもごもご... ...」
「いや、飲み込め」
____ごくん!
折角、クマを飲み込んだのにも関わらず、すぐさま、口にクマを頬張ろうとするので、俺は止め、質問に回答するように促す。
「城の補修や家を建ててたみそ! ゴーレム族は物を石化させたり、石をいろんな形に加工出来るから重宝されていたみそ! 中でも父ちゃんは国で一番の職人だったみそ!」
なるほど... ...。
だったら、この技術も納得がいく。
しかし、ここの住人たちは魔法が使えていいな。
俺らの世界じゃ魔法なんて使えないから肉体を酷使したり、勉強したりしてその技術にたどり尽く。
「いいよな。お前は魔法を使えて」
「ん? 私の力は魔法じゃないみそ。元々、持っている能力みそ」
「能力?」
何かそれは魔法と違うのか?
尋ねようとすると、ゴーレム幼女の口はパンパン。
困っていると魔法婆が俺の疑問に答えてくれた。
「この世界には”魔法”と”能力”っていう二つの力があるんだよ」
「何か違うのか?」
「魔法は術式を利用して後天的に身に付ける力後天的に身に付ける力。能力は個人に宿る先天的な力。ゴーレムでいえばモノを石化したりする事かねえ」
ほう... ...。
種族毎に使える能力が違うのか。
「そういえば、お前ら俺の事、違う世界に飛ばしたよな? 俺をこの世界に送ったのはもしかして魔法を使える奴じゃないか?」
恐らく、俺の憶測は当たっている。
それを確定するように魔法婆は「そうだろうね」と。
であれば、気になる点としては俺を送った奴とその目的。
それを魔法婆に改めて聞いてみるが「そんなもの知らない」と一蹴される。
「まあ、そうだよな... ...」
落胆する俺を見て、魔法婆は言葉を付け足す。
「____ただ、転移魔法を使えるって事は相当な実力者に間違いないだろうね」
フォークをこちらに向けて、ドヤ顔を決める魔法婆。
俺をこちらの世界に飛ばした奴を特定すると共に転移魔法が使える自分の力を自慢してきた。
食う事に夢中になっていた食王こと、魔法少女も急に参戦し。
「実力者はあたし達並かそれ以上でしょう! まあ、とっても強そうだね!」
他の誰かと比べた訳ではないが、確かにここにいるゴーレムと魔法少女と婆は相当な実力者なのだろう。
兵士があれ程に恐れていたこのゴーレムの森で悠悠自適に生活をしている姿を見れば自然とそういう考えに至る。
_____”魔法”と”能力”。
そういう世界に来たいと中学生の時に思っていた俺はこの状況を内心喜んでいた。
_____ぐにゅ~!
「____はうっ!」
「どうした? 花島? 汗が凄いみそ」
ゴーレム幼女は心配した様子で俺を見る。
「ど・どうやら、腹が痛い。この城に便所は?」
「外にあるみそ」
「お~い! 何で、外に作ったんだよ!」
文句を言っても仕方ない。
俺は外に用を足しに行った。
それより、あいつら同じもの食ってるのによくお腹壊さないな!
