拾われた異世界転移者

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序章 《始まった物語》

【名もなきおとぎ話】

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 かつて大陸は1つだった。7000年も前の話だ。国が存在せず、民もまた1つだった。戦争も差別も貧困もその頃はなかった。

 楽園とも呼べるそれを破壊したのは1匹の黒龍だった。龍は空間を切断する力で大陸を9つに分けた。触れたものを粒子にする黒煙を口から吐き、街や村を崩壊させ、人を殺した。誰も龍を止めることは出来なかった。

 龍は7ヶ月間に渡り、この世に憎しみを抱くかのような、呪いでもしてるかのように破壊を続けた。241日もの間暴れ続けた龍は、海に潜り、眠りについた。







 時は400年過ぎた。黒龍が目覚めた。龍は6つ目の大陸の海底で眠っていた。龍に勇敢にも立ち向かった彼は6つ目の大陸の王子だった。彼の母親は戦争中の2つ目の大陸の姫だった。

 彼は6つ目の大陸のちからに加え、2つ目の大陸のちからも持っていた。術を剣技にのせ、戦った。6つ目の大陸の王は驚いた。王の息子は他の誰にも出来ないことが出来た。複数の大陸のちからを使えたのは彼だけだった。
 
 彼の才能は本物だった。龍は死んだ。多くの人が犠牲となったが彼らは勝った。しかし分裂した国が元通りになることはなかった。

 龍との決戦から6000年後。人々の前に現れた少年がいた。人々は物語が終わらないことを悟った。
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