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おじさん♡推されます

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マックス♡

淑女方は絶対に諦め無い。

彼女らの主の御為に!
何事が有ろうと絶える事なく、動いておったのだ。

「…、姉上です、ね?、、あの、我が姉が…またもや、謀りましたか!」
アレクサンドールが俺の心の叫びを聞きつけ、驚愕した。

セスは怒りを漲らせる。
「一体全体、彼の方々はどういうつもりだ!」

いや、決まっているだろう。

視作生とルーランス王を娶せたいのだ。

婚約は未だ成っておらぬ。
形式上も、事実上も、彼らは番いでは無い。

…既成事実が無かった事には、心底で驚いた。

流石は『西欧の良識』と称されし貴公子だ!
金剛石の如き硬い御意志をお持ちである。

俺には絶対に出来ぬ。
あの妻の、あの潤おしい肢体を前に耐える事など、絶対にしない。

彼は少し、変わっておられるな( ˙-˙ )
淑女方も度肝を抜かれたのでは有るまいか。

まさかの結末に、流石の貴婦人方も焦ったろう。
…良い気味だ。

だが、彼女達は折れ無い。

婚約は成らずとも『花祭り』は終わってはおらぬ。
まだ、機会は残っている。

故にこの機を逃してはなるまいと、お得意の策略を廻らせて参られたのだ。

かなり、強引に!

しかし、女性方を全否定する事は出来ぬ。

…そうなのだ。
男手の足りぬ事を俺達はつい今し方、痛感していたのだから。

俺達の妻は、破格の絶倫なり\\\٩(๑`^´๑)۶////

その妻はこの予期せぬ事態に呆然とし、戸惑っていた。
アレックスにピタリと寄り添い、彼の上着をしっかと握りしめている。

彼はかなり驚いているが、決して怯えてはおらぬ。
その事がこの場の雰囲気を険悪にせず、対話に導いていた。

とはいえやはり判断の難しい状況で有り、容易には如何ともしがたい。
すると相手方が、申し出をなさった。

「…話しがしたい」

「何、ですと?」
俺はつい気色ばんだ。 
この期に及んで、まだ何かしら交渉をなさるのか。

「申し訳ござらぬ。話す事は無い」
セスはにべも無い。

「…?、、何故だ」
何故も無い!

ルーランス王と我ら夫君の間で、話す事は無い。
我々は既にこの方に、意見を述べておる。

「…王よ、いけません」
アレックスも愛しき人について『交渉』しようとなさる兄君を責めた。

これ以上の取りなしはせぬ。
それは妻御本人を差し置いて、僭越で有ろう。

「セバスティアン、何故だ」
彼は少々苛立って、声音を強めなさった。

「そも、君が申したのだろう!」
…なんと、話が見えぬ。

相棒が貴方に、何を申したと仰るか。
「彼と…、視作生と。話すべきだ、と」

ヴィクトールが、妻を真名で呼んだ。

なんと!
この方は、妻と話しがしたいとお言いなのか。

彼は『女王』について非常に『常識的』な考えをお持ちだと、我々は認知していたのだが…

驚いた。
どの様な心境の変化であろう。

だがそれならば、話は別だ。

「…我らが妻と、話しを?」
セスは驚きつつ、それでも拒否はしなかった。
彼もこの展開は悪くないと感じているらしい。

だが、それは俺達が決める事では無いのだ。
対話を求められた妻の意向が、何よりも大事である。

そしてその、肝心の彼はというと…
視作生は、大きな瞳を更に見開きパチパチと瞬かせている。

これは彼の癖の一つで、何かしら意外だと驚きながらも、興味を引かれるとその様になさる。
これは往々にして、好意的な心情の場合に見られた。

要するに一連の流れを受けての彼の思う所は…

悪くはない、らしい。

「視作生、君はどうなさりたい」
セスが妻に問うた。

「…え、ぇと。…、と、言われても」
彼は夫の顔を順に見回す。

「逆に、君達はどう思うんだ?」
視作生は、迷っている。
しかしその表情は、不安に曇ってはいなかった。

「私は、話すべきだと思う」
セバスティアンはキッパリと言い切った。

「同じく、だ」
俺はヴィクトールを、認める。

それは以前からそうであったが、今回の彼のとった行動で、一層に深まった。

この方は実に誠実な紳士であり、至高の御身分に驕るところも無い。
全くもって、心根の清々とされた御仁である!

この人は、妻に相応しい。

「はい!是非とも、そうなさって欲しいです!」
弟は、喜び勇んで返事を返した。

その目には、光るものがある。
然もありなん…

彼にとっては悲願であったろう。

三人の夫達から揃いも揃っての推薦を受けた妻は、不思議そうに小首を傾げた。

視作生は御自身の状況が今一つ、理解出来ていないのかもしれない。

「…そ、そっか。そう、なんだね」
とは言え、君は心が広い。

「うん。じゃ、分かったよ!」
その上、非常に寛容な人である。

「それじゃあ、仕切り直そう。色々とアレだけど…、まぁ、一旦、置いておこう。…いや、いっそ水に流そうか!」
そして何より切り替えが早く、柔軟な人だ。

視作生には、このルーランス公国が貴公子に思う所が様々にあった筈だ。

しかし…
君は許してしまうのだな。

俺には信じがたい様な身の振り方だ。
妻のお人好し加減は俺の理解の範疇を超えている。

だが、君がそんなふうに気前よく、親愛の情を与えられる人で良かった。

結果、新夫に欲しい人材を無下にせずとも済んだのだから。

「では改めまして、視作生です。よろしくね、ルーランス♡」

…。
…。
…。
…。

…酷いな。( ˙-˙ )

これは、、、早計であった!

「君は…、、本当に水に流したのか?」
セスが軟化しかけた気持ちを、引き締める。

「へ?…なんで?、、いや、もちろん。キレイ、さっぱり!流したよ?」
妻は言い募るが…

無理をしているのだろう。

「君達が薦めてくれたんだから、間違いない。僕はそう信じてるから♡」
なんと!
我ら夫君が為に、意に沿わぬ会談に臨もうとなさっているのか。

「…君の気持ちをくめず、すまなんだ」
「…無理をせずともよい」
「視作生!やはり、…怒っているのですね」
「余は君を、どこまでも深く傷つけてしまったのだな…」

四人の男達は顔を見合わせる。
そして無言で示し合わせた。

この会談は、無かった事にしよう。
それが良かろう…

「…視作生、君にお会いできて…それだけで、、本当に、良かった」
ヴィクトールは切な気に、別れの言葉を紡がれる。

本当はもっと、伝えたい言葉が…
伝えたいお気持ちが、お有りだろう。

しかし彼はこれ以上、視作生に嫌われる事を恐れておいでだ。
妻は相当に根深き怒り抱いておるのだから!

これは、この怒り様は…
淑女方が御怒り召された時のなさり様に、酷似している。

回りくどく優し気な仕打ちで責めるのが、貴婦人のお好みのやり口なのだ。

『お友達』はやはり、選ぶべきだったぞ!
可愛い視作生が彼女達に影響され、変わってしまった。

我々、夫君も戦々恐々である。

とはいえ只今の所、攻撃対象は自分達では無い。
完膚なきまでに打ち据えられるのは…

今回は、ヴィクトールでだった。
そして明日は我が身、である。

「ルーランス?良かった、って何?」
…手厳しいな。( ˙-˙ )

妻は最後まで、攻撃の手を緩めぬ。
御自分に恋する男であろうと、容赦は無い。

ヴィクトールは瞬間、目を見開いて眉をピクリと顰める。
…それは傷ついた表情に見えた。

しかし、一瞬であった。

「さようなら、視作生」
せめて王としての見栄を張り通そうと、堪えておられるのだ。

ヴィクトールは、妻を愛している。

…これは、なんと悲哀に満ちた巡り合わせであった事か。
この方が家族の一員となるかも知れなかったと思うと、実に惜しい!

もしも、出会い方が違っていたならば、違う未来が…

「ちょっと待ったぁ!」
視作生は突拍子もなく、叫んだ。
更に彼はむずがって、アレックスの胸から飛び出す。

「話しが、見えない!」
その上なんと、視作生は自らヴィクトールの側に駆け寄って声を掛けた。

「そんな顔しないでくれ、ルーランス」
視作生はなんの屈託もなく、ヴィクトールの手を取り握りしめてしまった。

「聞いて、ルーランス!僕はね、執念深い男じゃ無い。もう君の事、怒ってなんか無いよ♡」
ヴィクトールの目を覗きこみながら、視作生は優しく問いかけさえする。

「僕も、君と…ルーランスと、話しがしたい♡」
視作生は喜びさえも露わに、確かにヴィクトールを受け入れた。

「だからそんな哀しい顔しないで?ルーランス。もう気にしちゃダメだよ♡」
蕩けるような笑みを見せ、ヴィクトールを励ます視作生はいじらしい位である。

と、言うことは、つまるところ…

…我々の、勘違いだったのか!

秘めたる怒りに抗議して、彼を彼の所属する国名で呼んでいるのでは無いらしい。

何という、哀しき事実だろう。

妻は未だ…

彼のその名すら、まともに知らぬ!

( ˙-˙ ) ( ˙-˙ ) ( ˙-˙ )
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