仁川路朱鳥詩集

社会人(成人前)

タラへインス密教第1儀『堕胎』

様々な血液が嬉々として流れ
スタラィクエスが咲き誇る
この大地に
足が踊る わが大地にて

おまえ、ここに居るべきでない
さすれば死ぞ、おまえ、おまえ、
おまえの望むものはない
瘡蓋たる地上には
おまえの望む子孫はない

見るな！聞くな！嗅ぐな！触れるな！味わうな！感じるな！考えるな！
感覚の一切を斬り捨てよ！
死ぞ！
おまえの元に死が顕れる
死は子を刈り取るぞ
わたしは預言した

血液が丁度瘡蓋となる
大地もあらかた固まったか
踏み鳴らし歩く
剣を手に おまえを救いに

おまえはわたしを愛するつもりか
揺籠もない自我を
わたしに愛させるつもりか
おまえはおまえを愛せばいい

近づくな！死ぞ、
わたしは警告したのだぞ
産むな！死ぞ、
わたしは知っていたのだぞ

それでもおまえは
おまえはわたしを愛するつもりか
血のない子宮
おまえには育てられない
ただ一輪のスタラィクエスも
芽吹かせないおまえには
諦念せよ！
Ⅸ、Ⅺ
鏡写しの現実が自身を消さないせいか
現実ではなく異界を映す

おまえを見ている
見る 知る 識る 存在！
おまえを見ている
裁きは人の子の為に！

だからこそ
おまえとの道を無に還そう
何もない海へ
おまえの海へ
わたしの瘡蓋を剥がして
おまえの海へ
それでも求めるならば
光を通し 育てるのだ
おまえだけのスタラィクエスを
届かせよ
わたしの大地まで

血を流して待とう
解はここに導かれたのだから