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煉獄篇
第10話「姉妹の加工方法」
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私はエリザちゃんに連れられて、駅の近くの喫茶店に入った。
そこには彼女の友達の、砂村大麗花ちゃんがいた。彼女はスマートフォンを手に、マイク付きのイヤフォンまでしていた。
「お待たせ、ダリアちゃん。首尾はどう?」
「マリーは今、ターゲットとATMにいるらしいわよ」
「そう。順調だね」
私はエリザちゃんと一緒に、ダリアちゃんの向かいに座る。
ダリアちゃんの前には食べかけのパンケーキとアイスの乗ったコーヒーがあった。
「お姉さんも何か食べる?」
「私は……」
そんな気分にはなれなかった。
エリザちゃんは私がクロキさんに会っていることを、前から知っていたようだった。そうでなければ、ここまで用意周到に仕組めないだろう。
「いったい、どういうことなの……? ハナちゃんはこのことを知っているの……?」
私は今の状況がわからなくて、生きた心地がしなかった。
「ハナちゃんは知らないよ。安心してください。私たちはお姉さんを助けにきたんですよ」
「助けに……?」
「それともいらなかったですか? お姉さんが好きでやってるなら、邪魔してごめんなさい」
好きでやっていたわけではない。ただ納得して受け入れるしかなかった。エリザちゃんが「助けにきた」という言葉。もうあんなことしなくていいんだ、そう思ったら、私は涙がこぼれてきた。
「ありがとう……」
鼻が詰まって声がうまく出なかった。
「よしよし」
エリザちゃんが私の頭を撫でてくれた。私は彼女の肩にもたれ、そのまま泣いた。彼女はその私の肩を優しく抱き寄せてくれた。
「ちょっと、目立つからやめてよ」
「まあまあ」
ダリアちゃんが困っているようだから、私は声を堪えた。
エリザちゃんは気にせず、私を慰めるように、優しく髪を撫でてくれた。
「つらかったね、もう安心だから。私が守ってあげるよ」
エリザちゃんの黒髪が頬に当たって、柔らかくて、ずっとそこに顔を埋めていたい気持ちになった。
「私、変だな、と思ったんです。お姉さんが何のアルバイトをするのか、お母さんも知らないことに。未成年のアルバイトなら、親の同意書とか必要ですよね? それがないということは、必要のない、ちゃんとしたアルバイトじゃない。もしかして最近流行りの、お金をもっている大人の女性と食事をしたり、体でお小遣いをもらうシス活じゃないかなって。それで何度か、あとをつけて、確信したわけです。おばさんと会ってホテルに入るところ、見たのは今日が初めてじゃないんですよ。お姉さんが好きでやってるなら、私も邪魔するつもりはなかったけど、元気がないのが気になって。余計なことをしてごめんなさい」
「ううん……助けてくれてありがとう……」
「ハナちゃんの大切なお姉さんだから、心配だったんです」
エリザちゃんのことは、変わった子、不思議な子だと思っていたけれど、よく人のことを見ている、思いやりのある、優しい子だとわかった。
ただ彼女の話を聞いていると、なぜか不安な気持ちになってきた。私のことを心配してくれて、助けてくれたことは嬉しいけれど、ずっと疑われていた、監視されていたと思うと、失礼だけれど、やはり彼女のことは不気味に感じてしまった。
「マリー、回収したって」
「そう、よかった」
「え、なに、ナポリタンとグラタンとパンケーキ? それ全部、一人で食べる気?」
「合流したら、いったん離れたいんだけどな」
「エリザがダメだって。うちに着いたら好きなもの出前していいから」
それからダリアちゃんはマリーちゃんと話し込んでいるようだった。
エリザちゃんに対する不安な気持ち──私は助けてくれたことをエリザちゃんに感謝しているけれど、彼女がクロキさんから百万円を脅し取ったのは怖かった。それに彼女は本当に、妹のハナちゃんと同い年の、中学一年生なのだろうか。
私は落ち着いてきたので、エリザちゃんから体を離す。
「あの、エリザちゃん……ありがとう……」
「どういたしまして」
エリザちゃんが優しく微笑む。
「あと、このこと、お母さんやハナちゃんには……」
「もちろん言ったりしませんよ」
「ありがとう……」
「ただ、その代わり──」
エリザちゃんが何か言いかけたとき、マリーちゃんが戻ってきた。
「回収してきた」
「ありがとう、マリーちゃん。それじゃ行こうか」
「待って、私まだ食べてる!」
「私も食べる」
「ちょっと──」
マリーちゃんはダリアちゃんの隣に座り、パンケーキとコーヒーを奪って食べる。ダリアちゃんが食べる間もなく、あっという間になくなった。
* * *
私はエリザちゃんたちと一緒に、ダリアちゃんの家に来た。彼女の家は大きな一軒家で、庭もあり、いわゆる豪邸というものだった。ダリアちゃんの部屋にいたっては、私たちの住む団地の部屋より広いのではないだろうか。家の中の小物や置物も高級そうで、お金持ちの家にありそうなものばかりだった。
本当はまっすぐ家に帰りたかった。今頃ハナちゃんは一人でお留守番していると思うと心が痛い。土日は、前は一緒に動画を見たり、お絵描きしたり、折り紙を折って遊んだりした。最近はクロキさんに潰されて、彼女と二日連続で会うこともあった。どうしても後ろ暗い気持ちがあって、家に帰ってもハナちゃんと面と向かって話すことができなかった。
ただそれも今日まで。お金も十分たまったので、これでハナちゃんやお母さんに、何か買ってあげようと思った。
「すぐには帰れないでしょ? バイトってことで出てると思うから。ちょっと時間を潰してから帰りましょう」
「うん……」
エリザちゃんの言う通りだった。
それにエリザちゃんにちゃんと事情を話して、このことをお母さんやハナちゃんには言わないよう、念押ししたかった。信じていないわけではないけれど、エリザちゃんの考えていることがわからない。
ダリアちゃんの部屋には、ソファにテレビ、大きなベッドがあった。部屋に入るなり、マリーちゃんがソファの前のローテーブルに札束を置く。それはクロキさんから回収した百万円だった。それをエリザちゃんが何枚か手に取ってばら撒く。
