仁川路朱鳥詩集

社会人(成人前)

ずっと一緒のはずだった

一緒に生まれて
一緒に育って
一緒に食べて
一緒に寝て
当たり前のこと

君の生死は僕の生死
君の心拍は僕の心拍
生まれてからの当たり前を
崩すなんてあり得なくて

一緒の小学校に通って
一緒の中学校に通って
一緒にいじめられて
一緒に高校受験に落ちて
一緒に二次で受かって
一緒の部活に入って
一緒の学部に入って
体育の時間も一緒だったよ
当たり前のこと

一緒にセンター試験を受けて
一緒に合格して
一緒にレポートを書いて
一緒に研究室に泊まって

一緒にハローワークへ通って
一緒に合格して
一緒に同じ職場で働いた
もちろん部門も一緒
立場も一緒
なのに君はいなくなった

一緒に住む家だって設計したよ
一緒に作る家族の名前も考えたよ
一緒に育てる子供の将来も見たよ
一緒に出かける場所だって決めてたよ
一緒に入る骨壺だって予約したんだよ
一緒に縊る縄だって買ったんだよ
なのに君はいなくなった

当たり前のこと
一緒に生まれたから
一緒に死のうって
言ったのに
約束したのに

君は
骨も残さずに
消えてしまった