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第一幕 板東編
国の成り立ち②
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「まぁな。その為に俺はこの二年間、死に物狂いで勉強したんだ。国の事、政治の事、いつか貴族社会に貢献して、俺たち平氏の名を再び朝廷に刻みつける為に」
「ほぉ。お主が色々と詳しい理由は、その成果と言う事か。四郎、もっと私に色々な話を聞かせてくれ。私ももっとこの国の事が知りたい!」
「まさか姫さんが、ここまで興味を示してくれるとは、ちょっとびっくりだ。興味あるのか、こう言う話?」
「今の四郎の話を聞いて興味が湧いた。この国の成り立ちや歴史、伝承、風習。それから千紗達が生きてる"今"の国の情勢、政。それらの事を、京にいて、国を動かす立場の太政大臣を父に持つはずの私が、何も知らずにいた。その事実を、私は恥ずかしいと思った。だから、知りたいのじゃ。もっともっと、世の中の事を」
「姫さん……」
「頼む四郎。私にも教えてくれ。この国の事を、もっともっと教えてくれ!」
「よし、分かった。じゃあ近いうちに姫さんに、俺の師匠を紹介してやるよ。俺に色々な知識を与えてくれた、俺が尊敬してやまない人を」
「ほお、それは楽しみじゃ。せっかく見知らぬ地に訪れたと言うに、毎日暇を持て余しては退屈で仕方なかったからの。これでやっと楽しみが出来た。約束ぞ四郎」
「あぁ、約束だ」
四郎の「約束」の言葉に、千紗は満足そうに微笑んだ。
その笑顔につられるように四郎もまた、無邪気に微笑んでみせた。
「四郎様、千紗様、夕餉の支度が整いましてございます」
その時、丁度良い頃合いで、桔梗が夕餉の時間を知らせにやって来た。
「おお桔梗、わざわざご苦労さん。さて姫さん、この話は今日はこの辺にして、晩飯にしようぜ、晩飯!」
「おぉ、そうだな。飯じゃ飯じゃ。ほら秋成、チビ助も。夕食を食べに行くぞ」
千紗が四郎と共に上機嫌に部屋から出て行った。
「あ……千紗姫様……本当に……本当にそのような下賎の者達と食事を?」
「なんだ。やはりお主は嫌なのかチビ助?ならば無理してついてくる事はないぞ。お主はお主でこの部屋で食べれば良い」
「…………嫌にございます! 私は、いついかなる時も姫様の傍にっ!!」
朱雀帝もついに決心したらしい。先を行く千紗の背中を追いかけて部屋を後にする。
そんな朱雀帝の後に続いて貞盛もまた部屋から出て行った。
四郎、千紗、朱雀帝に貞盛、部屋を去る四人の後姿を庭の片隅から見つめる秋成。
「……………」
四人の賑やかな声を遠くに聞きながら、ふっと彼の表情に優しい笑みが浮かんだ。
「やっぱり、元気な方があいつらしいな」
ぽつりと小さくそう呟いた秋成。
「こら秋成~、何をぼおっとしておる。お主もはよう付いて来ぬか!!」
「はい。今参ります、千紗姫様」
千紗にそう返事をして、秋成もまた千紗の後を追いかけ、離れの庭を後にした。
「ほぉ。お主が色々と詳しい理由は、その成果と言う事か。四郎、もっと私に色々な話を聞かせてくれ。私ももっとこの国の事が知りたい!」
「まさか姫さんが、ここまで興味を示してくれるとは、ちょっとびっくりだ。興味あるのか、こう言う話?」
「今の四郎の話を聞いて興味が湧いた。この国の成り立ちや歴史、伝承、風習。それから千紗達が生きてる"今"の国の情勢、政。それらの事を、京にいて、国を動かす立場の太政大臣を父に持つはずの私が、何も知らずにいた。その事実を、私は恥ずかしいと思った。だから、知りたいのじゃ。もっともっと、世の中の事を」
「姫さん……」
「頼む四郎。私にも教えてくれ。この国の事を、もっともっと教えてくれ!」
「よし、分かった。じゃあ近いうちに姫さんに、俺の師匠を紹介してやるよ。俺に色々な知識を与えてくれた、俺が尊敬してやまない人を」
「ほお、それは楽しみじゃ。せっかく見知らぬ地に訪れたと言うに、毎日暇を持て余しては退屈で仕方なかったからの。これでやっと楽しみが出来た。約束ぞ四郎」
「あぁ、約束だ」
四郎の「約束」の言葉に、千紗は満足そうに微笑んだ。
その笑顔につられるように四郎もまた、無邪気に微笑んでみせた。
「四郎様、千紗様、夕餉の支度が整いましてございます」
その時、丁度良い頃合いで、桔梗が夕餉の時間を知らせにやって来た。
「おお桔梗、わざわざご苦労さん。さて姫さん、この話は今日はこの辺にして、晩飯にしようぜ、晩飯!」
「おぉ、そうだな。飯じゃ飯じゃ。ほら秋成、チビ助も。夕食を食べに行くぞ」
千紗が四郎と共に上機嫌に部屋から出て行った。
「あ……千紗姫様……本当に……本当にそのような下賎の者達と食事を?」
「なんだ。やはりお主は嫌なのかチビ助?ならば無理してついてくる事はないぞ。お主はお主でこの部屋で食べれば良い」
「…………嫌にございます! 私は、いついかなる時も姫様の傍にっ!!」
朱雀帝もついに決心したらしい。先を行く千紗の背中を追いかけて部屋を後にする。
そんな朱雀帝の後に続いて貞盛もまた部屋から出て行った。
四郎、千紗、朱雀帝に貞盛、部屋を去る四人の後姿を庭の片隅から見つめる秋成。
「……………」
四人の賑やかな声を遠くに聞きながら、ふっと彼の表情に優しい笑みが浮かんだ。
「やっぱり、元気な方があいつらしいな」
ぽつりと小さくそう呟いた秋成。
「こら秋成~、何をぼおっとしておる。お主もはよう付いて来ぬか!!」
「はい。今参ります、千紗姫様」
千紗にそう返事をして、秋成もまた千紗の後を追いかけ、離れの庭を後にした。
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