36 / 75
第十二節気 大暑
末候―― 大雨時行(たいうときどきにふる)
しおりを挟む
その日は朱嶺が珍しく殊勝に『お願い』をしてきた。滅多にないことがあると雪が降るとか槍が降るとか。そんなことを考えたが、持ちかけられた話は暁治にとっても悪いものではなかった。
それは夏の風物詩――花火大会への誘いだ。たまには息抜きも必要だよ、などと言っていたが、うずうずとした様子は隠せていなかった。しかし花火大会の桟敷席なんてなかなか機会がない。
目的地は車で片道一時間半ほどのところにある街で、最近ようやく車に慣れてきた暁治でもなんとかこなせる距離だ。しかし石蕗なども誘っていこうと言ったら、席は二人分しかないとやけに強調された。
それでもせっかくだからと声をかけると、これまた珍しく予定があると丁重にお断りされる。キイチは? と思えば朝から姿がなく、ならば仕方がないと二人で出掛けることとなった。
花火は夕刻から始まる。席はあるので急ぐ必要もないが、少しドライブしていこうとリクエストされた。観光向け雑誌を持ち出して、今日の朱嶺はやけに計画的だ。
「はる! ソフトクリーム食べよう」
「お前さっきたこ焼きを食べたばかりだろう」
「ミックスね」
昼過ぎに出発してあちこち寄り道をして、あれこれと買い食いをする。いつもの暁治であればそんな散財はしないけれど、朱嶺のポケットマネーとあらば文句はない。
珍しく、というよりも初めて財布を取り出した時には、驚きのあまり二度見した。もしや葉っぱか? と疑り深い暁治に本物だよと笑って、朱嶺は財布を預けてくる。
「今日はどういう風の吹き回しなんだ?」
「え? なにが?」
「やけに綿密なスケジュールだけど」
「それはゆーゆが」
「石蕗がどうした?」
「あ、なんでもない。次はねぇ……」
ぱっと遠くを見る反応に、暁治はそのまま方向転換して歩き出そうとする朱嶺の腕を掴まえる。なおも突き進もうとする身体を引き止めるように力を込めたら、大きなため息を吐き出された。
「はあ、僕が華麗なえすこーとをする予定だったのに」
「なんでお前にエスコートされなくちゃいけないんだ、まったく」
「えー、なんでってでぇとだよ。ビシッと決めたら格好いいって」
「石蕗に良からぬことを吹き込まれたんだな」
今度は暁治が大きなため息を吐き出す。なぜかことあるごとに石蕗は二人をくっつけようとする。焚きつけられている朱嶺はやる気を見せるが、本当にその気持ちがあるのかと不思議に思う。
正治に片想いしていたのであれば、恋や愛を知らないわけではないのだろう。ただその感情を暁治に対して持ち合わせているのか疑わしい。犬猫が好き、好物が好き――くらいの感情しかないように思えた。
「そもそも好きになるシチュエーションがないよな」
「え?」
「んー、まあ、見た目はいいんだけど、……中身がなぁ」
背丈は平均くらい。すらりと手足が長いのでそれよりも少し高く見える。明るい髪色に日本人離れした端整な顔立ち。深い紺藍色の着物をたるみなく着こなすぴんと伸びた背筋。黙っていれば人の目を惹く容姿だ。
現に通りすがる人は吸い寄せられるように朱嶺を振り返る。しかし残念ながら中身は三歳児だ。
「はるぅ? なんか失礼なこと考えてない?」
「いや、別に。……ときめく要素がないなと思っただけだ」
「それ、それ失礼でしょ。これでも僕、モテるんだからねっ」
「顔だけはいいしな」
「顔、だけ? 顔もでしょ! はるは顔がいいけどモテないでしょ。でりかしーがないよね」
「お前の口からデリカシーとかって」
「いま笑ったでしょ! そういうとこ!」
ぷぅっと頬を膨らませながらタピオカを吸う男子は、愛嬌があるけれどやはり子供のようだ。――ちなみにソフトクリームは秒でなくなった。
年を重ねているはずなのに、昔より子供っぽいのはなぜなのか。大人になったから彼が子供のように見えるのだろうか。頬を膨らませている横顔をじっと見つめると、瞬いた瞳が暁治を見つめ返す。
