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辺境の街マルノス
変身
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龍樹はスキルの練習をする神威と皇を眺めていた
色々馬鹿な事をしながら流れで異世界召喚されてしまった
二人が感じているようにこの世界に対してワクワク感があるのは否定出来ない
だが同じだけの不安感も感じている
地球とこの世界では何もかも違い過ぎる
人を簡単に殺める事が出来る魔法があり
殺めた事を証明する科学技術もない
それでいて街の外には一瞬で人の命を散らす事が出来るモンスターがいる
余りにも命が軽すぎる
今は興奮気味にスキルと言う名の異能力を使い楽しんでいる二人
でもいつかきっと人の命を奪わなければいけない時が来るだろう
それが自衛のためにしろ人のためにしろ
その時きっと二人の心は確実に擦れる
同年代の自分が言うのもなんだが二人はまだ若過ぎる
これからどうするにしろ実力をつけるのは必須事項だ
自分を守るためにも
二人を守るためにも
変身を選んだのも理由がある
地球とこの世界でも変わらないものはある
それは権力
地球では権力者の横暴な力の使い方は激しく非難される
それでも隠れて権力を振りかざす者もいるのだが
しかしこの世界では後者の方が強い
もし二人のうちどちらかが権力と言う網に引っかかった時
変身なら身代わりになってやれる
どちらかの姿に成り替わり堂々と権力者の前に出て行ける
それだけの覚悟はあるつもりだ
見た目が幼い内は見た目から侮って目をつけられるような事も少ないだろう
だからこそ今のうちに力をつけなければならない
龍「よし、俺も始めるか」
龍樹は二人から目を離し今一度距離を取り周りを確認する
二人が練習を始めたとき一様に目を閉じていた
集中するために目を閉じるような奴らではないのは分かっている
であれば何かを感じとろうとしているのだろう
何かとは何か
おそらく魔力の事だろう
スキルを使うための魔力
その魔力はどこにあるのか
ステータスを見る限り俺にも魔力は相当量あるのは分かっている
TVでみた気を使う人がやっていた気の循環ってやつか
もしかしたら地球にも魔力のような物があったのかもしれないなと思いながら龍樹も二人と同じように目を閉じる
体の中をお腹を中心に魔力を循環させるイメージ
内臓から骨、筋肉、皮膚まで魔力を循環させ目を開ける
龍「体が軽いな」
龍樹はその場で軽くほんの10センチ上がるか上がらないかくらいのジャンプをした
したつもりであった
龍「うぉっ!?」
龍樹の体は2メートル以上飛び上がっていた
突然跳んだ体に混乱しながらも取り敢えず着地するため体勢を立て直す
龍「あぁびびった…」
恐らく魔力を全身に行き渡らせた事で魔力が体の動きを補助したんだろう
龍樹は全身を覆う魔力を半分にして歩きだした
始めはそれこそ跳ぶような変な歩き方だったが少しずつ力の入れ方を調整し普通の歩き方、走り方など力の入れ具合の調整も行っていった
それでも身体強化に使った魔力は50程度
さきほどの100パーセントの魔力を使える気がしない
それに身体強化は体の中で魔力を循環させる事から消費する事はない
かといってスキルや魔法で消費するためなにも100パーセントの魔力で身体強化をする必要はないと思い至った
実際魔力を50も身体強化に回せる人間など限られているのだが
さらに言えば身体構造を知る3人とは違いこちらの世界の人間で身体構造を知る者は少ないこの事から同じ10の魔力を使ったとしてもその強化効率は天と地の差もあるだろう
龍「次はスキルだな」
龍樹は少し遠目に見える鹿のような動物をじっと観察する
毛の色、顔の形、体の動きを一通り観察し終えた龍樹は全身の身体強化を少し増やした
