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第二章 風の星霊 シルフィ エルフの森編
エルフの森
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深く、そして浅く呼吸をするような風。
どこを見ても緑、緑、緑。
見たことのない鳥や虫、綺麗な花。
それなのになぜか不気味で、不思議な感覚を持たずにいられないレインだった。
「踏み入れるなと言わんばかりの木々の後にこれだと余計にこわいっつーの。」
道という道はないが、ちょうど人が2人ほど通れるようなスペースが続いており、自然とレインはそこを歩き続けた。そして、心の中でつぶやいた。
「たしかエルフは森の一部に集落を作って、森は侵入者を見極めるための迷路のようなもので見張りがいるってヴァイスが言ってたっけ?」
ヴァイスが語っていた伝説の中で出てくる話を思い出しながら足を進めた。
レインはある程度歩いたつもりだが特に大きな変化もなく、集落など全く見えてくる気配すらない。
「しっかしいつまで続くんだぁ?なーんかはめられてる気がしてきた。くそ。てか普通だったら道しるべとかそーゆーのおいとくべきだろ!」
いよいよ不満勃発。だれもいないのに声に出して文句を言うレイン。
「エルフってのは臆病なんだなーっきっと。」
と、言いながらぐんぐん前に進んでいるその時、
ビュンッ!!
遠くから何かくる!と感じたレインはとっさに体を横に向け回避を試みた!
ザッ!
「うっ!ちっ。」
避けるのがほんの少し遅かった。肩にかすって浅くはあるが切れていた。後ろを見ると一本の矢が木に刺さっていた。
「我はエルフの森の番人!サディアス!この森に侵入とはいい度胸だ!何が目的だ!!どの多種族とも関わりを持たないようにしてきた我々に何を求めてきた!!」
遠くから何者かの声が聞こえた。
「おいおいサディアス?だっけか。まだ何も言ってないのにいきなり殺しにかかるのはないだろ。」
『しっかしやべぇ。矢ってこんなスピードで放てるものなのか?遠距離の対戦なんてしたことねーし。』
レインはあの矢一本でサディアスが相当の手練れであるということを理解していた。
「貴様がそのまま後ろに下がり、侵入してきた船で自分の故郷に帰るのであればその肩の傷1つで許してやろう。一歩でも前に進んだら、次は外さぬぞ。」
レインは少し考えたあと、ニッと笑みを浮かべながら答えた。
「肩の傷?俺は忘れっぽくてね。なんのことやら。」
「何?」
レインの肩の傷はありえない早さで癒えていた。
「普通だったらあんたの言うこと聞く方が正しいのかもしれないけどね、俺は諦めが悪くてね。それに、やらなきゃいけないこともあるし。あんたが俺を味方って思ってくれるまで、いくらでも挑んでやるよ!」
ドッ!
レインは大きな一歩を踏み出した!
するとすぐさまにサディアスの矢が前方からものすごい早さで飛んできた。それを素早くかわし、剣でなぎ払い、少しずつ前に進んでいく。
「貴様!!本当にヒューマンか!?」
「こちとら姿も見えねーって言うのに、そっちはお見通しってか!だがね、俺はただのヒューマンじゃねーぞ!!いくぞ!!」
レインは炎の星石を高く掲げた!一瞬レインの周りを炎が取り囲んだ。その炎はレインに吸い取られるように消えた。レインには見えないようで見える炎のオーラが宿っていた。
「あ。あれは。…。面白い。俺も本気を出してやる!くらえ!レイニーアロー!」
【レイニーアロー】それはサディアスの必殺技だ。サディアスは空高くに8本もの矢を放った。それはレインのもとに向かうように計算されていた。
さらにサディアスは時間差で正面からも五本の矢をものすごいスピードで放つ。
サディアス自身も腰につけていたナイフを取り出し前に進んだ。どうやら本気で仕留めにいくようだ。つまり、それほどレインが脅威だと感じたのであろう。
「行くぞ。サラエフ。」
レインは小さく星石に向かって声をかけると、剣を握り直し、高くジャンプした。上に放った矢の方が先ではあるが、前から放たれた五本の矢の方が先に来るのをレインは見切っていた。
上から落ちてくる8本の矢が空中のレインに襲いかかる!
「焼き払え。フレイムガード。」
レインは手を矢に向かって突き出した。
すると炎の盾が落ちてくる矢を次々焼き払った。
8本とも焼き尽くすと着地の瞬間を狙っていたかのようにナイフを持った男がレインの背後に周りレインの首を斬りつけようとした。
キーーーーン!!ドガ!!
