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第十二話 ロゼッタ貸します
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ある朝、ロゼッタは目覚まし時計よりも早く目覚め、時計を確認すると、布団の中で思案に耽った。顔を横に向ければ、ジェイクに買ってもらったセルロイド人形「ジェイディー」がいる。ロゼッタは名もない人形に、ジェイクのことを忘れないよう「ジェイディー」と、似た響きの名前を付けた。
「ジェイクに恩返しをしたい」。「ジェイクに一生ついていきたい」。そう考えはすれども、いまいち自分が貢献できることは少ないように思う。ジェイクが冒険者なら、ブースター能力でジェイクの危機を救うことができるだろう。だが、こんな平凡な武器屋で平穏に暮らしていては、ブースター能力などただの厄介な爆弾だ。
ロゼッタはいつかこの力でジェイクの役に立ちたいと、悶々と思案に耽っていた。
すると、目覚まし時計が鳴り響いた。起床の時間だ。物は試し、自分の気持ちをジェイクに告白してみようか。そうすれば幼い自分にも何らかの役割が貰えるかもしれない。
「ジェイク、あたしと結婚して」
朝食時に出し抜けにロゼッタが求婚するので、ジェイクは飲みかけていた牛乳を噴出し、誤嚥して激しくむせた。
「げほっ、げーっほげほ!おま、急に、何言いだす、げほっ!」
「あたしずっと考えてたの。ジェイクにお人形のお礼とか、ここに住まわせてくれてるお礼とか、どうやったらできるかなって。で、やっぱりジェイクのこと好きだから、結婚するしかないなって」
短絡的な思考に見える口ぶりだが、無論ロゼッタもいろいろ考えてのことだ。だが、ジェイクにもアントンにもその意図が見えない。
「結婚してと言われても、俺には選択権ねーのかよ?!いいか、この際だからお前ら二人にハッキリ言っておく。俺は花屋のモモと結婚するって決めてんだ。お前らと結婚もしないし結ばれる気もねえ!ロゼッタ、お前はいつか家に帰るまで預かってやってるだけだ。アントン、お前はタダの従業員だ。それを忘れるなよ!」
ジェイクはたまりかねて啖呵を切った。だが、ロゼッタも食い下がる。
「もちろん大人になるまで待つよ!今は結婚できないってことぐらいわかる!だから、大人になったら結婚して!それまで勉強頑張るしお手伝いもするから!」
「だから、大人になってもチャンスはねーよ!」
そこへ冷静にアントンが意見した。
「ジェイク、モモさんと婚約したんですか?」
「……しっ、してねえけど」
「告白したんですか?」
「してねえけど!」
「じゃあモモさんと結婚するとは決まってないじゃないですか」
「ぐるるるぅ……」
アントンにやり込められて、ジェイクは低く唸ることしかできなかった。
「そしてロゼッタ。確かにジェイクの言う通り、君の結婚してくれというお願いはジェイクの気持ちを無視している。ジェイクにお礼をしたいなら、店を手伝う、家事を手伝うなど、日々のお手伝いで精算できるはずだ。結婚するという考えはあまりに幼い」
「一生お手伝いするって意味だよ!」
「じゃあ聞くけど、これから先ジェイクより好きになれる人が現れるかもしれない。その時ジェイクに縛られていたら、幸せになるチャンスを失うかもしれないんだよ?」
「ジェイクより好きな人なんていないもん!」
「8年しか生きていないのにこの先百年二百年と生きる君がジェイク以上に好きな人が現れないなんて言えるかい?」
「うぐっ……」
確かに妖精族は長命で、三百年以上は余裕で生きてしまう。対して猫族など大体八十年も生きれば寿命だ。ぐうの音しか出ない論破に、ロゼッタも黙る。
「さあ、朝ご飯を済ませましょう。僕らは日々生きることしか余裕がないはずだ」
そう言って場を鎮めたアントンだったが、実は彼自身がこの三人の中で最も巨大な感情を蓄えていた。
(ロゼッタには高価な人形を買ってあげて僕はタダの従業員だなんて、そんなことが許されるか。僕の方がジェイクを愛している。最終的にジェイクはモモさんに振られてロゼッタは家に帰って、僕とジェイクは結ばれる。これは揺ぎ無い未来だ。僕には判る。くだらない言い争いで労働時間と売り上げ獲得の機会を圧迫しないでくれたまえ。僕は労働でジェイクに報いているんだ)
その日、馴染みの冒険者パーティーがジェイクの武器屋に立ち寄った。
「おお、久しぶりだな!この前繊細族の朝市があってよお、掘り出しもの見つけたんだよ。見ていくかい?」
