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【第五章 地球編】
お母さん! 地元にて!
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俺が異世界に飛ばされた理由。
それはただただ偶然という何の捻りも、ワクワクするような答えでもなかった。
マグナガルの話をまとめるとこうだ。
地球を救う為に何名かのクルーをユスフィアに送り込んだ。
その際、本来なら一つしか出現することのないワープホールが世界中に発生。
出現時間も短く、生物はそれを通る事も出来ずに特に支障がないはずだったのだが偶然にも俺がそのワープホールを通り抜けてしまい、ユスフィアに飛ばされてしまった。
確率でいうと、隕石が自分の頭に当たる確率よりも低いということ。
勇者とか、救世主とか、色々言われ、俺も内心「選ばれた存在」なんて薄っすら思っていたけれど、現実を知って「まぁ、そうだよなぁ」と自分の存在を誇張し過ぎないで良かったとホッとした。
「もう一度、俺、ユスフィアに戻りたい______」
「それは無理」
マグナガルは食い気味に俺の発言を制す。
「どうして!? 俺は向こうでシルフを救ってやらなきゃいけないんだ!」
「救う?」
「あぁ! あいつは、マモルとかいうオッサンに魔王にされて! 今も苦しんでいるんだ!」
「そうか。マモルは偽の魔王を生み出す事に成功したのか。良かった。これで、世界が救われる......」
「あ!? 何を言って______」
そうだ。
そういえば、ユスフィアでオッサンは「地球が滅びる」と言っていた。
新種のウイルスが発生したとも言っていた。
不意に地球に戻った事で忘れていたのか?
今、外の世界は一体どうなっている?
「外の世界が気になるか? いいだろう。見てもらった方が早い」
そう言うと、マグナガルは指を天井のヒカリゴケに向かって突き立て、マグナガルの動きと連動するように俺の身体は天井をすり抜け、地上に降り立った。
□ □ □
______地上______
「ここが地上.......なのか?」
世界が滅びると聞いていたから、どんな暗黒世界になっているのか内心不安だったが木々は青々とし、空は澄み、太陽がカンカンと照りつけ、沿道脇の林からは鳥のさえずりが聞こえた。
「町に行こう。そうすれば分かるさ」
マグナガルは杖を宙に浮かせ、腰掛け、ちょいちょいと手招きをし、一緒に杖の上に乗るように指示を出す。
「こうした方が雰囲気が出て良いだろう」
得意げに鼻を鳴らすマグナガルはどこか少し楽しそうで、まるでこれから世界滅亡ツアーにでも連れて行かれるかのようだった。
□ □ □
______上仲市______
人口1万人程度の中途半端に栄えている田舎の町。
市役所の周り1km圏内には商業施設などはあるが、そこから離れると田園風景が広がる。
昔、東京から友人が来た際に「秋田の俺の実家周りの方が栄えているぞ」と本当にここは関東なのかと疑惑を持たれた程、田舎と都会の狭間にあるようなこの町は俺の生まれ育った故郷である。
「よっと。この辺でいいかな」
せっかちなのか、マグナガルは足が地に着く直前だというのに、杖から飛び下りる。
早く先に進みたいのか、杖から飛び下りる事に躊躇している俺の腕を引き、強引に地上に降ろした。
「ここは市役所のロータリーか」
後ろにはRC造の建物が建ち、市役所の入口には見慣れた”上仲市にようこそ!”という垂幕が掲げられている。
市役所前に県道38号線が通り、その通り沿いにはいくつもの飲食店などの店が立ち並んでいる。
時間は正午か昼過ぎだろうか。
普段なら車が走り、所々、賑わいを見せているのだが、店の多くはシャッターを下ろしており、シャッターが空いている店内には客はおろか、店員の気配すらなかった。
「ここは本当に上仲なのか?」
