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「我が国の太陽である皇帝陛下にご挨拶申し上げます」
そんな挨拶が何回も聞こえてくる。
パーティーはすでに始まり隣国の王は会場の控えに座っていた。もうじき紹介のために呼ばれる事を聞き、流れ落ちる冷や汗をなんとか無視する。
歓迎されるか分からない状態で何も腰に付けずに出ていくなど、データリアンの国では自殺行為だ。
剣で刺されるか銃で頭を撃たれるか、この国ではまだ魔法が存在していて火炙りにされるかもしれない。
そんな想像が頭の中をぐるぐると巡り、データリアンの顔色は真っ青である。
「アルデント陛下そろそろ……どういたしました!?お顔の色が真っ青です、まさか体調が」
「い、いや大丈夫だ」
実は隣で控えていたヒルデンは、データリアンよりも青くさせた顔を震わせながら立ち上がった。
「へ、陛下ぁ!いきますぞぉ!」
その声に振り返った従者はヒルデンの顔色につい眉を顰め、がしりと肩を掴んだ。
「ヒルデン様!!そのお顔の色はもう、死ぬ直前です!休んでください」
「死!?や、やはり我々は殺され……」
「いいえ、お顔色が悪過ぎます。それでは参加者全員が心配してしまいます」
「うむ……ヒルデンの顔色は本当に悪いな。私1人で行こう」
「しかし、陛下をお一人にする訳にはいきません!」
「大丈夫だ、国から兵士たちを連れてきているからな」
迎えにきた従者は、隣国の陛下の顔を見ながら(こちらもパーティーに出るにはぎりぎりな顔色だ)と思い、だが口を閉じた。
この2人は何故か戦場に出て行く仲間を励ますような心持ちをしているようだし、邪魔をしてはいけないと思ったのだ。
「では、そろそろ」
「あ、ああ」
そうして隣国の王は重い腰を上げた。
シーンと静まった会場にデータリアンは飲み込まれそうだった。
そこには瞳をキラキラと輝かせた貴族たちが揃い、彼らは敵意のかけらもなくデータリアンを迎え入れたのである。
自分を大歓迎しているかのような、そんな雰囲気をひしひしと感じた。
データリアンの隣に並んだこの国の皇帝陛下は、心を溶かすような笑みを浮かべながら隣国の陛下を紹介する。
「皆待たせた。我が国の地を訪れてくれた隣国、タリアンの王、アルデント・データリアン陛下だ。我が国は長い間他国との交流の門を閉ざしていたが、タリアン国との交流から少しずつ交流を広げていきたいと思っている」
ニコニコと笑う陛下の顔を見つめていると、データリアンはハタと我に帰った。
ここまでに受けたもてなしが走馬灯の様に蘇ってくる。
ずっと不信感を抱きながら数日を過ごしていた。
全ての好意を裏があると決めつけて対応していたのである。
それは国の一番上に立つ者としては当たり前の対応だったはずだ、だが、懸命に準備を重ねたであろう数々のもてなしを無下にして良かった訳では無い。
「挨拶をいただけますかな」
「ああ……。タリアン国から参ったアルデント・データリアンだ。これからは我が国と交流を深め、より良い国を共に作りたい」
その言葉に、会場は拍手の海に包まれる。
今まで培ったその目にも、誰もが好意的で、敵意を向けてくる者は映らなかった。
(これは、最初に来たのが私でよかった)
データリアンはそう思った。
この素晴らしい国は永続して然るべきである。
決して他国に飲み込まれず、共に歩んでいく国として是非励んで欲しいものだ。
そして、本日まで対応してくれた者たちへ後で礼を述べようと考えていた。
彼らは閉鎖を解除して初めて迎え入れる他国の王に、必死に準備をしていたのだろうから。
歓談の時間になり、データリアンは隣に座る皇帝陛下に話しかける。
「そういえば、この国には女神の様に美しい女性が居ると聞いた。その話は真か?」
「ほほ、データリアン陛下も気になりますか」
「正直、何人もの美女と呼ばれる女性は見てきましたからな。さほど変わらないと思っているが……」
