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第二十節気 小雪
末候――橘始黄(たちばなはじめてきばむ)
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冬と言えばこたつ、こたつと言えばやはりみかん。と、誰が言い始めたのか。いつに増してこたつの恋しい季節になり、宮古家のこたつは近頃満員だ。
朱嶺にキイチに桃に桜小路。四つのスペースはすでに埋まっている。しかしすぐさま気づいた、朱嶺が自分の隣を得意気に叩く。
「空いてるよ! ここ空いてる!」
「狭い!」
大きめの掘りこたつではあるが、いくらなんでも大人二人が、並んで座るには狭すぎる。一蹴した暁治は、にこにこと笑う桃の隣に腰を下ろした。
一人、芝居がかったように崩れ落ちる恋人は、無視に限る。ひどいひどいと声は聞こえるが、暁治は手にした土鍋をガスコンロに置いた。五人分が十分炊けるだけの、大きな土鍋だ。
寒い日には鍋だなと話していたら、桜小路が買ってくれた。しかも肉はなにがいい、と聞かれて、迷わず国産豚かなと答えた。最近かなり図々しくなってきた自分に気づくものの、食には正直な暁治だ。
お礼になに鍋がいいかと相談すると、ミルフィーユ鍋を食べたことがないらしく、桜小路のリクエストを聞くことになった。土鍋が大きいので半分が白菜と豚肉、もう半分がキムチと豚肉となっている。
すでに軽く火を通しているので、あとはコンロで煮立つのを待つだけだ。しかし斜め向かいで、ぷうっと風船のように頬を膨らませているのが見えた。
「僕は水炊きが食べたかった」
「それは次でいいだろう。文句言っても食べるんだろ」
「豚肉、全部出して!」
「それもう豚しゃぶじゃないか」
ミルフィーユの意味とは? と思いながらも、仕方なしに暁治は冷蔵庫の豚肉を出して、銀トレイに並べる。とはいえ男四人とお子様一人では、冷蔵庫にまだ残っている肉や野菜は、瞬殺されることが目に見えていた。
「暁治、手伝うにゃ」
「ああ、ありがとう」
「最近の駄烏はわがままにゃ」
台所に立つ暁治の隣でキイチが、しゃきしゃきの白菜とキムチを切って、ざると皿に載せていく。口を尖らせた横顔は不満そうだ。
少しばかり朱嶺に構いすぎたかと、空いた手で頭を撫でてやる。すると手元でふわふわとした感触がした。
「キイチ、耳が出てる」
「最近、気が抜けないのにゃ」
「んー、まあ、そうだなぁ。いつ来るかわからないしな」
いくら天然気味の桜小路とは言えど、簡単にこの子たちは妖怪です、とは打ち明けられない。言ったところで、そうなのか、で済みそうな予感はあるが。
そう考えると朱嶺やキイチだけでなく、桃にも負担になっているのでは、と心配になる。近頃は河太郎もあまり顔を出さないし、鷹野もご無沙汰だ。よその人間が来たことで、気を使わせているのかもしれない。
だからと言って桜小路に帰れとも言えない。難しい問題に、暁治は小さく唸る。そもそもなぜいきなり、ここで半年も過ごす気になったのか。友人の考えがよくわからなかった。
「暁治、駄烏の肉は端っこでいいにゃ」
「ちょっと! 駄猫! 悪口聞こえてるからね!」
「うるさいにゃ! 働かざるもの食うべからずにゃ!」
居間へ戻るとすでに炊き上がったのか、土鍋からは湯気が立ち上っていた。朱嶺の皿を見ると、もうすでに肉が盛ってある。大人しくしている桜小路と桃は、暁治たちを待っていたようだ。
「食べていいぞ。桃は取ってやるからな。キムチは食べられるか?」
こくこくと頷く彼女は期待に満ちた顔をしている。どうやら好きらしい。肉とキムチを皿に入れてやると、小さな手を合わせてから口に運んだ。ふわっと幸せそうな笑みが浮かんで、暁治も自分の分を皿に盛る。
キイチは猫舌なので、ふーふーと冷ましている最中だ。そんな様子をなぜか、桜小路がじっと見つめている。
「桜小路、どうかしたか?」
「いや、最近はあの黄色い猫を見ないなと思って。野良猫なのか?」
「そ、それは、……猫は気まぐれなんだ!」
「そうか。寒くなるし、帰ってくるといいな」
苦しい言い訳を素直に飲み込んだ桜小路は、少し寂しそうに呟く。猫バージョンのキイチが随分とお気に入りのようだ。ちらりと本人を見れば、ぶんぶんと顔を横に振る。
少しくらいもふらせてあげてもいいか、と思ったけれど、本人が嫌では仕方がない。
