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Chapter.XX
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――オレの心に残ったのは、絶望だった。
『……憎いか? 世界が』
「……世界も……自分の存在すべても、憎いよ」
深い深い、深層心理の海の中。
真っ赤な瞳が特徴的な、黒い髪の男が話しかけてきた。
「……でも、もう、どうでもいい。このまま眠りたい。……いなくなりたい」
呟いて蹲るオレに、男はすっと手を差し伸べる。
「……なに」
『お前に力を与えよう。世界を破壊する、【魔王】の力だ』
「……ッ!!」
ぶっきらぼうに問いかけたオレの体に、無理やりなにかを入れる男。
……痛みなら慣れていた。受けて当たり前だと思っていた。
(本当は、たすけてほしかった)
からだを、こころを、真っ黒な感情が支配していく。
「あ……ああ……ッ!!」
『解き放て、お前自身の憎悪を。世界を壊す、“呪い”を……――』
憎い。憎い。赦せない。赦さない。きらい。きらい。壊したい。しにたい。いきたい。
たすけて、たすけて、たすけてたすけてたすけてたすけて……――
「……そう思う資格なんて、■■にはないのに」
……でも、どうしてだろう。呼びたい名前なんて、たすけてほしい人なんて、いないはずなのに。
どうして……きみの名を、呼んでしまうのだろう……?
「……たすけて……あさ……」
真っ逆さまに、真っ暗闇に堕ちていく。
自分も、世界も、何もかも壊れてしまえばいいと……そう、願って……――
――それは、伝承を繰り返す異世界のお話。
少年が辿った、悲劇と希望の物語。
『……憎いか? 世界が』
「……世界も……自分の存在すべても、憎いよ」
深い深い、深層心理の海の中。
真っ赤な瞳が特徴的な、黒い髪の男が話しかけてきた。
「……でも、もう、どうでもいい。このまま眠りたい。……いなくなりたい」
呟いて蹲るオレに、男はすっと手を差し伸べる。
「……なに」
『お前に力を与えよう。世界を破壊する、【魔王】の力だ』
「……ッ!!」
ぶっきらぼうに問いかけたオレの体に、無理やりなにかを入れる男。
……痛みなら慣れていた。受けて当たり前だと思っていた。
(本当は、たすけてほしかった)
からだを、こころを、真っ黒な感情が支配していく。
「あ……ああ……ッ!!」
『解き放て、お前自身の憎悪を。世界を壊す、“呪い”を……――』
憎い。憎い。赦せない。赦さない。きらい。きらい。壊したい。しにたい。いきたい。
たすけて、たすけて、たすけてたすけてたすけてたすけて……――
「……そう思う資格なんて、■■にはないのに」
……でも、どうしてだろう。呼びたい名前なんて、たすけてほしい人なんて、いないはずなのに。
どうして……きみの名を、呼んでしまうのだろう……?
「……たすけて……あさ……」
真っ逆さまに、真っ暗闇に堕ちていく。
自分も、世界も、何もかも壊れてしまえばいいと……そう、願って……――
――それは、伝承を繰り返す異世界のお話。
少年が辿った、悲劇と希望の物語。
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