そして身体を構築するイメージで実際に体の形を変えて行く
すると体は面白いほど変形をはじめついに鹿のような動物を形作った
龍『オモシロイ』
言葉を発して気づいた
形こそ鹿と同じだが身体の中身はだいぶちぐはぐな物になっている
声帯は人間のままなのでかろうじて声はだせるがはっきりと発音する事は出来ない
同じ人間であれば完璧に再現出来るが動物やモンスターは難しい
ちぐはぐで完璧な再現ではない為か魔力もかなりの早さで抜けて行くのが分かる
龍樹は慌てて元の姿に戻った
龍「どうしたもんかな…」
どうすれば変身を使いこなす事ができるのか
今の変身は本当に形だけの変身なのだろう
これでは能力や技術を盗む事は出来ないだろう
そこで不意にスライムが視界にはいる
草原をゆったりと這うように進むスライム
スライムの通ったあとは生えている草を除き虫の死骸や枯れ草、小動物の死骸も綺麗になくなっている
あの粘状の液体で取り込み消化しているのだろう
龍「ッ!?…そうかっ!!」
何かを思いついた龍樹はおもむろに視界に入ったスライムに近づき手を突っ込んだ
龍「ぐうぅ…」
スライムの酸に手を急速に溶かされる龍樹が痛みに顔を顰めるが同時に変身を使い倍近い大きさのスライムに変身した
そして、たった今手を突っ込んだスライムを取り込む
龍樹スライムとは少し違う粘状物質
それでも取り込んだ瞬間龍樹は本物のスライムと同じ粘状に変身出来た
その後スライムの魔石を消化し
さきほどの鹿に気づかれぬよう薄くした粘状物質を操り背後から鹿を覆い尽くした
突然の出来事に暴れる鹿であったが龍樹に取り込まれた事で窒息し事切れた
体の中で生命が無くなる感覚に少しの罪悪感を感じながらもむしろこれが最初の殺生で良かったとも思った
鹿を消化しまた人間に戻った
鹿を取り込み解析する事が出来た
再び変身を発動
取り込んだ鹿と外と中が全く同じ形のものに変身する事が出来た
魔力の効率も悪くない
再び人間の姿に戻る
龍「出来たか…」
太陽が約束の位置に登るまで他にも検証する必要があるなと再び変身を使用する
色々馬鹿な事をしながら流れで異世界召喚されてしまった
二人が感じているようにこの世界に対してワクワク感があるのは否定出来ない
だが同じだけの不安感も感じている
地球とこの世界では何もかも違い過ぎる
人を簡単に殺める事が出来る魔法があり
殺めた事を証明する科学技術もない
それでいて街の外には一瞬で人の命を散らす事が出来るモンスターがいる
余りにも命が軽すぎる
今は興奮気味にスキルと言う名の異能力を使い楽しんでいる二人
でもいつかきっと人の命を奪わなければいけない時が来るだろう
それが自衛のためにしろ人のためにしろ
その時きっと二人の心は確実に擦れる
同年代の自分が言うのもなんだが二人はまだ若過ぎる
これからどうするにしろ実力をつけるのは必須事項だ
自分を守るためにも
二人を守るためにも
変身を選んだのも理由がある
地球とこの世界でも変わらないものはある
それは権力
地球では権力者の横暴な力の使い方は激しく非難される
それでも隠れて権力を振りかざす者もいるのだが
しかしこの世界では後者の方が強い
もし二人のうちどちらかが権力と言う網に引っかかった時
変身なら身代わりになってやれる
どちらかの姿に成り替わり堂々と権力者の前に出て行ける
それだけの覚悟はあるつもりだ
見た目が幼い内は見た目から侮って目をつけられるような事も少ないだろう
だからこそ今のうちに力をつけなければならない
龍「よし、俺も始めるか」
龍樹は二人から目を離し今一度距離を取り周りを確認する
二人が練習を始めたとき一様に目を閉じていた
集中するために目を閉じるような奴らではないのは分かっている
であれば何かを感じとろうとしているのだろう
何かとは何か
おそらく魔力の事だろう
スキルを使うための魔力
その魔力はどこにあるのか
ステータスを見る限り俺にも魔力は相当量あるのは分かっている
TVでみた気を使う人がやっていた気の循環ってやつか
もしかしたら地球にも魔力のような物があったのかもしれないなと思いながら龍樹も二人と同じように目を閉じる
体の中をお腹を中心に魔力を循環させるイメージ
内臓から骨、筋肉、皮膚まで魔力を循環させ目を開ける
龍「体が軽いな」
龍樹はその場で軽くほんの10センチ上がるか上がらないかくらいのジャンプをした
したつもりであった
龍「うぉっ!?」
龍樹の体は2メートル以上飛び上がっていた
突然跳んだ体に混乱しながらも取り敢えず着地するため体勢を立て直す
龍「あぁびびった…」
恐らく魔力を全身に行き渡らせた事で魔力が体の動きを補助したんだろう
龍樹は全身を覆う魔力を半分にして歩きだした
始めはそれこそ跳ぶような変な歩き方だったが少しずつ力の入れ方を調整し普通の歩き方、走り方など力の入れ具合の調整も行っていった
それでも身体強化に使った魔力は50程度
さきほどの100パーセントの魔力を使える気がしない
それに身体強化は体の中で魔力を循環させる事から消費する事はない
かといってスキルや魔法で消費するためなにも100パーセントの魔力で身体強化をする必要はないと思い至った
実際魔力を50も身体強化に回せる人間など限られているのだが
さらに言えば身体構造を知る3人とは違いこちらの世界の人間で身体構造を知る者は少ないこの事から同じ10の魔力を使ったとしてもその強化効率は天と地の差もあるだろう
龍「次はスキルだな」
龍樹は少し遠目に見える鹿のような動物をじっと観察する
毛の色、顔の形、体の動きを一通り観察し終えた龍樹は全身の身体強化を少し増やした
そして身体を構築するイメージで実際に体の形を変えて行く
すると体は面白いほど変形をはじめついに鹿のような動物を形作った
龍『オモシロイ』
言葉を発して気づいた
形こそ鹿と同じだが身体の中身はだいぶちぐはぐな物になっている
声帯は人間のままなのでかろうじて声はだせるがはっきりと発音する事は出来ない
同じ人間であれば完璧に再現出来るが動物やモンスターは難しい
ちぐはぐで完璧な再現ではない為か魔力もかなりの早さで抜けて行くのが分かる
龍樹は慌てて元の姿に戻った
龍「どうしたもんかな…」
どうすれば変身を使いこなす事ができるのか
今の変身は本当に形だけの変身なのだろう
これでは能力や技術を盗む事は出来ないだろう
そこで不意にスライムが視界にはいる
草原をゆったりと這うように進むスライム
スライムの通ったあとは生えている草を除き虫の死骸や枯れ草、小動物の死骸も綺麗になくなっている
あの粘状の液体で取り込み消化しているのだろう
龍「ッ!?…そうかっ!!」
何かを思いついた龍樹はおもむろに視界に入ったスライムに近づき手を突っ込んだ
龍「ぐうぅ…」
スライムの酸に手を急速に溶かされる龍樹が痛みに顔を顰めるが同時に変身を使い倍近い大きさのスライムに変身した
そして、たった今手を突っ込んだスライムを取り込む
龍樹スライムとは少し違う粘状物質
それでも取り込んだ瞬間龍樹は本物のスライムと同じ粘状に変身出来た
その後スライムの魔石を消化し
さきほどの鹿に気づかれぬよう薄くした粘状物質を操り背後から鹿を覆い尽くした
突然の出来事に暴れる鹿であったが龍樹に取り込まれた事で窒息し事切れた
体の中で生命が無くなる感覚に少しの罪悪感を感じながらもむしろこれが最初の殺生で良かったとも思った
鹿を消化しまた人間に戻った
鹿を取り込み解析する事が出来た
再び変身を発動
取り込んだ鹿と外と中が全く同じ形のものに変身する事が出来た
魔力の効率も悪くない
再び人間の姿に戻る
龍「出来たか…」
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