19 / 19
おじさん♡元気です
しおりを挟む
宮司♡
「…全くをもって、遅いわ!」
立春を迎えても尚、寒さのきつい日々が続いておる。
そんな折、純白の文書鷹が遠く中欧大陸より飛んで参った。
あれが中欧に嫁いでからひと月程が経ったが、初の飛来である。
高生め!
小まめに文を寄越せとあれ程に言い聞かせたに、ちっとも言う事を聞かぬ。
「あやつめ、相変わらず馬鹿…」
「ギィ!」
儂の悪態を言わせぬとばかりに、文書鷹が鋭い嘴を突き立ててきおった。
油断のならぬケダモノだ。
後少しで目潰しされる所であった。
それにしても、この鷹の気位の高い事といったら無い。
隙あらば儂の禿頭を突こうと、狙うてきよる。
全く!
飼い主に似て憎たらしい。
…特にあれを溺愛し過ぎる所が、ソックリだの。
この獰猛な鷹の脚には、薄桃色の美しい文が結んである。
待ちに待った高生からの文だ。
用心深く鷹の足から抜き取る。
開くと直ぐに、ミミズがのたくったような汚い字が目についた。
全く!せっかくの薄様が台無しだ。
…しかし、元気の良い字だ。
『ジジイ、元気か。俺も野朗供も達者だぞ。巡業の方もなんとか軌道に乗って、少し自信がついて来たみてぇ。ついヤリ過ぎてオチることもあるけれど、俺、この生業が好きだわ♡』
( ̄(工) ̄)
…左様か。
何でも過ぎるのはようないぞ。
ほどほどにせい。
しかし、お前が間抜けなまんまでも大丈夫であろう。
あれは今、抜かりない御仁らに取り巻かれておる。
その誰も彼もが高生にベタ惚れで、命懸けてと必死なのだ。
全く、気が知れん。
儂には分からぬ事だった。
鬼人で無くとも、正斎子の色には気をとられてしまうものだ。
だが、それでは守手は務まらぬ。
これは、儂の能力であった。
そう。
あの彼の国の鬼人が持ち得る、常人ならざる力がこの儂にも備わっておるのだった。
秘中の秘であるが、我が一族は鬼気の血が濃い。
実の所、誰であろうと人間ならその血に多少は鬼の気を帯びているものだ。
だからこそ人が正斎子を強く求めるように、常人も否応なく求めてしまう。
それが、よりによって!
儂には正斎子に色気を感じぬ、という能力があるのだった。
…何というか、間抜けな能力だと思う。
一族では代々にこの力が伝わっており、特にその血が濃い者が守手頭に選ばれる。
とはいえ、能力と言えるほどのものでもない。
ただ正斎子に淫心をもよおさぬ、だけの事だ。
だが、だからこそ許婚殿達の信を得る事ができたのである。
彼らは儂以外の男をあれの側に置くことを嫌った。
なにせ儂には、高生の良さが分からぬ。
顔や身体がいかに美しくても、儂にはあれは可愛い馬鹿にしか思えぬのだよ。
だから厄介事にはならんのだ。
故にむさ苦しく小煩いジジイだが、世話役には適任だと思うたのであろう。
何しろ、あれを裸に剥いて身体の検分をしたのはこの儂である。
高生の身体はそれは美しく、素晴らしいものだった。
だが、儂には色気も素っ気も無い。
これがしかし、実に不思議だった!
高生の女性の秘所が、未通である事は誰が見ても一目瞭然のものだった。
何せ、例の割れ目が薄皮できちんと覆われておったのだから。
だが、陰茎や尻がおぼこい事は何とも説明し辛い様な、感覚で分かった事だった。
おそらく、これも例の能力であろう。
…何とも、くだらぬ能力だ。
とにかく儂は、特別な男なのだった。
普通ではこうはいかぬ。
正斎子は鬼人の妻たる器だが、常人をも魅了する強い誘引の芳を持つのだった。
それは本人の意思の及ばぬ人体の神秘だ。
双方、抗うことは出来ぬ。
高生はいつ何処でどんな輩に懸想され、乱暴されるやもしれない。
この常人の国に居る限りは、隠れ続けるしか生きようがないのだ。
やはり…
器は相応しい場所に据えられ、正しく有る事が望ましい。
高生にとってそれは、鬼人の世界に他ならない。
彼の国では権力や暴力にものを言わせて、傍若無人に高生が支配される事は無い。
彼らは秩序と礼節をもって、高生を恩恵として崇め讃える。
そして、綺麗に分配するのだ。
儂にはどっちもどっち、に思える。
双方、ろくでもない!
だから、良いとこ取りを試みた。
常人の国で、常人に太刀打ち出来ぬ鬼人と高生を番わせる。
さすれば常人から守ってやれる。
鬼人には、常人の干渉の元で分配とやらをしてもらう。
さすれば高生が小間切れにされぬよう、儂が気をつけてやれよう。
などとは、まあ…
全く思う通りには行かなんだ。
…だが、良い。
高生には鬼人の冷淡さが気にならぬらしい。
馬鹿は気楽だ!
