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1章 転生編
7話
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HOTランキングに載ってた事に驚きなのに、ランキングがどんどん上がるのを見て更に驚きました。読んでくださりありがとうございます。
(修正)
ベットがと→ベットと
主人涙を→主人は涙を
わたしは名前は→わたしの名前は
顔していて→顔をしていて
一時的だととしても→一時的だとしても
【本文】
木札に書いてある同じ数字の部屋の鍵を開け、中に入るとそこそこな広さの部屋に二つの質素なベットとテーブル、椅子が二つの窓のある部屋だった。
お金の入った袋をベットの側に置き、女の子を椅子に座らせ、僕も椅子に座った。
「さて、改めて君の名前を教えてもらえないか?」
僕がそう言って女の子の顔をジーッと見つめていると口を開いた。
「申し訳ありませんでした。貴族様とはつゆ知らず、命だけは許して下さい」
やっと喋ってくれたと思ったら、土下座をしながら謝られた。頭を上げるよう言ったが聞き入れてもらえず、シーンとした間が空いた。その空気を壊したのはドアをノックして入って来た宿屋の主人だった。
「ん?何してんだお前ら」
まぁ、その反応は当たり前だろう。椅子に座る僕に幼い女の子が土下座しているのだから。
「いや、この子の名前を聞こうとしたらこうなりまして、頭を上げてもくれないのですよ」
宿屋の主人に苦笑いで応えると、やれやれと言いたそうな顔をしてから食事をテーブルに置き、女の子の方へ行くと
「おい、謝るなら顔をしっかり見てから言え。いつまでも頭下げたって、下げられている方が困る」
宿屋の主人がそう言うと、女の子は恐る恐る頭を上げ、僕の顔を見た。
「やっと僕と話してくれる気になった?」
そう言ってはみたが女の子はまだ体を震わせていた。そんな様子を見た宿屋の主人が訝しい顔をして僕を見て、
「お前、この子に何をしたんだ?」
主人の目からは怒りのようなものを感じ、ここに来るまでの事を話して、この状態の事を理解してもらった。
すると、主人は話し始めた。
「恐らく。いや、間違いなくこの子は獣人の捨て子だな」
主人のその言葉に女の子は震わせていたからを更にビクビクとさせた。
「この街にいる獣人は冒険者か傭兵、奴隷、捨て子のどれかに当てはまる。要するにこの街で生きていくには戦う事が出来なければ生きていけないんだ。この街の領主が獣人を店で働くのを禁止させてるからこんな風になっちまってる」
そう言って悲しい顔をして女の子を見て、頭に乗っている帽子を取った。頭には人間には無い耳が生えていた。しかも、犬耳だ。
「あっ!」
取られた帽子を取り戻そうとぴょんぴょんとしているが敵うわけもなかった。
「これを見て、それでもまだお前はこの子に情けをかけるか?無責任な優しさはこの子の為にはならないぞ」
「情けねー。少し違うかな。僕が助けてあげたいから助けるんだ!!それに犬耳っ娘となれば、なおさら助けたくなったよ!!」
僕の発言に主人だけでなく、女の子もポカーンとしていた。
「これまで、よく頑張ったね。これからは、僕が君を助けるから、ひとまず、ご飯にしよう。冷めてしまうからね」
そう言って、さりげなく女の子の頭を撫でて犬耳を堪能していた。
すると、女の子は泣き崩れた。
「わたし、わたし」
女の子は僕の胸の中で泣き続けた。その様子を見た主人は涙を目の節に溜めていた。お前もか!!と、ツッコミを入れたいのを我慢して、女の子の頭を撫で続けた。
そらから、どの位の時間が経ったのか、食事は冷めきっていた。
「ごめんなさい。迷惑をかけてばかりで、わたしの名前はフィルです」
「僕の名前はカオルだ。傭兵をしている」
「俺はバーセントだ。この宿屋の主人をしている」
「空気を読めよ!!」
僕の自己紹介の後にさりげなく自分の挨拶をしてきた。油断ならない男だ。
「そんなに気にするなよ。最初はどんな奴かと思ったが、スレインの野郎の目はまだ腐ってはいなかったって事だな」
そう言って笑いながらバーセントは部屋を出て行った。
「ひとまずは、食事にしよう。冷めちゃったけどね」
「ご、ごめんなさい」
「謝らなくていいから、さぁ、食べよう」
そう言って食事を始めた。フィルは最初こそは遠慮しながら食べていたが、僕が遠慮しないように言いながら食べさせたりするとその後はバクバクと食べた。よほど、お腹が空いていたのか2人前を一人で平らげた。
お腹いっぱい食べれて満足したのか、ポワァワァ~と効果音が聞こえてきそうな顔をしていて思わず、笑うとフィルは顔を赤くしていた。
その後はバーセントが体を拭くものを持って来てくれたのでしっかりと拭いてやり、僕も拭き終えてからフィルの服をどうしようかと思った。そう思っていたら、バーセントが子供服を持って現れた。
「カオル、お前は詰めが甘いな」