一気に不安に駆り立てられ、青ざめる俺を横目にマグナガルは「とりあえず、散歩でもしよう」と俺の手を握り、県道に沿って歩き出した。
それはただただ偶然という何の捻りも、ワクワクするような答えでもなかった。
マグナガルの話をまとめるとこうだ。
地球を救う為に何名かのクルーをユスフィアに送り込んだ。
その際、本来なら一つしか出現することのないワープホールが世界中に発生。
出現時間も短く、生物はそれを通る事も出来ずに特に支障がないはずだったのだが偶然にも俺がそのワープホールを通り抜けてしまい、ユスフィアに飛ばされてしまった。
確率でいうと、隕石が自分の頭に当たる確率よりも低いということ。
勇者とか、救世主とか、色々言われ、俺も内心「選ばれた存在」なんて薄っすら思っていたけれど、現実を知って「まぁ、そうだよなぁ」と自分の存在を誇張し過ぎないで良かったとホッとした。
「もう一度、俺、ユスフィアに戻りたい______」
「それは無理」
マグナガルは食い気味に俺の発言を制す。
「どうして!? 俺は向こうでシルフを救ってやらなきゃいけないんだ!」
「救う?」
「あぁ! あいつは、マモルとかいうオッサンに魔王にされて! 今も苦しんでいるんだ!」
「そうか。マモルは偽の魔王を生み出す事に成功したのか。良かった。これで、世界が救われる......」
「あ!? 何を言って______」
そうだ。
そういえば、ユスフィアでオッサンは「地球が滅びる」と言っていた。
新種のウイルスが発生したとも言っていた。
不意に地球に戻った事で忘れていたのか?
今、外の世界は一体どうなっている?
「外の世界が気になるか? いいだろう。見てもらった方が早い」
そう言うと、マグナガルは指を天井のヒカリゴケに向かって突き立て、マグナガルの動きと連動するように俺の身体は天井をすり抜け、地上に降り立った。
□ □ □
______地上______
「ここが地上.......なのか?」
世界が滅びると聞いていたから、どんな暗黒世界になっているのか内心不安だったが木々は青々とし、空は澄み、太陽がカンカンと照りつけ、沿道脇の林からは鳥のさえずりが聞こえた。
「町に行こう。そうすれば分かるさ」
マグナガルは杖を宙に浮かせ、腰掛け、ちょいちょいと手招きをし、一緒に杖の上に乗るように指示を出す。
「こうした方が雰囲気が出て良いだろう」
得意げに鼻を鳴らすマグナガルはどこか少し楽しそうで、まるでこれから世界滅亡ツアーにでも連れて行かれるかのようだった。
□ □ □
______上仲市______
人口1万人程度の中途半端に栄えている田舎の町。
市役所の周り1km圏内には商業施設などはあるが、そこから離れると田園風景が広がる。
昔、東京から友人が来た際に「秋田の俺の実家周りの方が栄えているぞ」と本当にここは関東なのかと疑惑を持たれた程、田舎と都会の狭間にあるようなこの町は俺の生まれ育った故郷である。
「よっと。この辺でいいかな」
せっかちなのか、マグナガルは足が地に着く直前だというのに、杖から飛び下りる。
早く先に進みたいのか、杖から飛び下りる事に躊躇している俺の腕を引き、強引に地上に降ろした。
「ここは市役所のロータリーか」
後ろにはRC造の建物が建ち、市役所の入口には見慣れた”上仲市にようこそ!”という垂幕が掲げられている。
市役所前に県道38号線が通り、その通り沿いにはいくつもの飲食店などの店が立ち並んでいる。
時間は正午か昼過ぎだろうか。
普段なら車が走り、所々、賑わいを見せているのだが、店の多くはシャッターを下ろしており、シャッターが空いている店内には客はおろか、店員の気配すらなかった。
「ここは本当に上仲なのか?」
一気に不安に駆り立てられ、青ざめる俺を横目にマグナガルは「とりあえず、散歩でもしよう」と俺の手を握り、県道に沿って歩き出した。
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