「あはは、本当にある」
エリザちゃんは声を立てて笑った。
「ちょっと、散らかさないでよ」
「あの人の持っているカードの、ATMの上限がわからなかかったから、せいぜい二十万か五十万円かと思っていたけど、ちゃんと百万円あるよ」
「このお金どうするの?」
「ダリアちゃんはいくらほしい?」
「私はいらないわ」
ダリアちゃんは百万円もの大金に気後れしている感じはなく、本当に興味がない様子だった。エリザちゃんを横目に、ソファに座って、スマートフォンを取り出していじり始めた。
「それじゃマリーちゃん、預かってて。とりあえず私はこのぐらい使うかな」
エリザちゃんは何枚か無造作にとった。
「はい、お姉さん」
エリザちゃんはそのうちの十枚を私に差し出した。
「これお姉さんの取り分」
「え、そんな……受け取れない……」
「ハナちゃんやママのために必要なんでしょ?」
「うん……」
「だったら、受け取ってください」
私は受け取ったけれど、エリザちゃんが怖くて仕方なかった。
脅迫でこんな大金を回収し、表情ひとつ変えないマリーちゃん、気にも留めないダリアちゃん、彼女たちを従えるエリザちゃんのことが怖かった。
エリザちゃんの本当の目的はお金だったのではないだろうか。
「あと、こんなの持ってた。いちおう回収しておいた」
マリーちゃんが鞄から何か、パッケージに入ったものを取り出す。
それはピンク色で、U字型をした棒状のものだった。三十センチほどの長さで、手で握れるぐらいの太さ。蛇か何かの幼虫に見えた。
マリーちゃんがそれをパッケージから取り出して、左右の端を持って曲げ伸ばしする。
「ちょっとマリーちゃん、なにそれ?」
エリザちゃんはお腹を抱えて笑い出した。
「お金を受け取ったあと、ついでに身分証とクレジットカードを出すように言ったら、これを投げて逃げてった」
「最初から逃げればよかったのにね。ちょっと考えれば、こっちも表沙汰にするわけにいかないから、写真や動画を拡散しないってわかるのに」
「だから考える時間を与えなかったんでしょ。いつもの手口じゃない」
ダリアちゃんが呆れたように言うのに、エリザちゃんは笑った。
それからエリザちゃんは、マリーちゃんからさっきの謎の物体を受け取り、ぐねぐねと動かして遊ぶ。私も見るのは初めてだった。クロキさんはそれを使って私に何をするつもりだったのだろうか。
「ねぇ、お姉さん。これ、どうやって使うんですか?」
「え、わからない……」
「でも使う予定だったんですよね?」
「知らない……」
「そうなんだ。どうやって使うんだろう。両端で太さが違うんだ」
「お尻に入れるんじゃないの?」
ダリアちゃんの指摘に、エリザちゃんが勢いよく振り向く。それにダリアちゃんは面食らったようだった。
「そうなの?」
「だって、それ、そういう道具じゃないの?」
「ダリアちゃんは使い方わかるの?」
「いや、知らないけど……形から、前と後ろの穴に同時に入れるんじゃないの? それか二人同時に入れるとか……知らないけど……」
「ああ、なるほど」
「それ、わざと言ってるでしょ……」
「なにが?」
「なんでもない……」
エリザちゃんが私に向き直る。楽しそうに笑っていた。この年頃なら、こういう下ネタが楽しいのかもしれない。
「それじゃお姉さん、これ使ってみてください」
「いい……いらない……」
「そうじゃなくて、今ここで、これを使っているところを、私たちに見せてください」
「え……?」
私はエリザちゃんが今言ったことが、信じられなかった。
聞き間違いだと思った。彼女はいつもと変わらない顔で微笑んでいたから。
* * *
エリザちゃんは私の目の前で、あのピンクの棒状のものをぐねぐねさせていた。その隣にダリアちゃんとマリーちゃん。私は三人に囲まれて、逃げることもできなかった。
「だってお姉さん、あのおばさんにお小遣いもらって、体を売っていたんですよね?」
「それは……違って、そんなことしてない……」
「そうなんですか? それじゃ本当は何をするつもりだったんですか?」
「えっと、あの……」
「あの人と、ホテルで何をするつもりだったんですか? あそこって普通のホテルじゃないですよね? 会うのだって、もう何回も」
エリザちゃんは最初から、私のことを疑って監視していた。今さらどう誤魔化すこともできないと思うけれど、本当のことを言うのはためらわれた。
「何も……二人でお風呂に……そう、サウナに入るだけ……!」
「へぇ、わざわざ?」
「あのラブホテル、サウナがついてて、自分で温度とか調整できるの! クロキさんとは、本当にそれだけで……」
「そっか、何もなかったんだ。よかったぁ。これでハナちゃんも安心するだろうな」
「なんで、ハナちゃんが……? ハナちゃんはこのこと、知らないんでしょ……?」
「うん。だけどハナちゃん、最近お姉さんが元気ないの心配してたから。大人の女の人と一緒にお風呂に入ってお金をもらってただけだから安心してって、教えてあげないと」
「さっきハナちゃんには言わないって……」
「だってお姉さん、私のお願いを聞いてくれないじゃないですか」
「え?」
「このオモチャを使っているところを見せて、って、お願いしたじゃないですか。そもそもこんなものまで用意して、お風呂だけなんて無理がありますよ。そのことをハナちゃんとママに秘密にしないといけないなんて、二人を裏切るようで私、心が痛いです。私にそんなひどいことをさせて、それなのにお姉さんは私のお願いを聞いてくれないんですか?」
エリザちゃんはいつものように微笑んでいた。
同じ顔で、何かの悪い冗談を言っているだけ、そう思いたかったけれど、エリザちゃんは顔色ひとつ変えずにクロキさんから百万円を脅し取った。
「どうして、そんなこと……」
「だっておばさんにはさせる予定だったんですよね? おばさんにはさせて、私のお願いは聞いてくれないんですか? お金だってさっき払ったじゃないですか。足りませんでしたか? あといくら払えばいいですか?」
「そうじゃなくて、どうして私にそんなことをさせるのかって……別に、私にできることなら、ほかのことでもいいでしょ……?」