そんなふうに…
徒然と思い耽りつつ、滑らかな紙の手触りを愉しんでいる。
ふと、文が重なっている事に気づいた。
二枚目の文には、どう見ても忘れていたのを書き殴ったと思しき走り書きがある。
『あと、やや子が出来たぞ♡』
Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
よりによって!
そんな大事を、ウッカリで尻っぺたに書き足すとは何事か!
相も変わらず、馬鹿もんが!
…、、、、ふん、、ッ、、、、、
\\\\٩( 'ω' )و ////
…まあ、良い。
高生よ、お前は幸せそうだの。
それは守手頭である、儂の至福であるのだぞ。
どうか、大事にせい。
( ̄(工) ̄)
「…全くをもって、遅いわ!」
立春を迎えても尚、寒さのきつい日々が続いておる。
そんな折、純白の文書鷹が遠く中欧大陸より飛んで参った。
あれが中欧に嫁いでからひと月程が経ったが、初の飛来である。
高生め!
小まめに文を寄越せとあれ程に言い聞かせたに、ちっとも言う事を聞かぬ。
「あやつめ、相変わらず馬鹿…」
「ギィ!」
儂の悪態を言わせぬとばかりに、文書鷹が鋭い嘴を突き立ててきおった。
油断のならぬケダモノだ。
後少しで目潰しされる所であった。
それにしても、この鷹の気位の高い事といったら無い。
隙あらば儂の禿頭を突こうと、狙うてきよる。
全く!
飼い主に似て憎たらしい。
…特にあれを溺愛し過ぎる所が、ソックリだの。
この獰猛な鷹の脚には、薄桃色の美しい文が結んである。
待ちに待った高生からの文だ。
用心深く鷹の足から抜き取る。
開くと直ぐに、ミミズがのたくったような汚い字が目についた。
全く!せっかくの薄様が台無しだ。
…しかし、元気の良い字だ。
『ジジイ、元気か。俺も野朗供も達者だぞ。巡業の方もなんとか軌道に乗って、少し自信がついて来たみてぇ。ついヤリ過ぎてオチることもあるけれど、俺、この生業が好きだわ♡』
( ̄(工) ̄)
…左様か。
何でも過ぎるのはようないぞ。
ほどほどにせい。
しかし、お前が間抜けなまんまでも大丈夫であろう。
あれは今、抜かりない御仁らに取り巻かれておる。
その誰も彼もが高生にベタ惚れで、命懸けてと必死なのだ。
全く、気が知れん。
儂には分からぬ事だった。
鬼人で無くとも、正斎子の色には気をとられてしまうものだ。
だが、それでは守手は務まらぬ。
これは、儂の能力であった。
そう。
あの彼の国の鬼人が持ち得る、常人ならざる力がこの儂にも備わっておるのだった。
秘中の秘であるが、我が一族は鬼気の血が濃い。
実の所、誰であろうと人間ならその血に多少は鬼の気を帯びているものだ。
だからこそ人が正斎子を強く求めるように、常人も否応なく求めてしまう。
それが、よりによって!
儂には正斎子に色気を感じぬ、という能力があるのだった。
…何というか、間抜けな能力だと思う。
一族では代々にこの力が伝わっており、特にその血が濃い者が守手頭に選ばれる。
とはいえ、能力と言えるほどのものでもない。
ただ正斎子に淫心をもよおさぬ、だけの事だ。
だが、だからこそ許婚殿達の信を得る事ができたのである。
彼らは儂以外の男をあれの側に置くことを嫌った。
なにせ儂には、高生の良さが分からぬ。
顔や身体がいかに美しくても、儂にはあれは可愛い馬鹿にしか思えぬのだよ。
だから厄介事にはならんのだ。
故にむさ苦しく小煩いジジイだが、世話役には適任だと思うたのであろう。
何しろ、あれを裸に剥いて身体の検分をしたのはこの儂である。
高生の身体はそれは美しく、素晴らしいものだった。
だが、儂には色気も素っ気も無い。
これがしかし、実に不思議だった!
高生の女性の秘所が、未通である事は誰が見ても一目瞭然のものだった。
何せ、例の割れ目が薄皮できちんと覆われておったのだから。
だが、陰茎や尻がおぼこい事は何とも説明し辛い様な、感覚で分かった事だった。
おそらく、これも例の能力であろう。
…何とも、くだらぬ能力だ。
とにかく儂は、特別な男なのだった。
普通ではこうはいかぬ。
正斎子は鬼人の妻たる器だが、常人をも魅了する強い誘引の芳を持つのだった。
それは本人の意思の及ばぬ人体の神秘だ。
双方、抗うことは出来ぬ。
高生はいつ何処でどんな輩に懸想され、乱暴されるやもしれない。
この常人の国に居る限りは、隠れ続けるしか生きようがないのだ。
やはり…
器は相応しい場所に据えられ、正しく有る事が望ましい。
高生にとってそれは、鬼人の世界に他ならない。
彼の国では権力や暴力にものを言わせて、傍若無人に高生が支配される事は無い。
彼らは秩序と礼節をもって、高生を恩恵として崇め讃える。
そして、綺麗に分配するのだ。
儂にはどっちもどっち、に思える。
双方、ろくでもない!
