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第十話④
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それからも私は、土日になるとエリザちゃんに呼び出された。
家族には変わらずバイトに行っているふりをした。エリザちゃんには、いきなりバイトをやめたら家族が心配するので、しばらく演技をするように言われたけれど、私を呼び出すための口実だろう。
学校のある日は、何食わぬ顔で、素知らぬ顔でエリザちゃんがうちに来た。そしてお母さんやハナちゃんの目を盗んで、お尻を触ってきたり、下着に手を入れられることもあった。
いつものようにエリザちゃんがうちに来て、夕飯を食べてから帰った後、私は見送りもせず、ぼんやり座っていた。
「アヤちゃん」
不意にお母さんに呼びかけられて、私は我に返った。
「あ、ごめん、片付ける」
「いいよ。それよりも、アヤちゃん。無理してない?」
「え、なんで?」
「疲れた顔しているから」
「別に……」
お母さんに心配をかけたくない。お母さんだって疲れた顔をしている。私が我慢すれば、エリザちゃんからお金がもらえるし、それで家計を助けることができる。
「あの、お母さん……」
「なに?」
「これ、バイト代」
渡そうと準備していたお金を出す。貯金は五十万円ほど。ただその全額を渡したら怪しまれる。とりあえず十万円を渡すことにした。
「アヤちゃん、こんなに受け取れないよ! これはアヤちゃんが頑張って稼いだお金でしょ?」
「いいの。これで少しは家計の助けになるでしょ? お母さんも、もっとお休み増やしてよ」
「ダメよ。自分のことにつかいなさい」
「私のことなんかより、ハナちゃんのためにお願い」
私が体を売って稼いだお金だ。そんな私が自分のためにお金を使っても仕方ない。
お母さんが受け取ってくれなくても、ハナちゃんにだけは、可愛い服を買ったり、もっと美味しいものを食べたり、友達と遊んだりして、幸せになってほしかった。
ハナちゃんの友達──エリザちゃんはハナちゃんの友達だった。
あんな邪悪な子が、果たしてハナちゃんと、普通の友達をしているのだろうか。
ハナちゃんがエリザちゃんの見送りから帰ってきた。乱暴に、前髪のピンを外した。それはエリザちゃんから誕生日プレゼントにもらったものだった。
「ハナちゃん」
「な、なに……?」
ハナちゃんが怯えたような目で私を見た。
いつからかハナちゃんの元気がなくなった。ナスミちゃんがうちに来るようになって、その時も、ハナちゃんは元気がなかった。それと入れ替わる形でエリザちゃんが迎えに来るようになって、ハナちゃんは元気を取り戻した。けれどある日から、ハナちゃんはエリザちゃんが迎えに来ても、うつむきがちで暗い顔をするようになった。
「エリザちゃんと、何かあった?」
「え……?」
ハナちゃんが目をそらす。
「なにも……」
私は背筋が冷たくなった。
ハナちゃんもエリザちゃんに何かされているのではないだろうか。
もしもハナちゃんがひどい目に遭っていたら、私はエリザちゃんを許せない。
* * *
いつものように私はエリザちゃんに呼び出された。ダリアちゃんの部屋で、ダリアちゃんもマリーちゃんもいた。ダリアちゃんのお母さんが留守の日に、私のことを呼び出しているようだった。
もしもエリザちゃんがハナちゃんにも何かしようとしても、こうして土日は私が相手をすることで、ハナちゃんに手を出すことはできないはず。家に来る日も、必ず私かお母さんがいるから、きっと平気だと思いたかった。
私とエリザちゃんは裸になって、ダリアちゃんのベッドの上で絡み合う。横になった彼女の右足にまたがり、左足を私の脇に通す。それから私の股の間を、彼女の股の間にくっつける。
「なにこれ? 大人ってこんなこともするの?」
エリザちゃんは楽しそうだった。
受け身になるといいようにされるので、なるべく私から積極的に動くようにした。時間いっぱいかけて、エリザちゃんを満足させることができれば、ひどいことをされずに済む。
私はエリザちゃんの割れ目に、腰を打ちつけるように、私の割れ目をこすりつける。お互いの体液が絡み合ってぬるぬると滑った。