「なるほど、けれど今回ばかりは驚くはずですよ。彼女はまるで人間ではないと思うほど美しい。ああほらあそこに」
そんな挨拶が何回も聞こえてくる。
パーティーはすでに始まり隣国の王は会場の控えに座っていた。もうじき紹介のために呼ばれる事を聞き、流れ落ちる冷や汗をなんとか無視する。
歓迎されるか分からない状態で何も腰に付けずに出ていくなど、データリアンの国では自殺行為だ。
剣で刺されるか銃で頭を撃たれるか、この国ではまだ魔法が存在していて火炙りにされるかもしれない。
そんな想像が頭の中をぐるぐると巡り、データリアンの顔色は真っ青である。
「アルデント陛下そろそろ……どういたしました!?お顔の色が真っ青です、まさか体調が」
「い、いや大丈夫だ」
実は隣で控えていたヒルデンは、データリアンよりも青くさせた顔を震わせながら立ち上がった。
「へ、陛下ぁ!いきますぞぉ!」
その声に振り返った従者はヒルデンの顔色につい眉を顰め、がしりと肩を掴んだ。
「ヒルデン様!!そのお顔の色はもう、死ぬ直前です!休んでください」
「死!?や、やはり我々は殺され……」
「いいえ、お顔色が悪過ぎます。それでは参加者全員が心配してしまいます」
「うむ……ヒルデンの顔色は本当に悪いな。私1人で行こう」
「しかし、陛下をお一人にする訳にはいきません!」
「大丈夫だ、国から兵士たちを連れてきているからな」
迎えにきた従者は、隣国の陛下の顔を見ながら(こちらもパーティーに出るにはぎりぎりな顔色だ)と思い、だが口を閉じた。
この2人は何故か戦場に出て行く仲間を励ますような心持ちをしているようだし、邪魔をしてはいけないと思ったのだ。
「では、そろそろ」
「あ、ああ」
そうして隣国の王は重い腰を上げた。
シーンと静まった会場にデータリアンは飲み込まれそうだった。
そこには瞳をキラキラと輝かせた貴族たちが揃い、彼らは敵意のかけらもなくデータリアンを迎え入れたのである。
自分を大歓迎しているかのような、そんな雰囲気をひしひしと感じた。
データリアンの隣に並んだこの国の皇帝陛下は、心を溶かすような笑みを浮かべながら隣国の陛下を紹介する。
「皆待たせた。我が国の地を訪れてくれた隣国、タリアンの王、アルデント・データリアン陛下だ。我が国は長い間他国との交流の門を閉ざしていたが、タリアン国との交流から少しずつ交流を広げていきたいと思っている」
ニコニコと笑う陛下の顔を見つめていると、データリアンはハタと我に帰った。
ここまでに受けたもてなしが走馬灯の様に蘇ってくる。
ずっと不信感を抱きながら数日を過ごしていた。
全ての好意を裏があると決めつけて対応していたのである。
それは国の一番上に立つ者としては当たり前の対応だったはずだ、だが、懸命に準備を重ねたであろう数々のもてなしを無下にして良かった訳では無い。
「挨拶をいただけますかな」
「ああ……。タリアン国から参ったアルデント・データリアンだ。これからは我が国と交流を深め、より良い国を共に作りたい」
その言葉に、会場は拍手の海に包まれる。
今まで培ったその目にも、誰もが好意的で、敵意を向けてくる者は映らなかった。
(これは、最初に来たのが私でよかった)
データリアンはそう思った。
この素晴らしい国は永続して然るべきである。
決して他国に飲み込まれず、共に歩んでいく国として是非励んで欲しいものだ。
そして、本日まで対応してくれた者たちへ後で礼を述べようと考えていた。
彼らは閉鎖を解除して初めて迎え入れる他国の王に、必死に準備をしていたのだろうから。
歓談の時間になり、データリアンは隣に座る皇帝陛下に話しかける。
「そういえば、この国には女神の様に美しい女性が居ると聞いた。その話は真か?」
「ほほ、データリアン陛下も気になりますか」
「正直、何人もの美女と呼ばれる女性は見てきましたからな。さほど変わらないと思っているが……」
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