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第二話

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おはようございます。
今日の天気は晴れ、授業初日にしてはとても素晴らしい天気に対し私の心は曇り空でございます。
お空が快晴じゃなかったら私の心は土砂降りの大雨だったことでしょう。



まずは皆様に報告ですが……。
ラーファ様は自宅から通われるらしいとの情報が昨日の夜入りました!やった!!
私はこの学園にある寮で暮らす予定ですので、夜に襲われる可能性が格段に減り、心からの安堵をしております。

そして今日はクラス発表の日。
しかし安心してください。
クラス分けは、嫡男の方々や殿下のお相手候補(要はいい感じのお嬢様方)の方々を集めたクラスと、その他3クラスで別れます。もちろん殿下も、候補の方々と同じクラスでございます。
ふふ、私はもちろん候補には上がっておりません。それを知った昨日、部屋に戻った瞬間にガッツポーズを決めました。

さて、クラス分けの表を確認……。



あれ?

どうしてかしら、殿下と同じクラスに見えるわ。最近視力さがりました?

目をこすってもう一度見てみるも、やはり殿下と同じクラスに名前が記入されていました。


なるほど、なるほど……。
思い出しました、そう言えばアニメでもそんな仕様でした。うんうん。


…………うそーー!

これが物語の強制力!!
なんて恐ろしいの!

なんの取り柄もない子爵家の娘が、スルッとこの豪華なメンバーに入りますか!答えは否!


「先生ーー!」

気がつくと職員室の扉をあけておりました。もちろん、理由を聞くためでございます。



「これはサーシャ嬢、幸運の女神、職員室になんの用事かな」
「申し訳ございませんわ、挨拶もなしに扉を…………幸運の女神?」
「ああ、そうだよ。もう確認はしたかな、特別Aクラスになっていただろう」
「え、ええ、その事について」
「毎年幸運にも選ばれた令嬢が1人だけあのクラスに配属になるんだよ。学年では幸運の女神と呼ばれる仕組みになっている」
「……まさか?」
「ああ!おめでとう!今回はサーシャ嬢がその、幸運の女神に選ばれたんだ!」
「い、今から変更とかは」
「もう張り出しているから無理さ!さぁ、恥ずかしがらずに戻りなさい!」

あ……ああ……。
幸運の女神は今、世界一不幸の女神ですわ、先生……。
恥ずかしいのではなく、命の危機なのですわよ、先生……。
しかし、私の言葉はまるで効果も無く、特別Aクラスに向かう事となりました。



カラカラと引き戸を開けると、目の前には私的にゴージャスという言葉が当てはまる方々が優雅に座っております。
座席は確認済み、窓際の一番後ろです。
私はなるべく気配を消して歩きました。

そう、私は忍者、この世界唯一の忍びとして生きるのです……。
席に座り、ふと斜め前を向くと、翡翠色の瞳と目が合いました。

「…………ら」


貴族仕様の微笑みを浮かべるラーファ様がこちらを見ております。
場所は真反対の位置だというのに、完全に私を見つめるその瞳に私はもう、忍びとして生きるという決意は秒で粉々に砕け散りました。
少しだけ頭を下げると視線を逸らします。
笑っている姿の後ろには確実に般若の顔が浮かんでいたことでしょう。怖すぎて体が震えました。

そこに、タイミングよく先生が入ってきました。救世主だと思って先生を見てみると確実に睨まれ、背筋が凍ります。
あれー私、あの先生に何かしてしまったかしら?

考えても特に思い当たる節はなく、私がこのクラスに相応しくないから睨まれてしまったのだと考えました。
その回答は、もしかしたらこのクラス全員に思われている可能性もあるのだなと気がつくと、本当に心が沈みます。

はぁ、既に帰りたいです、家は学校内にある寮だけれど……。


先生の挨拶が終わると、簡単な授業の説明がございました。なるほど、こちらのクラスはある程度教養があるという判断をされているのですね。将来のお妃になるならこの程度という事でしょうか。




って、いやいやいや、もしそうなのだとしたら、今までの幸運の女神大変だったんじゃないのではありませんか……。普通ここまで学習しませんわよ。
まさか、この学院の女性の偏差値が高いのって、幸運の女神になれるかもと必死に勉強してきた生徒のお陰なのでは。
私は、万が一物語の強制力によってお妃様になってしまった場合も考えて勉強を欠かさなったのですが……。それでもかなり無理を言ってお願いしておりましたのに。

元より前の世界でも勉強は好きだったので、子爵家の養子になり勉強ができたことは本当に嬉しい事で、特に問題はなく勉強漬けの毎日を過ごすことができておりました。
楽しかったな、子爵家で過ごした日々……。


チラリと先生を見ると、その瞬間にまたギロリと睨まれてしまいました。

「ひっ」

ごく最近まで過ごした家の思い出がモノクロに感じるほど、私は今後の生活に恐怖を感じます。

これからの毎日が平凡でありきたりで穏やかな日々になればいいなと、心を込めて念じることしか今の私にはできませんでした。

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