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夏物語
夏の終わり 秋の訪れ
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神耶と葵葉、二人の様子を少し離れた場所から、微笑ましげに見守っていた神耶の師匠。
だが、微笑みの中には、微かな悲しみが混じって見える。
そして、師匠の口からはポツリと小さな、不安げな呟きが無意識に漏れていた。
「神耶、そこまでですよ。一人の人間に干渉出来るのは、そこまでです。それ以上、葵葉さんに踏み込んだ感情を持ってしまったら、あなたはきっと、あなた自身の身を滅ぼす事になってしまう。どうかそこまでに、留めておいて下さいね……」
そして、二人から視線を外した師匠は、ゆっくりと踵を返す。
ふと、足元に視線を向ければ、この夏を一生懸命駆け抜けたのであろう、蝉の死骸が目に入った。
もうすぐ夏が終わる。
夏が終われば、次は秋がやって来る。
こんな季節の変わり目は、何か新しいことがはじまりそうな、そんな予感に胸が踊るものだ。
巡りくる新しい季節には、いったいどんな出来事が待っているだろうか。
今しばらく、秋の訪れを待とうではないか。
夏物語 / END
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