「やっぱりジェイクの武器屋は大陸一の品揃えだね!また難しいクエストに行くから、装備を整えたかったんだ」
ロゼッタは冒険者パーティーと会話するジェイクの様子を、店の片隅の椅子に座ったまま眺めていた。すると、パーティーの一人がこちらに視線を向けてきた。背が低いので小人族かと思ったが、ほっそりした顔立ちなので妖精族か猿族なのだとわかった。ロゼッタが片手をあげてヒラヒラさせ、少年にアイコンタクトを送る。すると少年は驚いてすぐに顔をそむけてしまった。同い年ぐらいだろうか。あんな子供も冒険者として活躍できるのならば、ロゼッタにも冒険ができそうではないか。
ふと意識を冒険者パーティーに向けると、パーティーリーダーは仲間が足りないことを嘆いていた。
「それがさ、家業を手伝いたいって、魔法使いが抜けちゃったんだよ。あんなに魔力が高いのに、もう冒険はしないって。守りに入ったんだな」
「マジか。あいつ抜けちまったのか!残念だなあ」
「なあ、ジェイク。魔法使いの知り合いいないか?魔法使いがいないとさすがに生きて帰ってこれるか……。俺達の魔法じゃ大した戦力にならないんだよ」
「魔法使いの知り合いねえ……」
ロゼッタはそれを聞いてチャンスだと考えた。
「あたし!あたし、魔法使いだよ!お手伝いしようか?」
その場の全員の視線がロゼッタに注がれた。
「妖精族……?お嬢ちゃん、妖精族の魔法使いなのか!」
ジェイクは青くなって止めに入った。ロゼッタが実は魔力〇感のポンコツ妖精族だということは伝えねばならない。
「ま、待て待て待て待て。あいつはちょっとした事情で預かってる子供なんだ。魔法なんかからっきし使えなくてな。役には立たないと思うぜ?」
それは聞き捨てならない。ロゼッタは天性のブースターで大魔法使いだ。自力で魔法は使えないが、魔法アイテムは三倍にして使いこなせる。ロゼッタはジェイクの言葉を遮った。
「あたし、魔法アイテムの力を三倍にして使えるブースターなの。アイテム係になったらみんなまとめて助けてあげられるよ」
それを聞いてパーティーリーダーはジェイクと顔を見合せた。
「本当か?」
「あ、いや、ああ……まあ……変わったやつなんだ」
パーティーリーダーはロゼッタの前に行ってしゃがみ込み、彼女と目線を合わせた。
「僕らとクエストに出るのは怖くないのかい?」
「うん。でも、そうだなあ……」
ロゼッタはジェイクに報いるチャンスだと考えた。ジェイクはお金が大好きだ。だから、ジェイクの収益になれば許してくれるだろう。
「一回のクエストで百ファルスで手伝ってあげるよ!」
「おま、バカ!勝手に決めるな!」
ジェイクは慌てて制止した。だが。
「いいでしょジェイク?百ファルスだよ?百ファルスでお手伝いしてこれるんだよあたし?」
それは絶妙な金額だった。依頼主として百ファルスは高過ぎず安くもなく、信頼できる金額だ。
「百ファルスで傭兵を雇えるなら悪くないな。ジェイク、いいかな?」
一方ジェイクも、このお荷物少女が百ファルスに化けるならそう悪い話ではない。だが、身の安全は確保できるだろうか…?
「あー……OK。解った。じゃあ、サクッと契約書つくるから待ってろ」
「やったあ!!」
ロゼッタも冒険者パーティーも歓喜の声を上げた。ただ一人、冒険者パーティーの少年だけはドギマギと動揺していた。
その夜、旅の準備を整えながら、ロゼッタがアントンにマウンティングを取った。
「あたし、百ファルスで冒険のお手伝いするの。アントンよりジェイクの役に立ってるの」
アントンは呆れて、
「調子に乗って危険な真似しないでね」
とため息交じりに諭した。
出立の前の晩の夜、ロゼッタはジェイクから銃のレクチャーを受け、「本当に困った時にだけ使え。困ってないときは何もしないでついて行け。余計な真似はするなよ。この道具は店の金が使われてる備品だからな」と念を押され、数種のマジックアイテムと十数発の魔法弾を手渡された。冒険中の注意事項をジェイクに習い、ノートにメモするロゼッタ。
「お前は俺が一時的に預かってる子供だ。危険な真似はさせられない。絶対に無茶はしないで無事に帰ってこい」
その言葉にロゼッタは愛を感じ、ジェイクの言いつけはしっかり守らなければ、と、不足している記憶力をフルに使ってレクチャー内容を反芻しながら、翌朝、冒険者パーティーのクエストについていった。
「改めて自己紹介するよ。俺はアンダース。このパーティーのリーダーで猿族だ」