「キイチがどうかしたか?」
いまだにじっとキイチの様子を見ている桜小路に、もう一度問いかける。するとしみじみとしたような声が返ってきた。
「彼は黄色い猫に似ていて、可愛いなと思っただけだ」
「可愛い?」
「おれは暁治一筋にゃ!」
思いがけない言葉に暁治は面食らったが、反射的にキイチが声を上げる。その声に驚いた桜小路は目を瞬かせるけれど、すぐにふっと笑みをこぼした。
「宮古は本当にモテモテだな」
「た、単なる保護者だ!」
「そうなのか。……そういえば、アトリエの隅にあったあの二枚の絵」
「に、煮えてるぞ! 早く食べないとなくなるからな!」
心臓が縮み上がるような思いがした、というのはこのことかと、暁治は冷や汗をかく。春の頃に賞をもらった絵が、最近手元に返ってきた。ほかの誰かに見られないように、先日石蕗に見られた絵と一緒に、アトリエの棚にしまい込んだのが一昨日。
勝手に棚を漁るなと言いたいところだが、いまは話を蒸し返したくない。
あの絵を桜小路にまで見られたのか。そう思うと、顔が熱くなった。どちらも我ながらよく描けたと思っているけれど、描いてある人物に問題がある。気持ちを意識したいまは、自分の感情を他人に知られるようで恥ずかしかった。
けれどもしかしたら、桜小路はそういうことではなく、暁治が人物を描いていたことに、驚いたのかもしれない。いままでずっと評判が悪くて、避けるように描いてこなかった。
いや、それなのに二枚も、しかも同じ人物を描いていたら、勘ぐるのは暁治の気持ちかもしれない。ふとそれを思って恐る恐る視線を向けると、彼はさして気にした様子もなく首を傾げる。
「炊き込みご飯も美味いな」
「……あっ、鍋も食べろ。って言うか、朱嶺! キイチ! 肉ばっかり食べるな! 野菜を食え野菜を!」
暢気に炊き込みご飯を食べている幼馴染みは、年下に肉を譲ったようだ。これではなんのために、リクエストを聞いたのかわからない。
ミルフィーユ鍋から豚しゃぶに変わりつつある鍋。どんどん消費されていく肉を、暁治は居候どもから取り上げた。
「そういえば半年も休み、どうするんだ? なにか絵を仕上げてるとか?」
「絵か。まったく描いていないな」
「描いていないって、お前が?」
まるで息を吸うみたいに絵を描き続けていた男が、まったく鉛筆も筆も握っていない、そのことに驚いた。けれど暁治の驚きをよそに、桜小路はさらりと呟く。
「ここへ来たら、そんなことはどうでも良くなった」
それは衝撃的な一言だった。気づけばその場で立ち上がり、睨みつけるように彼を見下ろしていた。
しんとした空気、我に返った暁治はとっさにその場から逃げ出す。
「ごちそうさま、風呂に入る」
驚きと戸惑いの眼差しを振り返らずに、脱衣所に飛び込んだ。
彼は当たり前のように、先を歩いていくのだと思っていた。それなのに放り投げるかのような、投げやりな発言に、暁治は腹が立ったのだ。
「はる、ゆず入れたら? いい匂いだよ」
ざぶんと湯船に浸かると、カラカラと風呂の戸が開いて、朱嶺が顔を出した。ふんわり香った柑橘の匂いは、癒やし効果があるのか。少しばかりほっとする。
けれど朱嶺にまで気を使われるなんて、態度が悪すぎたかと反省をした。誰だって息抜きをしたい時はある。自分だってそうして、ここへやって来た。
「あとで謝ろう」
あの才能の塊が、自分のように挫折しかけた、とは考えにくいけれど。なにか思うところがあっても、おかしくはない。だが絵を半年も描かない、などということは、暁治には信じられない。
田舎へと逃げてきてもまだ、自分は絵を描いていた。
「俺のこと気にして、とか、ないか。そういうところ疎いしな」
しかし風呂から上がった頃には、桜小路はすでに家へ帰っていた。おかげで謝りそびれた暁治は、メッセージを送るか送るまいか、悩んで悶々としている。そしてベッドに腰かけ、携帯電話を睨んでしばらく、部屋のふすまが開いた。
「大男はまた明日も来るって言ってたよ」
「そうか」
部屋に入って来た朱嶺は、まっすぐに暁治の元へ来て、隣に腰を下ろす。視線を感じて顔を持ち上げると、ゆっくりと近づき口づけをされた。やんわりと笑みを浮かべられたら、頬の熱さを感じる。
思わず視線を落とせば、小さな笑い声が聞こえた。
「今日はこっちの布団に入っていい?」
「は? 狭い!」
