STAR STONE STORY

ニッコーゴウ

文字の大きさ
上 下
9 / 13
第二章 風の星霊 シルフィ エルフの森編

戦いの備え

しおりを挟む
エルフ兵たちは20人ほどのグループに分かれその中のリーダー格である人物がそれぞれの今後の行動を指揮していた。

矢の供給。グラード国への移動ルート把握と食料調達。防衛対策。

サディアスとレインは長老に引き止められ世界連合の動きを詳しく聞くこととなった。

「あの、俺はヒューマンのみの島にいたもんだから世界連合って名前しか知らなくてよ。一体どういう奴らなんだ?」

「ふむ。アストラシアの各種族の長が集まり、秩序を保つ。大まかにいうとそういうもんだ。お主の父代わりであったヴァイスも種族会議には参加しておった。」

「ヴァイスが…!そういえば、たまに何日かいなくなる時あったな、、。」

「何日もいなくなってるんだから普通気になるだろ。」

「なっ!いちいちうるさいんだよ!」

サディアスに突っ込まれるとレインは恥ずかしそうな、ムスッとした顔で応える。

長老の話が続く。

「世界連合はこの緊急事態に種族会議を行い、再度の『ジン封印計画』をたてている。私もその会議に参加したいが、こちらの方がよっぽど緊急事態じゃからな。」

「まぁそうだけど、長老は会議に参加した方がいいんじゃねぇの?カイルはジンに力を貰ってからかなり強くなってる。万が一のこと考えたらなー。。」

「戦力は1人でも多い方がいいじゃろうて。それにジンも目覚めたばかり。多くの魔獣を作り上げられるとは思えん。」

「長老さんも戦うのか?危なくない!?」

サディアスがにやけ顔で応える。

「長老ほど力になるお方は逆にいないぞレイン。」

その言葉をきいた長老は、両手を胸の中央で拝むように構えた後ゆっくりとその手を離した。

ヒューーーー!!!

途端に手のひらの中央で風でできた球体が存在していた。

「うぉ、すげぇ!!」

「エルフ族は稀に風の霊を宿し、風魔法が使えるものがおる。私はエルフの中でも強力な魔力が使える方だ。」

「サディアスも使えるのか?」

「いや、俺には宿らなかった。一度風の霊の声が聞こえて俺にもと思ったが、『君にはもっと相応しい存在がいる』と言われた。」

「あー、、妄想か。」

「な!?…その説はあるか。」

「いやあるのかよ。」

「…話を戻すぞ。世界連合にはこちらからも伝達兵を送っておる。サディアス、レイン。お前たちには『星石』とそれをを授かるものたちを探し、再びジンを封じるための騎士団を立ち上げるのだ。」

!!!

サディアスは驚きを隠せなかった。自分自身は星石を授かっていない、ただのエルフにすぎない。そう思っているからだ。

「長老!しかし俺は…。」

「お前の父は20年前最前線で戦ったのだ。星石がなくとも、お前はその意志を継げばいい。それとも、こわいのか?」

「!!…いえ!父の意志…。継いでみせます!」

サディアスは長老からの言葉に背中を押された。ある意味その言葉は長老からサディアスに対する『信頼』という2文字だけで言い表せたかもしれない。

そんな姿を少し微笑ましいと思ったレインだった。

「んで、騎士団ってどうやって作るの?」

「今回の戦いが終わったらグラード国にお前たちも迎うのじゃ。そして国王に会い、そこで騎士団として正式に任命してもらうがいい。その時にジンの復活を公表する。」

「なるほど。」

「ん??」

レインだけポカンとしていた。

「たしかにジンの復活は非常に脅威。市民からすればそれはどんな種族といえど絶望を感じてしまうであろう。だからこそ。君たちの騎士団という存在が彼らの希望になる。彼らに光を与え続けられるのはたった10個の星しかないのじゃ。」