「あ、お姉ちゃん……! あっ……!」
エリザちゃんが切なげな声を上げる。
ダリアちゃんとマリーちゃんは、一緒に混ざることもあれば、テレビを見たり、スマートフォンでゲームをしていた。今は漫画を読んでいるようだった。
私はエリザちゃんが果てたのを見届けて、体を離した。
「お姉ちゃん、キスして」
エリザちゃんが寝そべり、胸を上下させながら、両手を私の方に伸ばす。
私はその腕の中に体を沈め、エリザちゃんにキスをした。
そのまま抱き合って横になる。
「お姉ちゃん、大好き。今度は私がお姉ちゃんを気持ちよくしてあげるね」
エリザちゃんが私の上にまたがり、両手で胸を揉んでくる。次はエリザちゃんが私を攻める番だった。
彼女の額は汗に濡れて、髪が張りついていた。頬や胸元の白い肌も微かに赤らんでいた。
私はエリザちゃんが機嫌をよくしている気がしたので、あのことを聞いてみた。
「ねぇ、エリザちゃん。エリザちゃん、ハナちゃんにも、変なことしてない……?」
「ん? 何も」
エリザちゃんが微笑む。
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
「ハナちゃんが、元気ないから……」
「それってお姉ちゃんのせいでしょ? お姉ちゃんが私とのことを秘密にしているから」
「どういうこと……?」
「だって大好きなお姉ちゃんが影でこっそりこんなことしてるんだよ。自分は家で一人でお留守番。かわいそう。ハナちゃん一人でさびしいだろうな」
「それは、あなたのせいじゃ……」
「私のせい? お姉ちゃんは家族のため、バイトしているんでしょ? お姉ちゃんがどんなバイトをしていたか、大切な花ちゃんにも秘密にして、こうしてお姉ちゃんのバイト代も出してあげているのに?」
「ごめんなさい……」
エリザちゃんの指が、私の胸の先をつねった。痛みに私は涙が出た。
エリザちゃんは否定したけれど、それを信じることはできなかった。
ハナちゃんには、エリザちゃんと遊ばないようになんとか説得しよう。もしもエリザちゃんがそれに対して不満なようなら、私がこの体を差し出せばいい。
家族には変わらずバイトに行っているふりをした。エリザちゃんには、いきなりバイトをやめたら家族が心配するので、しばらく演技をするように言われたけれど、私を呼び出すための口実だろう。
学校のある日は、何食わぬ顔で、素知らぬ顔でエリザちゃんがうちに来た。そしてお母さんやハナちゃんの目を盗んで、お尻を触ってきたり、下着に手を入れられることもあった。
いつものようにエリザちゃんがうちに来て、夕飯を食べてから帰った後、私は見送りもせず、ぼんやり座っていた。
「アヤちゃん」
不意にお母さんに呼びかけられて、私は我に返った。
「あ、ごめん、片付ける」
「いいよ。それよりも、アヤちゃん。無理してない?」
「え、なんで?」
「疲れた顔しているから」
「別に……」
お母さんに心配をかけたくない。お母さんだって疲れた顔をしている。私が我慢すれば、エリザちゃんからお金がもらえるし、それで家計を助けることができる。
「あの、お母さん……」
「なに?」
「これ、バイト代」
渡そうと準備していたお金を出す。貯金は五十万円ほど。ただその全額を渡したら怪しまれる。とりあえず十万円を渡すことにした。
「アヤちゃん、こんなに受け取れないよ! これはアヤちゃんが頑張って稼いだお金でしょ?」
「いいの。これで少しは家計の助けになるでしょ? お母さんも、もっとお休み増やしてよ」
「ダメよ。自分のことにつかいなさい」
「私のことなんかより、ハナちゃんのためにお願い」
私が体を売って稼いだお金だ。そんな私が自分のためにお金を使っても仕方ない。
お母さんが受け取ってくれなくても、ハナちゃんにだけは、可愛い服を買ったり、もっと美味しいものを食べたり、友達と遊んだりして、幸せになってほしかった。
ハナちゃんの友達──エリザちゃんはハナちゃんの友達だった。
あんな邪悪な子が、果たしてハナちゃんと、普通の友達をしているのだろうか。
ハナちゃんがエリザちゃんの見送りから帰ってきた。乱暴に、前髪のピンを外した。それはエリザちゃんから誕生日プレゼントにもらったものだった。
「ハナちゃん」
「な、なに……?」
ハナちゃんが怯えたような目で私を見た。
いつからかハナちゃんの元気がなくなった。ナスミちゃんがうちに来るようになって、その時も、ハナちゃんは元気がなかった。それと入れ替わる形でエリザちゃんが迎えに来るようになって、ハナちゃんは元気を取り戻した。けれどある日から、ハナちゃんはエリザちゃんが迎えに来ても、うつむきがちで暗い顔をするようになった。
「エリザちゃんと、何かあった?」
「え……?」
ハナちゃんが目をそらす。
「なにも……」
私は背筋が冷たくなった。
ハナちゃんもエリザちゃんに何かされているのではないだろうか。
もしもハナちゃんがひどい目に遭っていたら、私はエリザちゃんを許せない。
* * *
いつものように私はエリザちゃんに呼び出された。ダリアちゃんの部屋で、ダリアちゃんもマリーちゃんもいた。ダリアちゃんのお母さんが留守の日に、私のことを呼び出しているようだった。
もしもエリザちゃんがハナちゃんにも何かしようとしても、こうして土日は私が相手をすることで、ハナちゃんに手を出すことはできないはず。家に来る日も、必ず私かお母さんがいるから、きっと平気だと思いたかった。
私とエリザちゃんは裸になって、ダリアちゃんのベッドの上で絡み合う。横になった彼女の右足にまたがり、左足を私の脇に通す。それから私の股の間を、彼女の股の間にくっつける。
「なにこれ? 大人ってこんなこともするの?」
エリザちゃんは楽しそうだった。
受け身になるといいようにされるので、なるべく私から積極的に動くようにした。時間いっぱいかけて、エリザちゃんを満足させることができれば、ひどいことをされずに済む。
私はエリザちゃんの割れ目に、腰を打ちつけるように、私の割れ目をこすりつける。お互いの体液が絡み合ってぬるぬると滑った。
「あ、お姉ちゃん……! あっ……!」
エリザちゃんが切なげな声を上げる。
ダリアちゃんとマリーちゃんは、一緒に混ざることもあれば、テレビを見たり、スマートフォンでゲームをしていた。今は漫画を読んでいるようだった。
私はエリザちゃんが果てたのを見届けて、体を離した。
「お姉ちゃん、キスして」
エリザちゃんが寝そべり、胸を上下させながら、両手を私の方に伸ばす。
私はその腕の中に体を沈め、エリザちゃんにキスをした。
そのまま抱き合って横になる。
「お姉ちゃん、大好き。今度は私がお姉ちゃんを気持ちよくしてあげるね」
エリザちゃんが私の上にまたがり、両手で胸を揉んでくる。次はエリザちゃんが私を攻める番だった。
彼女の額は汗に濡れて、髪が張りついていた。頬や胸元の白い肌も微かに赤らんでいた。
私はエリザちゃんが機嫌をよくしている気がしたので、あのことを聞いてみた。
「ねぇ、エリザちゃん。エリザちゃん、ハナちゃんにも、変なことしてない……?」
「ん? 何も」
エリザちゃんが微笑む。
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
「ハナちゃんが、元気ないから……」
「それってお姉ちゃんのせいでしょ? お姉ちゃんが私とのことを秘密にしているから」
「どういうこと……?」
「だって大好きなお姉ちゃんが影でこっそりこんなことしてるんだよ。自分は家で一人でお留守番。かわいそう。ハナちゃん一人でさびしいだろうな」
「それは、あなたのせいじゃ……」
「私のせい? お姉ちゃんは家族のため、バイトしているんでしょ? お姉ちゃんがどんなバイトをしていたか、大切な花ちゃんにも秘密にして、こうしてお姉ちゃんのバイト代も出してあげているのに?」
「ごめんなさい……」
エリザちゃんの指が、私の胸の先をつねった。痛みに私は涙が出た。
エリザちゃんは否定したけれど、それを信じることはできなかった。
ハナちゃんには、エリザちゃんと遊ばないようになんとか説得しよう。もしもエリザちゃんがそれに対して不満なようなら、私がこの体を差し出せばいい。
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