「はる、そればっかり!」
しくしくと泣き崩れる朱嶺を、暁治は羞恥など忘れて、ベッドの上から突き落とす。けれどベッドの下には、布団がひと組み敷いてあった。
朱嶺にキイチに桃に桜小路。四つのスペースはすでに埋まっている。しかしすぐさま気づいた、朱嶺が自分の隣を得意気に叩く。
「空いてるよ! ここ空いてる!」
「狭い!」
大きめの掘りこたつではあるが、いくらなんでも大人二人が、並んで座るには狭すぎる。一蹴した暁治は、にこにこと笑う桃の隣に腰を下ろした。
一人、芝居がかったように崩れ落ちる恋人は、無視に限る。ひどいひどいと声は聞こえるが、暁治は手にした土鍋をガスコンロに置いた。五人分が十分炊けるだけの、大きな土鍋だ。
寒い日には鍋だなと話していたら、桜小路が買ってくれた。しかも肉はなにがいい、と聞かれて、迷わず国産豚かなと答えた。最近かなり図々しくなってきた自分に気づくものの、食には正直な暁治だ。
お礼になに鍋がいいかと相談すると、ミルフィーユ鍋を食べたことがないらしく、桜小路のリクエストを聞くことになった。土鍋が大きいので半分が白菜と豚肉、もう半分がキムチと豚肉となっている。
すでに軽く火を通しているので、あとはコンロで煮立つのを待つだけだ。しかし斜め向かいで、ぷうっと風船のように頬を膨らませているのが見えた。
「僕は水炊きが食べたかった」
「それは次でいいだろう。文句言っても食べるんだろ」
「豚肉、全部出して!」
「それもう豚しゃぶじゃないか」
ミルフィーユの意味とは? と思いながらも、仕方なしに暁治は冷蔵庫の豚肉を出して、銀トレイに並べる。とはいえ男四人とお子様一人では、冷蔵庫にまだ残っている肉や野菜は、瞬殺されることが目に見えていた。
「暁治、手伝うにゃ」
「ああ、ありがとう」
「最近の駄烏はわがままにゃ」
台所に立つ暁治の隣でキイチが、しゃきしゃきの白菜とキムチを切って、ざると皿に載せていく。口を尖らせた横顔は不満そうだ。
少しばかり朱嶺に構いすぎたかと、空いた手で頭を撫でてやる。すると手元でふわふわとした感触がした。
「キイチ、耳が出てる」
「最近、気が抜けないのにゃ」
「んー、まあ、そうだなぁ。いつ来るかわからないしな」
いくら天然気味の桜小路とは言えど、簡単にこの子たちは妖怪です、とは打ち明けられない。言ったところで、そうなのか、で済みそうな予感はあるが。
そう考えると朱嶺やキイチだけでなく、桃にも負担になっているのでは、と心配になる。近頃は河太郎もあまり顔を出さないし、鷹野もご無沙汰だ。よその人間が来たことで、気を使わせているのかもしれない。
だからと言って桜小路に帰れとも言えない。難しい問題に、暁治は小さく唸る。そもそもなぜいきなり、ここで半年も過ごす気になったのか。友人の考えがよくわからなかった。
「暁治、駄烏の肉は端っこでいいにゃ」
「ちょっと! 駄猫! 悪口聞こえてるからね!」
「うるさいにゃ! 働かざるもの食うべからずにゃ!」
居間へ戻るとすでに炊き上がったのか、土鍋からは湯気が立ち上っていた。朱嶺の皿を見ると、もうすでに肉が盛ってある。大人しくしている桜小路と桃は、暁治たちを待っていたようだ。
「食べていいぞ。桃は取ってやるからな。キムチは食べられるか?」
こくこくと頷く彼女は期待に満ちた顔をしている。どうやら好きらしい。肉とキムチを皿に入れてやると、小さな手を合わせてから口に運んだ。ふわっと幸せそうな笑みが浮かんで、暁治も自分の分を皿に盛る。
キイチは猫舌なので、ふーふーと冷ましている最中だ。そんな様子をなぜか、桜小路がじっと見つめている。
「桜小路、どうかしたか?」
「いや、最近はあの黄色い猫を見ないなと思って。野良猫なのか?」
「そ、それは、……猫は気まぐれなんだ!」
「そうか。寒くなるし、帰ってくるといいな」
苦しい言い訳を素直に飲み込んだ桜小路は、少し寂しそうに呟く。猫バージョンのキイチが随分とお気に入りのようだ。ちらりと本人を見れば、ぶんぶんと顔を横に振る。
少しくらいもふらせてあげてもいいか、と思ったけれど、本人が嫌では仕方がない。
「キイチがどうかしたか?」
いまだにじっとキイチの様子を見ている桜小路に、もう一度問いかける。するとしみじみとしたような声が返ってきた。
「彼は黄色い猫に似ていて、可愛いなと思っただけだ」
「可愛い?」
「おれは暁治一筋にゃ!」
思いがけない言葉に暁治は面食らったが、反射的にキイチが声を上げる。その声に驚いた桜小路は目を瞬かせるけれど、すぐにふっと笑みをこぼした。
「宮古は本当にモテモテだな」
「た、単なる保護者だ!」
「そうなのか。……そういえば、アトリエの隅にあったあの二枚の絵」
「に、煮えてるぞ! 早く食べないとなくなるからな!」
心臓が縮み上がるような思いがした、というのはこのことかと、暁治は冷や汗をかく。春の頃に賞をもらった絵が、最近手元に返ってきた。ほかの誰かに見られないように、先日石蕗に見られた絵と一緒に、アトリエの棚にしまい込んだのが一昨日。
勝手に棚を漁るなと言いたいところだが、いまは話を蒸し返したくない。
あの絵を桜小路にまで見られたのか。そう思うと、顔が熱くなった。どちらも我ながらよく描けたと思っているけれど、描いてある人物に問題がある。気持ちを意識したいまは、自分の感情を他人に知られるようで恥ずかしかった。
けれどもしかしたら、桜小路はそういうことではなく、暁治が人物を描いていたことに、驚いたのかもしれない。いままでずっと評判が悪くて、避けるように描いてこなかった。
いや、それなのに二枚も、しかも同じ人物を描いていたら、勘ぐるのは暁治の気持ちかもしれない。ふとそれを思って恐る恐る視線を向けると、彼はさして気にした様子もなく首を傾げる。
「炊き込みご飯も美味いな」
「……あっ、鍋も食べろ。って言うか、朱嶺! キイチ! 肉ばっかり食べるな! 野菜を食え野菜を!」
暢気に炊き込みご飯を食べている幼馴染みは、年下に肉を譲ったようだ。これではなんのために、リクエストを聞いたのかわからない。
ミルフィーユ鍋から豚しゃぶに変わりつつある鍋。どんどん消費されていく肉を、暁治は居候どもから取り上げた。
「そういえば半年も休み、どうするんだ? なにか絵を仕上げてるとか?」
「絵か。まったく描いていないな」
「描いていないって、お前が?」
まるで息を吸うみたいに絵を描き続けていた男が、まったく鉛筆も筆も握っていない、そのことに驚いた。けれど暁治の驚きをよそに、桜小路はさらりと呟く。
「ここへ来たら、そんなことはどうでも良くなった」
それは衝撃的な一言だった。気づけばその場で立ち上がり、睨みつけるように彼を見下ろしていた。
しんとした空気、我に返った暁治はとっさにその場から逃げ出す。
「ごちそうさま、風呂に入る」
驚きと戸惑いの眼差しを振り返らずに、脱衣所に飛び込んだ。
彼は当たり前のように、先を歩いていくのだと思っていた。それなのに放り投げるかのような、投げやりな発言に、暁治は腹が立ったのだ。
「はる、ゆず入れたら? いい匂いだよ」
ざぶんと湯船に浸かると、カラカラと風呂の戸が開いて、朱嶺が顔を出した。ふんわり香った柑橘の匂いは、癒やし効果があるのか。少しばかりほっとする。
けれど朱嶺にまで気を使われるなんて、態度が悪すぎたかと反省をした。誰だって息抜きをしたい時はある。自分だってそうして、ここへやって来た。
「あとで謝ろう」
あの才能の塊が、自分のように挫折しかけた、とは考えにくいけれど。なにか思うところがあっても、おかしくはない。だが絵を半年も描かない、などということは、暁治には信じられない。
田舎へと逃げてきてもまだ、自分は絵を描いていた。
「俺のこと気にして、とか、ないか。そういうところ疎いしな」
しかし風呂から上がった頃には、桜小路はすでに家へ帰っていた。おかげで謝りそびれた暁治は、メッセージを送るか送るまいか、悩んで悶々としている。そしてベッドに腰かけ、携帯電話を睨んでしばらく、部屋のふすまが開いた。
「大男はまた明日も来るって言ってたよ」
「そうか」
部屋に入って来た朱嶺は、まっすぐに暁治の元へ来て、隣に腰を下ろす。視線を感じて顔を持ち上げると、ゆっくりと近づき口づけをされた。やんわりと笑みを浮かべられたら、頬の熱さを感じる。
思わず視線を落とせば、小さな笑い声が聞こえた。
「今日はこっちの布団に入っていい?」
「は? 狭い!」
「はる、そればっかり!」
しくしくと泣き崩れる朱嶺を、暁治は羞恥など忘れて、ベッドの上から突き落とす。けれどベッドの下には、布団がひと組み敷いてあった。
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