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政略結婚
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今日は顔合わせとそれぞれの魔法属性を調べるらしい。
基本は一人につき一つの属性しか持てない。長男と次男は二つ持ってるからチヤホヤされる。婚約者様もだっけ。
確か公爵様はかなりチートで光と闇以外の属性が使えた。
子供の属性っていうのは親の影響からなる。だからユファンは光と風。二つを持ち、初日で有名人となった。
両親の属性を受け継げなかったことも愛されない要因の一つだとひどく落ち込む時期もあった。
愛に飢えた孤独な少女。
それが本当のシオン。
シオンに転生して過ごしてきた私だからこそわかる。
愛情の求め方は間違っていたかもしれない。でも、シオンの周りにはその間違いを教えてくれる大人がいなかった。
ちゃんとした大人がいてくれたらこんなに性根が腐ることはなかったのに。
私の番がきて、水晶に手をかざすと、さっきまでユファンの光で輝いていたのに一瞬にして真っ黒になった。まさに闇。
教室がどよめいた。
ドン引きされてるのが背中から伝わってくる。
ちょっと待ってよ。魔法は個性だって王様も言ってたじゃん。
だからさ。受け入れるのが普通じゃない?
水晶に映し出される色の濃さで、その人がどれほどの才を秘めているのかわかる。
黒すぎるんだ。私の色は。
荒んだ心を表したかのようなドス黒さ。
公女でなければ噂の的となっていたかもしれない。肩書きもたまには役に立つ。
気にしないふりをして席についた。
今日のやることはもう終わ………りじゃない。レクリエーションの班決めがあったんだ。
誰と組むかわかってるから帰りたい。
「至らない点が多々あると思いますが、皆さんの足を引っ張らないように頑張ります」
「そんなに気負わなくていい。私達がちゃんとフォローする」
貴族にさえ生まれれば簡単な魔法の扱い方は家で習う。シオンは完全に我流で多少は他の人とやり方が違うかもしれない。
それはそれでいいんだけどな。
「婚約者様の言う通りですわ。これはただの親睦を深めるゲーム」
「お二人は婚約者同士なのですね。すごくお似合いです」
「そう……。互いの権力を利用する者同士ってことかしら?」
「え?いえ、そういう意味では……」
「ユファンさん。本気で貴族が自分の好きな人と結婚出来るとでも?」
「何を言い出すんだ急に」
「少なくとも私達は政略結婚。愛なんて微塵もありません」
「ご、ごめんな……さい」
あぁーーもう私のバカ!!
シオンになりきろうとすると、どうしても意地悪な言い方になる。
しかもシオンは可愛い系のユファンとは真逆で綺麗系だから凄むと迫力があってしょんぼりさせてしまう。
小動物のように落ち込むユファンが可愛くて抱きしめたい。
「シオンは……好きな男がいるのか?」
突然の質問。
自分からシオンを気にかけたことなんて一度もないのに。
いつだって婚約者という立場でマニュアル通りの会話しかしなかった。それなのに初めて婚約者様の意志でシオンに興味を持った?
本物のシオンならさぞ喜ぶことでしょうね。
「いたとして報告する義務はありませんよね?婚約者様が私を好いてくれているなら話は別ですが……。私は公女だから貴方の婚約者に選ばれただけ」
あんたが私を見て言った言葉を私は忘れない。
初めての顔合わせの帰り道、私が聞いているとも知らずに従者に「噂よりもおぞましい姿だったな」と。
家族の誰とも似てない白銀の髪は呪われた象徴として屋敷内では煙たがられていた。
そんな失礼なことを言った婚約者様に、シオンは惹かれていった。上辺だけの優しさでも嬉しかったんだ。
優しくされることが。
それでもあの言葉だけは心に刺さったまま。
シオン自身もどうしたいのかわからない。多少の好意はある。でもそれは、愛されたいではない。
明日のレクリエーションは休むのはマズいよね。
私は何もするつもりはないけど、ゲームではシオンが魔法を使ってユファンを崖から突き落とす。それを婚約者様が助ける。
万が一のことを考えて二人から離れて歩こう。やってもない罪を着せられたくない。
明日の出来次第で今後の評価が決まる。
失敗すれば断罪ルートに一歩近づく。
基本は一人につき一つの属性しか持てない。長男と次男は二つ持ってるからチヤホヤされる。婚約者様もだっけ。
確か公爵様はかなりチートで光と闇以外の属性が使えた。
子供の属性っていうのは親の影響からなる。だからユファンは光と風。二つを持ち、初日で有名人となった。
両親の属性を受け継げなかったことも愛されない要因の一つだとひどく落ち込む時期もあった。
愛に飢えた孤独な少女。
それが本当のシオン。
シオンに転生して過ごしてきた私だからこそわかる。
愛情の求め方は間違っていたかもしれない。でも、シオンの周りにはその間違いを教えてくれる大人がいなかった。
ちゃんとした大人がいてくれたらこんなに性根が腐ることはなかったのに。
私の番がきて、水晶に手をかざすと、さっきまでユファンの光で輝いていたのに一瞬にして真っ黒になった。まさに闇。
教室がどよめいた。
ドン引きされてるのが背中から伝わってくる。
ちょっと待ってよ。魔法は個性だって王様も言ってたじゃん。
だからさ。受け入れるのが普通じゃない?
水晶に映し出される色の濃さで、その人がどれほどの才を秘めているのかわかる。
黒すぎるんだ。私の色は。
荒んだ心を表したかのようなドス黒さ。
公女でなければ噂の的となっていたかもしれない。肩書きもたまには役に立つ。
気にしないふりをして席についた。
今日のやることはもう終わ………りじゃない。レクリエーションの班決めがあったんだ。
誰と組むかわかってるから帰りたい。
「至らない点が多々あると思いますが、皆さんの足を引っ張らないように頑張ります」
「そんなに気負わなくていい。私達がちゃんとフォローする」
貴族にさえ生まれれば簡単な魔法の扱い方は家で習う。シオンは完全に我流で多少は他の人とやり方が違うかもしれない。
それはそれでいいんだけどな。
「婚約者様の言う通りですわ。これはただの親睦を深めるゲーム」
「お二人は婚約者同士なのですね。すごくお似合いです」
「そう……。互いの権力を利用する者同士ってことかしら?」
「え?いえ、そういう意味では……」
「ユファンさん。本気で貴族が自分の好きな人と結婚出来るとでも?」
「何を言い出すんだ急に」
「少なくとも私達は政略結婚。愛なんて微塵もありません」
「ご、ごめんな……さい」
あぁーーもう私のバカ!!
シオンになりきろうとすると、どうしても意地悪な言い方になる。
しかもシオンは可愛い系のユファンとは真逆で綺麗系だから凄むと迫力があってしょんぼりさせてしまう。
小動物のように落ち込むユファンが可愛くて抱きしめたい。
「シオンは……好きな男がいるのか?」
突然の質問。
自分からシオンを気にかけたことなんて一度もないのに。
いつだって婚約者という立場でマニュアル通りの会話しかしなかった。それなのに初めて婚約者様の意志でシオンに興味を持った?
本物のシオンならさぞ喜ぶことでしょうね。
「いたとして報告する義務はありませんよね?婚約者様が私を好いてくれているなら話は別ですが……。私は公女だから貴方の婚約者に選ばれただけ」
あんたが私を見て言った言葉を私は忘れない。
初めての顔合わせの帰り道、私が聞いているとも知らずに従者に「噂よりもおぞましい姿だったな」と。
家族の誰とも似てない白銀の髪は呪われた象徴として屋敷内では煙たがられていた。
そんな失礼なことを言った婚約者様に、シオンは惹かれていった。上辺だけの優しさでも嬉しかったんだ。
優しくされることが。
それでもあの言葉だけは心に刺さったまま。
シオン自身もどうしたいのかわからない。多少の好意はある。でもそれは、愛されたいではない。
明日のレクリエーションは休むのはマズいよね。
私は何もするつもりはないけど、ゲームではシオンが魔法を使ってユファンを崖から突き落とす。それを婚約者様が助ける。
万が一のことを考えて二人から離れて歩こう。やってもない罪を着せられたくない。
明日の出来次第で今後の評価が決まる。
失敗すれば断罪ルートに一歩近づく。
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