「おぉ…。なんかカッコいい展開だな!」

「陽気なもんだな。俺の親父は奴にやられたんだぞ。」

「仇討つしかないじゃん?」

「ふっ。まぁそうだな。」

「そしたら話も一通り聞いたし。戦闘準備に取り掛かりますかね!」

3人だけの会議は終わり、戦いに備えることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~

すなる
ファンタジー
追記《イラストを追加しました。主要キャラのイラストも可能であれば徐々に追加していきます》 猫を庇って死んでしまった男は、ある願いをしたことで何もない世界に転生してしまうことに。 不憫に思った神が特例で加護の力を授けた。実はそれはとてつもない力を秘めた創造神の加護だった。 何もない異世界で暮らし始めた男はその力使って第二の人生を歩み出す。 ある日、偶然にも生前助けた猫を加護の力で召喚してしまう。 人が居ない寂しさから猫に話しかけていると、その猫は加護の力で人に進化してしまった。 そんな猫との共同生活からはじまり徐々に動き出す異世界生活。 男は様々な異世界で沢山の人と出会いと加護の力ですべてを解決しながら第二の人生を謳歌していく。 そんな男の人柄に惹かれ沢山の者が集まり、いつしか男が作った街は伝説の都市と語られる存在になってく。 (

聖なる幼女のお仕事、それは…

咲狛洋々
ファンタジー
とある聖皇国の聖女が、第二皇子と姿を消した。国王と皇太子達が国中を探したが見つからないまま、五年の歳月が過ぎた。魔人が現れ村を襲ったという報告を受けた王宮は、聖騎士団を差し向けるが、すでにその村は魔人に襲われ廃墟と化していた。  村の状況を調べていた聖騎士達はそこである亡骸を見つける事となる。それこそが皇子と聖女であった。長年探していた2人を連れ戻す事は叶わなかったが、そこである者を見つける。  それは皇子と聖女、二人の子供であった。聖女の力を受け継ぎ、高い魔力を持つその子供は、二人を襲った魔人の魔力に当てられ半魔になりかけている。聖魔力の高い師団長アルバートと副団長のハリィは2人で内密に魔力浄化をする事に。しかし、救出したその子の中には別の世界の人間の魂が宿りその肉体を生かしていた。  この世界とは全く異なる考え方に、常識に振り回される聖騎士達。そして次第に広がる魔神の脅威に国は脅かされて行く。

大失恋した稀代の魔術師は、のんべんだらりと暮らしたい

当麻月菜
ファンタジー
ナルナータ国には国王陛下から直々に<慧眼の魔術師>という二つ名を拝命した稀代の魔術師がいる。 しかしその実態は、人間不信で人間嫌い。加えて4年前の大失恋を引きずって絶賛引きこもり中の公爵令嬢で、富と名声より、のんべんだらりとした生活を望んでいる。 そんなコミュ障&傷心&ずぼら魔術師ファルファラに一つの王命が下された。 『不穏分子であるとある貴族と結婚して内情を探り粛々と排除しろ』と。 それと同時に王子から『王命に従いたくないなら、北方の領主であり聖剣の持ち主であるグロッソと共に北方の魔物調査に行け』と取引を持ち掛けられる。 無論、ファルファラは北方の魔物調査を選んだ。 けれど道中、失恋相手と望まぬ再会をして事態はどんどんややこしくなっていく。

異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー
ファンタジー
 第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)  転生前も、転生後も 俺は不幸だった。  生まれる前は弱視。  生まれ変わり後は盲目。  そんな人生をメルザは救ってくれた。  あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。  あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。  苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。  オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。

サイコミステリー

色部耀
ファンタジー
超能力遺伝子サイコゲノムを持つ人が集められた全寮制の高校「国立特殊能力支援校」 主人公の真壁鏡平(まかべきょうへい)はサイコゲノムを持つがまだ自身の超能力を特定できていない「未確定能力者」だった。 そんな彼の下に依頼が飛び込んでくる。 「何を探すか教えてくれない探し物」 鏡平はその探し物を……

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

異世界忍法帖 ~影に生きた忍は異世界で希望の光となる~

鈴木竜一
ファンタジー
※本編完結済み ※今後は番外編を投稿(時期は不定期)していく予定です。 戦国時代の少年忍者・支部斬九郎は、主君である矢凪国領主の永西時勝を討ち取った織田信長の軍勢と交戦中に異世界ヴェールへと召喚されてしまう。人々が魔法を当たり前のように使うこの世界で、斬九郎は気絶していた自分を助けてくれた小国の若き女王・イヴリット・ハートレイクを新たな主君として忠義を誓い、彼女の影として生きることを決意する。魔力ゼロの斬九郎は鍛え上げた肉体と魔法によって強化された手裏剣や忍刀を武器にして、新たな主君イヴリットを守るため、仲間たちと異世界を駆ける。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...