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秋物語
もしも、願いが叶うなら
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「もしかして、照れてる?」
神耶君の反応に、私は思わず笑いながら訊くと、神耶君は余計に顔を赤くしながら怒鳴り出した。
「なっ、何笑ってんだよ!」
「だって、照れてる神耶君が可愛くて」
「はぁ? 何言ってんだお前。別に、照れてねぇし!」
その素直じゃない反応が余計可愛く思えて、私はついに声を上げて笑った。
「わ、笑うな~~~!!」
あ~やっぱり、神耶君と過ごすこの何気ない時間が、私は大好きだ。
「ね、神耶君」
「な、何だよ」
「覚えてる? 夏祭りの時のデートの約束」
「あぁ? まぁ、そりゃ覚えてるけど、それが? 急になんだよ!」
「なら話は早い。あのね、再来週、八幡神社で秋のお祭りがあるんでしょ? 夏祭りのデートの約束は守れなかったからさ、今度は秋祭りでデートしようよ」
「は?」
ずっとこの時間が続いていけば良いのにと、そう願わずにはいられない。
「神耶君と一緒だと楽しいから。神耶君との楽しい時間をもっともっと共有したいの。ね、ダメ?」
「……」
「はい! 指切りげんまん嘘ついたら針千本飲~ます! 指きった!」
「あっ、てめっ!!またその変な呪文を」
「約束だよ! 今度こそ、お祭りデートしようね!」
「だから、いっつもいっつも、一方的且つ強引に約束取り付けようとすんな! 俺に変な呪文をかけるな! しね~ぞ俺は! 祭りデートなんて、絶っっっ対にしね~からな!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る神耶君の姿が可愛くて、また私は声を上げて笑った。
「だから、笑うな~~!!」
本当に、こんな時間がずっと続けば良いのに。
この先もずっと、ずっと――
「あ、もうこんな時間」
ふと腕にはめた時計に目をやれば、時計の針は12時を指していた。
時間が経つ速さに私は驚き声を上げる。
「どうした?」
「今日は午後から病院に行かないといけないんだった。ここに来る事を許してもらう変わりに、ちゃんと病院に行く事ってお母さんと約束したのをすっかり忘れてたよ」
「ふ~ん」
「ふ~んて、酷いな~。聞いておいて他人事みたいなその返事」
「だって他人事だし」
「私と遊べなくて寂しいとか、言ってくれても良いのに」
「寂しい? 馬鹿言うな。師匠もいなくなって、お前もいなくなってくれれば、俺は久しぶりにゆっくりと一人の時間を満喫出来るじゃないか。寂しいどころか嬉し」
「……」
「なっ、何だよ、その目は」
「あ~あ。せっかく今日はお母さんが作ってくれたお弁当持って来てたのに。神耶君と一緒に食べようと楽しみにしてたのに。そんなに私が邪魔者なら、いいもんいいもん。これは一人で食べるから」
神耶君に、あっかんべーをして背中を向ける。
向けるなり持って来ていたお弁当箱を開けて、一人黙々とお弁当を食べ初めた。
そんな私に、神耶君は慌てて近寄って来て
「待て!弁当って事は、卵焼き入ってるか?!」
「勿論、神耶君の大好きな卵焼きも入ってるよ。けど、神耶君は一人の時間を満喫したいんでしょ?どうぞどうぞ。私に構わずに満喫して下さい」
「おい、何怒ってんだよ。弁当なら俺も一緒に食ってやっても」
またも神耶君にあっかんべーをして、私は卵焼きを箸で掴むと、見せつけるようにして口に頬張った。
「あ~卵焼き! 俺の卵焼き~~~」
「今日はあげない! 絶対絶対あげないもん!!」
「だから、何怒ってんだよ。俺にも卵焼き食わせろよ~」
「嫌! 神耶君になんてぜ~ったいあげない!!」
「……の野郎~」
無気になって卵焼きを取り合う私達。
不意に箸を持つ私の手を神耶君に掴まれて……
掴まれた所から徐々に、全身に熱が広がって行く。
