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おじさん♡初めます*

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ヴィクトール♡

甘くて、熱い…

視作生の唇は、想像と全く違っていた。

私はやはり、彼を人形の様に捉えてしまう。
それ故に、艶のある陶器の様に感じていたその唇は…

実際は、茱萸の様だった。
今にも弾けてしまいそうな、張りのある生き生きとした舌触りがする。

思わず吸い上げ、軽く歯を立てる。
すると、彼に笑われた。
「…ッむ、ん、、ふふっ、…食べられちゃいそうだ♡」

「…すまない。あまりにも素晴らしくて、、夢中になって、しまった、、」
思うままを打ち明けたらば、彼は喜んでくれた。

「うん♡うん♡じゃ、いっぱい、召し上がれ?」
艶然と笑みながら了承し、自ら唇を寄せてくれる。

誘われるままに舌で辿る彼の口内は、何処もかしこも柔らかで…
俺の舌の熱さの為に、蕩けてしまいそうで怖いくらいだ。

「ん♡ん、ん、…ヴィクとぉ、、あ、ぁんむ♡」
とにかく、とても美味い口づけである。

視作生が息苦しさに喘ぐのに、止す事が出来ない。
真実、夢中だった。

実の所…
俺は初めて『接吻』を体験しているのだった。

成人すると共に結婚した妻とは、定期的に性交を行ってきた。
しかしその際には、彼女の苦痛を軽減する事こそが最優先であった。

速やかに事をなす事が重要で、前戯などは行わない。
妻が必要な準備を整えた頃に俺は寝室を訪い、義務を果たして来たのだ。

そも、俺はセックスに興味が無かった
従ってそれに纏わる事ごとに於いても、関心が無かった。
故に、妻に口付ける事も無かった。 

俺はそうしたいと思う事が無かったし、妻にしても同じであったろう。

俺と彼女には、親愛の情がある。
しかし恋愛のそれでは無かったと、今は分かる。

彼女は幼馴染であり、友人であった。
いや…
幼馴染であり友人であった頃は、彼だった。

妻は優秀なる科学者であり、医者でもあり…
自らが考案した性転換の秘技でもって、自らを女性化したのだ。

妻は、今は失われし国の若君であった。
しかしルーランスに亡命した事で、彼は決断した。

『ヴィクトールよ。私は此の国の助っ人として、使われるのは御免だ!』
友は大国の維持の為に、使役される事を嫌った。
そして性別を変え、俺の妻の座に就いたのだった。

奇抜な馴れ初めではあるが、妻と俺は良好な関係を築いてきた。
実に馬の合う相手なのだ。

とは言え俺は、彼女との性交に何の欲求も抱かぬ。
それどころか面倒事だとすら、感じていた。

これも、妻にしても同じくだろう。

彼女は、女性機能が充分ではない。
妻は性交事に毎回かなりの苦痛を感じている様だし、時には俺も痛みを堪えねばならなかった。

だから、こんなふうに…
妻と睦み合った事などない。

よって初めての『前戯』の狂おしい快感に、俺はなす術もなく囚われの身となってしまった!

俺は今、酷い中毒に陥っている。

「、、ッ、ヴィクトール!、、ちょ、ちょっと、待って、、」
口づけのほんの合間に彼が漏らした抗議にも、応える気にはなれない。

だが視作生はたまらずと俺の髪を掴み、クイクイと引いた。
彼にされるがまま、身を起こす。

「ちゅう、も、イイけど…」
『ちゅう』…
それは、何ぞ?( ˙-˙ )

「ね、ねぇ。僕らまだ、服も着たまんまだよ?♡」
ああ、本当だね。
「不粋な事ですまない」

「…ねぇ…、くちびる、だけじゃなくて…カラダ中に、…ちゅう、して?」
ふむ。( ˙-˙ )

『ちゅう』とは…
君の口唇に、更にはその全身に、唇を這わせる、という事だね。

それは、何とも素敵な誘ないだ。

「では、視作生。君の全てを見せて下さい」
それで『ちゅう』の標的を定めようか。

「ん♡」

視作生は胸元の蝶々結びを引いて、壊した。

\\\٩(๑`^´๑)۶////
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