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●本編●

46.クーチュリエ、クーチュリェール、来襲。②

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 メイヴィスお姉様のドレスは本当に素敵、溜息がしきりに溢れ出るほどにお姉様の魅力を最大限引き立てて、変わるはずのない絶対値を底上げしていた。

お姉様の要望を全て反映した、との言葉に相違なく、この1着で何度でもイメージチェンジできてしまう驚き桃の木な乙女心をくすぐるアイデア満載な仕掛けがいっぱいに、このドレスに詰め込まれているのだ。

シルエットとしてはプリンセスライン、腰よりも少し高い位置でスカート部分に切り替わっており、その切り替わり部分は取り外せるリボンで可愛らしく隠すことができ、ボリュームのあるスカート部分がより一層全体の可愛らしさをアップしてくれるミモレ丈のドレスとなっている。

デコルテ部分は浅めのVネックで、装飾は少なくキラキラと煌く茶系の宝石が上品に散りばめられている。

スリーブ部分の上部はパフスリーブで、ふんわり可愛らしさを重視した丸みのある膨らみ具合で、見た目も重量も重くなりすぎないように白っぽい色味の透け感のある素材が使われている。
そしてその下から袖口に向かって広がるベルスリーブがあり、この部分が着脱可能部分になっているそうだ。
袖の途中でパフスリーブ部分と同じ透け感のある素材に切り替わっており、この部分には銅色の糸で繊細な刺繍がと縁取りが施してある。
お姉様の髪色に合わせたのだろう、妹さんも同じ茶系の髪色だそうだから、お下がりにしても問題なく着られる。

スカート部分はチュールのようなメッシュっぽい素材が何層も重ねられていて、丈の長さが層によって違うので遠目に見ると大輪の花のように見える。
この状態でもとっても可愛いのに、更にこの上にティアードタイプのオーバースカートを巻くことができ、そうすると華やかさがぐんっとアップする。
しかもこのオーバースカートは、腰巻きor全身とパーティーの雰囲気に合わせて選べて、印象もガラッと様変わりさせられる優れものなのだ!

しかもそれだけではなく、取り外しできるパーツは全てリバーシブルになっていて、カラーチェンジも出来てしまうのだそう。

元のドレスとベルスリーブの表の色味は鮮やかな黄ジョーヌ、オーバースカートの表の色味は艷のある鮮やかな赤ルージュ、そしてベルスリーブとオーバースカートの裏は同じ瑠璃色ラピスラジュリ

カラーチェンジver.も勿論しっかりちゃっかり見せていただいた。
衝立には隠れる必要もないので、その場でちゃっちゃと手際よくポルクスィーヌ様の手でチェンジされていった。

ベルスリーブ部分は裏返してもしっかり同じ糸で同じ刺繍が施されている、どうやら薄い生地を間に挟んで刺繍が施された生地が2枚裏と表にくるよう、計3枚の生地が使われているようだ。
そして胴体部分とスカート部分にオーバースカートを巻き付ける、というよりも上からすっぽり覆い被せるといったほうが正しいかも知れない。
パフスリーブを邪魔せずに、そのまま被せられるノースリーブ仕様の胴部分がオーバースカートの内側にしまい込まれていたのだ。
ティアードになっているので、全然わからなかった。
覆いかぶせた胴部分のデコルテはボートネックに変化して、元のドレスを見えづらくしつつ、また違ったテイストを演出する要因にもなっている。

シックでありながら、華やかさも可愛らしさも全く損なわれていない、カスティオール様のセンスが光る文句の付け所が見つけられないほど、素晴らしい工夫の凝らされたドレスだった。


 オートクチュールドレスの素晴らしさを堪能しきった後、わたくしが1番最初に頭に思い浮かべた事柄は、着る上での最懸念事項にして物理的な問題。
そう、それは至極単純にーー。

 ーー重っっっっそう…!!!ーー

誕生日パーティの始まる前、私はお父様が軽量化の魔法をかけ直してくれるまで実際に体感した。
華やかなドレスが教えてくれたのだ、この世界には確実に重力かあることを、この身を地に伏せさせんとする、その確か過ぎる重量感でもって十二分に感じさせてくれた。

だから思わず、気になりすぎて聞いてしまった。

「とっても、存在感がありますわね、本当に、色んな意味で、確かな存在感と重量感を考えずにはいられないと言いますか、気になって仕方ないと言いますか、重くはないのでしょうか?」

婉曲的な表現に使える上手い言葉が出てこなかった。
少なすぎるボキャブラリーに乏しすぎるコミュニケーション能力が相乗効果を発揮しすぎて、ストレートにしか言葉を発せられなかった、惨敗再び。

問題ないよパドゥプロブレム! 胸元に散りばめられた石は全部ただの石じゃなくって、軽量化の魔法が込められた魔石なんだぁ♪ ついてるの全部でドレスの重量を相殺してるのさぁ~っ♪ 全体のデッサンを華やかに引きたてる宝石が実はぜぇ~~んぶっ、魔石だなぁ~んてこと、見ただけじゃわからないよねぇ~~♪ 驚いたぁ~~? おどろいたよねぇ~~?! 大成功サカルトン!!」

あっけらかんと、私の懸念事項が杞憂であると簡潔に否定して、殊の外楽しそうに種明かしして下さった。

 ーー魔石…! 成る程、魔石様々っ!! ビバ、魔法在りきのファンタジー世界!!!ーー

今朝仕入れたばかりの知識がここでも頭から抜け落ちていた、巷に溢れかえっている魔石は便利グッズだけかと思ったら、ドレスの装飾品にまで応用がきくなんて、汎用性高すぎか!?

しかしこの魔石、何が一番凄いって、一番小さいものでも金貨10枚はくだらないという事実だ、恐ろしい。

たかが魔石と思うなかれ、この魔石は一味も二味も違うのだという。
本来は封じ込める魔法の色に染まってしまう魔石を装飾に使う為に更に色変えの魔法を施し、尚且つ輝きも出すために施した魔法が維持されるよう細心の注意を払ってカッティングしている。
つまりはもっと大きかった魔石を美しい輝きが出るまで削りに削って、最終的にあのサイズにまで削られきってしまったのだ、恐ろしい!

それ以外にも諸々、もうホント、諸々の工程を経て、装飾品として採用された手間も暇も過分に込められきった一級品の魔石なのだそうだ、恐ろしい!!

 ーー胸が震えるわ、色んな意味で。ーー

もう、何に1番心震わされたかなんて、言うまでも無い。
だって、魔石が大きめのだけで、…10個はある、小さいのなんて……数えたくない、恐ろしい!!!
だってだって、絶対に間違いなくこのドレスの総額ってーー。

 ーー相当、お高いのでしょう…?ーー

魔石を自分の目で直に見て決めたくだりを意気揚々と語り聞かせて下さろうとするカスティオール様の話しを遮る気はなかった、ポロッと、言葉が思ったままストレートに洩れ出てしまったのは紛れもなく不幸な事故だ。

「このドレス、総額幾らかしら…?」

うん? 気になっちゃう? ざっと見積もって…端数切ってぇ、これぐらい? だったよね、ポーリー?! これでぇ…合ってるぅセヴレ??」

私の溢した言葉を拾い上げて、その問いに答えるためジャケットの内側を探り、長方形の薄い板を取り出した。
それから手に持ったその板の表面にある、半円に盛り上がったボタンらしきものを反対の手の指でポチポチと押して、ポルクスィーヌ様に確認してもらうためにボタンのある面を見せている。

どれどれぇヴァィヨンヴァィヨン…? そうね、大丈夫、それであってるわぁ~♪ でもでも、上質な魔石の加工工房を見つけられたのは多分に公爵様の後ろ盾があってのことだからぁ、その分おまけにおまけ、も一つくらいおまけして、か~ら~の~、お得意様価格になってまぁ~~~すぅっ♪♪」

 ーーえ、これで? 嘘でしょ?! 0が、見たこと無い個数添付されている気がするんですが??!ーー

カスティオール様の手からポルクスィーヌ様へと手渡された長方形の板を私にだけ見えるように差し出された。
この世界での電卓みたいなもののようで、ボタンの上に数字が表示される枠があった。
その中に表示された数字を見て、後ろに続く0を目で追っていくと自然に、数秒間息が止まり、目玉がポンっと眼窩から弾け出てしまった。

 ーーこれ、これで、お得意様価格…??! 原価そのままだったら、いったいいくらまで膨れ上がってしまうの?!! あれ、これって、お支払いは確か……アルヴェインお兄様、個人持ち…?ーー

サァーーーーッ、と血の気が引いて顔面蒼白になる。

 ーーそんなっ?! お、お兄様、破産してしまわれるのでは…?! 御年10歳で膨大なマイナススタートな借金生活確定??!ーー

カタカタと小刻みに体が震えはじめる。
自分のせいで、お兄様が不幸になってしまう。
無意識に『悪役令嬢』の役割を全うしてしまった?
これもゲーム本編では語られないバックグラウンドでの決められた道筋シナリオ上の出来事だったとでもいうのだろうか?

 ーー軽い思いつきで何てことを…?! 償いとしてアルヴェインお兄様に提案させてしまったのだろう。 私は決して、お兄様を路頭に迷わせたかったわけではない、間違っても欠片でもそんなことは意図していなかったと、断言できるのに、そんな自分に都合の良い弁解をする余地があるとは思えない!!ーー

目に見えて顔色をなくした私を見て、慌てだしたお2人が交互に声をかけてくださる。

大丈夫エスクサヴァ?! どうしたのぉ、急に寒くなっちゃった?! 何が原因かなぁ~~? あ、もしかして、これのせい??」

きっとそうよプロバブルモンカーティー、これ以外にベベを凍りつかせた原因はこれしか思い当たらないわ! でもね、安心して良いのよベベ! お代はしっかり耳を揃えて頂いた後だからね!!」

そうそうセッサセッサ! ポーリーの言った通り、支払いは一括できっちり精算済みだから、何の心配もないよぉ~♪ だってだって、ここは何を隠そう、天下のフォコンペレーラ公爵家なんだから、右から左にポンっと動かせる金額だよぉ~~って、ポーリーが言ってたんだけどねぇ♪」

その通りイグザクトモン! だって本当のことだもの!! 今回はご長男様の支払いだって聞いていたから、こちらの部屋にうかがう前に先んじて御本人に直接請求書類をお見せしてきたのよぉ~♪ そしたらそしたら、内容を確認されてすぐに、サラサラ~っと躊躇なく署名したコレをポンって、普段と同じ涼しい顔で手渡して下さったわぁ~~♡」

ピラリ!

ポルクスィーヌ様はジャケットの内ポケットから大事そうに一枚の細長い紙を取り出し、すぐさま誇らしげにピシっと突っ張って、その表面が見やすいように掲げて見せて下さった。

ちょっと近すぎる位置にある紙の表面に記された内容をまじまじと見る。
そこには先程見せていただいた電卓もどきに表示されていた金額と同じ額面が記されており、その紙の右下にはインクの跡が真新しい署名がされており、捺印された印章は元から押してあったようで乾いていた。

 ーーお兄様ったら男前っ! さっすが、ベリーベリーハイソな公爵家!! 前世庶民な私の浅慮な憂慮などお呼びでない程、潤沢で莫大、財力の底が違ったわ!!!ーー

そうだ、そうだった、フォコンペレーラ公爵家は十年以上前に・・・・・・財政難を脱し終えているのだった。
今やその総資産は5つの公爵家で随一を誇っているのだった。
その公爵家の嫡男が、路頭に迷う可能性など元から無かったのだ。

へにゃへにゃ~~………、ぺたん。

安心した途端、脚から力が抜けてその場に座り込んでしまった。
そのままの姿勢で、深く長い、心からの安堵の溜息を、出る息がなくなるまで出し切った。


 あの後安堵の度合いが激しくて、安心しすぎて腰が抜けてしまった。
そんな私の情けなく無様な姿に、それまで会話にも私たち3人の絡みにも参加せずに傍観者に徹していたメイヴィスお姉様が遂に参入してきた。

「ライリエル様ぁ~~っ?! 私のドレスのせいで、こんな事にっっっ!!? 誠にっ申し訳ございませんん~~~っ、申し開きの余地もございません私のせいですうぅ~~~~!!!」

前にも見たことがある、この光景。
顔面飛び込みでもするのかと心配したがそうではなかった。
スライディングからの土下座ならぬ土下伏せをもって華麗なる参入、もとい乱入を果たしお姉様は、柔らかな絨毯の敷かれた床に際限なく額ずいて額が赤くなるほどこすり付けながら謝罪の言葉を叫んでいる。

「メイヴィスお姉様、落ち着いて下さい!! 額が擦り減ってしまいます、というか、ドレス!! せっかくのドレスがっ、全くどこにも、掠りもこすれてもいないのは、見ておりましたからわかっておりますけど、でもどこかがなにかの拍子にどうにかなってしまうかもしれませんので早急にお立ちになって下さいませぇ~~~っ!!」

見たテュアヴ?! さっきの躍動的且つ野性味溢れる見事なスライディング!! 素晴らしいブラヴォー、感動的だったよねぇっ!? みましもそう思わない、ポーリー?!」

もちろんよバーウィ!! 芸術的でありながらもそこはかとない情熱を感じさせるスライディングだったわよねぇ~っ!! 驚いたわぁセスュープルモンっ!! 良いものが見れたわねぇ、カーティー!!」

相変わらず抜けた腰は回復する気配がなく、その場に座り込んだままの状態で、お姉様の顔を上げさせようと必死に言い募る私の横では、仲の良い双子様が興奮気味に先程お姉様が見せたスライディングの素晴らしさを褒め称え合っていた。

しばらく解決も改善も、何の進展も見られないまま、この混迷を極めた膠着状態は予想よりも長く続いてしまった。


 解決までに時間はかかったけれど、無事に土下伏せ姿勢による謝罪の件にはかたがついた。
今は別のことが可動領域の狭小な幼女の頭を占領してしまっている。

 ーーあの素敵の塊なドレスに、お母様はノータッチ。 お姉様の付き添いとしてオーダー内容の話しを聞いていただけ。 お母様の美的センスは他の追随を許さない、独創性溢れすぎるものだとか…。 それの何が、こんなに気を重くするのかしら?ーー

ドレスの素晴らしい出来栄えに心が躍り最高潮に沸き立った、が、それと同時にモヤモヤとした感情が斜陽を浴びた時の影のように、細く長く、元の長さよりも遥かに長く伸びるように、この心にどこまでも広がっていくのがわかった。

いつもなら『それでも推せる!!』とか『面白そうだから逆に見てみたい!!』とか、ウキウキとしてしまえる事柄なはずなのに、何かが他とは違う、でもその違う点が何なのか全く見当もつかない。
自分が何でこんなにも気落ちしているのか、自分でもわからないのだ。
気分が落ち込んで、沈み込んでしまいそうなほど…まるで胸に鉛玉を仕込まれたみたいな重苦しさが常にのしかかって気分を浮上させることが出来ない。

そして何より理解が追いつかないのが、私の今置かれている状況だった。

パーソナルスペースであるソファーの上の定位置に居るのは間違いないのたが、私とソファーの間に何故かカスティオール様が挟み込まれている。

こうなった経緯がまるで思い出せないのは、例に漏れず、心を重苦しく苛む未知の感情が何であるか、その考えに没頭しきっていたからに他ならない。
今回は『いやにお尻の下が温かいなぁ、ホットカーペットかなに、敷いてあったかしら?』と不思議に思ったことで、無事に現実世界へと帰還を果たした。

そしてコレである。
これはもしや世にいうところの、『膝抱っこ:バックアタックver.』というものではなかろうか…?

これって、家族でもない男性にしてもらっていい態勢なのだろうか?
というか…今日遭ったばかりなのに、このグイグイと拒否する暇も与えず力技で距離を詰めに詰めてくるやり方……嫌いじゃない!!

 ーー良い、何だかよくわからないけど、凄く……嫌いじゃないわ!? えぇ~~?? 私って…押しに弱いタイプなのかしら?! 前世では恋愛なんて、誰かに好意を持てる資格なんて無いと思って生きていたから、自分がどんなタイプに弱いのかまるでわからないっ!!ーー

取り敢えず落ち着くために、今の状況の良い点を考えることにする。
温かいし、良い匂いだし、安定感抜群だし、身動きは取れないけれどこちらを常に気にしてくれるので欲しいものは取ってもらえるから控えめに言って最っ高♡だし、あとやっぱり良い匂いだし!
うん、大丈夫、落ち着いた、問題なし!!
列挙してみてわかったけど、このフォーメーションを解除する要因は今のところ皆無だわ!!!

状況確認作業が無事完了したので、全力で現状を維持することを心に決めた。
その矢先に、向かって右手側、メイヴィスお姉様を間に挟んで同じソファーに腰掛けるポルクスィーヌ様が我慢の限界を迎えたように切羽詰まった声で文句を投げて寄越した。

「ずるいずるいぃ~~っ!! カーティーばっかり抱っこして、不公平よぉ~~っ! 私めだってべべを抱っこしたいわ!! ねぇべべ? べべもカーティーなんかの膝の上より、私めの膝に抱っこされてみたいでしょうっ?! こっちにいらっしゃいなぁ、ねぇ~ったらぁ~~、お~ね~がぁ~~いっ!!」

最後の方は猫なで声で、哀願するような上目で可愛らしくおねだりされた。

「ポーリー? 無理強いは駄目だよぉ、ベベはやつがれの膝の上が気に入ったのさぁ♪ それが証拠に、大人しく座っているだろう? 欠片でも嫌だったら、今頃力いっぱい暴れてるよ! みましだって、何度も経験したじゃないかぁ~~、覚えてるだろう、懐かしいよねぇ~~!!」

勿論よぉバーウィっ! 忘れるわけないわぁ~、私めの大事な、1等特別な記憶だものぉ~~!! 宝物モントレゾーだわぁ、カーティーもでしょう?」

当ったり前バーウィ♪ やつがれにとってもかけがえのない宝物モントレゾーだよぉ~!!」

先程までの口論はどこへやら、そんな些細な事はきれいさっぱり忘れて、私とメイヴィスお姉様の頭の上で、2人にしかわからない『宝物トレゾー』な思い出話に花を咲かせ始めてしまった。

いつ終わるともしれないお2人の弾みまくっている会話に半端ない疎外感、仲間はずれにされたような寂しさを覚えてしまう。
さっきまでお2人に取り合われていたのが夢幻の如く、狐につままれてしまった気分だ。

思わず、何とも言えない表情のままメイヴィスお姉様のお顔に視線を向ける。
するとやはり何とも言えない表情でこちらをチラ見していたお姉様と目が合い、どちらからともなく苦笑いあった。
時刻はもうそろそろ18時に迫ろうかと言う時分、美人双子の思い出話は、留まるところを知らないまま時間だけが過ぎていくのだった。
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