チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆

文字の大きさ
41 / 69

第8話 追放勇者、対峙する【その3】

しおりを挟む
 拡充収納ストレージ術。荷物持ちポーターの能力である。

 旅には欠かせない荷物……回復アイテムに衣服、テントや食料。戦闘には欠かせない武器防具、それらの予備、修繕道具等々。
 万全の道具を持ち運ぼうとすると、ただでさえ大荷物の上、旅先で購入物や、またダンジョンに一度ひとたび探索に出れば、ドロップアイテムで文字通り手一杯になる。
 そこで、多くの荷物を持ち運べる荷物持ちポーターの出番だ。
 彼らは荷物を運ぶすべ──収納術ストレージと呼ばれる、多くのアイテムを効率よく持ち運ぶ技術に特化した冒険職である。
 もちろん、荷物持ちポーターも一応は冒険職であるため、一部の補助系の術や移動術などを使えるが、戦闘には向いていない。そのためほとんどの場合戦いには参加せず、また参加する場合も裏方サポートに徹する。

 また、荷物持ちポーターとして習得した収納術は、他の職でも発揮することができるため、持ち物の上限枠を増やしたのち、別の、冒険に適した第二の冒険職じんせいに移行する人が、殆どである。
 冒険職としてはいささか『地味』なことも重なって、ある程度の収納術を習得してすぐ転職される、正に『初心者向け』『駆け出し用』の職業と言われている。

 では、荷物持ちポーターの『スキルマスター』──荷物持ちポーターを極めた先にはなにがあるのだろう。
 実は、多くの冒険者が世話になっている『国営預かり所』の経営陣が、荷物持ちポーターの『スキルマスター』である。国認定の預かり所を経営するために必要な能力しかくなのだ。

「ある街で預けた荷物を、別の街の預かり所で受け取る」

 これを、荷物持ちポーターマスターは行えるようになる。
 彼らは、契約を結んだ倉庫へ荷物を『転移』させ、また荷物から『転送』させることができる。次元を越えて別の場所へ移動させることができるのだ。国営預かり所は、認可を受けたものが巨大な『国の倉庫』と契約しており、世界中の冒険者の荷物がその倉庫で出し入れされている。


 *************************


 そして全ての道具のスペシャリストの道具師アイテムマスターは、荷物持ちポーターのマスターでもある。
 勇者一行として旅をしていた際には、国の倉庫と契約を結んでいため、冒険で入手した荷物を取捨選択する苦労は存在せず、倉庫に片っ端から突っ込んでいた(たまに整理整頓しないと、荷物をどこに置いたかの本人すら判らなくなるのはご愛敬)。

 正に『歩く倉庫状態』であったが、サックは、勇者を引退するに際して、この『倉庫との契約』を解いてしまっていた。魔王城の正面が最終キャンプ地になったため、必要な道具はすべて、そのキャンプ地に駐在に来た預かり所に預けたのだった。

 そして、サックはつい今朝方、新たな『倉庫』を契約した。
 憲兵詰め所の武器庫だ。サックは、武器庫のオーナー、つまりはジャクレイに使用許可を貰っていたことから、契約成立となった。
 サックが一人で、この教会跡に出向く前に、メモを残してきていた。それはジャクレイに宛てられた、サックからのお願い。

『ありったけの武器、薬草、道具を、武器庫に詰め込んでくれ』

 出し入れには一定の制約、特に、異空間転送を応用している関係上、倉庫から即座に取り出すことは難しい。そのため、普段使わないものを仕舞う、あくまで『倉庫』としての用途が正しい使い方だ。
 しかしサックは、全能力もとい、全神経をフルに使って、ジャクレイが適当に押し込んだ荷物から薬効のあるものを成り行き任せに引っ張り出していたのだった。

 手品師のように、手のひらにポンっと倉庫からアイテムが転送された。一見単純そうにみえるが、荷物が異空間を通じて別空間に転移しているという、魔術師も驚きの仕掛けを介している。しかも、サックは荷物の置き場や状態を全く把握していない。転送される荷物を途中で選別して、必要そうなものだけを選りすぐっている。

「……解析、転送、選別、そして潜在解放ウェイクアップに、焼けた手の傷み……頭と腕が、ぶっ壊れそうだ」
 能力を使うたびに、激しい頭痛に見舞われる。以前から違和感を覚えていたことで、どうやら道具師の力を使うと襲われるようだ。

「……そろそろ、『限界』だ……」
 誰に語るわけでもなく。サックは呟いた。あながち冗談ではなく、サックは力の限界を迎えようとしていた。

 サザンカの意識はまだ、戻っていなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

処理中です...