エリザちゃんの目的が分からない。私をクロキさんから助けて、今度はそのことで私を脅す。私を脅迫してひどいことをするのが目的なら、いつの間に私はエリザちゃんに恨まれるようなことをしたのだろうか。
「私、一人っ子だから、お姉ちゃんていうのが、姉妹ていうのがどんなものか、わからないんですよね。アヤナお姉さんは、妹のハナちゃんのために、いつも一生懸命ですよね。ハナちゃんとお姉さんのやりとりを見ていると、なんだか羨ましいなって。姉妹って、家族っていいなって思ったんです。だから私のために、私のためだけに頑張ってくれるお姉さんが見たいんです」
「それなら、エリザちゃんのために、毎日ご飯つくるし、欲しいものとか買ってあげるから……」
「私もお姉さんの料理、大好きですよ。だけどそれはハナちゃんのついでですよね? 欲しいものも、別にお金に困ってませんから。それに私の欲しいものはお金じゃ手に入らないんです」
「じゃあ、何が欲しいの……?」
エリザちゃんがにっこりと微笑む。あの八重歯がのぞいた。
「お姉ちゃん、です。ねぇ、アヤナさん。私のお姉ちゃんになって」
「それは、いったいどうすれば……」
「お姉ちゃんは妹のわがままやお願いを、なんでも聞いてくれるんだよ。だからアヤナお姉ちゃん、これを使っているところ見せて」
それがどうしてこんなことに結びつくのかわからない。彼女が何を言っているのか、私は理解できなかった。
「やだ……」
それにエリザちゃんの顔から表情が消えた。
「残念だなぁ。ハナちゃん悲しむだろうな。優しいママが悲しむところ、見たくないなぁ」
私はエリザちゃんが怖くて仕方なかった。それはエリザちゃんの言動が、クロキさんに感じた怖さに、言葉や暴力で私を支配しようとするところが似ていたから。
「お願い……ハナちゃんや、お母さんには言わないで……」
「どうしようかなぁ」
私はどうしたらいいのだろうか。エリザちゃんに言われた通りにするしかないのだろうか。
「エリザ、手伝ってあげたら?」
「え?」
不意にダリアちゃんが口を挟んだ。眉を寄せて、険しい顔をしていた。
「それ、一人で使うものじゃないでしょ? あなたが入れてあげたら?」
「それもそうだね。手伝ってあげる。それじゃ服を脱いで、アヤナお姉ちゃん」
エリザちゃんがにっこりと笑った。
私はエリザちゃんに逆らうことができない。私は諦めて、彼女の言いなりになった。結局私は助かったのではなく、クロキさんからエリザちゃんに飼い主が代わっただけだった。
もっと状況は悪くなったかもしれない。妹の友達に脅されて、まるで無邪気な子供の手によって、その羽と脚をもがれる虫になったような気分だった。
エリザちゃんだけでなく、彼女の友達が二人いる前で、私は服を脱ぎ、下着姿になった。
そのときエリザちゃんが声をあげる。
「え、なにその下着⁉︎」
私はすっかり忘れていた。クロキさんに着るように渡された下着を、私は着ていたのだった。それはもとから透けているのに、わざわざ胸の先と股の間に、切れ目の入った下着。それを見られるのは、なぜか裸を見られるよりも恥ずかしかった。
「こんなの着て、変態じゃないですか」
「すごい下着ね……」
ダリアちゃんも呆れているようだった。
私は恥ずかしくて泣けてきた。二人がどんな顔で私を見ているか、怖くて見ることができなかった。
私は急いでその下着を脱ごうとした。
「待って! せっかくだからそのままで」
私はエリザちゃんに止められて、それを脱ぐことができなかった。せめて胸元と股を手で隠そうとしたけれど、エリザちゃんにつかまれて阻止される。
「よく見せて」
私の前にエリザちゃんがきて、じっくりと見てくる。
「乳首と割れ目が丸見えだ。こんなの着て恥ずかしくないんですか?」
「恥ずかしい……」
「恥ずかしいのが好きな変態なんですか?」
「違う……」
「だって濡れてますよ」
エリザちゃんの指が私の股の間の割れ目に触れた。
「ひゃっ!」
私はそのエリザちゃんの手首をつかむけれど、彼女の指は割れ目の中に入って、私の中へ潜り込もうとするようにまさぐってきた。
「あ、うっ……」
エリザちゃんの指は細くて小さくて、クロキさんの指とは違って、そこまで怖くはなかった。けれど妹の友達にそんなところを触られるのは、恥ずかしくて悔しかった。
「ふふ。お姉さんの中、あったかい。ぬるぬるしてる。私の指で感じてくれてるんですか?」
「ちがう……これは……」
私の体はクロキさんに改造されていた。こんなことをして、今まで一度だって興奮したり、気持ちがいいと思ったことはない。
私は一時期濡れることがなくなった。それに怒ったクロキさんが、何時間もかけて私の体を責め立てたことがあった。それから私は恐怖を感じたり、不安になると濡れるようになってしまった。
エリザちゃんが指を引き抜く。次に何をされるのかわからなくて、私はエリザちゃんの手を離せなかった。
「手、離して」
「はい……」
ただ私はエリザちゃんの命令に逆らえない。
「それじゃ次は、ソファに座って、自分で開いて見せてください」
妹と同い年の子たちの前でそんなことをするのは抵抗があったけれど、私はどうすることもできないことがわかっていたので、それに従った。
ソファに座り、両足を抱えるようにして股を開く。それをエリザちゃんは楽しそうに見ていた。ダリアちゃんは腕組みして、顔をしかめている。どこか私のことを蔑むような、憐れむような様子だった。マリーちゃんは無表情に私のことを見ていて、何を考えているのかわからなかった。
「広げて見せてください」
私は割れ目を両側から広げた。それをエリザちゃんが顔を近づけてのぞく。彼女の鼻息が当たってくすぐったかった。
「まあ当然ですけど、お姉さん、初めてじゃないんですね。なんだかショック。初めては誰だったんですか? あの人ですか?」
「違う……」
「じゃあ誰なんですか?」
それだけは絶対に言いたくなかった。私が黙っていると、エリザちゃんに指を突き入れられ、乱暴にかき回された。
「いっ……痛い……!」
「教えてください。ハナちゃんにあのこと話してもいいんですか?」
