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真紀理のジャブ
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「リコピンもちょっと協力して」
「ハイ?」
「キックボクシングにあって拳法にないものってなに?」
真紀理はそう聞かれ思わず腕を組んで考えた。
「う~ん…蹴りは拳法にあるし…」
「ああいう回し蹴りはあまりないけどね」
「だったらジャブじゃないですか?」
「ジャブ?」
真紀理がアップライトに構えてステップを踏み出した。
「牽制でもあるけど相手との距離を計るものでもあるんです」
真紀理がジャブをして見せる。
突いては素早く引く。
香織も見ていて「そんなに速くパンチを引かれたら取りにくい」
「払ってくしかないよね」
「で、ジャブが届いたらストレート」
ジャブからストレートをやってみせる。
「ジャブが届くということはストレートも届くってことです」
「なるほどね」
「神童と呼ばれたあのキックボクサーも強い選手はみなジャブがうまいっていうくらいだから意外と重要な技なんですよ」
「ジャブね…」
真紀理がやるのを沙織も模倣する。
「肩を顎につけて」
「肩を?」
「肩を上げることで顎を守るの」
「なるほど…攻撃しつつ顎も守りつつなんだ」
香織も亜香里ジャブの模倣を始めた。
「腕の動きだけじゃなくステップも一緒に。でないと相手の反撃があったとき動けない」
「ジャブはおそらく人によって癖や考え方が別れるかも」
真紀理はL字に構えて下から拳を伸ばすジャブを打った。
「リーチが長い人はフリッカージャブを打つし」
肘を中心に縦に拳を回した。
「縦に回転させながら打つ人もいるだろうし」
沙織は感心した。
「意外と深いね」
「深いんですよ。自分は空手からやってたからジャブもストレートも正拳突きになってて直すのに苦労しました」
香織は「武道はだいたい肩の力を抜いて下げるよね」
亜香里も同調した。
「うむ。剣も肩に力が入っていると腕だけで振ってしまい棒叩きになってしまう」
「でも肩で防御するってあまりないかもね」
「咄嗟に避けられない場合ですよ」
沙織は「でも女はなんかってとき肩すくめない?怖いときとかさ。お化け屋敷とかでも肩すくめるじゃん」
「え?今女子力の話になってる?」
「肩が上がると女子力も上がると思わない?」
「思わな~い」
「クラスにさ。そういう子いない?なんかあるとすぐ肩すくめてキャ~って言って男子に心配してもらおうみたいなの」
「いるいる。あ~なんかムカつく」
真紀理が言った。
「わたしもそれやったことあるですよ。でも誰もわたしの心配してくれなかったっスよ」
全員黙って目を逸らした。
「え?なんで黙るのみんな?ねえ!ネエさん!」
と、沙織の腕を子供みたいに両手で掴む。
「いや、あの。ノーコメントだから」
「だからなんで?」
「ハイ?」
「キックボクシングにあって拳法にないものってなに?」
真紀理はそう聞かれ思わず腕を組んで考えた。
「う~ん…蹴りは拳法にあるし…」
「ああいう回し蹴りはあまりないけどね」
「だったらジャブじゃないですか?」
「ジャブ?」
真紀理がアップライトに構えてステップを踏み出した。
「牽制でもあるけど相手との距離を計るものでもあるんです」
真紀理がジャブをして見せる。
突いては素早く引く。
香織も見ていて「そんなに速くパンチを引かれたら取りにくい」
「払ってくしかないよね」
「で、ジャブが届いたらストレート」
ジャブからストレートをやってみせる。
「ジャブが届くということはストレートも届くってことです」
「なるほどね」
「神童と呼ばれたあのキックボクサーも強い選手はみなジャブがうまいっていうくらいだから意外と重要な技なんですよ」
「ジャブね…」
真紀理がやるのを沙織も模倣する。
「肩を顎につけて」
「肩を?」
「肩を上げることで顎を守るの」
「なるほど…攻撃しつつ顎も守りつつなんだ」
香織も亜香里ジャブの模倣を始めた。
「腕の動きだけじゃなくステップも一緒に。でないと相手の反撃があったとき動けない」
「ジャブはおそらく人によって癖や考え方が別れるかも」
真紀理はL字に構えて下から拳を伸ばすジャブを打った。
「リーチが長い人はフリッカージャブを打つし」
肘を中心に縦に拳を回した。
「縦に回転させながら打つ人もいるだろうし」
沙織は感心した。
「意外と深いね」
「深いんですよ。自分は空手からやってたからジャブもストレートも正拳突きになってて直すのに苦労しました」
香織は「武道はだいたい肩の力を抜いて下げるよね」
亜香里も同調した。
「うむ。剣も肩に力が入っていると腕だけで振ってしまい棒叩きになってしまう」
「でも肩で防御するってあまりないかもね」
「咄嗟に避けられない場合ですよ」
沙織は「でも女はなんかってとき肩すくめない?怖いときとかさ。お化け屋敷とかでも肩すくめるじゃん」
「え?今女子力の話になってる?」
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「思わな~い」
「クラスにさ。そういう子いない?なんかあるとすぐ肩すくめてキャ~って言って男子に心配してもらおうみたいなの」
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真紀理が言った。
「わたしもそれやったことあるですよ。でも誰もわたしの心配してくれなかったっスよ」
全員黙って目を逸らした。
「え?なんで黙るのみんな?ねえ!ネエさん!」
と、沙織の腕を子供みたいに両手で掴む。
「いや、あの。ノーコメントだから」
「だからなんで?」
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