仁川路朱鳥詩集

社会人(成人)

甘味なきところに人は住まず

これはわたしの住んでいるところから
隣の川、隣の山を、
隣の隣の海と山を越えた、
ファルファクラテト市の出来事です

その市における女性はなべて
サトウキビ女子、と呼ばれており
戦争のような人だかりの
菓子市場へ彼氏を持ち込み
2型糖尿病にしていました
その見返りは愛でした

当然、人間は病気を嫌がります
歩けない状態はストレスとなり
被害者はサトウキビ女子と別れ
愛を失って、
別のサトウキビ女子と付き合い
腑がやられ、
さらに病状が悪化していました

政府が出ます、
ファルファクラテト市の純血種
それらの女性をすべて並べて
（妊婦、乳飲み子、胎児に卵！）
順番に目を潰していきます
たこ焼きをひっくり返すように
針が目玉を通ります

目を失ったサトウキビ女子は
愛を心臓の中にしまいこんで、
誰の手にも渡らないように
しっかりと鍵をするようになり

ファルファクラテトの菓子市場は激減
病院は困惑　市民の生活は一変！
遺伝子組み換えインスリンが
右往左往しています
サトウキビ女子は噛まれたガムのように
ゴミ箱住まいをよしとして
（注射を免れた男性は、というと、）

一応、市と言うからには
それなりに経済は回っているので
マンションなどはあるのですが
近寄らない方がいいですね、
あなたが事故物件になるだけです

きょうもファルファクラテトの
高層ビルからは
低血糖の雨が降っています