どんなに恥ずかしくて、情けなくて、悔しくても、私はエリザちゃんに逆らうことができなかった。
「ハナちゃんの、リコーダー……」
「え?」
「中学一年のときに、ハナちゃんのリコーダーで……痛くて、最後までできなかったけど……」
「あはっ、お姉さん、最高。私、お姉さんのこと、もっと好きになっちゃいました」
エリザちゃんは私の中に指を入れたまま、楽しそうに笑っていた。
私は悔しくて泣くことしかできなかった。
* * *
エリザちゃんは私から指を抜くと、あのピンクの棒状の物体をU字に曲げ、それをダリアちゃんに手渡す。
「それでこれってどうやって使うの?」
「いや、だから、前と後ろの穴に……」
エリザちゃんがダリアちゃんの顔をじっと見る。どこかからかうような、意地の悪そうな笑みを浮かべていた。それにダリアちゃんは嫌そうな顔をしていた。
「ダリアちゃん、使って見せて」
「え?」
「お姉ちゃんとね、自分の友達が仲良く遊んでいるところが見たいの。それって家族ならではだよね」
いったいエリザちゃんがどのような家族観をもっているのか、なぜそのような家族観をもったのか。どうしてこんな恐ろしい少女が生まれたのだろう。彼女は歪んでいて、狂っている。私はそう思った。
「わかったわよ……やればいいんでしょ……」
「やだ……やめて……」
ダリアちゃんがピンクの物体を手に、私の股の間にある二つの穴に、その先端を押し当てた。お尻の穴は、クロキさんにいじられたり舐められたことはあったけれど、何かを入れられたことはなかった。
「痛い……怖い……」
「いいから黙って、力抜いてよ」
ダリアちゃんは険しい顔をしていた。彼女も私のように、エリザちゃんに脅されているのだろうか。
先端がぐりぐりと押し込まれ、私のお尻の穴をこじ開けて、私の中に潜り込んできた。まるで排泄物が逆流してくるような不快感があった。それ一つでも耐えがたいのに、前の穴からも入ってくる。あまりの気持ち悪さに吐き気がして、息が苦しかった。
「すごい、入った!」
エリザちゃんが手を叩いて喜んでいた。
「グロい」
マリーちゃんがかすかに顔をしかめて、そう呟いた。
「好き勝手言わないでよ」
その間にも、ダリアちゃんの棒を私の中へ押し込む力が強くなってくる。
「痛い痛い痛い!」
私の中に沈んでいくにつれて、少しずつ棒が太くなっていく。ぎりぎりとお尻の穴が広げられ、鋭い痛みが走った。
「わぁ、血が出てる。痛そう」
エリザちゃんがひとごとのように言った。
私はエリザちゃんをじっと見た。どんなに彼女を見つめても、私のことを助けてくれる様子はなかった。彼女は苦しむ私を見て、楽しそうに、琥珀色の瞳を細めていた。
あの棒が、私の二つの穴をえぐり、ずるずると這入り込んでくる。
痛い、気持ち悪い、怖い、誰か助けて──
私はあまりの痛みに息が苦しくて、声も出せなかった。このまま死んでしまうんじゃないかと思った。
「それでダリアちゃん、入れたらどうするの? このまま?」
「出し入れするんじゃない?」
「じゃあやって」
「わかったわよ……」
ダリアちゃんが私の中に潜り込んだそれを、ぐっと引き抜く。
「あぅ……うぅ……」
内側がめくれて、内臓ごと引き抜かれてしまうのではないかと、恐ろしい気持ちになった。
「苦しそう。ねぇ、マリーちゃん。私たちでお姉ちゃんを気持ちよくしてあげよう」
「わかった」
まるで善意からのようにいっているけれど、それなら今すぐこんなことやめてほしかった。
エリザちゃんは私の左胸に顔を近づけ、下着の穴からのぞいた先に口をつけた。マリーちゃんは右胸を掴み、乱暴に揉む。
「いたっ……!」
「マリーちゃん、優しく揉んであげて」
「わかった」
エリザちゃんは舌を出して、私の胸の先を舐めた。
「んん……」
彼女の舌先が、飴玉を転がすように、私の胸の先をもてあそぶ。その最中も、ダリアちゃんが手にもったあれを、私の中に再び押し込んできた。
「あああ──」
それに私は悲鳴を漏らした。
内側を抉られ、外側を責められて、痛みに涙が溢れ、頭の中をぐちゃぐちゃにされて、私が壊れてしまうような気がした。
エリザちゃんは口を離すと、私の胸を揉む。
「お姉ちゃん、けっこう胸大きいよね。お姉ちゃんもママと同じぐらい、将来は大きくなるのかな?」
「知らない……」
「私たちで育ててあげよう。どこまで大きくなるかな」
まるで小学校の課題で、植物の成長を観察するかのような口ぶりだった。
「ねぇ、いつまでするの?」
ダリアちゃんが不満げに言った。私は今すぐにやめてほしかった。
「そうだね。私たちがしてあげたんだから、次はお姉ちゃんにしてもらおうか」
それにマリーちゃんは手を離し、ダリアちゃんがあれを引き抜く。抜けた瞬間、私はうんちが漏れそうな気がして、急いでお尻の穴に力を入れた。
「汚っ……」
ダリアちゃんが手に持つあれには、私の体液や、うんちがついていた。
私はようやく解放されたので、自分で股を押し広げた惨めな姿勢を崩そうとした。しかしそれをダリアちゃんに怒られる。
「そのままでいて! ソファが汚れる! マリー、拭くものちょうだい」
マリーちゃんはローテーブルに置いてあるティッシュの箱を取る。ダリアちゃんはそこから何枚か取り、私に投げつけた。
「自分で拭いて。汚い」
妹と同い年の三人にもてあそばれ、私は情けなくて惨めな気持ちになった。涙が出てきたけれど、私は惨めな気持ちを堪えて、股を開いたまま、それを取ってお尻を拭く。拭うと、濡れた感触がした。ティッシュにはうんちと血がついていた。お尻の穴も前の穴もまだ痛い。
「それよりこれ。マリー、なんか袋ある?」
「ない」
「えぇ、これどうするのよ……」
ダリアちゃんは私の中に入れたそれを、汚物を見るような目で見ていた。
エリザちゃんがそれに笑う。
「洗ってきたら? まだ使えるし」
「うう……」
ダリアちゃんは心の底から嫌そうな顔をしていたけれど、エリザちゃんに従って、それを持ったまま部屋を出ていった。
彼女が出ていくと、エリザちゃんが私を向く。
「それじゃお姉ちゃん、次は何をしようか?」
彼女は楽しそうに笑っていた。私の悪夢はまだおわらなかった。
「ねぇ、お姉ちゃんは、あのおばさんと今までに、どんなことをしたの?」