長い黒髪を首の後ろでくくった浅黒い肌の大男が名乗った。見るからにパワー系である。
「私は癒しの手のマリア。繊細族よ。怪我をしたら私に言いなさい」
真っ白な直毛の長い髪と真っ白な肌、赤い目をして黒いローブに身を包んだ女だった。
「俺はアリィ。鬼族だ。お嬢ちゃんは俺の後ろから離れるなよ。俺が守ってやる」
アンダースの頭一つ分大柄な、まさに鬼そのものな赤い肌の男だった。戦士なのだろう。
「オレはヨッケ。鍵屋だ。妖精族。よろしくな」
初めて会った時に目が合った少年が名乗った。昨日はフードを被っていたので気が付かなかったが、なるほど耳が大きくとがっている。年齢もロゼッタとそう変わらないという。
「よろしくヨッケ。妖精族仲間だね。鍵屋って何をするの?」
ロゼッタがとりわけヨッケに興味を示したので、彼は耳まで赤くなってそっぽを向いた。
「か……鍵とか、宝箱とか、罠とか外す役……」
「そんな危ないことできるんだ?!すごいね!」
「別にすごかねえよ……」
その様子を見てアンダースは笑った。
「早速ヨッケと仲良くなったみたいだな!ヨッケも隅に置けねえな!よろしくロゼッタ!ヨッケをよろしくな!」
「なっ、なんで俺が……!?」
ヨッケはアンダースにからかわれますます顔を赤くした。ずっと赤面しているのでまるで赤ら顔がデフォルトのようになっている。
「じゃ、みんなジミーに乗り込め!出発するぞ!」
一行は六輪の蒸気幌自動車ジミーに乗り込み冒険の旅に出発した。
ジミーは外装を布張りで覆われた幌自動車だ。窓はファスナー式になっていて、車全体が大きなファスナーで継ぎ接ぎになっていた。ロゼッタはファスナーを少し開けて外の空気を吸った。
「ロゼッタちゃん、酔った?」
「ん、まだ酔ってないけど、ちょっと苦しかったの」
となりに座っていたマリアがロゼッタを気遣う。運転手のアンダースは
「もうすぐ着くから我慢してくれよ!」
と、エンジンを吹かした。
着いたのは隣町の郊外。どうもここに〝黒いシー〟と呼ばれる妖精が現れるらしい。
「黒いシー?」
幼いころから人間社会に守られて生活してきたロゼッタにはそれがどんな存在かわからない。マリアは説明した。
「妖精族のあなたでもわからないかしら?シーというのはエルヴェンとは違う種族の妖精族で、もっとモンスターに近い独自の文化を持った野生の妖精なの。エルヴェンは人間社会に馴染んだけど、シーは閉鎖的な種族でね。黒いシーは黒魔術を使ったり、外部の人間を襲ったりする好戦的な種族なの。白いシーはもっとエルヴェンに近い種族だけど、白魔術を使って僻地で独自の文化の中で生きているわ」
「姿かたちも、シーはもっとモンスターに近いんだよ」
アンダースが補足した。
「じゃあ、ここから先は歩きだ。ハイウェイが黒いシーの影響で閉鎖されているからな。ハイウェイによじ登って歩くぞ!」
アンダースはそういうと盛り土の上に敷かれたハイウェイによじ登ろうとした。だが、土手はずるずると土が崩れて一向によじ登れない。
「アンダース?登れないの?」
土手でジタバタするアンダースを白い目で見つめて、ヨッケが声をかける。
「……登れない。諦めよう。側道を行くぞ」
仕方ないので一行はジミーに再び乗り込み側道を走った。
しばらく走ると目の前に暗雲が立ち込め、黒い霧に覆われた。
「う!しまった!黒いシーのテリトリーだ!窓を開けるな!」
ロゼッタは慌ててファスナーを締めたが遅かった。敵に捕捉されジミーの幌外装を突き破って黒いシーの槍がおびただしく突き刺さってきた!
「チ!降りろ者共!戦闘だ!」
鬼族のアリィが叫び、アンダースが車を停めると、ファスナーを開けて仲間たちが車から飛び出した。
黒いシーたちはおぞましい醜悪な姿をしていた。アッシュブロンドの髪をおかっぱに切りそろえ、老婆のようなシワの寄ったしかめ面、浅黒い肌、垂れた乳房を露出していて、透明なトンボのような羽でホバリングして浮いている。足はシジミチョウのような黒く薄い蝶の羽でできており、肩からショッキングピンクの毛織物を羽織っていた。そして、皆一様に手に槍を持ち、飛び回りながら刺してくる。
アンダースは長剣を振り回し黒いシーたちを攻撃するが、ヒラヒラかわされてなかなか攻撃が当たらない。
「くそっ、魔法はどうだ、マリア?!」
マリアは電撃の魔法で黒いシーを攻撃するが、妖精族は耐魔力がもともと高いため、有効な攻撃にはならなかった。
「うおおおおお!!!」
アリィは飛び回る黒いシーに狙いを定め、バトルハンマーで叩き落とした!衝撃で黒いシーは動けない!
「今だ!」
そこへアンダースとヨッケが追加攻撃を加える。見事な連係プレーで黒いシーを一匹仕留めた!
だが、如何せん数が多い。少なければ連係プレーで確実に倒せるが、その間もおびただしい槍が攻撃の手を止めない。
「ぐあああ!!くそっ!ええい、散れ!」
仲間たちは武器を振り回して黒いシーたちを追い払うが、彼女たちの攻撃の手は止まない。
「ロゼッタ!有効な手はないか?!」
アンダースの悲鳴に、ロゼッタは一瞬迷った。
(どうしよう、ジェイクには滅多に攻撃するなって言われたけど……。今、今がその時だよね?!)
ロゼッタは道具袋をまさぐり、爆発の弾丸を探した。しかし、爆発の弾丸を掴んだと思ったら、手が滑って風の弾丸を掴んでしまった!そのままかんしゃく玉のごとく弾丸を敵の中心へ叩きつける!
「えーい!」
すると、巨大な竜巻が起こった!黒いシーたちは羽の揚力を受けて上空へ巻き上げられ、天高く舞い上がり、竜巻が消えると勢いよく地面に落下して全滅した。
「す……すげえ……」
アリィは竜巻の中心で耐えていたためもろに風の力を受けていた。未だかつてこんな巨大竜巻魔法を体験したことがない。体中が切り刻まれ、軽くはない怪我を負ったが、命は助かった。
「た……倒しちゃった……」
ロゼッタは初めての実戦でブースター能力を使い、緊張の糸が切れて腰を抜かした。一拍置いて、仲間たちがロゼッタに群がり彼女を胴上げした。
「ロゼッタ!すげえよお前!やったー!」
「ロゼッタ様々だぜ!俺の目に狂いはなかった!」
「エヘヘ……まあね……任せて……」
ロゼッタは担ぎ上げられながら、自分の力が認められた喜びをかみしめていた。
黒いシー討伐はその集落の白いシーたちの依頼だった。白いシーは蜂の羽をもった妖精で、深紅の髪をおかっぱに切りそろえ、真っ青な鮮やかな青いワンピースドレスを身にまとった姿をしていた。肌はピンク色に色づき、足には青いおでこ靴を履いている。
「黒いシーを倒してくださりありがとうございました。これは謝礼です」
白いシーの代表は袋いっぱいのファルス紙幣を差し出した。
「エヘヘ、あたしの魔法でやっつけたんだよ!」
ロゼッタは得意げになって胸を張ったが、そこを白いシーに諫められる。
「あなたの力は強大すぎます。その力はあなた自身も危険に晒すでしょう。あまり自分の力を過信して、乱用しないように気をつけなさい」
確かジェイクにも同じようなことを言われた気がする。ロゼッタは小さくなって、「はい……」と俯いた。パーティーメンバーはどっと笑って、
「まあ、ほどほどにってこった!」
と、ロゼッタの頭をくしゃりと撫でた。
「へえー、すごいなロゼッタ。お手柄じゃないか」
ジェイクの武器屋に帰ってきて、アンダースの報告を聞いたジェイクはロゼッタを素直に褒めた。ロゼッタは身をよじって照れている。
「いやあ~、それほどでもお~」
アンダースはジェイクに打診してみた。
「なあ、あの子、うちのパーティーにくれないか?是非一緒に冒険したい」
ジェイクはそれを聞いて顔を曇らせた。ロゼッタはあくまで預かっている迷子だ。親が見つかるまで預からなくてはならない。そう、警察に指導されている。
「それは駄目だ。警察にロゼッタの話を通しているんだ。親が見つかるまで特別に預かっている子なんだよ。くれてやるわけにはいかない」
アンダースは残念そうに笑い、
「そうか……。それじゃ残念だな。じゃあ、また難しいクエストに出かけるときはロゼッタを借りるよ。今度は依頼料も弾むよ」
「本当か?!わりぃな。サンキュ」
そう話すジェイクとアンダースの横で、鍵屋のヨッケがロゼッタをじっと見つめていた。ロゼッタはヨッケの視線には気づかず、ジェイクに頭を擦り付けベタベタくっついている。ヨッケは苦い顔をして、目を逸らせた。
アンダース一行が店を立ち去った後、ロゼッタはジェイクに腕を絡ませて訊いた。
「ねえ~ジェイク?あたし役に立ってる?」
ジェイクはロゼッタの頭を撫で、
「ああ、大手柄だよ。お前のレンタルは商売になりそうだ。すっげー役に立ってる」
と、彼女を褒めた。
ロゼッタは夢が現実になったと喜び、数日は興奮冷めやらぬ様子だったという。
「ジェイクに恩返しをしたい」。「ジェイクに一生ついていきたい」。そう考えはすれども、いまいち自分が貢献できることは少ないように思う。ジェイクが冒険者なら、ブースター能力でジェイクの危機を救うことができるだろう。だが、こんな平凡な武器屋で平穏に暮らしていては、ブースター能力などただの厄介な爆弾だ。
ロゼッタはいつかこの力でジェイクの役に立ちたいと、悶々と思案に耽っていた。
すると、目覚まし時計が鳴り響いた。起床の時間だ。物は試し、自分の気持ちをジェイクに告白してみようか。そうすれば幼い自分にも何らかの役割が貰えるかもしれない。
「ジェイク、あたしと結婚して」
朝食時に出し抜けにロゼッタが求婚するので、ジェイクは飲みかけていた牛乳を噴出し、誤嚥して激しくむせた。
「げほっ、げーっほげほ!おま、急に、何言いだす、げほっ!」
「あたしずっと考えてたの。ジェイクにお人形のお礼とか、ここに住まわせてくれてるお礼とか、どうやったらできるかなって。で、やっぱりジェイクのこと好きだから、結婚するしかないなって」
短絡的な思考に見える口ぶりだが、無論ロゼッタもいろいろ考えてのことだ。だが、ジェイクにもアントンにもその意図が見えない。
「結婚してと言われても、俺には選択権ねーのかよ?!いいか、この際だからお前ら二人にハッキリ言っておく。俺は花屋のモモと結婚するって決めてんだ。お前らと結婚もしないし結ばれる気もねえ!ロゼッタ、お前はいつか家に帰るまで預かってやってるだけだ。アントン、お前はタダの従業員だ。それを忘れるなよ!」
ジェイクはたまりかねて啖呵を切った。だが、ロゼッタも食い下がる。
「もちろん大人になるまで待つよ!今は結婚できないってことぐらいわかる!だから、大人になったら結婚して!それまで勉強頑張るしお手伝いもするから!」
「だから、大人になってもチャンスはねーよ!」
そこへ冷静にアントンが意見した。
「ジェイク、モモさんと婚約したんですか?」
「……しっ、してねえけど」
「告白したんですか?」
「してねえけど!」
「じゃあモモさんと結婚するとは決まってないじゃないですか」
「ぐるるるぅ……」
アントンにやり込められて、ジェイクは低く唸ることしかできなかった。
「そしてロゼッタ。確かにジェイクの言う通り、君の結婚してくれというお願いはジェイクの気持ちを無視している。ジェイクにお礼をしたいなら、店を手伝う、家事を手伝うなど、日々のお手伝いで精算できるはずだ。結婚するという考えはあまりに幼い」
「一生お手伝いするって意味だよ!」
「じゃあ聞くけど、これから先ジェイクより好きになれる人が現れるかもしれない。その時ジェイクに縛られていたら、幸せになるチャンスを失うかもしれないんだよ?」
「ジェイクより好きな人なんていないもん!」
「8年しか生きていないのにこの先百年二百年と生きる君がジェイク以上に好きな人が現れないなんて言えるかい?」
「うぐっ……」
確かに妖精族は長命で、三百年以上は余裕で生きてしまう。対して猫族など大体八十年も生きれば寿命だ。ぐうの音しか出ない論破に、ロゼッタも黙る。
「さあ、朝ご飯を済ませましょう。僕らは日々生きることしか余裕がないはずだ」
そう言って場を鎮めたアントンだったが、実は彼自身がこの三人の中で最も巨大な感情を蓄えていた。
(ロゼッタには高価な人形を買ってあげて僕はタダの従業員だなんて、そんなことが許されるか。僕の方がジェイクを愛している。最終的にジェイクはモモさんに振られてロゼッタは家に帰って、僕とジェイクは結ばれる。これは揺ぎ無い未来だ。僕には判る。くだらない言い争いで労働時間と売り上げ獲得の機会を圧迫しないでくれたまえ。僕は労働でジェイクに報いているんだ)
その日、馴染みの冒険者パーティーがジェイクの武器屋に立ち寄った。
「おお、久しぶりだな!この前繊細族の朝市があってよお、掘り出しもの見つけたんだよ。見ていくかい?」
「やっぱりジェイクの武器屋は大陸一の品揃えだね!また難しいクエストに行くから、装備を整えたかったんだ」
ロゼッタは冒険者パーティーと会話するジェイクの様子を、店の片隅の椅子に座ったまま眺めていた。すると、パーティーの一人がこちらに視線を向けてきた。背が低いので小人族かと思ったが、ほっそりした顔立ちなので妖精族か猿族なのだとわかった。ロゼッタが片手をあげてヒラヒラさせ、少年にアイコンタクトを送る。すると少年は驚いてすぐに顔をそむけてしまった。同い年ぐらいだろうか。あんな子供も冒険者として活躍できるのならば、ロゼッタにも冒険ができそうではないか。
ふと意識を冒険者パーティーに向けると、パーティーリーダーは仲間が足りないことを嘆いていた。
「それがさ、家業を手伝いたいって、魔法使いが抜けちゃったんだよ。あんなに魔力が高いのに、もう冒険はしないって。守りに入ったんだな」
「マジか。あいつ抜けちまったのか!残念だなあ」
「なあ、ジェイク。魔法使いの知り合いいないか?魔法使いがいないとさすがに生きて帰ってこれるか……。俺達の魔法じゃ大した戦力にならないんだよ」
「魔法使いの知り合いねえ……」
ロゼッタはそれを聞いてチャンスだと考えた。
「あたし!あたし、魔法使いだよ!お手伝いしようか?」
その場の全員の視線がロゼッタに注がれた。
「妖精族……?お嬢ちゃん、妖精族の魔法使いなのか!」
ジェイクは青くなって止めに入った。ロゼッタが実は魔力〇感のポンコツ妖精族だということは伝えねばならない。
「ま、待て待て待て待て。あいつはちょっとした事情で預かってる子供なんだ。魔法なんかからっきし使えなくてな。役には立たないと思うぜ?」
それは聞き捨てならない。ロゼッタは天性のブースターで大魔法使いだ。自力で魔法は使えないが、魔法アイテムは三倍にして使いこなせる。ロゼッタはジェイクの言葉を遮った。
「あたし、魔法アイテムの力を三倍にして使えるブースターなの。アイテム係になったらみんなまとめて助けてあげられるよ」
それを聞いてパーティーリーダーはジェイクと顔を見合せた。
「本当か?」
「あ、いや、ああ……まあ……変わったやつなんだ」
パーティーリーダーはロゼッタの前に行ってしゃがみ込み、彼女と目線を合わせた。
「僕らとクエストに出るのは怖くないのかい?」
「うん。でも、そうだなあ……」
ロゼッタはジェイクに報いるチャンスだと考えた。ジェイクはお金が大好きだ。だから、ジェイクの収益になれば許してくれるだろう。
「一回のクエストで百ファルスで手伝ってあげるよ!」
「おま、バカ!勝手に決めるな!」
ジェイクは慌てて制止した。だが。
「いいでしょジェイク?百ファルスだよ?百ファルスでお手伝いしてこれるんだよあたし?」
それは絶妙な金額だった。依頼主として百ファルスは高過ぎず安くもなく、信頼できる金額だ。
「百ファルスで傭兵を雇えるなら悪くないな。ジェイク、いいかな?」
一方ジェイクも、このお荷物少女が百ファルスに化けるならそう悪い話ではない。だが、身の安全は確保できるだろうか…?
「あー……OK。解った。じゃあ、サクッと契約書つくるから待ってろ」
「やったあ!!」
ロゼッタも冒険者パーティーも歓喜の声を上げた。ただ一人、冒険者パーティーの少年だけはドギマギと動揺していた。
その夜、旅の準備を整えながら、ロゼッタがアントンにマウンティングを取った。
「あたし、百ファルスで冒険のお手伝いするの。アントンよりジェイクの役に立ってるの」
アントンは呆れて、
「調子に乗って危険な真似しないでね」
とため息交じりに諭した。
出立の前の晩の夜、ロゼッタはジェイクから銃のレクチャーを受け、「本当に困った時にだけ使え。困ってないときは何もしないでついて行け。余計な真似はするなよ。この道具は店の金が使われてる備品だからな」と念を押され、数種のマジックアイテムと十数発の魔法弾を手渡された。冒険中の注意事項をジェイクに習い、ノートにメモするロゼッタ。
「お前は俺が一時的に預かってる子供だ。危険な真似はさせられない。絶対に無茶はしないで無事に帰ってこい」
その言葉にロゼッタは愛を感じ、ジェイクの言いつけはしっかり守らなければ、と、不足している記憶力をフルに使ってレクチャー内容を反芻しながら、翌朝、冒険者パーティーのクエストについていった。
「改めて自己紹介するよ。俺はアンダース。このパーティーのリーダーで猿族だ」
長い黒髪を首の後ろでくくった浅黒い肌の大男が名乗った。見るからにパワー系である。
「私は癒しの手のマリア。繊細族よ。怪我をしたら私に言いなさい」
真っ白な直毛の長い髪と真っ白な肌、赤い目をして黒いローブに身を包んだ女だった。
「俺はアリィ。鬼族だ。お嬢ちゃんは俺の後ろから離れるなよ。俺が守ってやる」
アンダースの頭一つ分大柄な、まさに鬼そのものな赤い肌の男だった。戦士なのだろう。
「オレはヨッケ。鍵屋だ。妖精族。よろしくな」
初めて会った時に目が合った少年が名乗った。昨日はフードを被っていたので気が付かなかったが、なるほど耳が大きくとがっている。年齢もロゼッタとそう変わらないという。
「よろしくヨッケ。妖精族仲間だね。鍵屋って何をするの?」
ロゼッタがとりわけヨッケに興味を示したので、彼は耳まで赤くなってそっぽを向いた。
「か……鍵とか、宝箱とか、罠とか外す役……」
「そんな危ないことできるんだ?!すごいね!」
「別にすごかねえよ……」
その様子を見てアンダースは笑った。
「早速ヨッケと仲良くなったみたいだな!ヨッケも隅に置けねえな!よろしくロゼッタ!ヨッケをよろしくな!」
「なっ、なんで俺が……!?」
ヨッケはアンダースにからかわれますます顔を赤くした。ずっと赤面しているのでまるで赤ら顔がデフォルトのようになっている。
「じゃ、みんなジミーに乗り込め!出発するぞ!」
一行は六輪の蒸気幌自動車ジミーに乗り込み冒険の旅に出発した。
ジミーは外装を布張りで覆われた幌自動車だ。窓はファスナー式になっていて、車全体が大きなファスナーで継ぎ接ぎになっていた。ロゼッタはファスナーを少し開けて外の空気を吸った。
「ロゼッタちゃん、酔った?」
「ん、まだ酔ってないけど、ちょっと苦しかったの」
となりに座っていたマリアがロゼッタを気遣う。運転手のアンダースは
「もうすぐ着くから我慢してくれよ!」
と、エンジンを吹かした。
着いたのは隣町の郊外。どうもここに〝黒いシー〟と呼ばれる妖精が現れるらしい。
「黒いシー?」
幼いころから人間社会に守られて生活してきたロゼッタにはそれがどんな存在かわからない。マリアは説明した。
「妖精族のあなたでもわからないかしら?シーというのはエルヴェンとは違う種族の妖精族で、もっとモンスターに近い独自の文化を持った野生の妖精なの。エルヴェンは人間社会に馴染んだけど、シーは閉鎖的な種族でね。黒いシーは黒魔術を使ったり、外部の人間を襲ったりする好戦的な種族なの。白いシーはもっとエルヴェンに近い種族だけど、白魔術を使って僻地で独自の文化の中で生きているわ」
「姿かたちも、シーはもっとモンスターに近いんだよ」
アンダースが補足した。
「じゃあ、ここから先は歩きだ。ハイウェイが黒いシーの影響で閉鎖されているからな。ハイウェイによじ登って歩くぞ!」
アンダースはそういうと盛り土の上に敷かれたハイウェイによじ登ろうとした。だが、土手はずるずると土が崩れて一向によじ登れない。
「アンダース?登れないの?」
土手でジタバタするアンダースを白い目で見つめて、ヨッケが声をかける。
「……登れない。諦めよう。側道を行くぞ」
仕方ないので一行はジミーに再び乗り込み側道を走った。
しばらく走ると目の前に暗雲が立ち込め、黒い霧に覆われた。
「う!しまった!黒いシーのテリトリーだ!窓を開けるな!」
ロゼッタは慌ててファスナーを締めたが遅かった。敵に捕捉されジミーの幌外装を突き破って黒いシーの槍がおびただしく突き刺さってきた!
「チ!降りろ者共!戦闘だ!」
鬼族のアリィが叫び、アンダースが車を停めると、ファスナーを開けて仲間たちが車から飛び出した。
黒いシーたちはおぞましい醜悪な姿をしていた。アッシュブロンドの髪をおかっぱに切りそろえ、老婆のようなシワの寄ったしかめ面、浅黒い肌、垂れた乳房を露出していて、透明なトンボのような羽でホバリングして浮いている。足はシジミチョウのような黒く薄い蝶の羽でできており、肩からショッキングピンクの毛織物を羽織っていた。そして、皆一様に手に槍を持ち、飛び回りながら刺してくる。
アンダースは長剣を振り回し黒いシーたちを攻撃するが、ヒラヒラかわされてなかなか攻撃が当たらない。
「くそっ、魔法はどうだ、マリア?!」
マリアは電撃の魔法で黒いシーを攻撃するが、妖精族は耐魔力がもともと高いため、有効な攻撃にはならなかった。
「うおおおおお!!!」
アリィは飛び回る黒いシーに狙いを定め、バトルハンマーで叩き落とした!衝撃で黒いシーは動けない!
「今だ!」
そこへアンダースとヨッケが追加攻撃を加える。見事な連係プレーで黒いシーを一匹仕留めた!
だが、如何せん数が多い。少なければ連係プレーで確実に倒せるが、その間もおびただしい槍が攻撃の手を止めない。
「ぐあああ!!くそっ!ええい、散れ!」
仲間たちは武器を振り回して黒いシーたちを追い払うが、彼女たちの攻撃の手は止まない。
「ロゼッタ!有効な手はないか?!」
アンダースの悲鳴に、ロゼッタは一瞬迷った。
(どうしよう、ジェイクには滅多に攻撃するなって言われたけど……。今、今がその時だよね?!)
ロゼッタは道具袋をまさぐり、爆発の弾丸を探した。しかし、爆発の弾丸を掴んだと思ったら、手が滑って風の弾丸を掴んでしまった!そのままかんしゃく玉のごとく弾丸を敵の中心へ叩きつける!
「えーい!」
すると、巨大な竜巻が起こった!黒いシーたちは羽の揚力を受けて上空へ巻き上げられ、天高く舞い上がり、竜巻が消えると勢いよく地面に落下して全滅した。
「す……すげえ……」
アリィは竜巻の中心で耐えていたためもろに風の力を受けていた。未だかつてこんな巨大竜巻魔法を体験したことがない。体中が切り刻まれ、軽くはない怪我を負ったが、命は助かった。
「た……倒しちゃった……」
ロゼッタは初めての実戦でブースター能力を使い、緊張の糸が切れて腰を抜かした。一拍置いて、仲間たちがロゼッタに群がり彼女を胴上げした。
「ロゼッタ!すげえよお前!やったー!」
「ロゼッタ様々だぜ!俺の目に狂いはなかった!」
「エヘヘ……まあね……任せて……」
ロゼッタは担ぎ上げられながら、自分の力が認められた喜びをかみしめていた。
黒いシー討伐はその集落の白いシーたちの依頼だった。白いシーは蜂の羽をもった妖精で、深紅の髪をおかっぱに切りそろえ、真っ青な鮮やかな青いワンピースドレスを身にまとった姿をしていた。肌はピンク色に色づき、足には青いおでこ靴を履いている。
「黒いシーを倒してくださりありがとうございました。これは謝礼です」
白いシーの代表は袋いっぱいのファルス紙幣を差し出した。
「エヘヘ、あたしの魔法でやっつけたんだよ!」
ロゼッタは得意げになって胸を張ったが、そこを白いシーに諫められる。
「あなたの力は強大すぎます。その力はあなた自身も危険に晒すでしょう。あまり自分の力を過信して、乱用しないように気をつけなさい」
確かジェイクにも同じようなことを言われた気がする。ロゼッタは小さくなって、「はい……」と俯いた。パーティーメンバーはどっと笑って、
「まあ、ほどほどにってこった!」
と、ロゼッタの頭をくしゃりと撫でた。
「へえー、すごいなロゼッタ。お手柄じゃないか」
ジェイクの武器屋に帰ってきて、アンダースの報告を聞いたジェイクはロゼッタを素直に褒めた。ロゼッタは身をよじって照れている。
「いやあ~、それほどでもお~」
アンダースはジェイクに打診してみた。
「なあ、あの子、うちのパーティーにくれないか?是非一緒に冒険したい」
ジェイクはそれを聞いて顔を曇らせた。ロゼッタはあくまで預かっている迷子だ。親が見つかるまで預からなくてはならない。そう、警察に指導されている。
「それは駄目だ。警察にロゼッタの話を通しているんだ。親が見つかるまで特別に預かっている子なんだよ。くれてやるわけにはいかない」
アンダースは残念そうに笑い、
「そうか……。それじゃ残念だな。じゃあ、また難しいクエストに出かけるときはロゼッタを借りるよ。今度は依頼料も弾むよ」
「本当か?!わりぃな。サンキュ」
そう話すジェイクとアンダースの横で、鍵屋のヨッケがロゼッタをじっと見つめていた。ロゼッタはヨッケの視線には気づかず、ジェイクに頭を擦り付けベタベタくっついている。ヨッケは苦い顔をして、目を逸らせた。
アンダース一行が店を立ち去った後、ロゼッタはジェイクに腕を絡ませて訊いた。
「ねえ~ジェイク?あたし役に立ってる?」
ジェイクはロゼッタの頭を撫で、
「ああ、大手柄だよ。お前のレンタルは商売になりそうだ。すっげー役に立ってる」
と、彼女を褒めた。
ロゼッタは夢が現実になったと喜び、数日は興奮冷めやらぬ様子だったという。
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