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第二章

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 とりあえず一昼夜寝てみた……あれから触手は出なかったようだ。俺一人のテントと、ネメシス&ウェンティのテントに分かれていた筈だが……横で裸のネメシスが寝ている……アレーオカシイナー。
 「……おい、おいネメシス、朝だぞ……とりあえず起きて服を着てくれ。ウェンティに見つかったら……」
 「……わたくしは眠り姫、眠りの魔法にかかっていますの……王子様の熱くディープなヴェーゼで目覚めますわ♪」
 と言って餌を待つ雛鳥の様に唇を尖らせてくる。昨日さんざん唇にもあそこにもしたじゃないか、と思いつつも目を瞑ったまま起きようとしない我儘なお姫様の頼みだ、魔法を解くようにゆっくりとキスをし、その双丘に顔をうずめる。
 「あんっ……朝から情熱的ですわね……」
 自分から誘っておいてそういう事を言う悪役令嬢にはお仕置きが必要だな……俺は朝から下着を突き破りそうに怒張しているアヤカート君を握って……。

 「おはようございます」

 ドッキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!

 「あ、ごめん……昨晩夜の組体操激しかったみたいだし起きてないかなと思ったけど、もう朝のラヂオ体操してたんだね……ごゆっくり」
 「こっこここここれは違くてっ!」
 「あら、昨晩は一応サイレントの魔法をかけておいたのですが……テントの揺れまでは抑えられてませんでしたわ、てへっ♪ ですわ」
 「てへっ♪ じゃないがっ!」

 とりあえずウェンティさんのジト目にしどろもどろに言い訳をしつつ、今日の探索の準備に取り掛かる。とはいっても装備の確認程度だ。ショートソードの目釘の確認や弓の弦を絞めたりするなんてゲームの装備画面では思いもつかなかったな。

 「さ、出発するか……とはいえ、遺跡ってのは……あれの事だろう?」
 この触手島は直径10数キロほどの島だ。あまり高い山もなく……エルフの視力のお陰かこのテントから数キロ先に既に目的の神殿らしきものが視認出来ている。
 「うん……わたしは目がよくないからまだ見えないけど……白い石で出来てるならそれだと思う」
 と、装備を終えたウェンティが言う。まあ彼女こそ船上で出会った時の学生服のような服と、手足に皮の部分鎧を付け、新人プリーストが持つメイス? の様なものを持っただけだ。
 ちなみに彼女の珍しい服は、3年ほど前に記憶喪失だった彼女が保護先の教会に見つかった時から着ているものを修繕しながら使っているらしい。といってもこの世界のものにしてはかなり頑丈で教会の掃除等で使っててもほとんど解れすらなかったそうだ。
 ネメシスもいつもの野暮ったいローブ姿(とはいえ流石は貴族、地味に見えても生地は耐性を上げる魔力を帯びた糸を織り込んだ最高級品らしい)と愛用のワンド(こちらもシンプルながらエターナルオーク(ブナ科の樹の方)の枝を使ったこれまた最高級品らしい)を持っただけで、一番時間がかかったのは弓の調整に手間取った自分だったが。
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