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貴族の女は美しい者が勝つ。
ただ座り、少しの可愛げさえ備えていれば、頭の良さなど必要ない。何も考えず、舞踏会に出て、男性に媚びていれば幸せになれる。
そう、育てられてきた。
最初から気に食わなかったのだ。
今まで私が美しさでは国随一と言われ、少し着飾り、大きなアクセサリーをつけるだけで『白百合の薔薇』と褒め称えら、ちやほやされたのに。
それが、セスティーナが来たことによって泡のように消えた。
いや、僅かな塵ほどの取り巻きは残っているがそれだけ。手を取り足を舐めるようだった男達はほぼ全てセスティーナの美貌にふわふわと向かってしまった。
しかし、何より悔しいのは、アンジェラ自らも心を奪われたことだった。
『美しい』という単語では表せられない。ただ言葉を飲むほどの感動が押し寄せ、心臓が高鳴った事を今でも思い出せる。
それほど、セスティーナを見た時の自分は、自らが国で1番美しくなければならない。という使命感から解き放たれ、ただ涙が出るほど感動していた。
それが、あまりにも屈辱的であった。
まさか自分が完全に感服するほど美しいと認めてしまった女が、この素晴らしきパーティを闊歩しているなど。
しかも、彼女はこの国唯一の公爵家という肩書きも持ち合わせているのだ。
どれだけ上回れば良いのかと苦言を申し立てたいと考えていた。
そんなある日のことだった。
その苦言を申し立てようとした相手が自ら訪ねてきたのだ。
「ご機嫌ようアンジェラ様」
「……お初にお目にかか……」
「あら!そんな堅苦しい挨拶は必要ありませんわ。わたくし、アンジェラ様に相談があって来ましたの。聞いてくださるかしら」
にこにこと笑うその姿は、着飾ったドレスでもないのに美しく、圧倒された。
会場で見た時は近寄りがたかったのに、何故今はこんなに親しみやすいのか。
こんなに美しい人がどうして自分と親しいように話しかけてくるのか、全く分からなかった。
「相談……とはなんでしょうか」
必死で絞り出した声は、震えていたに違いない。
そんな中、彼女はあっという間に距離を詰めて、私の手をふわりと握った。
「一緒にモデルをやりませんか」
「……モ、モデル?」
聞いたことがない単語を頭で復唱したが、やはり知らない言葉であった。
セスティーナは、目を瞬かせると、そうでした。と呟く。
「まだ、モデルの存在自体ありませんでしたわ。では言葉を変えましょう」
彼女は手を離し、3歩ほど下がるとくるりとその場で回り、目を輝かせてこう言った。
「一緒に、女性たちの憧れの存在になりましょう!」
ただ座り、少しの可愛げさえ備えていれば、頭の良さなど必要ない。何も考えず、舞踏会に出て、男性に媚びていれば幸せになれる。
そう、育てられてきた。
最初から気に食わなかったのだ。
今まで私が美しさでは国随一と言われ、少し着飾り、大きなアクセサリーをつけるだけで『白百合の薔薇』と褒め称えら、ちやほやされたのに。
それが、セスティーナが来たことによって泡のように消えた。
いや、僅かな塵ほどの取り巻きは残っているがそれだけ。手を取り足を舐めるようだった男達はほぼ全てセスティーナの美貌にふわふわと向かってしまった。
しかし、何より悔しいのは、アンジェラ自らも心を奪われたことだった。
『美しい』という単語では表せられない。ただ言葉を飲むほどの感動が押し寄せ、心臓が高鳴った事を今でも思い出せる。
それほど、セスティーナを見た時の自分は、自らが国で1番美しくなければならない。という使命感から解き放たれ、ただ涙が出るほど感動していた。
それが、あまりにも屈辱的であった。
まさか自分が完全に感服するほど美しいと認めてしまった女が、この素晴らしきパーティを闊歩しているなど。
しかも、彼女はこの国唯一の公爵家という肩書きも持ち合わせているのだ。
どれだけ上回れば良いのかと苦言を申し立てたいと考えていた。
そんなある日のことだった。
その苦言を申し立てようとした相手が自ら訪ねてきたのだ。
「ご機嫌ようアンジェラ様」
「……お初にお目にかか……」
「あら!そんな堅苦しい挨拶は必要ありませんわ。わたくし、アンジェラ様に相談があって来ましたの。聞いてくださるかしら」
にこにこと笑うその姿は、着飾ったドレスでもないのに美しく、圧倒された。
会場で見た時は近寄りがたかったのに、何故今はこんなに親しみやすいのか。
こんなに美しい人がどうして自分と親しいように話しかけてくるのか、全く分からなかった。
「相談……とはなんでしょうか」
必死で絞り出した声は、震えていたに違いない。
そんな中、彼女はあっという間に距離を詰めて、私の手をふわりと握った。
「一緒にモデルをやりませんか」
「……モ、モデル?」
聞いたことがない単語を頭で復唱したが、やはり知らない言葉であった。
セスティーナは、目を瞬かせると、そうでした。と呟く。
「まだ、モデルの存在自体ありませんでしたわ。では言葉を変えましょう」
彼女は手を離し、3歩ほど下がるとくるりとその場で回り、目を輝かせてこう言った。
「一緒に、女性たちの憧れの存在になりましょう!」
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