ニヤニヤと笑いながらバーセントに言われ、少しイラッとした事は秘密だが、感謝はしている。そのおかげで、ちゃんとした服に着替えてフィルは寝れた。
フィルが寝息をたてている中、僕は寝れずにいた。僕がフィルを助けて良かったのか。元の世界(地球)では、僕もまだ子供だ。そんな僕にフィルの責任を負う事は出来るのか。そんな事ばかりが頭をよぎる。
ふと横に顔を向けると幸せそうな表情をするフィルを目にした。責任を負う事が出来るかじゃなく、負わなければならない。それが、フィルに優しさを与えた責任だ。そう思えたら気が楽になった。
フィルはこれからどうしたいのか聞かないといけないが、この街で生活をしていくには、ひとまず、傭兵になってもらわなければならない。領主が決めた条例のような物のせいで獣人をメイドのように扱えば、領主に目を付けられ、厄介な事になるのは目に見えている。一時的だとしても登録してもらわなければ。
そして、次の問題はそうなった時、どうやってフィルを戦わせるかだ。
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フィル 9歳 女 獣人
レベル : 5
職業 : 放浪者
HP : 230/230
MP : 25/25
筋力 : 30
魔力 : 5
耐久 : 45
敏捷 : 48
装備 : 町娘の服(E)
町娘のズボン(E)
称号 : 拾われし者
力なき獣人
個人スキル : ???
???
スキル : 体術(E)
剣術(E)
話術(E)
常時スキル : なし
補助効果 : なし
スロット空き数 : 9
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これが鑑定で見たフィルのステータスだ。街の中で色々な人のステータスを覗き見したが、ここまで低いとなると戦闘は厳しいだろう。
そこで、いろいろな事を試した。
まずは、創造でステータスを与えてみようとしたら禁止行為によりスキルが発動しなかった。
次は、創造でレベルを与えてみようとしたが、やはり、こちらも禁止行為によりスキルが発動しなかった。
次は、創造で直接フィルにスキルを与えようとしたが、これも禁止行為によりスキルが発動しなかった。
他にも試してみたが、上手くいかなかった。
だが、失敗は成功の素となった。
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======================================
スキル : レベル分配(ー)《レベル喰い》
詳細 : スキル所有者が目視している者のみに対して発動
する。目視している者に自分のレベルを分配する
事が出来る。分配されてレベルが上がる時、ステ
ータスは通常のレベルアップ時と同じステータス
が与えられる。
この際に与えた者のレベルは減少する。しかし、
ステータスは減少する事はない。
《また、目視している者からレベルを取る事も出
来る。取られた者のレベルは減少するが、ステー
タスは減少しない。》
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======================================
スキル : ステータス分配(ー)《ステータス喰い》
詳細 : スキル所有者が目視している者のみに対して発動
する。目視している者に自分の基本ステータスを
分配する事が出来る。分配されたステータスは分
配された者の基本ステータスとして吸収される。
この際に与えた者のステータスは減少するが、レ
ベルは減少する事はない。
《また、目視している者からステータスを取る事
が出来る。取ったステータスは基本ステータスと
して吸収される。
また、目視している者の基本ステータスか装備ス
テータスを取る事が出来る。取ったステータスは
基本ステータスとして吸収される。
取られた者のステータスは減少するが、レベルは
減少しない》
======================================
======================================
無から生み出す【創造】はある意味では最強ではあるが、具体的な創造などが無ければ生み出す事が出来ないスキルでもある。
だからこそ、生み出されたスキルなどは強力な力を秘めている。今回の件でこの事に気づけたのは、今後の展開に大きな影響を与える事になる。
このスキルを完成させた僕は満足感に満たされながら床に着いた。
【後文】
書き終え投稿予約した後にHOTランキングを確認しましたら、上位の方まで上がっていたのでかなり驚きました。
これも、読んでくださった皆様のおかげです。他の作者の方のような投稿ペースは無理ですが、不定期にちょくちょく投稿していこうと思っていますので、これからもよろしくお願いします。
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