『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月

りょう。

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「それで、ローズマリーも籠絡されたのね」
「籠絡なんて物ではないわ……心酔よ、心酔。命令されたらなんでもできそう」

今日も仲の良い3人が集まり、お茶会を開いていた。
セスティーナに絆されたメレディと、心酔したローズマリーと、ナナリィである。
3人はとても楽しそうに話しをしていた。

「たまらないわ、まだ絵でしか拝見したことがないのに、心を鷲掴みにされて仕方がないの」
「はっ……外見は女神のようでも内面は悪魔なのにね」
「うふふ、でも、メレディだって満更じゃなさそうよ」
「そ、そんな事ないわよ!」

この3人の中で1番セスティーナに頼られているのはメレディである。
最初は明産物のリスト作成、そして、噂話の拡散、他、様々な事を対応させられている。
メレディが自らの気持ちで出たお茶会は、この3人で集まったもののみだ。


「だって、あの人、本当に褒めるのが上手いし、お土産も素敵だし、なにより一緒に居ると雰囲気で飲み込んでくるんだもの!気がついたら首を縦に振っているのよ!うぅ……ばかばか」
「完全に手の上で転がされているのね」
「良いなぁ!私はまだ手紙でしか指示されないんだよ!直接指示されてみたい」
「セスティーナ様は人を操る魔法でも使えるのね……」

メレディがセスティーナに協力的なのは、最初は打算的なものも大きかった。
こんな人々が集まる場所で注目される人と仲良くなれば家の事業の役に立つはずだと、快く引き受けだのだ。

しかし、自分より身分も何もかも上な彼女の猛アプローチの恐ろしいこと。
褒められ、甘やかされながら可愛くおねだりしてくる彼女の言葉はまるで洗脳であった。
媚薬でも入っているかと思われる吐息を吐きながら手をぎゅっと握られた時には、全て『はい』と答える脳が出来上がっていたのである。
今はそんな事されなくても『はい』と答える自分が悔しいほどだ。

「悔しいけど、あの人が殿下の婚約者で間違いないわ……。あまりにも全てが完璧だもの」
「く、ふふふふ」
「ナナリィ?どうしたの?」

セスティーナを思い出しながら悔しがるメレディの隣で、耐えきれないとばかりに笑いを堪えるナナリィを、ローズマリーが訝しがった。
流石にここで笑うような酷い人物ではなかったはずなのに。

「大丈夫よ。セスティーナ様は全く婚約者になるつもりはなさそうだったもの」
「そ、そんなのあまり関係ないじゃない」
「……関係あるのよ」
「…………ん?」

ナナリィの確信を持つ言い方にさらに不思議な気持ちになったローズマリーは、ナナリィをじっと見つめた。
気がついたナナリィがパチリとウインクをするとローズマリーは目を瞬かせる。

どうやら、またこの人はを考えているようだ。
しかもこれは、確実にセスティーナ様関係だろう。

(かわいそうに、良い事なんだろうけど、メレディも苦労するわぁ)

ローズマリーはふぅと息を吐くとケーキの乗ったお皿をメレディの前に差し出したのだった。
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