レインはそれを剣で弾き、その反動を利用してお返しにとその男の腹部に回し蹴りをお見舞いした。
「ぐわっ!!」
倒れ込んだ男の顔の横にすかさず剣を突き刺し、動きを封じると、
「サディアス!!俺の…勝ちだ。」
「くっ。。目的は…なんだ。ヒューマンがなぜ強い。なぜ、貴様は何者だ!」
レインはしばらく黙ったあと剣を鞘に収め、仰向けに倒れ込んだ。
「おい!!」
「待て待てー。疲れたってーの俺も。お前つえーんだもんよー。…俺の名はレイン。今から話すことは全部本当だ。しっかり聞いてくれ。」
むくっとあぐらをかきながらサディアスに語り出した。サディアスは木に寄りかかりながらレインの話を黙って聞いた。
どこを見ても緑、緑、緑。
見たことのない鳥や虫、綺麗な花。
それなのになぜか不気味で、不思議な感覚を持たずにいられないレインだった。
「踏み入れるなと言わんばかりの木々の後にこれだと余計にこわいっつーの。」
道という道はないが、ちょうど人が2人ほど通れるようなスペースが続いており、自然とレインはそこを歩き続けた。そして、心の中でつぶやいた。
「たしかエルフは森の一部に集落を作って、森は侵入者を見極めるための迷路のようなもので見張りがいるってヴァイスが言ってたっけ?」
ヴァイスが語っていた伝説の中で出てくる話を思い出しながら足を進めた。
レインはある程度歩いたつもりだが特に大きな変化もなく、集落など全く見えてくる気配すらない。
「しっかしいつまで続くんだぁ?なーんかはめられてる気がしてきた。くそ。てか普通だったら道しるべとかそーゆーのおいとくべきだろ!」
いよいよ不満勃発。だれもいないのに声に出して文句を言うレイン。
「エルフってのは臆病なんだなーっきっと。」
と、言いながらぐんぐん前に進んでいるその時、
ビュンッ!!
遠くから何かくる!と感じたレインはとっさに体を横に向け回避を試みた!
ザッ!
「うっ!ちっ。」
避けるのがほんの少し遅かった。肩にかすって浅くはあるが切れていた。後ろを見ると一本の矢が木に刺さっていた。
「我はエルフの森の番人!サディアス!この森に侵入とはいい度胸だ!何が目的だ!!どの多種族とも関わりを持たないようにしてきた我々に何を求めてきた!!」
遠くから何者かの声が聞こえた。
「おいおいサディアス?だっけか。まだ何も言ってないのにいきなり殺しにかかるのはないだろ。」
『しっかしやべぇ。矢ってこんなスピードで放てるものなのか?遠距離の対戦なんてしたことねーし。』
レインはあの矢一本でサディアスが相当の手練れであるということを理解していた。
「貴様がそのまま後ろに下がり、侵入してきた船で自分の故郷に帰るのであればその肩の傷1つで許してやろう。一歩でも前に進んだら、次は外さぬぞ。」
レインは少し考えたあと、ニッと笑みを浮かべながら答えた。
「肩の傷?俺は忘れっぽくてね。なんのことやら。」
「何?」
レインの肩の傷はありえない早さで癒えていた。
「普通だったらあんたの言うこと聞く方が正しいのかもしれないけどね、俺は諦めが悪くてね。それに、やらなきゃいけないこともあるし。あんたが俺を味方って思ってくれるまで、いくらでも挑んでやるよ!」
ドッ!
レインは大きな一歩を踏み出した!
するとすぐさまにサディアスの矢が前方からものすごい早さで飛んできた。それを素早くかわし、剣でなぎ払い、少しずつ前に進んでいく。
「貴様!!本当にヒューマンか!?」
「こちとら姿も見えねーって言うのに、そっちはお見通しってか!だがね、俺はただのヒューマンじゃねーぞ!!いくぞ!!」
レインは炎の星石を高く掲げた!一瞬レインの周りを炎が取り囲んだ。その炎はレインに吸い取られるように消えた。レインには見えないようで見える炎のオーラが宿っていた。
「あ。あれは。…。面白い。俺も本気を出してやる!くらえ!レイニーアロー!」
【レイニーアロー】それはサディアスの必殺技だ。サディアスは空高くに8本もの矢を放った。それはレインのもとに向かうように計算されていた。
さらにサディアスは時間差で正面からも五本の矢をものすごいスピードで放つ。
サディアス自身も腰につけていたナイフを取り出し前に進んだ。どうやら本気で仕留めにいくようだ。つまり、それほどレインが脅威だと感じたのであろう。
「行くぞ。サラエフ。」
レインは小さく星石に向かって声をかけると、剣を握り直し、高くジャンプした。上に放った矢の方が先ではあるが、前から放たれた五本の矢の方が先に来るのをレインは見切っていた。
上から落ちてくる8本の矢が空中のレインに襲いかかる!
「焼き払え。フレイムガード。」
レインは手を矢に向かって突き出した。
すると炎の盾が落ちてくる矢を次々焼き払った。
8本とも焼き尽くすと着地の瞬間を狙っていたかのようにナイフを持った男がレインの背後に周りレインの首を斬りつけようとした。
キーーーーン!!ドガ!!
レインはそれを剣で弾き、その反動を利用してお返しにとその男の腹部に回し蹴りをお見舞いした。
「ぐわっ!!」
倒れ込んだ男の顔の横にすかさず剣を突き刺し、動きを封じると、
「サディアス!!俺の…勝ちだ。」
「くっ。。目的は…なんだ。ヒューマンがなぜ強い。なぜ、貴様は何者だ!」
レインはしばらく黙ったあと剣を鞘に収め、仰向けに倒れ込んだ。
「おい!!」
「待て待てー。疲れたってーの俺も。お前つえーんだもんよー。…俺の名はレイン。今から話すことは全部本当だ。しっかり聞いてくれ。」
むくっとあぐらをかきながらサディアスに語り出した。サディアスは木に寄りかかりながらレインの話を黙って聞いた。
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