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おじさん♡すれ違います②
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セス♡
妻が妊娠を悲しんでいる。
私は想像を絶したリリィの反応に、生まれて初めて心を破られた。
妊娠を知った妻は酷く取り乱して狼狽し、悲しんだ。
そして激しく気落ちした君は病を得たかのように、床に臥している。
私達は何も出来なかった。
ただ君の眠る寝室の側に控えるばかりだ。
妻は見るも耐えないような憔悴ぶりだった。
見守ることすら、耐え難い程に…
相棒と向かい合い、ソファに腰掛けていると彼の堅い表情が目に入る。
私には解った。
静かなる顔のままでマクシミリアンは激怒している。
しかし、私にはなだめる術がない。
想い沈黙がこの場を支配している。
私達にはリリィが理解出来ない。
愛し合っていると思っていた。
君に愛されていると感じていた。
あれは嘘だったのか。
「…セバスティアン、このままではリリィにも胎の子らにも良く無い」
マクシミリアンが冷静な口調で話を切り出した。
彼の言う通りだった。
自問自答に終始して、現実問題をないがしろにしていた自分に腹が立つ。
妻はもう丸一日を寝たきりだ。
精食や食事はおろか、水分さえまともに摂っていない。
「このまま放っておいても、そう簡単には気を取り直す事は無いだろう」
同感だ。
妻の気鬱は我々の理解の範疇を超えていて、非常に手強いものだ。
心を動かすのは難しい。
…しかし、身体はどうだろう。
妻は純然たるΩだ。
その心を今は悲しみが満たしている。
しかしその身体は飢えているはずだ。
今となっては相当に。
「…仕様がない」
他に手立ては無いのだ。
私は決意した。
「リリィもいずれわかってくれるさ。情の深い人だから」
相棒はわざわざ示し合わせなくとも理解する。
私達は共に立ち上がった。
二人で妻の寝台に上がるために。
\\\٩(๑`^´๑)۶////
妻が妊娠を悲しんでいる。
私は想像を絶したリリィの反応に、生まれて初めて心を破られた。
妊娠を知った妻は酷く取り乱して狼狽し、悲しんだ。
そして激しく気落ちした君は病を得たかのように、床に臥している。
私達は何も出来なかった。
ただ君の眠る寝室の側に控えるばかりだ。
妻は見るも耐えないような憔悴ぶりだった。
見守ることすら、耐え難い程に…
相棒と向かい合い、ソファに腰掛けていると彼の堅い表情が目に入る。
私には解った。
静かなる顔のままでマクシミリアンは激怒している。
しかし、私にはなだめる術がない。
想い沈黙がこの場を支配している。
私達にはリリィが理解出来ない。
愛し合っていると思っていた。
君に愛されていると感じていた。
あれは嘘だったのか。
「…セバスティアン、このままではリリィにも胎の子らにも良く無い」
マクシミリアンが冷静な口調で話を切り出した。
彼の言う通りだった。
自問自答に終始して、現実問題をないがしろにしていた自分に腹が立つ。
妻はもう丸一日を寝たきりだ。
精食や食事はおろか、水分さえまともに摂っていない。
「このまま放っておいても、そう簡単には気を取り直す事は無いだろう」
同感だ。
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心を動かすのは難しい。
…しかし、身体はどうだろう。
妻は純然たるΩだ。
その心を今は悲しみが満たしている。
しかしその身体は飢えているはずだ。
今となっては相当に。
「…仕様がない」
他に手立ては無いのだ。
私は決意した。
「リリィもいずれわかってくれるさ。情の深い人だから」
相棒はわざわざ示し合わせなくとも理解する。
私達は共に立ち上がった。
二人で妻の寝台に上がるために。
\\\٩(๑`^´๑)۶////
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