体が熱い。
私はびっくりして、思わず手に持っていたお弁当箱を落としそうになった。
神耶君の反応に、私は思わず笑いながら訊くと、神耶君は余計に顔を赤くしながら怒鳴り出した。
「なっ、何笑ってんだよ!」
「だって、照れてる神耶君が可愛くて」
「はぁ? 何言ってんだお前。別に、照れてねぇし!」
その素直じゃない反応が余計可愛く思えて、私はついに声を上げて笑った。
「わ、笑うな~~~!!」
あ~やっぱり、神耶君と過ごすこの何気ない時間が、私は大好きだ。
「ね、神耶君」
「な、何だよ」
「覚えてる? 夏祭りの時のデートの約束」
「あぁ? まぁ、そりゃ覚えてるけど、それが? 急になんだよ!」
「なら話は早い。あのね、再来週、八幡神社で秋のお祭りがあるんでしょ? 夏祭りのデートの約束は守れなかったからさ、今度は秋祭りでデートしようよ」
「は?」
ずっとこの時間が続いていけば良いのにと、そう願わずにはいられない。
「神耶君と一緒だと楽しいから。神耶君との楽しい時間をもっともっと共有したいの。ね、ダメ?」
「……」
「はい! 指切りげんまん嘘ついたら針千本飲~ます! 指きった!」
「あっ、てめっ!!またその変な呪文を」
「約束だよ! 今度こそ、お祭りデートしようね!」
「だから、いっつもいっつも、一方的且つ強引に約束取り付けようとすんな! 俺に変な呪文をかけるな! しね~ぞ俺は! 祭りデートなんて、絶っっっ対にしね~からな!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る神耶君の姿が可愛くて、また私は声を上げて笑った。
「だから、笑うな~~!!」
本当に、こんな時間がずっと続けば良いのに。
この先もずっと、ずっと――
「あ、もうこんな時間」
ふと腕にはめた時計に目をやれば、時計の針は12時を指していた。
時間が経つ速さに私は驚き声を上げる。
「どうした?」
「今日は午後から病院に行かないといけないんだった。ここに来る事を許してもらう変わりに、ちゃんと病院に行く事ってお母さんと約束したのをすっかり忘れてたよ」
「ふ~ん」
「ふ~んて、酷いな~。聞いておいて他人事みたいなその返事」
「だって他人事だし」
「私と遊べなくて寂しいとか、言ってくれても良いのに」
「寂しい? 馬鹿言うな。師匠もいなくなって、お前もいなくなってくれれば、俺は久しぶりにゆっくりと一人の時間を満喫出来るじゃないか。寂しいどころか嬉し」
「……」
「なっ、何だよ、その目は」
「あ~あ。せっかく今日はお母さんが作ってくれたお弁当持って来てたのに。神耶君と一緒に食べようと楽しみにしてたのに。そんなに私が邪魔者なら、いいもんいいもん。これは一人で食べるから」
神耶君に、あっかんべーをして背中を向ける。
向けるなり持って来ていたお弁当箱を開けて、一人黙々とお弁当を食べ初めた。
そんな私に、神耶君は慌てて近寄って来て
「待て!弁当って事は、卵焼き入ってるか?!」
「勿論、神耶君の大好きな卵焼きも入ってるよ。けど、神耶君は一人の時間を満喫したいんでしょ?どうぞどうぞ。私に構わずに満喫して下さい」
「おい、何怒ってんだよ。弁当なら俺も一緒に食ってやっても」
またも神耶君にあっかんべーをして、私は卵焼きを箸で掴むと、見せつけるようにして口に頬張った。
「あ~卵焼き! 俺の卵焼き~~~」
「今日はあげない! 絶対絶対あげないもん!!」
「だから、何怒ってんだよ。俺にも卵焼き食わせろよ~」
「嫌! 神耶君になんてぜ~ったいあげない!!」
「……の野郎~」
無気になって卵焼きを取り合う私達。
不意に箸を持つ私の手を神耶君に掴まれて……
掴まれた所から徐々に、全身に熱が広がって行く。
体が熱い。
私はびっくりして、思わず手に持っていたお弁当箱を落としそうになった。
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