「お互いの、あそこを、手や口でしたり……縛られて、ずっといじられたり……」
「ふーん。そう。それじゃお姉ちゃん、おばさんにしたように、私のここにもして」
エリザちゃんが服を脱ぐ。彼女の細い肢体と、白い肌が露わになった。
ベッドに腰掛けて、今度は彼女が股を開く。
「来て」
私は言われた通り、エリザちゃんの前に立つ。少し歩くだけで、股の間に響いて痛かった。
「舐めて」
エリザちゃんは右足をあげてベッドに乗せ、右手で割れ目を開く。
私は彼女の前にひざまずいて、まだ熟れていない果実のような裂け目に口をつけた。
クロキさんには何度も何時間も舐めさせられたから、いまさら抵抗もなかった。
舌先で彼女の、裂け目の上にある、笠を被った突起を舐める。
「あっ、んっ……」
エリザちゃんが声を漏らした。
彼女を満足させられたら、この悪夢から解放してもらえるかもしれない。
私は舌先で突起の笠を、皮を剥く。そして剥き出しになったそれを唇で挟む。
「あああっ……!」
エリザちゃんが声をあげて、私の頭を掴み、押しつける。クロキさんにされたよりも全然力がなかった。彼女には窒息するのではないかと思うほど、股の間に顔を押しつけられた。それに比べたら大したはことなかった。
私は剥き出しになったそれを、舌の中心も使って舐め上げる。
「んんん──」
エリザちゃんの体が震えた。
しばらく舐めたり、唇で吸ったりしたあと、私は彼女の裂け目に顔を沈めて、肉の花弁に沿って舐め上げる。
「すごい……! お姉ちゃん、すごい……!」
肉弁を何度かなぞり、さらに内側を探ると、彼女の穴を見つけた。舌を中に差し込む。
「あ、待って! お姉さん、ストップ!」
エリザちゃんは体を震わせた。私の顔を割れ目の中に押しつけて、短く体を震わせた。
「んん……!」
エリザちゃんの私の頭を押さえる力が緩んだので、私は彼女の股の間から顔を離した。そこは赤く充血し、私の唾液と彼女の体液で濡れて、ぬらぬらと光っていた。
エリザちゃんは体をベッドに横たえて、荒い呼吸にその薄い胸を上下させていた。
今彼女が、性的に達した状態だというのは、クロキさんに何度もさせられ、されたことからわかった。達すると、体が震えたり、膣が痙攣したり、頭の中が真っ白になって何も考えられなくなる。それは自分の意思ではどうすることもできない。
これでエリザちゃんも満足してくれただろうか。
「ちょっと、ベッド汚さないでよ……」
いつの間にか戻っていたダリアちゃんが呆れたように言った。
「二人とも、お姉ちゃんすごいよ。してもらったら?」
「私はいい……」
まださせられるのかと思ったけれど、ダリアちゃんは乗り気ではなかった。
エリザちゃんがベッドを降りて、ダリアちゃんからあのピンクの棒状のものを受け取る。それを手にしながら、私を見て微笑む。
「とりあえずお昼にしようか。お姉ちゃん、何食べたい? まだ一日は長いからね。おばさんとする予定だったこと、全部しようね」
私はエリザちゃんの言葉で、まだこの悪夢がおわらないことを思い知らされて、気が遠くなった。
* * *
それからも私は、土日になるとエリザちゃんに呼び出された。
家族には変わらずバイトに行っているふりをした。エリザちゃんには、いきなりバイトをやめたら家族が心配するので、しばらく演技をするように言われたけれど、私を呼び出すための口実だった。
学校のある平日はいつものように、何食わぬ顔で、素知らぬ顔でエリザちゃんがうちに来た。そしてお母さんやハナちゃんの目を盗んで、お尻を触ってきたり、下着に手を入れられることもあった。
エリザちゃんがうちに来て、夕飯を食べてから帰ったあと、私は見送りもせず、ぼんやりと座っていた。
「アヤちゃん」
不意にお母さんに呼びかけられて、私は我に返った。
「あ、ごめん、片付ける」
「いいよ。それよりも、アヤちゃん。無理してない?」
「え、なんで?」
「疲れた顔しているから」
「別に……」
お母さんに心配をかけたくない。お母さんだって疲れた顔をしている。私が我慢すれば、エリザちゃんからお金がもらえるし、それで家計を助けることができる。
「あの、お母さん……」
「なに?」
「これ、バイト代」
渡そうと準備していたお金を出す。貯金は五十万円ほど。ただその全額を渡したら怪しまれる。とりあえず十万円を渡すことにした。
「アヤちゃん、こんなに受け取れないよ! これはアヤちゃんが頑張って稼いだお金でしょ?」
「いいの。これで少しは家計の助けになるでしょ? お母さんも、もっとお休み増やしてよ」
「ダメよ。自分のことにつかいなさい」
「私のことなんかより、ハナちゃんのためにお願い」
私が体を売って稼いだお金だ。そんな私が自分のためにお金を使っても仕方ない。
お母さんが受け取ってくれなくても、ハナちゃんにだけは、可愛い服を買ったり、もっと美味しいものを食べたり、友達と遊んだりして、幸せになってほしかった。
そこでハナちゃんの友達──エリザちゃんがハナちゃんの友達であることを、改めて思い出した。
あんな邪悪な子が、果たしてハナちゃんと、普通の友達をしているのだろうか。
ハナちゃんがエリザちゃんの見送りから帰ってきた。乱暴に、前髪のピンを外した。それはエリザちゃんから誕生日プレゼントにもらったものだった。
「ハナちゃん」
「な、なに……?」
ハナちゃんが怯えたような目で私を見た。
いつからかハナちゃんの元気がなくなった。ナスミちゃんがうちに来るようになって、その時も、ハナちゃんは元気がなかった。それと入れ替わる形でエリザちゃんが迎えに来るようになって、ハナちゃんは元気を取り戻した。けれどある日から、ハナちゃんはエリザちゃんが迎えに来ても、うつむきがちで暗い顔をするようになった。
「エリザちゃんと、何かあった?」
「え……?」
ハナちゃんが目をそらす。
「なにも……」
私は背筋が冷たくなった。
ハナちゃんもエリザちゃんに何かされているのではないだろうか。
もしもハナちゃんがひどい目に遭っていたら、私はエリザちゃんを許せない。
* * *
いつものように私はエリザちゃんに呼び出された。ダリアちゃんの部屋で、ダリアちゃんもマリーちゃんもいた。まだダリアちゃんのお母さんに会ったことがないので、留守の日に私のことを呼び出しているようだった。
もしもエリザちゃんがハナちゃんにも何かしようとしても、こうして土日は私が相手をすることで、ハナちゃんに手を出すことはできないはず。家に来る日も、必ず私かお母さんがいるから、きっと平気だと思いたかった。
私とエリザちゃんは裸になって、ダリアちゃんのベッドの上で絡み合う。横になった彼女の右足にまたがり、左足を私の脇に通す。それから私の股の間を、彼女の股の間にくっつける。それにお互いの割れ目が触れ合った。
「なにこれ? 大人ってこんなこともするの?」
エリザちゃんは楽しそうだった。
受け身になるといいようにされるので、なるべく私から積極的に動くようにした。時間いっぱいかけて、エリザちゃんを満足させることができれば、ひどいことをされずに済む。
私はエリザちゃんの割れ目に、腰を打ちつけるように、私の割れ目をこすりつける。お互いの体液が絡み合ってぬるぬると滑った。
「あ、お姉ちゃん……! あっ……!」
エリザちゃんが切なげな声を上げる。
ダリアちゃんとマリーちゃんは、一緒に混ざることもあれば、テレビを見たり、スマートフォンでゲームをしていた。今は漫画を読んでいるようだった。
私はエリザちゃんが果てたのを見届けて、体を離した。
「お姉ちゃん、キスして」
エリザちゃんが寝そべり、胸を上下させながら、両手を私の方に伸ばしてくる。
私はその腕の中に体を沈め、エリザちゃんにキスをした。
そのまま抱き合って横になる。
「お姉ちゃん、大好き。今度は私がお姉ちゃんを気持ちよくしてあげるね」
エリザちゃんが私の上にまたがり、両手で胸を揉んでくる。次はエリザちゃんが私を攻める番だった。
彼女の額は汗に濡れて、髪が張りついていた。頬や胸元の白い肌も微かに赤らんでいた。
私はエリザちゃんが機嫌をよくしている気がしたので、あのことを聞いてみた。
「ねぇ、エリザちゃん。エリザちゃん、ハナちゃんにも、変なことしてない……?」
「ん? 何も」
エリザちゃんが微笑む。いつもと変わらない様子で、嘘をついているかどうかわからなかった。
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
「ハナちゃんが、元気ないから……」
「それってお姉ちゃんのせいでしょ? お姉ちゃんが私とのことを秘密にしているから」
「どういうこと……?」
「だって大好きなお姉ちゃんが影でこっそりこんなことしてるんだよ。自分は家で一人でお留守番。かわいそう。ハナちゃん一人でさびしいだろうな」
「それは、あなたのせいじゃ……」
「私のせい? お姉ちゃんは家族のため、バイトしているんでしょ? お姉ちゃんがどんなバイトをしていたか、大切なハナちゃんにも秘密にして、こうしてお姉ちゃんのバイト代も出してあげているのに?」
「ごめんなさい……」
エリザちゃんの指が、私の胸の先をつねった。痛みに私は涙が出た。
エリザちゃんは否定したけれど、それを信じることはできなかった。
ハナちゃんには、エリザちゃんと遊ばないようになんとか説得しよう。もしもエリザちゃんがそれに対して不満なようなら、私がこの体を差し出せばいい。
* * *
次の日も私は呼び出された。
私は胸と股の間に穴の空いたあの下着を着させられた。
それからダリアちゃんの部屋のベッドの上で、両手と両足首をそれぞれ拘束され、大の字になって寝かされた。六月も末になり、部屋には冷房が効いていて、股や胸の先だけでなくお腹も冷えた。
拘束具は内側にクッションのついた、ピンク色のベルトのような形をしていた。それを両手足首に取りつけられる。そのベルトの留め具には紐がつながれていて、それはマットレスの下を通して四隅から伸びていた。
クロキさんにも同じようなことをされたことがある。まったく身動きできなくされて、一方的に責め立てられて、死ぬほど怖かった。
ただそのときよりも拘束は緩く、肘や膝を曲げたりすることができた。ただ拘束を解こうと、もう一方の手に触れることはできなかった。
「それじゃお姉ちゃん。私たち、少し出かけてくるから。待っててね。マリーちゃん、留守番よろしく。お姉ちゃんと遊んでてもいいよ」
「わかった。あと、炭酸とポテトチップス。炭酸は強いやつがいい」
マリーちゃんの注文に、ダリアちゃんが顔をしかめる。
「映画を見るんじゃないんだから……」
それをエリザちゃんが取りなす。
「まあ同じようなものだから。買ってくるね」
「よろしく」
エリザちゃんとダリアちゃんは、私とマリーちゃんを残して出ていった。
私はどうすることもできず、部屋の中を見回すか、天井を見ているしかなかった。
いったいこれから私は何をされるのか、不安で恐ろしいけれど、エリザちゃんの姿が見えなくなったことで、少しだけ気が楽になった。歯医者で順番待ちをしているような気分だった。私の番はまだこないけれど、いずれは順番が回ってくる。そのときまでの暗い安穏に似ていた。
マリーちゃんはソファに座って、テレビを見ていた。何かアニメを見ているようだった。首をあげれば少しは見ることができるけれど、こちらからだと画面が斜めになっていて、彼女が何を見ているのかわからなかった。
エリザちゃんはマリーちゃんに、私と遊んでていいと言った。ただマリーちゃんは私に興味がないようで、私の方を見向きもせず、ずっとテレビを見ていた。
ダリアちゃんやマリーちゃんは、エリザちゃんの命令がなければ、私に対して何かすることはない。
ただ私はマリーちゃんのことも怖かった。ダリアちゃんはエリザちゃんに嫌々従っている感じがした。私のように何か弱みを握られているのかもしれない。しかしマリーちゃんは、エリザちゃんに怯えている様子はなく、むしろ気が合っているようだった。
それでもこの状況をどうにかするには、彼女たちの関係や、エリザちゃんの目的を知る必要があった。私に姉になるように、エリザちゃんは求めてきたけれど、それが本当の目的とは思えなかった。
ただ私のことをもてあそぶことが目的で、その様子を楽しんでいるだけだったら、私にはどうすることもできない。その場合は、子供の手に捕まった羽虫のように、その羽と手足をもがれて、息絶えるまで凌辱されるかもしれない。
何にせよ、このままいいようにされていたら、私はどうなってしまうのかわからない。
もしほかに本当の目的があれば、そこからこの状況を変えるヒントが見つかるかもしれない。
私はマリーちゃんから、少しでも情報を聞き出すことにした。
「あの、マリーちゃん……」
「何ですか? エリザちゃんのお姉さん」
エリザちゃんは姉妹ごっこを、彼女の友達にも徹底しているようだった。
「その、お姉さんっていうのだけど……」
マリーちゃんはソファに座ってテレビを見たままで、ベッドに拘束された私の方を見向きもしなかった。
「エリザちゃんは、どうしてこんなことをするの……?」
「家族がほしいから」
それがどういう意味なのか、どうしてなのかわからない。
「どうしてエリザちゃんは、家族がほしいの?」
「家族がいないから」
「え? でも、エリザちゃんにも家族がいるでしょ?」
「あれは家族じゃない」
やはりエリザちゃんの家庭は複雑なようだった。それでこんなことをする子供になってしまったのか。
「エリザちゃんは、家族と仲が悪いの?」
それにマリーちゃんは答えてくれなかった。
しばらく黙って待っていたけれど、答えてくれそうにないので、話題を変えることにした。
「マリーちゃんは、どうしてエリザちゃんの言うことを聞くの?」
もしも彼女も何か弱みを握られているのなら。その弱みがわかれば、私たちは助け合うことができるのではないだろうか。
「別に。友達だから」
マリーちゃんは相変わらず感情をうかがわせない声音だった。
ふと、以前エリザちゃんが言っていたことを思い出した。
『ダリアちゃんとは、私がこっちに引っ越してきてからの、小学校からの友達なんです。マリーちゃんとは小学校が別だったけど、三人でよく遊んでました』
それならマリーちゃんは、エリザちゃんたちとどこで接点をもったのだろうか。
「マリーちゃんはエリザちゃんと、いつから友達なの? 小学校は違ったんだよね? 中学校から?」
それにマリーちゃんは無言だった。
私は少し待ってから、もう一度、踏み込んで聞いてみた。
「マリーちゃんもエリザちゃんに弱みを握られているの?」
「別に」
そう短く返された。
仮に弱みがあったとしても、わざわざ私に話してくれることとも思えなかった。下手なことを聞いて、エリザちゃんに告げ口されても怖いので、これ以上は聞かないことにした。
「エリザちゃんとダリアちゃんは私を助けてくれた。私は二人のためなら、なんだってする」
マリーちゃんから話しかけてくることはないと思っていたけれど、意外なことに彼女から話し始めた。
「それは、どういうこと? 助けてくれたって?」
マリーちゃんが立ち上がり、私の方に歩み寄ってくる。テレビから、何かが爆発するような戦闘の音と、少女たちの悲鳴が聞こえてきた。
「私は小学校の時、ずっといじめられていた」
「そう、だったんだ……」
マリーちゃんが私の足元の方に立った。無表情に、暗い瞳で私を見ていた。
私は体を起こして彼女の方を向こうとしたけれど、手足首を拘束されていて、肘と膝を曲げることで、わずかに上体を起こすことができる程度だった。肘を支えにして、背中と首の筋肉に力を入れて、なんとか彼女を見る。慣れない姿勢に、ふるふると体が震えて痛かった。
「殴られたり、蹴られたり、階段から突き落とされて、骨が折れたこともある。死にそうな目に何度も遭った」
マリーちゃんがベッドに乗り、私の股の間に進む。思わず閉じようとしたけれど、膝の頭を合わせて閉じることができなかった。
「そのせいで私は、痛みも何も感じない体になった」
マリーちゃんの指が、私の股の間に触れた。
私は腰を引こうとしたけれど、ベッドに縛られて逃れることができない。
「もう痛みがどんなだったか、思い出すこともできない。大好きなダリアちゃんに触れられても、私は痛みも何も感じることができなかった。ねぇ、人に触れられるってどんな感じなの?」
マリーちゃんの指が私の中に入ってくる。
「う……くっ……」
もう何度も、指以外のものも入れられたけれど、いきなり指を入れられるのは痛かった。
「お願い、もう少し……優しく……」
エリザちゃんやクロキさんが時間をかけて、私を凌辱するのに対して、マリーちゃんの指は強引で乱暴だった。
「痛い? 苦しい? 怖い? それがどんなものか、私に教えてよ」
「やめて……痛い……」
「それってどんな感じなの? どうやったら感じられるの?」
マリーちゃんは、いつもの無表情とは違って、どこか焦っているような、怒りにも似た表情を浮かべていた。目が吊り上がり、その暗い瞳で私を睨んでいた。
不意にドアが開く。私は驚いて心臓が止まりそうになった。
「ただいま」
エリザちゃんの声だった。
「ふふ。マリーちゃん、遊んであげてたんだ」
「うん」
マリーちゃんが指を抜く。
私は解放されたけれど、このあと三人にされることを思うと、暗い気持ちになった。
「おねえ、ちゃん……?」
その時、三人とは違う、聞き覚えのある声がした。それに私は背筋が凍りついた。
彼女たちの方を見ると、エリザちゃんとダリアちゃんの後ろに、私の妹のハナちゃんがいた。
ハナちゃんは目を見開いて、青ざめた顔で私を見ていた。
私はエリザちゃんを見た。
「ハナちゃんには、言わないって……」
そんな約束を守ってくれるような子でないことは、わかっていたはずなのに。それでもこんな裏切りはあんまりだった。
「言ってないよ。一緒に遊ぼうって誘っただけ」
私と目があっても、エリザちゃんはその琥珀色の瞳を細めて、いつものように微笑んでいた。
「なんで、どうして……? ひどい、こんなの……」
こんな姿をハナちゃんに見られてしまった。私は必死に拘束を解こうと、拘束具を引っ張ったけれど、少しも緩むことはなかった。
「お姉ちゃん、なんで……?」
「違うの! ハナちゃん、これは……!」
ハナちゃんは唇を震わせていた。小刻みに手や肩も震えていた。
エリザちゃんがハナちゃんの肩に手を置いて、私の方に押しやる。
「お姉ちゃんは今、バイト中なの」
「どういう、こと……?」