「飲みたかった? もうないよ?」
「いいよ。そろそろ移動しないと着くのが遅くなるぞ」
「花火楽しみだねぇ。大きい花火を見るのは久しぶり」
「俺も花火は久しぶりだ。……あれ? いまぽつんと来た」
「えっ? 雨? あ、これザッと来るよ」
ポツンポツンと落ちたのはほんの数秒で、駆け出したと同時にあとを追うように雨が降り出した。大急ぎで車に逃げ込めば、フロントガラスに雨粒が強く打ち付けられる。
予想外の雨に思わず二人で空を見上げてしまった。
「夕立か?」
「今日は一日晴れ間が続きますって言ってたんだけどな」
「止むのか、これ。花火駄目じゃないか?」
「えーっ! このまま帰るの?」
「だって、すごいぞ」
少し前まで晴れていた空は暗く雨はザーザー降り。降り止んでも花火が上がるのかと疑問が浮かぶ。けれど渋る暁治に隣の朱嶺はむぅっと口を尖らせる。
「とりあえず行くだけ行ってみるか。時間は、まあ間に合うだろう」
運転に慣れない暁治は見通しの悪い中で快調には走れない。三十分くらいは余分に見積もるくらいが丁度いい。恨めしそうに空を見上げる横顔に息をついてエンジンをかけた。
「雨の進行方向に向かってるって感じだな」
雲の切れ間で時折上がるものの、雨はなかなか止む気配を見せない。それに加え夕方になって道が混雑してくる。のろのろと進む車に隣からはそわそわとした気配を感じた。
このままでいくと現地に到着するのは開始時刻を大きく上回る。しばらく考え込んだ暁治は後部座席の荷物に手を伸ばした。
「はる?」
「このまま行くと間に合わないから。……んー、こっちの道は、混んでないか」
カーナビの渋滞情報を確認して進行方向を切り替えた。会場とは逆方向に走り出した車に朱嶺は怪訝そうな顔をするが、暁治はそのまま車を走らせる。
少しばかりスピードを上げて、目的の場所に着いたのは開始時刻から五分ほど遅れた頃だった。それでも高台の駐車場に車を止めた時には雨は止んでいた。窺うような視線に手招くと、ブツブツ言いながら朱嶺が車から降りてくる。
「やっぱり中止かな」
「はる、ここどこ?」
「ほら、そこ、打ち上げ場所。見下ろす形になるけど、上がればここから見えるから」
「え?」
「お前が持ってきた雑誌にさ、穴場だって書いてあったんだよ」
「は、……るっ」
目を瞬かせた朱嶺が声を発しかけた瞬間、ドーンと大きな音が響いた。ひゅーっと空を切る音が続くと、またどんどんと音が響く。振り向けば眼下で鮮やかな花火が打ち上がっている。
次々に上がる花火に景色が明るい色彩に染め上げられていく。
「上がった!」
「間に合ったみたいだな」
「はるっ」
「ん?」
「男前すぎて惚れ惚れしちゃった」
「当然」
「うわっ、すごいどや顔」
胸を反らして言い切れば、朱嶺はぷっと吹き出すように笑う。さらにはどこかのツボにはまったのか腹を抱えて笑い出して、暁治もつられるように笑ってしまった。
「上から見る花火もなかなかだね」
「十分だろう」
「はる、ありがとね」
「うん、お前はふて腐れてるより、笑ってるほうがいいよ」
「さては惚れ直したか!」
「……馬鹿だな」
「素直じゃないなぁ」
黙って立っていれば見た目はいいけれど、気の抜けた笑みを見ているほうが気分がいい。華やかな彩りの中でも褪せることがないその表情を、いますぐに写し取れないことがもどかしかった。
ポケットから抜いた携帯電話を構えて、目を細める。打ち上げられた花火でかき消えた音に、暁治は口の端を持ち上げた。
それは夏の風物詩――花火大会への誘いだ。たまには息抜きも必要だよ、などと言っていたが、うずうずとした様子は隠せていなかった。しかし花火大会の桟敷席なんてなかなか機会がない。
目的地は車で片道一時間半ほどのところにある街で、最近ようやく車に慣れてきた暁治でもなんとかこなせる距離だ。しかし石蕗なども誘っていこうと言ったら、席は二人分しかないとやけに強調された。
それでもせっかくだからと声をかけると、これまた珍しく予定があると丁重にお断りされる。キイチは? と思えば朝から姿がなく、ならば仕方がないと二人で出掛けることとなった。
花火は夕刻から始まる。席はあるので急ぐ必要もないが、少しドライブしていこうとリクエストされた。観光向け雑誌を持ち出して、今日の朱嶺はやけに計画的だ。
「はる! ソフトクリーム食べよう」
「お前さっきたこ焼きを食べたばかりだろう」
「ミックスね」
昼過ぎに出発してあちこち寄り道をして、あれこれと買い食いをする。いつもの暁治であればそんな散財はしないけれど、朱嶺のポケットマネーとあらば文句はない。
珍しく、というよりも初めて財布を取り出した時には、驚きのあまり二度見した。もしや葉っぱか? と疑り深い暁治に本物だよと笑って、朱嶺は財布を預けてくる。
「今日はどういう風の吹き回しなんだ?」
「え? なにが?」
「やけに綿密なスケジュールだけど」
「それはゆーゆが」
「石蕗がどうした?」
「あ、なんでもない。次はねぇ……」
ぱっと遠くを見る反応に、暁治はそのまま方向転換して歩き出そうとする朱嶺の腕を掴まえる。なおも突き進もうとする身体を引き止めるように力を込めたら、大きなため息を吐き出された。
「はあ、僕が華麗なえすこーとをする予定だったのに」
「なんでお前にエスコートされなくちゃいけないんだ、まったく」
「えー、なんでってでぇとだよ。ビシッと決めたら格好いいって」
「石蕗に良からぬことを吹き込まれたんだな」
今度は暁治が大きなため息を吐き出す。なぜかことあるごとに石蕗は二人をくっつけようとする。焚きつけられている朱嶺はやる気を見せるが、本当にその気持ちがあるのかと不思議に思う。
正治に片想いしていたのであれば、恋や愛を知らないわけではないのだろう。ただその感情を暁治に対して持ち合わせているのか疑わしい。犬猫が好き、好物が好き――くらいの感情しかないように思えた。
「そもそも好きになるシチュエーションがないよな」
「え?」
「んー、まあ、見た目はいいんだけど、……中身がなぁ」
背丈は平均くらい。すらりと手足が長いのでそれよりも少し高く見える。明るい髪色に日本人離れした端整な顔立ち。深い紺藍色の着物をたるみなく着こなすぴんと伸びた背筋。黙っていれば人の目を惹く容姿だ。
現に通りすがる人は吸い寄せられるように朱嶺を振り返る。しかし残念ながら中身は三歳児だ。
「はるぅ? なんか失礼なこと考えてない?」
「いや、別に。……ときめく要素がないなと思っただけだ」
「それ、それ失礼でしょ。これでも僕、モテるんだからねっ」
「顔だけはいいしな」
「顔、だけ? 顔もでしょ! はるは顔がいいけどモテないでしょ。でりかしーがないよね」
「お前の口からデリカシーとかって」
「いま笑ったでしょ! そういうとこ!」
ぷぅっと頬を膨らませながらタピオカを吸う男子は、愛嬌があるけれどやはり子供のようだ。――ちなみにソフトクリームは秒でなくなった。
年を重ねているはずなのに、昔より子供っぽいのはなぜなのか。大人になったから彼が子供のように見えるのだろうか。頬を膨らませている横顔をじっと見つめると、瞬いた瞳が暁治を見つめ返す。
「飲みたかった? もうないよ?」
「いいよ。そろそろ移動しないと着くのが遅くなるぞ」
「花火楽しみだねぇ。大きい花火を見るのは久しぶり」
「俺も花火は久しぶりだ。……あれ? いまぽつんと来た」
「えっ? 雨? あ、これザッと来るよ」
ポツンポツンと落ちたのはほんの数秒で、駆け出したと同時にあとを追うように雨が降り出した。大急ぎで車に逃げ込めば、フロントガラスに雨粒が強く打ち付けられる。
予想外の雨に思わず二人で空を見上げてしまった。
「夕立か?」
「今日は一日晴れ間が続きますって言ってたんだけどな」
「止むのか、これ。花火駄目じゃないか?」
「えーっ! このまま帰るの?」
「だって、すごいぞ」
少し前まで晴れていた空は暗く雨はザーザー降り。降り止んでも花火が上がるのかと疑問が浮かぶ。けれど渋る暁治に隣の朱嶺はむぅっと口を尖らせる。
「とりあえず行くだけ行ってみるか。時間は、まあ間に合うだろう」
運転に慣れない暁治は見通しの悪い中で快調には走れない。三十分くらいは余分に見積もるくらいが丁度いい。恨めしそうに空を見上げる横顔に息をついてエンジンをかけた。
「雨の進行方向に向かってるって感じだな」
雲の切れ間で時折上がるものの、雨はなかなか止む気配を見せない。それに加え夕方になって道が混雑してくる。のろのろと進む車に隣からはそわそわとした気配を感じた。
このままでいくと現地に到着するのは開始時刻を大きく上回る。しばらく考え込んだ暁治は後部座席の荷物に手を伸ばした。
「はる?」
「このまま行くと間に合わないから。……んー、こっちの道は、混んでないか」
カーナビの渋滞情報を確認して進行方向を切り替えた。会場とは逆方向に走り出した車に朱嶺は怪訝そうな顔をするが、暁治はそのまま車を走らせる。
少しばかりスピードを上げて、目的の場所に着いたのは開始時刻から五分ほど遅れた頃だった。それでも高台の駐車場に車を止めた時には雨は止んでいた。窺うような視線に手招くと、ブツブツ言いながら朱嶺が車から降りてくる。
「やっぱり中止かな」
「はる、ここどこ?」
「ほら、そこ、打ち上げ場所。見下ろす形になるけど、上がればここから見えるから」
「え?」
「お前が持ってきた雑誌にさ、穴場だって書いてあったんだよ」
「は、……るっ」
目を瞬かせた朱嶺が声を発しかけた瞬間、ドーンと大きな音が響いた。ひゅーっと空を切る音が続くと、またどんどんと音が響く。振り向けば眼下で鮮やかな花火が打ち上がっている。
次々に上がる花火に景色が明るい色彩に染め上げられていく。
「上がった!」
「間に合ったみたいだな」
「はるっ」
「ん?」
「男前すぎて惚れ惚れしちゃった」
「当然」
「うわっ、すごいどや顔」
胸を反らして言い切れば、朱嶺はぷっと吹き出すように笑う。さらにはどこかのツボにはまったのか腹を抱えて笑い出して、暁治もつられるように笑ってしまった。
「上から見る花火もなかなかだね」
「十分だろう」
「はる、ありがとね」
「うん、お前はふて腐れてるより、笑ってるほうがいいよ」
「さては惚れ直したか!」
「……馬鹿だな」
「素直じゃないなぁ」
黙って立っていれば見た目はいいけれど、気の抜けた笑みを見ているほうが気分がいい。華やかな彩りの中でも褪せることがないその表情を、いますぐに写し取れないことがもどかしかった。
ポケットから抜いた携帯電話を構えて、目を細める。打ち上げられた花火でかき消えた音に、暁治は口の端を持ち上げた。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
人外CPにはなりません
ストックなくなるまでは07:10に公開
3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿


僕の王子様
くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。
無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。
そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。
見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。
元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。
※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき(藤吉めぐみ)
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる