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秋物語
賑やかな保険室
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「葵葉! 無事か? 大丈夫なのか?! 階段から落ちたって、どこも怪我してな……ってお前っ! 葵葉に今、何しようとしてた? 正直に言ってみろ! 可愛い妹に何しようとした?!」
息を整え、顔を上げたお兄ちゃんが、私と先輩の姿を瞳に映した瞬間、顔を真っ赤に染めながら物凄い形相で私達のもとへ駆け寄って来た。
そして乱暴に先輩の制服の襟を掴んで激しく揺さぶり始める。
「ちょっ、お兄ちゃん?! 怪我人に何やってるの!!」
「人の可愛い妹を、真昼間の学校でこんなに堂々と襲いやがって~!」
「待て待て待て! あんたの目は節穴か? どう見ても襲われかけてたのは俺だろ!!」
「許さない! 絶対に許さないぞ~~~~~!!」
「……あ~~もう! 何なんだ、あんたら兄妹は? 揃いも揃って人の話を聞かない。うざいったらないな」
「う、うざいだと?! 俺はただ、可愛い葵葉がお前みたいな変な虫に襲われやしないか心配してだな」
「あんた、シスコン?」
「なっ!? シスコンをバカにするな!! シスコンで何が悪い!」
お兄ちゃんの先輩を掴む手に更に力が加えられる。
「だから、うざいんだって。うざいし暑苦しい」
「お前、初対面の人間にうざいだの暑苦しいだの、失礼だろう!」
「それはお互い様だろ。初対面の人間の衿を掴んで今にも殴り掛かりそうな奴が何言ってんだ」
「コイツッ!!!」
頭に血が上って、月岡先輩に今にも殴り掛かりそうな勢いのお兄ちゃんを、私は慌てて止めにかかる。
でも、お兄ちゃんの力に敵うわけもなく、私がお兄ちゃんに突き飛ばされてよろめきかけたとき
「白羽君っ!やっと……追いついた。話の途中で猛スピードで走って行っちゃうから……追いかけるのが大変……」
激しく息をきらしながら、保健の先生が入ってきた。
先生が入って来た事によって、意識がそちらに逸れたらしいお兄ちゃん。先輩の制服を掴んでいたその手を自ら放したかと思うと、今度は先生の方へと足音荒く迫って行く。
「先生遅いですよ! 先生が遅いから、俺の可愛い妹がこんな汚らわしい奴に襲われかけて」
「おい!こらあんた、何嘘偽りを語ってやがる」
「今の話は本当なの?! 本当だとしたら、ちょっと貴方、職員室にいらっしゃい!」
「ちょっ、先生待って下さい。むしろ俺は襲われてた方で……おい、あんたからも何か言ってくれよ」
「先生、違うんです。先輩は階段から落ちた私を助けたせいで体中怪我してて、手当てしようと……ってそうだ手当て! 先輩、早く制服脱いで下さい!」
先程の痛々しい血の跡を、まだ手当できていなかった事を思い出して、私は再び先輩の制服を手に持った。
「だから無理矢理脱がせようとするなってさっきから……あ~~~もう!」
ついに声を荒げて月岡先輩は勢い良く立ち上がる。
「せっかく静かな所で堂々とサボれると思ったのに、あんたら兄妹のせいで台なしだっ!」
そして、かなり怒った様子でそう吐き捨てると、私達に背を向けて廊下に向かって歩き出す月岡先輩。
「先輩? どこ行くんですか? 手当てがまだですよ」
「もう良いよ。あんたに手当てされたんじゃ、治るものも治らなくなりそうだから」
振り返る事すらなくそう言われて、私もそれ以上月岡先輩を引き留める事は出来なかった。
息を整え、顔を上げたお兄ちゃんが、私と先輩の姿を瞳に映した瞬間、顔を真っ赤に染めながら物凄い形相で私達のもとへ駆け寄って来た。
そして乱暴に先輩の制服の襟を掴んで激しく揺さぶり始める。
「ちょっ、お兄ちゃん?! 怪我人に何やってるの!!」
「人の可愛い妹を、真昼間の学校でこんなに堂々と襲いやがって~!」
「待て待て待て! あんたの目は節穴か? どう見ても襲われかけてたのは俺だろ!!」
「許さない! 絶対に許さないぞ~~~~~!!」
「……あ~~もう! 何なんだ、あんたら兄妹は? 揃いも揃って人の話を聞かない。うざいったらないな」
「う、うざいだと?! 俺はただ、可愛い葵葉がお前みたいな変な虫に襲われやしないか心配してだな」
「あんた、シスコン?」
「なっ!? シスコンをバカにするな!! シスコンで何が悪い!」
お兄ちゃんの先輩を掴む手に更に力が加えられる。
「だから、うざいんだって。うざいし暑苦しい」
「お前、初対面の人間にうざいだの暑苦しいだの、失礼だろう!」
「それはお互い様だろ。初対面の人間の衿を掴んで今にも殴り掛かりそうな奴が何言ってんだ」
「コイツッ!!!」
頭に血が上って、月岡先輩に今にも殴り掛かりそうな勢いのお兄ちゃんを、私は慌てて止めにかかる。
でも、お兄ちゃんの力に敵うわけもなく、私がお兄ちゃんに突き飛ばされてよろめきかけたとき
「白羽君っ!やっと……追いついた。話の途中で猛スピードで走って行っちゃうから……追いかけるのが大変……」
激しく息をきらしながら、保健の先生が入ってきた。
先生が入って来た事によって、意識がそちらに逸れたらしいお兄ちゃん。先輩の制服を掴んでいたその手を自ら放したかと思うと、今度は先生の方へと足音荒く迫って行く。
「先生遅いですよ! 先生が遅いから、俺の可愛い妹がこんな汚らわしい奴に襲われかけて」
「おい!こらあんた、何嘘偽りを語ってやがる」
「今の話は本当なの?! 本当だとしたら、ちょっと貴方、職員室にいらっしゃい!」
「ちょっ、先生待って下さい。むしろ俺は襲われてた方で……おい、あんたからも何か言ってくれよ」
「先生、違うんです。先輩は階段から落ちた私を助けたせいで体中怪我してて、手当てしようと……ってそうだ手当て! 先輩、早く制服脱いで下さい!」
先程の痛々しい血の跡を、まだ手当できていなかった事を思い出して、私は再び先輩の制服を手に持った。
「だから無理矢理脱がせようとするなってさっきから……あ~~~もう!」
ついに声を荒げて月岡先輩は勢い良く立ち上がる。
「せっかく静かな所で堂々とサボれると思ったのに、あんたら兄妹のせいで台なしだっ!」
そして、かなり怒った様子でそう吐き捨てると、私達に背を向けて廊下に向かって歩き出す月岡先輩。
「先輩? どこ行くんですか? 手当てがまだですよ」
「もう良いよ。あんたに手当てされたんじゃ、治るものも治らなくなりそうだから」
振り返る事すらなくそう言われて、私もそれ以上月岡先輩を引き留める事は出来なかった。
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