だから、良いとこ取りを試みた。
常人の国で、常人に太刀打ち出来ぬ鬼人と高生を番わせる。
さすれば常人から守ってやれる。
鬼人には、常人の干渉の元で分配とやらをしてもらう。
さすれば高生が小間切れにされぬよう、儂が気をつけてやれよう。
などとは、まあ…
全く思う通りには行かなんだ。
…だが、良い。
高生には鬼人の冷淡さが気にならぬらしい。
馬鹿は気楽だ!
そんなふうに…
徒然と思い耽りつつ、滑らかな紙の手触りを愉しんでいる。
ふと、文が重なっている事に気づいた。
二枚目の文には、どう見ても忘れていたのを書き殴ったと思しき走り書きがある。
『あと、やや子が出来たぞ♡』
Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
よりによって!
そんな大事を、ウッカリで尻っぺたに書き足すとは何事か!
相も変わらず、馬鹿もんが!
…、、、、ふん、、ッ、、、、、
\\\\٩( 'ω' )و ////
…まあ、良い。
高生よ、お前は幸せそうだの。
それは守手頭である、儂の至福であるのだぞ。
どうか、大事にせい。
( ̄(工) ̄)
0
お気に入りに追加
23
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
山本さんのお兄さん〜同級生女子の兄にレ×プされ気に入られてしまうDCの話〜
ルシーアンナ
BL
同級生女子の兄にレイプされ、気に入られてしまう男子中学生の話。
高校生×中学生。
1年ほど前に別名義で書いたのを手直ししたものです。
アプリで知り合ったイケおじと××する話 完結
市井安希
BL
リア充陽キャのおじさん好き高校生ゆうくんと淫語大好き痛いのは嫌いないじめられ願望持ちおじさん秋雄さんがマッチングアプリで出会いエッチしていくだけのお話。
SMプレイ、淫語攻め、おもらしなど。
男前生徒会長は非処女になりたい。
瀬野みなみ
BL
王道全寮制男子校に、季節外れの転校生がやってきた。
俺様で男前な生徒会長は、周りの生徒会役員にボイコットされ、精神的にも体力的にもボロボロ……
そんな彼には、好きな人がいて……
R18/平凡攻め/結腸責め/メスイキ
※がついてる話はエロシーン含みます。
自サイト→http://nanos.jp/color04/
twitter→@seno_1998(裏話や細かい設定をボソボソ)
表紙は ソラ様(https://www.pixiv.net/member.php?id=454210)よりお借りしました。
えっちな美形男子〇校生が出会い系ではじめてあった男の人に疑似孕ませっくすされて雌墜ちしてしまう回
朝井染両
BL
タイトルのままです。
男子高校生(16)が欲望のまま大学生と偽り、出会い系に登録してそのまま疑似孕ませっくるする話です。
続き御座います。
『ぞくぞく!えっち祭り』という短編集の二番目に載せてありますので、よろしければそちらもどうぞ。
本作はガバガバスター制度をとっております。別作品と同じ名前の登場人物がおりますが、別人としてお楽しみ下さい。
前回は様々な人に読んで頂けて驚きました。稚拙な文ではありますが、感想、次のシチュのリクエストなど頂けると嬉しいです。
逢瀬はシャワールームで
イセヤ レキ
BL
高飛び込み選手の湊(みなと)がシャワーを浴びていると、見たことのない男(駿琉・かける)がその個室に押し入ってくる。
シャワールームでエロい事をされ、主人公がその男にあっさり快楽堕ちさせられるお話。
高校生のBLです。
イケメン競泳選手×女顔高飛込選手(ノンケ)
攻めによるフェラ描写あり、注意。
おっさん家政夫は自警団独身寮で溺愛される
月歌(ツキウタ)
BL
妻に浮気された上、離婚宣告されたおっさんの話。ショックか何かで、異世界に転移してた。異世界の自警団で、家政夫を始めたおっさんが、色々溺愛される話。
☆表紙絵
AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
乙女ゲームの純粋王子様がクズ竿役男に堕ちるまで
嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
タイトル通りのアホエロです。
乙女ゲーム攻略対象な無垢王子様×ド変態のバリネコ淫乱おっさん。
純粋培養なノンケの王子様が、うっかりドクズの変態おじさんに目をつけられて、おじさん好みのドSクズ野郎に調教されてっちゃう感じの話。始終スケベしかしていません。
無垢なノンケがクズいバリタチに変貌していくシチュが好きな人、あるいはノンケを陥落させる淫乱おっさん受けが好きな人向け。
性癖お品書き
・攻めのオス堕ち、快楽堕ち、クズ化
・ノンケの快楽堕ち、逆NTR
・淫乱受け、クズ受け
・淫語、♡喘ぎ、雄喘ぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる