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第二十二話 ロゼッタ危機一髪
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ロゼッタの冒険者レンタル事業は存外うまくいっていた。リピート客も多く、ロゼッタは忙しい毎日を送っていた。
最初の頃こそ幼いロゼッタを危険な目に遭わせることに抵抗を感じていたジェイクだったが、ロゼッタがピンピンして帰ってくる上に客の評判も上々のため、すっかりロゼッタを信頼して送り出すようになっていた。
何より収入がデカい。百ファルスでレンタルし始めた事業だが、客がチップを弾んでくれるため、想定以上の稼ぎになっていた。
「ねえん、ジェイク。あたし役に立ってる?」
「ああ、大助かりだよ。よく頑張ってくれるな」
「そりゃあ、将来ジェイクのお嫁さんになるんだもん頑張るよお~」
「勝手に決めるな」
ジェイクは調子に乗るロゼッタの頭に拳を押し付けた。テヘヘと笑うロゼッタ。
しかし、そんな日々に暗雲が立ち込め始めた。
その日、店に人相の悪い客が数人やってきた。銃と刃物を購入していくようだったが、客の一人が張り紙に目を止めた。
「何だこの冒険者レンタルって?」
「ああ、うちで働いてる従業員を冒険パーティーの助っ人として派遣するサービスだよ。結構人気なんだ」
「ふぅん……どんな従業員か選べるか?」
「いや、うちでレンタルしている従業員は一人だけだ。選べない。妖精族の子供なんだが、腕は確かだぜ」
すると客が一目会ってみたいというので、ジェイクはロゼッタを紹介した。
「妖精族のロゼッタだ。魔法アイテムをブーストで使わせるとすごいんだぜ」
「こんにちは!初めまして、ロゼッタです!」
「ふぅん……」
客はロゼッタを頭の先からつま先まで嘗め回すようにじろじろと見た。そして、仲間内で何やら耳打ちをしている。その、何か腹に一物抱えていそうな挙動に、ジェイクは不安を覚えた。こいつらは危ないような気がする。本能が警鐘を鳴らした。
「ま、その、何だ。こんなサービスもやってるってことで。ロゼッタ、下がっていいぞ」
ジェイクはそそくさとロゼッタを下がらせようとしたが、遅かった。
「その子、レンタルさせてくれないか?」
ジェイクは一瞬顔をしかめたが、作り笑いを浮かべて誤魔化した。
「あ、一応レンタルにあたっては契約書書いてもらわないといけなくて、けっこうめんどくさい契約なんだけど、いいのか?」
客はじったりと笑い、「構わねえよ」と、契約書を所望した。
「じゃあ、ロゼッタ、準備してこようぜ。ちょっと契約書取ってくるんで待っててくださいね」
ジェイクはロゼッタを店の奥に引っ張っていき、ロゼッタに特別強力な魔法球を握らせた。
「ロゼッタ。あいつらなんか怪しい。絶対信用するな。何かあったらこの魔法球でぶっ殺してこい」
「え、えええ?!殺してこいって、そんな」
「堅気の人間じゃねえ気がする。俺の勘が正しければ……。夜寝る時も熟睡すんなよ。絶対気を許すな」
ジェイクの真剣な様子に、ロゼッタは震え上がった。
「わかった。気を付ける」
客の一行はすぐに出立するというので、ロゼッタはいつもより重装備を大慌てで用意し、待ち合わせに急いだ。
「今日はどこに冒険しに行くの?」
ロゼッタが仕事内容を確認すると、パーティーの一人が答えた。
「港町まで商品を運ぶんだ。お前さんにはその護衛をやってもらう」
「ごえいね。解った」
そうは言ったが護衛という業務は初めてである。「護衛って何?」と首をひねりながら、「まあ、この人たちが襲い掛かってきたらやっつければいいか」と気楽に考え、蒸気自動車に乗り込んだ。
街から出てしばらく行くと、一行はとある町に着いた。ここで一旦休憩するらしい。一行が一軒の飲食店に入ると、中で食事をしていた犬族の男数人がパーティーメンバーの顔を見て「あっ」と声を上げた。
「お前たちは!待て、逮捕する!」
「やべえ、サツだ!」
一行は踵を返して逃げ出した。何が起きたかわからないロゼッタの手を引き、一緒に逃げる。
「なになに?どうしたの?」
「俺たち追われてるんだ。そうだ、嬢ちゃん、あいつらやっつけられるか?」
依頼主が「あいつらを倒せ」というのであれば、従うしかない。急に追いかけっこを始めた面々に面食らって判断力が落ちていたロゼッタは、とりあえず追っ手を蹴散らすしかないと考えた。
「わかった、やってみる」
ロゼッタは立ち止まり、振り返ると、追手の犬族の男たちに向かって銃を撃った。
ガオオオン!と耳をつんざくような発砲音とともに、爆裂魔法が炸裂する。
舞い上がった土煙が晴れると、そこには追手の犬族たちが倒れていた。
「すげえ……一発かよ」
「ともかく、ここは危険だ、ずらかるぞ!」
一行は休憩をとるのをやめ、商店で食料を買い込むと、再び車に乗り込んだ。
「嬢ちゃん、お手柄だな。お前のおかげで助かったぜ」
「えへへ、任せて」
男達は目くばせをして、何事か耳打ちした。にやにやと笑みを浮かべてロゼッタとお互いを交互に見ながら何か話している。ロゼッタはさっそく役に立てたと有頂天だった。
長い、長い道程だった。
ロゼッタは最初の方こそ気を張っていたが、談笑する仲の良さそうなパーティーの話を聞きながら車に揺られていると、いつの間にか眠ってしまっていた。
「おい」
「寝たか」
「駄目押しに魔法もかけてやろうぜ」
パーティーの一人の、顔に戦化粧のペイントを施した妖精族の男が、ロゼッタに睡眠の魔法をかけた。
「外に運べ」
男達は車を停めると、ロゼッタを運び出し、簀巻きにして猿轡を噛ませ、車のトランクに載せた。
「これでこの娘は死にましたっていうのか?」
「いや、バックレちまえ。二度とあの店に行かなきゃいいさ」
「なるほど」
そして男達は港町へロゼッタを載せて蒸気自動車を走らせた。
「嫌な予感がする」
ジェイクは忙しなくリビングをうろうろし、しきりに顔をこすっていた。
「考えすぎですよ。今までも大丈夫だったでしょう?」
アントンがジェイクを宥めるも、ジェイクは鼻面をゴシゴシこすって鼻をすすった。
「ヒゲがビリビリするんだ。第六感があいつらはヤバいって言ってる」
「なんでそんな人にロゼッタを引き渡したんですか?」
「気のせいだと思ったんだよ!でも、やっぱり気になって……そうだ!」
ジェイクははたと手を打って店から飛び出し、すぐにリビングに駆け上がってきた。
「夢端草!これを使って夢を見ればロゼッタの様子が分かるかもしんねえ!」
ジェイクは軒先に再び咲いていた夢端草を摘んできた。だが、そう都合よくいくだろうか。
「その花を頼るのは危ないってアリッサが言ってましたよ?」
「今がその頼る時なんじゃねえか?繊細族みたいな千里眼を手に入れるにはこの花で夢を見るしかねえんだよ!」
ジェイクは夢端草を花瓶に活け、パンパンと柏手を打って夢端草に拝んだ。
「頼む夢端草!!ロゼッタの居所がどうなっているか、夢に見せてくれ!」
そしてアントンを食卓の椅子に座らせると、「おらお前も夢端草に拝んで、今すぐここで寝ろ!ロゼッタの居所を掴むんだ!」と促して、自身も食卓の席に着いて居眠りのポーズを取った。
「心配性だなあ、ジェイクは……。はいはい、おやすみなさい」
ジェイクは夢を見ていた。そこは港町の資材置き場のようだった。資材の裏手から、競りの声が聞こえてくる。魚の競りが行われているのだろうか?ジェイクが市場に歩いていくと、売られていたのは――人間だった。
「二千!二千五百!三千!はい三千売った!」
次々と死んだ目をした人間が引き渡されていく。その様子を見ていると、顔を痣だらけにしたロゼッタが死んだ目をして運ばれてきた。
「三千!三千五百!四千!四千五百!四千五百無いか?!」
今にも売られてしまう……!ジェイクは競りに飛び込んでロゼッタを会場から連れ去った!
「てめえなにしやがる!」
「追え!逃がすな!」
ジェイクは走った。ロゼッタを拘束する鎖がジャラジャラと音を立てて、ジェイクたちの居所を業者たちに知らせてしまう。
「ジェイク!助けに来てくれたのね?」
「やっぱりお前を貸し出したのは間違いだった!帰るぞ!」
ジェイクの身体がびくっと跳ねてジェイクは目を覚ました。と、同時にアントンも目を覚まして飛び起きた。
「ジェイク!」
「ああ!」
間違いない。あの男達は人身売買のバイヤーだ。ロゼッタが売られてしまう……!
飛び出そうとするジェイクをアントンが引き留めた。
「待ってくださいジェイク。僕らは車を持っていない!アリッサさんに正確な居所を占ってもらいましょう。闇雲に捜しても間に合いません!」
それも一理ある。ジェイクとアントンは武器と簡素な防具を装備してアリッサの占いの館に駆け込んだ。
「待っていました、あなた方を。準備はできています」
占いの館に着くと、アリッサは玄関先で彼らを出迎えた。魔法の杖のようなものを携えている。
「アリッサ、ちょうどよかった!実はな」
ジェイクが事情を説明しようとすると、アリッサはスッと人差し指をジェイクの口に当てた。
「すべて視ていました。事情は把握しています。急ぎましょう。あなた達と一緒に、霧の中を渡ります」
すっかり忘れていたが、そう言えば繊細族は千里眼のほかにも、霧の中を渡って世界中を瞬間移動できるのだった。霧の中は繊細族と触れ合っている物ならば人間でも物資でもなんでも運ぶことができる。
「そうか!アリッサは占いだけじゃなくて霧の中も渡れるのか!助かる!俺達をロゼッタの元へ連れてってくれ!」
アリッサはこくりと頷くと、アントンとジェイクと手を繋いで、夜更けの霧の中に紛れ姿を消した。
ジェイクとアントンとアリッサは霧の中を走った。霧の中は時空が歪んでいて、世界中の行きたい場所へ瞬時に飛ぶことができる。だが、霧の出口は慎重に見定めなくてはならない。一度霧から出てしまうと、再び霧が出る瞬間を狙わなければならないからだ。アリッサは透視した港に続く出口を探していた。
そしてある地点でピタリと足を止め、スッと出口を指さした。
「多分ここ……です」
ジェイクとアントンは銃を構え、腰の装備を確認すると、顔を見合わせ頷いた。
「行くぞ!」
潮の匂いがした。ウミネコが鳴いている。ロゼッタは寝返りを打とうとして身体を拘束する硬い何かに身動きを制限され、居心地の悪さに目を覚ました。気付けば口を塞がれ身体が拘束された状態で真っ暗な場所に押し込められている。ロゼッタはパニックになって叫んだ。しかし、思うように叫び声が上げられない。
(ロゼッタ。あいつらなんか怪しい。絶対信用するな。何かあったらこの魔法球でぶっ殺してこい。堅気の人間じゃねえ気がする……)
ジェイクの読みは正しかった。絶対に気を抜かないつもりだったのに、あの男たちは最初からロゼッタを捕まえるために油断させていたのだ。
涙が溢れて止まらない。せっかくジェイクから預かった魔法球も、こんな状態では使うことができない。ロゼッタは自由自在に魔法を使うことができないポンコツ妖精族の己を悔やんだ。
車のエンジンの振動が止まると、トランクが開きガス灯の光が差し込んできた。
「お嬢ちゃん、もう少しで自由にしてやるからな」
そういうと男は甘い匂いのする煙をロゼッタに嗅がせた。途端に意識が濁ってくる。眠いような、気持ちいいような、フワフワして不安がどうでもよくなる不思議な匂い。
ロゼッタの目の光が虚ろになったのを確認して、男はロゼッタをトランクから降ろし港の一角の資材が山積みされた区画へと運んだ。
そこは、人身売買闇マーケット。虚ろな目をして手錠を掛けられた、ボロを纏った人達が一列に並べられている。
「競りは何時からだ?」
「四時からだ。あと三〇分ぐらいかな」
男達は時計を見て、ロゼッタの身体の拘束を解こうと取り掛かった。そこへ。
「待ちやがれ。その子をどうするつもりだ?」
男が顔をあげて声のする方を見やると、長髪で片仮面をつけた猫族の男と、顔中に毛を生やした猿族の男が銃を構えていた。
「その仮面……あの武器屋かてめえ!尾けてきやがったのか!」
男が銃を構えるカンマ数秒前にジェイクとアントンは男たちに発砲した。こちらは連射が可能な改造銃を装備している。見る見るうちにロゼッタを運んだ男達は倒れ、残りの男達は物陰に潜んだ。
「何だあの武器屋の銃?めちゃくちゃに撃ってきやがる!」
「武器屋だからな、店で一番強い得物を持ってきたっておかしくねえぜ!」
その隙にジェイクはロゼッタの前に立ちふさがり銃を構え、アントンとアリッサはロゼッタを物陰に運んだ。ジェイクは男達の発砲をかわしながら応戦しつつロゼッタを運んだ物陰に引き下がる。
「ロゼッタ、大丈夫?」
アリッサの問いかけに、ロゼッタは虚ろな表情で答える。
「らいじょーぶ……あなただれえ……?」
呂律が回っていない。これは。
「薬を盛られているわ。困ったな、魔法じゃ薬の効果は消せない。ともかくこの拘束を外してあげないと」
ジェイクは銃撃戦を続けながら左手で腰のナイフを抜き、アリッサに手渡した。アリッサはそれを受け取りロゼッタを拘束する荒縄を切る。
ロゼッタの拘束が解けると、アリッサはぐでんぐでんに薬で酔っているロゼッタをおんぶし、「いいわよ!逃げましょう!」と声をかけた。
ジェイクはロゼッタに意識があるならば、最後にロゼッタにアレをお見舞いしてもらおうと考え、フリントロック銃を取り出し、魔法弾を詰め、ロゼッタに握らせた。
「ロゼッタ、ずらかる前に一発派手にお見舞いしてやってくれ!」
ロゼッタの判断力はゼロに等しかったが、銃を握らされたらやることは決まっている。
「わかったー。えーい」
ロゼッタが引鉄を引くと大砲を撃ったような反動がアリッサを襲い、彼女は転ばないようタタラを踏んだ。弾丸は積み上げられた資材に着弾し、大爆発を起こした!爆風が吹き荒れ人身売買の市は大混乱に陥った。
「今のうちに逃げるぞ!アリッサ、霧を捕まえてくれ!」
「わかりました!霧まで走ったら、飛びます!」
四人は走り、霧を捕まえるとアリッサに続いて姿を消した。
「霧の中って少し滞在できるのか?」
ジェイクの問いに、アリッサは
「霧は常に形を変えて現れたり消えたりしています。ゆっくりしていると狙った出口にたどり着けません」
と答えた。
「しょうがないですね。ともかく走りましょう、アリッサさん!」
アントンはアリッサの背中からロゼッタを受け取り、彼女を横抱きにした。
「今、探しています……あった!あの穴です!急ぎましょう!」
三人は街へ続く霧の出口に向かって走った。
「ロゼッタ、悪かった。お前を危険な目に遭わせちまって……。キッパリ断ればよかった。怖かったろう。ごめんな」
ジェイクの武器屋に帰ってきた四人は、二階のリビングに集まった。ジェイクはまだ意識がはっきりしないロゼッタに深々と謝罪した。
「謝らないでジェイク。あたしもうっかりしていて、悪かったんだよ。あの人たちわざとあたしが寝るように仕向けて来てさ」
「でも、よく今までこういう事件に巻き込まれずにやってこれましたよね。こうなる懸念は最初からありましたが、油断するほど今まで何もなかったのは幸いでした」
と、アントン。確かにロゼッタのレンタル回数は両手で数えきれないほど行ってきたが、よく無事で済んだものだ。今回の事件は起こるべくして起こったとも考えられる。
「やっぱり、危ねーよなあ……ロゼッタのレンタルはこれで終わりにしよう。危険すぎる」
ジェイクの判断に、ロゼッタは抗議した。
「そんな!今回だけだよ、危なかったのは!あたし今まではちゃんと働いたもん!またレンタルやらせて!今度はちゃんとする!」
「駄目だ。今度またこんなことがあったらその時は助けられるとは限らねえ。どれだけ心配したと思ってるんだ」
意思を曲げないジェイクにロゼッタは食い下がる。
「仲良くなった人たちもいたんだよお、仲良しさんとなら行ってもいいことにしない?」
「アリッサさん、どう視ます?」
アントンがアリッサに助言を乞う。アリッサは首を横に振った。
「危険は今回だけに限りません。このままだと命の危険に晒される可能性もあります」
「だとよ。アリッサが言うんなら間違いねーよ」
「そんなあ……」
そしてジェイクは「ロゼッタ、お前にはまた別の仕事を振るから、そっちで頑張ってくれねえか?」と提案した。
ロゼッタはしばらく沈黙して俯いていた。思い返せば、危険なシーンは幾度となくあった。間一髪で助かってきたようなものだ。危険な目に遭わせられないというのなら、守る必要があるというのなら、もう今回のように迷惑をかけるわけにはいかない。
「……解った。レンタルに行くのはやめる」
大人三人はホッと安堵の溜息をついた。
その後、ロゼッタはジェイクたちの身の回りの家事に専念するようになった。大活躍に称賛され褒められる毎日は輝かしかったが、美しい思い出として胸に秘めておこう。
「ああ、楽しかったなあ、冒険」
最初の頃こそ幼いロゼッタを危険な目に遭わせることに抵抗を感じていたジェイクだったが、ロゼッタがピンピンして帰ってくる上に客の評判も上々のため、すっかりロゼッタを信頼して送り出すようになっていた。
何より収入がデカい。百ファルスでレンタルし始めた事業だが、客がチップを弾んでくれるため、想定以上の稼ぎになっていた。
「ねえん、ジェイク。あたし役に立ってる?」
「ああ、大助かりだよ。よく頑張ってくれるな」
「そりゃあ、将来ジェイクのお嫁さんになるんだもん頑張るよお~」
「勝手に決めるな」
ジェイクは調子に乗るロゼッタの頭に拳を押し付けた。テヘヘと笑うロゼッタ。
しかし、そんな日々に暗雲が立ち込め始めた。
その日、店に人相の悪い客が数人やってきた。銃と刃物を購入していくようだったが、客の一人が張り紙に目を止めた。
「何だこの冒険者レンタルって?」
「ああ、うちで働いてる従業員を冒険パーティーの助っ人として派遣するサービスだよ。結構人気なんだ」
「ふぅん……どんな従業員か選べるか?」
「いや、うちでレンタルしている従業員は一人だけだ。選べない。妖精族の子供なんだが、腕は確かだぜ」
すると客が一目会ってみたいというので、ジェイクはロゼッタを紹介した。
「妖精族のロゼッタだ。魔法アイテムをブーストで使わせるとすごいんだぜ」
「こんにちは!初めまして、ロゼッタです!」
「ふぅん……」
客はロゼッタを頭の先からつま先まで嘗め回すようにじろじろと見た。そして、仲間内で何やら耳打ちをしている。その、何か腹に一物抱えていそうな挙動に、ジェイクは不安を覚えた。こいつらは危ないような気がする。本能が警鐘を鳴らした。
「ま、その、何だ。こんなサービスもやってるってことで。ロゼッタ、下がっていいぞ」
ジェイクはそそくさとロゼッタを下がらせようとしたが、遅かった。
「その子、レンタルさせてくれないか?」
ジェイクは一瞬顔をしかめたが、作り笑いを浮かべて誤魔化した。
「あ、一応レンタルにあたっては契約書書いてもらわないといけなくて、けっこうめんどくさい契約なんだけど、いいのか?」
客はじったりと笑い、「構わねえよ」と、契約書を所望した。
「じゃあ、ロゼッタ、準備してこようぜ。ちょっと契約書取ってくるんで待っててくださいね」
ジェイクはロゼッタを店の奥に引っ張っていき、ロゼッタに特別強力な魔法球を握らせた。
「ロゼッタ。あいつらなんか怪しい。絶対信用するな。何かあったらこの魔法球でぶっ殺してこい」
「え、えええ?!殺してこいって、そんな」
「堅気の人間じゃねえ気がする。俺の勘が正しければ……。夜寝る時も熟睡すんなよ。絶対気を許すな」
ジェイクの真剣な様子に、ロゼッタは震え上がった。
「わかった。気を付ける」
客の一行はすぐに出立するというので、ロゼッタはいつもより重装備を大慌てで用意し、待ち合わせに急いだ。
「今日はどこに冒険しに行くの?」
ロゼッタが仕事内容を確認すると、パーティーの一人が答えた。
「港町まで商品を運ぶんだ。お前さんにはその護衛をやってもらう」
「ごえいね。解った」
そうは言ったが護衛という業務は初めてである。「護衛って何?」と首をひねりながら、「まあ、この人たちが襲い掛かってきたらやっつければいいか」と気楽に考え、蒸気自動車に乗り込んだ。
街から出てしばらく行くと、一行はとある町に着いた。ここで一旦休憩するらしい。一行が一軒の飲食店に入ると、中で食事をしていた犬族の男数人がパーティーメンバーの顔を見て「あっ」と声を上げた。
「お前たちは!待て、逮捕する!」
「やべえ、サツだ!」
一行は踵を返して逃げ出した。何が起きたかわからないロゼッタの手を引き、一緒に逃げる。
「なになに?どうしたの?」
「俺たち追われてるんだ。そうだ、嬢ちゃん、あいつらやっつけられるか?」
依頼主が「あいつらを倒せ」というのであれば、従うしかない。急に追いかけっこを始めた面々に面食らって判断力が落ちていたロゼッタは、とりあえず追っ手を蹴散らすしかないと考えた。
「わかった、やってみる」
ロゼッタは立ち止まり、振り返ると、追手の犬族の男たちに向かって銃を撃った。
ガオオオン!と耳をつんざくような発砲音とともに、爆裂魔法が炸裂する。
舞い上がった土煙が晴れると、そこには追手の犬族たちが倒れていた。
「すげえ……一発かよ」
「ともかく、ここは危険だ、ずらかるぞ!」
一行は休憩をとるのをやめ、商店で食料を買い込むと、再び車に乗り込んだ。
「嬢ちゃん、お手柄だな。お前のおかげで助かったぜ」
「えへへ、任せて」
男達は目くばせをして、何事か耳打ちした。にやにやと笑みを浮かべてロゼッタとお互いを交互に見ながら何か話している。ロゼッタはさっそく役に立てたと有頂天だった。
長い、長い道程だった。
ロゼッタは最初の方こそ気を張っていたが、談笑する仲の良さそうなパーティーの話を聞きながら車に揺られていると、いつの間にか眠ってしまっていた。
「おい」
「寝たか」
「駄目押しに魔法もかけてやろうぜ」
パーティーの一人の、顔に戦化粧のペイントを施した妖精族の男が、ロゼッタに睡眠の魔法をかけた。
「外に運べ」
男達は車を停めると、ロゼッタを運び出し、簀巻きにして猿轡を噛ませ、車のトランクに載せた。
「これでこの娘は死にましたっていうのか?」
「いや、バックレちまえ。二度とあの店に行かなきゃいいさ」
「なるほど」
そして男達は港町へロゼッタを載せて蒸気自動車を走らせた。
「嫌な予感がする」
ジェイクは忙しなくリビングをうろうろし、しきりに顔をこすっていた。
「考えすぎですよ。今までも大丈夫だったでしょう?」
アントンがジェイクを宥めるも、ジェイクは鼻面をゴシゴシこすって鼻をすすった。
「ヒゲがビリビリするんだ。第六感があいつらはヤバいって言ってる」
「なんでそんな人にロゼッタを引き渡したんですか?」
「気のせいだと思ったんだよ!でも、やっぱり気になって……そうだ!」
ジェイクははたと手を打って店から飛び出し、すぐにリビングに駆け上がってきた。
「夢端草!これを使って夢を見ればロゼッタの様子が分かるかもしんねえ!」
ジェイクは軒先に再び咲いていた夢端草を摘んできた。だが、そう都合よくいくだろうか。
「その花を頼るのは危ないってアリッサが言ってましたよ?」
「今がその頼る時なんじゃねえか?繊細族みたいな千里眼を手に入れるにはこの花で夢を見るしかねえんだよ!」
ジェイクは夢端草を花瓶に活け、パンパンと柏手を打って夢端草に拝んだ。
「頼む夢端草!!ロゼッタの居所がどうなっているか、夢に見せてくれ!」
そしてアントンを食卓の椅子に座らせると、「おらお前も夢端草に拝んで、今すぐここで寝ろ!ロゼッタの居所を掴むんだ!」と促して、自身も食卓の席に着いて居眠りのポーズを取った。
「心配性だなあ、ジェイクは……。はいはい、おやすみなさい」
ジェイクは夢を見ていた。そこは港町の資材置き場のようだった。資材の裏手から、競りの声が聞こえてくる。魚の競りが行われているのだろうか?ジェイクが市場に歩いていくと、売られていたのは――人間だった。
「二千!二千五百!三千!はい三千売った!」
次々と死んだ目をした人間が引き渡されていく。その様子を見ていると、顔を痣だらけにしたロゼッタが死んだ目をして運ばれてきた。
「三千!三千五百!四千!四千五百!四千五百無いか?!」
今にも売られてしまう……!ジェイクは競りに飛び込んでロゼッタを会場から連れ去った!
「てめえなにしやがる!」
「追え!逃がすな!」
ジェイクは走った。ロゼッタを拘束する鎖がジャラジャラと音を立てて、ジェイクたちの居所を業者たちに知らせてしまう。
「ジェイク!助けに来てくれたのね?」
「やっぱりお前を貸し出したのは間違いだった!帰るぞ!」
ジェイクの身体がびくっと跳ねてジェイクは目を覚ました。と、同時にアントンも目を覚まして飛び起きた。
「ジェイク!」
「ああ!」
間違いない。あの男達は人身売買のバイヤーだ。ロゼッタが売られてしまう……!
飛び出そうとするジェイクをアントンが引き留めた。
「待ってくださいジェイク。僕らは車を持っていない!アリッサさんに正確な居所を占ってもらいましょう。闇雲に捜しても間に合いません!」
それも一理ある。ジェイクとアントンは武器と簡素な防具を装備してアリッサの占いの館に駆け込んだ。
「待っていました、あなた方を。準備はできています」
占いの館に着くと、アリッサは玄関先で彼らを出迎えた。魔法の杖のようなものを携えている。
「アリッサ、ちょうどよかった!実はな」
ジェイクが事情を説明しようとすると、アリッサはスッと人差し指をジェイクの口に当てた。
「すべて視ていました。事情は把握しています。急ぎましょう。あなた達と一緒に、霧の中を渡ります」
すっかり忘れていたが、そう言えば繊細族は千里眼のほかにも、霧の中を渡って世界中を瞬間移動できるのだった。霧の中は繊細族と触れ合っている物ならば人間でも物資でもなんでも運ぶことができる。
「そうか!アリッサは占いだけじゃなくて霧の中も渡れるのか!助かる!俺達をロゼッタの元へ連れてってくれ!」
アリッサはこくりと頷くと、アントンとジェイクと手を繋いで、夜更けの霧の中に紛れ姿を消した。
ジェイクとアントンとアリッサは霧の中を走った。霧の中は時空が歪んでいて、世界中の行きたい場所へ瞬時に飛ぶことができる。だが、霧の出口は慎重に見定めなくてはならない。一度霧から出てしまうと、再び霧が出る瞬間を狙わなければならないからだ。アリッサは透視した港に続く出口を探していた。
そしてある地点でピタリと足を止め、スッと出口を指さした。
「多分ここ……です」
ジェイクとアントンは銃を構え、腰の装備を確認すると、顔を見合わせ頷いた。
「行くぞ!」
潮の匂いがした。ウミネコが鳴いている。ロゼッタは寝返りを打とうとして身体を拘束する硬い何かに身動きを制限され、居心地の悪さに目を覚ました。気付けば口を塞がれ身体が拘束された状態で真っ暗な場所に押し込められている。ロゼッタはパニックになって叫んだ。しかし、思うように叫び声が上げられない。
(ロゼッタ。あいつらなんか怪しい。絶対信用するな。何かあったらこの魔法球でぶっ殺してこい。堅気の人間じゃねえ気がする……)
ジェイクの読みは正しかった。絶対に気を抜かないつもりだったのに、あの男たちは最初からロゼッタを捕まえるために油断させていたのだ。
涙が溢れて止まらない。せっかくジェイクから預かった魔法球も、こんな状態では使うことができない。ロゼッタは自由自在に魔法を使うことができないポンコツ妖精族の己を悔やんだ。
車のエンジンの振動が止まると、トランクが開きガス灯の光が差し込んできた。
「お嬢ちゃん、もう少しで自由にしてやるからな」
そういうと男は甘い匂いのする煙をロゼッタに嗅がせた。途端に意識が濁ってくる。眠いような、気持ちいいような、フワフワして不安がどうでもよくなる不思議な匂い。
ロゼッタの目の光が虚ろになったのを確認して、男はロゼッタをトランクから降ろし港の一角の資材が山積みされた区画へと運んだ。
そこは、人身売買闇マーケット。虚ろな目をして手錠を掛けられた、ボロを纏った人達が一列に並べられている。
「競りは何時からだ?」
「四時からだ。あと三〇分ぐらいかな」
男達は時計を見て、ロゼッタの身体の拘束を解こうと取り掛かった。そこへ。
「待ちやがれ。その子をどうするつもりだ?」
男が顔をあげて声のする方を見やると、長髪で片仮面をつけた猫族の男と、顔中に毛を生やした猿族の男が銃を構えていた。
「その仮面……あの武器屋かてめえ!尾けてきやがったのか!」
男が銃を構えるカンマ数秒前にジェイクとアントンは男たちに発砲した。こちらは連射が可能な改造銃を装備している。見る見るうちにロゼッタを運んだ男達は倒れ、残りの男達は物陰に潜んだ。
「何だあの武器屋の銃?めちゃくちゃに撃ってきやがる!」
「武器屋だからな、店で一番強い得物を持ってきたっておかしくねえぜ!」
その隙にジェイクはロゼッタの前に立ちふさがり銃を構え、アントンとアリッサはロゼッタを物陰に運んだ。ジェイクは男達の発砲をかわしながら応戦しつつロゼッタを運んだ物陰に引き下がる。
「ロゼッタ、大丈夫?」
アリッサの問いかけに、ロゼッタは虚ろな表情で答える。
「らいじょーぶ……あなただれえ……?」
呂律が回っていない。これは。
「薬を盛られているわ。困ったな、魔法じゃ薬の効果は消せない。ともかくこの拘束を外してあげないと」
ジェイクは銃撃戦を続けながら左手で腰のナイフを抜き、アリッサに手渡した。アリッサはそれを受け取りロゼッタを拘束する荒縄を切る。
ロゼッタの拘束が解けると、アリッサはぐでんぐでんに薬で酔っているロゼッタをおんぶし、「いいわよ!逃げましょう!」と声をかけた。
ジェイクはロゼッタに意識があるならば、最後にロゼッタにアレをお見舞いしてもらおうと考え、フリントロック銃を取り出し、魔法弾を詰め、ロゼッタに握らせた。
「ロゼッタ、ずらかる前に一発派手にお見舞いしてやってくれ!」
ロゼッタの判断力はゼロに等しかったが、銃を握らされたらやることは決まっている。
「わかったー。えーい」
ロゼッタが引鉄を引くと大砲を撃ったような反動がアリッサを襲い、彼女は転ばないようタタラを踏んだ。弾丸は積み上げられた資材に着弾し、大爆発を起こした!爆風が吹き荒れ人身売買の市は大混乱に陥った。
「今のうちに逃げるぞ!アリッサ、霧を捕まえてくれ!」
「わかりました!霧まで走ったら、飛びます!」
四人は走り、霧を捕まえるとアリッサに続いて姿を消した。
「霧の中って少し滞在できるのか?」
ジェイクの問いに、アリッサは
「霧は常に形を変えて現れたり消えたりしています。ゆっくりしていると狙った出口にたどり着けません」
と答えた。
「しょうがないですね。ともかく走りましょう、アリッサさん!」
アントンはアリッサの背中からロゼッタを受け取り、彼女を横抱きにした。
「今、探しています……あった!あの穴です!急ぎましょう!」
三人は街へ続く霧の出口に向かって走った。
「ロゼッタ、悪かった。お前を危険な目に遭わせちまって……。キッパリ断ればよかった。怖かったろう。ごめんな」
ジェイクの武器屋に帰ってきた四人は、二階のリビングに集まった。ジェイクはまだ意識がはっきりしないロゼッタに深々と謝罪した。
「謝らないでジェイク。あたしもうっかりしていて、悪かったんだよ。あの人たちわざとあたしが寝るように仕向けて来てさ」
「でも、よく今までこういう事件に巻き込まれずにやってこれましたよね。こうなる懸念は最初からありましたが、油断するほど今まで何もなかったのは幸いでした」
と、アントン。確かにロゼッタのレンタル回数は両手で数えきれないほど行ってきたが、よく無事で済んだものだ。今回の事件は起こるべくして起こったとも考えられる。
「やっぱり、危ねーよなあ……ロゼッタのレンタルはこれで終わりにしよう。危険すぎる」
ジェイクの判断に、ロゼッタは抗議した。
「そんな!今回だけだよ、危なかったのは!あたし今まではちゃんと働いたもん!またレンタルやらせて!今度はちゃんとする!」
「駄目だ。今度またこんなことがあったらその時は助けられるとは限らねえ。どれだけ心配したと思ってるんだ」
意思を曲げないジェイクにロゼッタは食い下がる。
「仲良くなった人たちもいたんだよお、仲良しさんとなら行ってもいいことにしない?」
「アリッサさん、どう視ます?」
アントンがアリッサに助言を乞う。アリッサは首を横に振った。
「危険は今回だけに限りません。このままだと命の危険に晒される可能性もあります」
「だとよ。アリッサが言うんなら間違いねーよ」
「そんなあ……」
そしてジェイクは「ロゼッタ、お前にはまた別の仕事を振るから、そっちで頑張ってくれねえか?」と提案した。
ロゼッタはしばらく沈黙して俯いていた。思い返せば、危険なシーンは幾度となくあった。間一髪で助かってきたようなものだ。危険な目に遭わせられないというのなら、守る必要があるというのなら、もう今回のように迷惑をかけるわけにはいかない。
「……解った。レンタルに行くのはやめる」
大人三人はホッと安堵の溜息をついた。
その後、ロゼッタはジェイクたちの身の回りの家事に専念するようになった。大活躍に称賛され褒められる毎日は輝かしかったが、美しい思い出として胸に秘めておこう。
「ああ、楽しかったなあ、冒険」
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