仁川路朱鳥詩集

社会人(成人)

碑文の詩

これは肉体に咲く月
横たわれば誘う月
奪った光で暖まる人は
心を持たない

幾千、幾万、幾億の子らを
葬り地獄へ陥れた
『母』の名を使うならば
快楽が描く失楽園と
快楽が招く九相図の
照応を下図に示そう
(fig.Ⅸ、Ⅺを参照のこと)

fig.Ⅸ
　◎      ⚫︎～

fig.Ⅺ
　◉

この地にて　この山にて
古から住まう『母』は
『母』のようであり『獣』だ
毎晩のように
失った鼓動を探すように
『母』は息子を探している

家の下部にいる人間は常に
若人に限られる
『母』に見初められたら最期
魂が枯れるまで搾られるから

幾恒河沙、幾阿僧祇、
幾那由他の子らを
土の奥底へ沈めては
山へ命を還すのだ
これは輪廻の循環か
あるいは無駄な殺生か

神の心理など研究してはならない
人間とは違う摂理を持つのだから