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第一章《ギルド》「闇の権力者編」
第十三話 「ジャックも頑張ったよ!」
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ブリガンダインをスキャンすると彼のレベルは34だった。
かなりの高レベルだ...
「ブリガンダイン、お前は黄金冒険者なのか?」
レベルも実力も黄金になるに相応しいものだ。
「チッ」
ブリガンダインの顔から嘲笑が消える。初めて見せる怒りの表情、これが本来のこいつなのか。
「はくぎんさ!ぎるどのじじいどもがみとめてくれねぇからなぁ!!しょうかくしたいならいうことをきけって、なんどもなんどもこきつかいやがって!!
だからぼくはおまえらをころす!おまえらのくびをてみやげにしょうかくさせてもらうんだよぉ!!」
怒りと同時に焦りも感じられた。ギルドはどこまで腐っている...ギルドの手下であるこいつの態度が、その闇を何よりも物語っている。
しかし彼が私たちを狙う敵である事に変わりはない。
くっ、どうしたらいい...
私たちの攻撃は全く奴に通じていない。アンリミテッドシールドとサウザンドシャドー、このふたつを上手く使いこなし、私たちのいかなる攻撃も完璧にいなしている。全く歯がたたない。
「2人は僕が守る!
スキル『FROZEN』配下魔法!アイシクルフリーズ!!」
レイは諦めない。再び奴を凍らせにかかる。
「むだだといった!スキル『GUARD』配下武術!アンリミテッドシールド!」
しかしまたもやあっさりと塞がれる。
「そろそろぼくもほんきでいかせてもらうよ」
……!?
そう言えば奴はまだ攻撃技を使っていない!
完璧な守りを崩すことにばかり気を取られていて、全く考えもしなかった。
ブリガンダインが構える。その拳が金色に光り始める。
「しね!!スキル『BROKE』配下武術!クラッシュフィスト!!!!」
光り輝く黄金の拳がレイを襲う!
間に、あえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
「スキル『SPACE』配下剣技!瞬間闊歩!!!!」
「アンナ!?」
高速でふたりのあいだに割り込むや否や、その拳に向かって剣を振り下ろす。
「そんなもの!いみをなさないね!」
しかし拳の勢いは止まらない!圧倒的なパワーで、私の剣は粉々に砕け散る。
「しまっ!」
「くらえ!!」
勢いを失うことなく、拳が腹部にめり込む。馬車に引かれたような、重圧的な衝撃が腹を中心に全身を襲う。しかも、その拳に触れた部分が、まるで融解しているようにどんどんとボロボロになっていくのが分かる。
「離れろぉお!!『FROZEN』配下魔法!アイス・エイジ!!」
レイの声と共に私の体が動かなくなる。
そしてブリガンダインも同様だ。拳が止まったことで、それによる体の破壊も止む。
「アンナ!」
レイが私を抱えて走る。ブリガンダインから離れたその瞬間、世界はまた動き始める。時間稼ぎするだけの技だが、危ないところで命を救われた。
腹部に激痛が走るが、既にボロボロになっていて、抑えることも出来なかった。多分直視できるレベルのグロさではない。
「そのわざ、やっかいだねぇ。だけどそうなんどもうてるものじゃないよね」
奴の言う通りだった。アイス・エイジを使用したレイの息はあがっている。確か前に使用した時もそうだった。周り全てを凍らせる代償は大きいようだ。
「まとめてつぶすっ!」
「スキル『TAMER』配下使役術!リミットブレイク!」
「ふぃーーおーー!!」
強化魔法。肉体が一時的にパンプアップしたジャックは檻を破壊し、再びブリガンダインに迫り来る。
「くそとなかいが!」
隙を付かれたブリガンダインは詠唱の暇がなく、慌ててジャンプで避ける。流石の運動神経で、彼の体は空高くを舞う。
今だ!!
「スキル『D・SWORD』配下剣技!ダークスラッシュ!」
それがブリガンダインの失敗だった。
私の放った斬撃波がブリガンダイン目掛けて真っ直ぐに飛んでいく。奴はかわせない、足場のない空では逃げ場がない!
「スキル『GUARD』配下武術!サウザンドシャドー!」
私の詠唱にいち早く気づいたブリガンダインが素早く呪文を唱えると、また無数の影になって攻撃を避ける。
「今だレイ!スキル『HEAL』配下魔法、スタミナム!」
しかし私はブリガンダインなど見ていない。速やかにレイに魔法をかける。体力回復の魔法だ。
「ありがと」
レイの呼吸が落ち着く。
「スキル『JACKAIOPE』配下使役術!スカイアタックゲイナー!!」
ジャックは垂直に飛び上がるとブリガンダイン目掛けて突撃していく。たたみこむ連続攻撃は、ブリガンダインに反撃の隙をつくらせない。
飛び上がるジャックのその姿は、まるで全身が一本の巨大な角のようだ。
下から突撃してくるジャックを迎撃しようと、ブリガンダインが構える。
「スキル『SPACE』配下剣技!瞬間闊歩!」
次の瞬間、私はブリガンダインの上をとっていた。ジャックとの挟み撃ちだ。
「スキル『SPACE』配下剣技!空中闊歩!」
宙を蹴ると、魔力で作られた空気の壁が発生する。それを足場に、私はブリガンダインへと加速していく。
「っ!」
向かってくるジャックに、下方に注目の行っていたブリガンダインにとって、それは完全な不意打ちだった。慌てて上を向くが、もう遅い!!
私の剣がその胸を貫き、一瞬遅れでジャックのクリスタルホーンが突き刺さる。
「ぐぁぁぁぁぁあー!!」
血飛沫と共に、ブリガンダインが地面に落下する。
「ジャックおいで、空気闊歩!!」
ジャックを抱え、空気の足場を作りながら地面に降り立つ。
しかし、その一瞬の隙を作ってしまった!
「スキル『BROKE』配下武術!スコールド崩壊波!!」
奴はまだ終わっていなかった...!完全な不意打ちだった。
地面すら抉りながら襲い狂う巨大な、球のような衝撃波が私達の体も抉ろうと、唸りながら遅い来る!!
間に合わない...!!
「スキル『ANTI』配下剣技!!ガーディアンミラーー!!」
レイが詠唱と共に剣を大地に突き刺す。
すると、あの必殺の波動から私たちを護るように地面から、無数の剣が盾のように現れる。
「な、なにぃ!?」
衝撃波はまるで鏡で反射する光のように、レイがつくった剣群に反射され真逆の、ブリガンダインの方へと、目にも止まらぬ速さで跳ね返されていく!!
「スキル『GUA……!!??」
詠唱する隙なんてなかった!あるはずがない!!
「ぐぁああああああぁあああああああああ!!!!」
ブリガンダインは自分で放った崩壊波をもろに食らう。体の半分以上が吹き飛び、断面は溶けている。
「あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!!」
「スキル『F・SWORD』配下剣技!!!!!」
ブリガンダインの悲鳴をかき消す声量でレイが叫ぶ。
「イヨドセーチャ!!!!!!」
「やめろぉぉおおぉおおおお!!!おぉ!!!!」
冷気をまとったレイの剣からは氷柱がニョキニョキとはえる。
ジャッキィーーン!!!と肉がちぎれる音とともに、ブリガンダインの肉体が両断される。
体は切り口から順に、どんどんと凍っていく。カチコチになった体は、地に落ちると共に砕けていく。
絶命は...免れない。
「強敵だったな」
なんとか全員無事だ。私はほっとし、レイの元へ駆け寄る。
「でも、儚いね…」
死骸の氷粒を見つめながらレイがぽつりと呟いた。
かなりの高レベルだ...
「ブリガンダイン、お前は黄金冒険者なのか?」
レベルも実力も黄金になるに相応しいものだ。
「チッ」
ブリガンダインの顔から嘲笑が消える。初めて見せる怒りの表情、これが本来のこいつなのか。
「はくぎんさ!ぎるどのじじいどもがみとめてくれねぇからなぁ!!しょうかくしたいならいうことをきけって、なんどもなんどもこきつかいやがって!!
だからぼくはおまえらをころす!おまえらのくびをてみやげにしょうかくさせてもらうんだよぉ!!」
怒りと同時に焦りも感じられた。ギルドはどこまで腐っている...ギルドの手下であるこいつの態度が、その闇を何よりも物語っている。
しかし彼が私たちを狙う敵である事に変わりはない。
くっ、どうしたらいい...
私たちの攻撃は全く奴に通じていない。アンリミテッドシールドとサウザンドシャドー、このふたつを上手く使いこなし、私たちのいかなる攻撃も完璧にいなしている。全く歯がたたない。
「2人は僕が守る!
スキル『FROZEN』配下魔法!アイシクルフリーズ!!」
レイは諦めない。再び奴を凍らせにかかる。
「むだだといった!スキル『GUARD』配下武術!アンリミテッドシールド!」
しかしまたもやあっさりと塞がれる。
「そろそろぼくもほんきでいかせてもらうよ」
……!?
そう言えば奴はまだ攻撃技を使っていない!
完璧な守りを崩すことにばかり気を取られていて、全く考えもしなかった。
ブリガンダインが構える。その拳が金色に光り始める。
「しね!!スキル『BROKE』配下武術!クラッシュフィスト!!!!」
光り輝く黄金の拳がレイを襲う!
間に、あえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
「スキル『SPACE』配下剣技!瞬間闊歩!!!!」
「アンナ!?」
高速でふたりのあいだに割り込むや否や、その拳に向かって剣を振り下ろす。
「そんなもの!いみをなさないね!」
しかし拳の勢いは止まらない!圧倒的なパワーで、私の剣は粉々に砕け散る。
「しまっ!」
「くらえ!!」
勢いを失うことなく、拳が腹部にめり込む。馬車に引かれたような、重圧的な衝撃が腹を中心に全身を襲う。しかも、その拳に触れた部分が、まるで融解しているようにどんどんとボロボロになっていくのが分かる。
「離れろぉお!!『FROZEN』配下魔法!アイス・エイジ!!」
レイの声と共に私の体が動かなくなる。
そしてブリガンダインも同様だ。拳が止まったことで、それによる体の破壊も止む。
「アンナ!」
レイが私を抱えて走る。ブリガンダインから離れたその瞬間、世界はまた動き始める。時間稼ぎするだけの技だが、危ないところで命を救われた。
腹部に激痛が走るが、既にボロボロになっていて、抑えることも出来なかった。多分直視できるレベルのグロさではない。
「そのわざ、やっかいだねぇ。だけどそうなんどもうてるものじゃないよね」
奴の言う通りだった。アイス・エイジを使用したレイの息はあがっている。確か前に使用した時もそうだった。周り全てを凍らせる代償は大きいようだ。
「まとめてつぶすっ!」
「スキル『TAMER』配下使役術!リミットブレイク!」
「ふぃーーおーー!!」
強化魔法。肉体が一時的にパンプアップしたジャックは檻を破壊し、再びブリガンダインに迫り来る。
「くそとなかいが!」
隙を付かれたブリガンダインは詠唱の暇がなく、慌ててジャンプで避ける。流石の運動神経で、彼の体は空高くを舞う。
今だ!!
「スキル『D・SWORD』配下剣技!ダークスラッシュ!」
それがブリガンダインの失敗だった。
私の放った斬撃波がブリガンダイン目掛けて真っ直ぐに飛んでいく。奴はかわせない、足場のない空では逃げ場がない!
「スキル『GUARD』配下武術!サウザンドシャドー!」
私の詠唱にいち早く気づいたブリガンダインが素早く呪文を唱えると、また無数の影になって攻撃を避ける。
「今だレイ!スキル『HEAL』配下魔法、スタミナム!」
しかし私はブリガンダインなど見ていない。速やかにレイに魔法をかける。体力回復の魔法だ。
「ありがと」
レイの呼吸が落ち着く。
「スキル『JACKAIOPE』配下使役術!スカイアタックゲイナー!!」
ジャックは垂直に飛び上がるとブリガンダイン目掛けて突撃していく。たたみこむ連続攻撃は、ブリガンダインに反撃の隙をつくらせない。
飛び上がるジャックのその姿は、まるで全身が一本の巨大な角のようだ。
下から突撃してくるジャックを迎撃しようと、ブリガンダインが構える。
「スキル『SPACE』配下剣技!瞬間闊歩!」
次の瞬間、私はブリガンダインの上をとっていた。ジャックとの挟み撃ちだ。
「スキル『SPACE』配下剣技!空中闊歩!」
宙を蹴ると、魔力で作られた空気の壁が発生する。それを足場に、私はブリガンダインへと加速していく。
「っ!」
向かってくるジャックに、下方に注目の行っていたブリガンダインにとって、それは完全な不意打ちだった。慌てて上を向くが、もう遅い!!
私の剣がその胸を貫き、一瞬遅れでジャックのクリスタルホーンが突き刺さる。
「ぐぁぁぁぁぁあー!!」
血飛沫と共に、ブリガンダインが地面に落下する。
「ジャックおいで、空気闊歩!!」
ジャックを抱え、空気の足場を作りながら地面に降り立つ。
しかし、その一瞬の隙を作ってしまった!
「スキル『BROKE』配下武術!スコールド崩壊波!!」
奴はまだ終わっていなかった...!完全な不意打ちだった。
地面すら抉りながら襲い狂う巨大な、球のような衝撃波が私達の体も抉ろうと、唸りながら遅い来る!!
間に合わない...!!
「スキル『ANTI』配下剣技!!ガーディアンミラーー!!」
レイが詠唱と共に剣を大地に突き刺す。
すると、あの必殺の波動から私たちを護るように地面から、無数の剣が盾のように現れる。
「な、なにぃ!?」
衝撃波はまるで鏡で反射する光のように、レイがつくった剣群に反射され真逆の、ブリガンダインの方へと、目にも止まらぬ速さで跳ね返されていく!!
「スキル『GUA……!!??」
詠唱する隙なんてなかった!あるはずがない!!
「ぐぁああああああぁあああああああああ!!!!」
ブリガンダインは自分で放った崩壊波をもろに食らう。体の半分以上が吹き飛び、断面は溶けている。
「あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!!」
「スキル『F・SWORD』配下剣技!!!!!」
ブリガンダインの悲鳴をかき消す声量でレイが叫ぶ。
「イヨドセーチャ!!!!!!」
「やめろぉぉおおぉおおおお!!!おぉ!!!!」
冷気をまとったレイの剣からは氷柱がニョキニョキとはえる。
ジャッキィーーン!!!と肉がちぎれる音とともに、ブリガンダインの肉体が両断される。
体は切り口から順に、どんどんと凍っていく。カチコチになった体は、地に落ちると共に砕けていく。
絶命は...免れない。
「強敵だったな」
なんとか全員無事だ。私はほっとし、レイの元へ駆け寄る。
「でも、儚いね…」
死骸の氷粒を見つめながらレイがぽつりと呟いた。
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