三人の力の強さにも感服したが、腹の強さにも驚かされた。
_____ぐう~。
「アハハ! いっぱい泣いたら腹減ったみそ!」
「そうね。お腹減ったわね」
確かに俺も腹が減った。
そういや、昨日の晩から何も食ってない。
... ...普通か。
「ちょっと、待ってるみそ!」
ゴーレムはバカデカイ熊をヒョイと持ち上げ、外国の児童向けアニメみたいに土煙を上げて足をシャカリキのように回す。
□ □ □
「ほい! ご飯だみそ! みんなで一緒に食べよう!」
食卓にはさっきまで動いていたクマの丸焼きが並んだ。
本当にここの住民たちは慈愛の心がないな... ...。
と思ったが、背に腹は変えられない状況で俺もありがたく頂戴した。
「うわあ! クマうめえ!」
「ふふふ。あたしが調理したんだから当然だみそ」
弾力のある歯応え。
さっぱりとした赤身は和牛とは一線を画す味。
赤身と言えば外国産の牛を想像するが、それとも違い、雑な感想になってしまうが野性味を感じる味だ。
クマは雑食で木の実なんかも食べると聞く。
微かに香るクルミのような風味は正にそれ。
添加物などを一切使用していないので素材本来の味が堪能できる。
「本当に美味しいね! このクマ!」
「そうね。これは当たりかもね」
食卓を囲むとギスギスした雰囲気も一変し、まるで親戚の食事会のようだ。
並べられている食材を見るとアマゾンの原住民に歓迎されたかのようだが... ...。
食事をしながら城の内部を見渡すと綺麗に内装が作られている事に気付く。
フロアは大理石のような白いタイルが敷かれ、耐震的に必要なのか等間隔に石柱が並んでいる。
造り途中なのか家具などの調度品はない。
そういえば、ゴーレム幼女の家も女の子らしい、可愛らしい内装だった。
ゴーレム幼女は料理に対しては雑だが、部屋のコーディネートに関してはセンスがいいのかもしれない。
「ゴーレム、一つ聞いていいか?」
「なんだみそ?」
ゴーレムは口にクマを詰め込み、もごもご。
「そういえば、ホワイトシーフ王国では何の仕事をしていたんだ?」
「もごもごもごもご... ...」
「いや、飲み込め」
____ごくん!
折角、クマを飲み込んだのにも関わらず、すぐさま、口にクマを頬張ろうとするので、俺は止め、質問に回答するように促す。
「城の補修や家を建ててたみそ! ゴーレム族は物を石化させたり、石をいろんな形に加工出来るから重宝されていたみそ! 中でも父ちゃんは国で一番の職人だったみそ!」
なるほど... ...。
だったら、この技術も納得がいく。
しかし、ここの住人たちは魔法が使えていいな。
俺らの世界じゃ魔法なんて使えないから肉体を酷使したり、勉強したりしてその技術にたどり尽く。
「いいよな。お前は魔法を使えて」
「ん? 私の力は魔法じゃないみそ。元々、持っている能力みそ」
「能力?」
何かそれは魔法と違うのか?
尋ねようとすると、ゴーレム幼女の口はパンパン。
困っていると魔法婆が俺の疑問に答えてくれた。
「この世界には”魔法”と”能力”っていう二つの力があるんだよ」
「何か違うのか?」
「魔法は術式を利用して後天的に身に付ける力後天的に身に付ける力。能力は個人に宿る先天的な力。ゴーレムでいえばモノを石化したりする事かねえ」
ほう... ...。
種族毎に使える能力が違うのか。
「そういえば、お前ら俺の事、違う世界に飛ばしたよな? 俺をこの世界に送ったのはもしかして魔法を使える奴じゃないか?」
恐らく、俺の憶測は当たっている。
それを確定するように魔法婆は「そうだろうね」と。
であれば、気になる点としては俺を送った奴とその目的。
それを魔法婆に改めて聞いてみるが「そんなもの知らない」と一蹴される。
「まあ、そうだよな... ...」
落胆する俺を見て、魔法婆は言葉を付け足す。
「____ただ、転移魔法を使えるって事は相当な実力者に間違いないだろうね」
フォークをこちらに向けて、ドヤ顔を決める魔法婆。
俺をこちらの世界に飛ばした奴を特定すると共に転移魔法が使える自分の力を自慢してきた。
食う事に夢中になっていた食王こと、魔法少女も急に参戦し。
「実力者はあたし達並かそれ以上でしょう! まあ、とっても強そうだね!」
他の誰かと比べた訳ではないが、確かにここにいるゴーレムと魔法少女と婆は相当な実力者なのだろう。
兵士があれ程に恐れていたこのゴーレムの森で悠悠自適に生活をしている姿を見れば自然とそういう考えに至る。
_____”魔法”と”能力”。
そういう世界に来たいと中学生の時に思っていた俺はこの状況を内心喜んでいた。
_____ぐにゅ~!
「____はうっ!」
「どうした? 花島? 汗が凄いみそ」
ゴーレム幼女は心配した様子で俺を見る。
「ど・どうやら、腹が痛い。この城に便所は?」
「外にあるみそ」
「お~い! 何で、外に作ったんだよ!」
文句を言っても仕方ない。
俺は外に用を足しに行った。
それより、あいつら同じもの食ってるのによくお腹壊さないな!
三人の力の強さにも感服したが、腹の強さにも驚かされた。
0
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ
トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!?
自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。
果たして雅は独りで生きていけるのか!?
実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています
異世界に来たからといってヒロインとは限らない
あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理!
ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※
ファンタジー小説大賞結果発表!!!
\9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/
(嬉しかったので自慢します)
書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン)
変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします!
(誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願
※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。
* * *
やってきました、異世界。
学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。
いえ、今でも懐かしく読んでます。
好きですよ?異世界転移&転生モノ。
だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね?
『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。
実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。
でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。
モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ?
帰る方法を探して四苦八苦?
はてさて帰る事ができるかな…
アラフォー女のドタバタ劇…?かな…?
***********************
基本、ノリと勢いで書いてます。
どこかで見たような展開かも知れません。
暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる