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おじさん♡実家に帰ります②

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栄ちゃん♡

お騒がせな元亭主に呼び出された。

あの野朗、心配させやがって!
と、息巻いて駆けつけたら…

とんでもない可愛い子ちゃんがいた。

とてつもなく、綺麗な子だ。
気持ち悪いくらいに、美しい子よ。

何これ、すごい。
これで私と同じ生き物なのかしら。 

いや、ちょっと待って!
これは本当なの?

新手の3D?
まぼろし?

あまりにも現実味のない美々しさが、信じられない。

目をこすったりすがめたり、角度を変えて見てみた。
消えないし、歪まないし、透けもしない。 

しかも、泣いている。
「…栄ちゃん…」

この子、私の名前を言ったわ。
「栄ちゃん、…ひ、ひっく、…うっ」

まぁ、どうしましょう。
どうしたのかしら…
あら、泣き顔も可愛いわ。

…いや、みぃくんはどこよ。

っていうか、この子は誰?
みぃくんが居るって聞いてきたんだけど。

まあ、多分聞いた話と重ね合わせると、この子は彼の嫁ね。
多分そうでしょう。

…だとしたら!
どんな奇跡が?

あの愛嬌しかない、もっさい薄毛のおじさんに!
一体全体、どんな驚愕の奇跡が起きたのよ!

やるじゃない!みぃくん!

「良かった来てくれて。つい家出しちゃったけど…もう、どうしていいか…」
家出?

逆玉婚なのよね?
じゃ、出た家って…
それってそもそもあなたの家よね?

…あの野朗!

何があったか知らないけど、みぃくんの癖に生意気じゃない!

冴えないおじさんの分際で何を勘違いしてんだか。
こんなめちゃくちゃに可愛い子を、こんなしゃくりあげるまで泣かすとは、許せん。

「ちょっと!みぃくん!どこに隠れてるの。逃げたって無駄よ」
あの人って肝心な時にやらかすんだから。
トイレでも行ってるのね。

…逃げ込んだのかも。
あのおじさんめ、絶対にグーパンで小突き回してやる。

…だから、可愛い子ちゃん、泣かないで。
可愛いお顔が台無しよ。

「何で泣かせたのよ、みぃくんのくせに」
居ても立っても居られなくて、可愛い子の手をとった。

…まあ、綺麗な手だこと。
あらぁ、この子ったら近くで見ても綺麗さに取りこぼしがない。

もはや凄みすら感じるわ!
生活感もないわね。

何食べたらこんな仕上がりになるの。
何もかも整いすぎてて鳥肌が立つ。

赤ちゃんのお尻みたいなほっぺして。
大きいお目々が涙で潤んでる。
なんだかこぼれて落ちてきそうで、怖いくらいよ。

あら、いやだ。
ついジロジロと観察しちゃったわ。

ところで、みぃくんは?
可愛い子ちゃんの方も怪訝な顔で、何故だか私の事をじっと見つめてくる。

…様子がおかしい。
やっぱり最新のCGとかAIだとかいう…
アレかしら?

何かしらの最先端の技術なんだわ、きっと!

「…栄ちゃん。僕だよ」

「は?」
「僕だよ、視作生です。」

?????
…え?
それってみぃくんの、名前よね。

…なるほど。

「私、なんかどこかで、観察されてるの?やぁだ!テレビに出ちゃうならそれとなく言ってよ。今日はかなり手抜きなんだから!」
それにしても、元夫が元妻をモニタリングって斬新ね。

「栄ちゃん、栄ちゃん!…聞いて。だから、本当に僕なんだよ!」
ずいぶん食い下がるじゃない。

「またまたぁ、ひつこいよ!みぃくんはどこよ。ねぇ、コレはいつから仕掛けてるの?」
ずいぶんと長いスパンで観察したもんね。

「…ダメだ、こりゃ」
可愛い子ちゃんがついに降参して、部屋から出て行った。

そして撮影隊と戻ってくるのね。

それにしても綺麗で可愛い子だった。
新人の女優さんかしらね。
イイね、あれは売れるわよ!

「失礼いたします」
やっぱり、戻ってきたわ。

…あら。
めちゃくちゃカッチリしてる、お役人みたいな人が入ってきた。
可愛い子ちゃんも一緒ね。

でも、みぃくんはいない。

訝しんでいると、お役人風のテレビマンが頭を下げて言った。

「私は外務省職員の大山田と申します」
え、ディレクターじゃなくて?

「今井様がお困りとの事で私の方からご説明させて頂きます。今回は突然の事で驚かれておいででしょう。無理もありません。あまり一般的に知られていない向きの特殊な案件ですので…」

私って、昔から落ち着きが無くて、はやとちりで、人の話しを最後まで聞かない、悪い癖がある。

でも、今回ばかりはちゃんと聞きました。

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!」
「え、栄ちゃん!声が、おっきいってば」

この、美しい生き物が
あの、おじさんだって言うの。

何なのよそれ!
あり得ない!

えぇえええぇ♡

面白くなってきたじゃない♡

\\\٩(๑`^´๑)۶////
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