「これがお姉ちゃんのしているアルバイトだよ」
「え……?」
「お姉ちゃんはね、ハナちゃんやママのために、体を売ってお金を稼いでいるの」
「そんな……」
「ハナちゃんもお姉ちゃんのお手伝いをしてあげて」
ベッドに拘束された私の足元の方から、ハナちゃんは怯えたような顔で私を見ていた。その隣でエリザちゃんは微笑んでいる。
私はエリザちゃんを睨んだ。それに彼女は表情ひとつ変えなかった。
「ハナちゃん、お姉ちゃんのこと、気持ちよくしてあげて」
「え……?」
「お姉ちゃんのあそこ、濡れているでしょ? 自分で慰めることもできなくて、かわいそう。ハナちゃんが慰めてあげて」
マリーちゃんに痛ぶられたせいで、私のあそこは濡れていた。恥ずかしくて隠そうとしたけれど、股を閉じることはできず、惨めにすり合わせることしかできなかった。
「できない……そんなこと……」
「ハナちゃんがしないのなら、私がするけど? ただその場合、お姉ちゃんにひどいこと、痛いことをするかもね」
「だ、ダメ!」
ハナちゃんの悲鳴のような大きな声に、あのエリザちゃんも怯んだようだった。一瞬、あの微笑みが消えて、戸惑ったような顔をした。
ハナちゃんがこんなに大きな声を出したのは、ずっと子供のころに、お母さんが仕事に行くのがさびしくて、駄々をこねたときぐらいだった。
「そう。なら、ハナちゃんが、口でしてあげて」
「わかった……」
ハナちゃんが私に向き直ると、ベッドに乗り、私の股の間に座る。
「お姉ちゃん、ごめんなさい……ごめんなさい……」
「ハナちゃん、どうして……?」
どうしてハナちゃんがエリザちゃんの言うことを聞くのかわからない。
私が人質にとられているからか、それとも何か弱みを握られているのか。
ハナちゃんは私の股の間に顔を近づける。
「ダメ! ハナちゃん、そんなことしちゃダメ!」
ハナちゃんの息が、私のあそこに触れた。
マリーちゃんに乱暴にされて、私のそこはもう濡れていた。ハナちゃんが私の割れ目に舌を這わせると、ぴちゃぴちゃと音が鳴った。
ハナちゃんが、ハナちゃんの舌が私のそこに触れている、そのことに私の体は、熱いものが込み上げて、漏れそうになるのを感じた。こんなこと、姉妹で許されることではないのに。
ハナちゃんの舌はおぼつかない様子で、私の割れ目をなぞって、何度目かに突起に触れた。そのむず痒い、たどたどしい感触に、私は身悶えた。
「ああっ……!」
ハナちゃんの唾液で私のそこは生温かく濡れた。それに私のおしっこの穴はふやけて、今にも漏らしてしまいそうだった。
「ハナちゃん、こんなことダメ! 私たち、姉妹なんだよ⁉︎」
私はハナちゃんのことが大好きだ。私の可愛い妹。けれどこんなことを、姉妹でするなんて間違っている。
クロキさんの指でも、舌でも、エリザちゃんでも、私は感じたことはなかった。けれどハナちゃんに触れられて、私はむず痒く、切ない気持ちになってしまった。
それなのに、誰に何かをされるよりも、胸が痛くて、苦しかった。
そこには彼女の友達の、砂村大麗花ちゃんがいた。彼女はスマートフォンを手に、マイク付きのイヤフォンまでしていた。
「お待たせ、ダリアちゃん。首尾はどう?」
「マリーは今、ターゲットとATMにいるらしいわよ」
「そう。順調だね」
私はエリザちゃんと一緒に、ダリアちゃんの向かいに座る。
ダリアちゃんの前には食べかけのパンケーキとアイスの乗ったコーヒーがあった。
「お姉さんも何か食べる?」
「私は……」
そんな気分にはなれなかった。
エリザちゃんは私がクロキさんに会っていることを、前から知っていたようだった。そうでなければ、ここまで用意周到に仕組めないだろう。
「いったい、どういうことなの……? ハナちゃんはこのことを知っているの……?」
私は今の状況がわからなくて、生きた心地がしなかった。
「ハナちゃんは知らないよ。安心してください。私たちはお姉さんを助けにきたんですよ」
「助けに……?」
「それともいらなかったですか? お姉さんが好きでやってるなら、邪魔してごめんなさい」
好きでやっていたわけではない。ただ納得して受け入れるしかなかった。エリザちゃんが「助けにきた」という言葉。もうあんなことしなくていいんだ、そう思ったら、私は涙がこぼれてきた。
「ありがとう……」
鼻が詰まって声がうまく出なかった。
「よしよし」
エリザちゃんが私の頭を撫でてくれた。私は彼女の肩にもたれ、そのまま泣いた。彼女はその私の肩を優しく抱き寄せてくれた。
「ちょっと、目立つからやめてよ」
「まあまあ」
ダリアちゃんが困っているようだから、私は声を堪えた。
エリザちゃんは気にせず、私を慰めるように、優しく髪を撫でてくれた。
「つらかったね、もう安心だから。私が守ってあげるよ」
エリザちゃんの黒髪が頬に当たって、柔らかくて、ずっとそこに顔を埋めていたい気持ちになった。
「私、変だな、と思ったんです。お姉さんが何のアルバイトをするのか、お母さんも知らないことに。未成年のアルバイトなら、親の同意書とか必要ですよね? それがないということは、必要のない、ちゃんとしたアルバイトじゃない。もしかして最近流行りの、お金をもっている大人の女性と食事をしたり、体でお小遣いをもらうシス活じゃないかなって。それで何度か、あとをつけて、確信したわけです。おばさんと会ってホテルに入るところ、見たのは今日が初めてじゃないんですよ。お姉さんが好きでやってるなら、私も邪魔するつもりはなかったけど、元気がないのが気になって。余計なことをしてごめんなさい」
「ううん……助けてくれてありがとう……」
「ハナちゃんの大切なお姉さんだから、心配だったんです」
エリザちゃんのことは、変わった子、不思議な子だと思っていたけれど、よく人のことを見ている、思いやりのある、優しい子だとわかった。
ただ彼女の話を聞いていると、なぜか不安な気持ちになってきた。私のことを心配してくれて、助けてくれたことは嬉しいけれど、ずっと疑われていた、監視されていたと思うと、失礼だけれど、やはり彼女のことは不気味に感じてしまった。
「マリー、回収したって」
「そう、よかった」
「え、なに、ナポリタンとグラタンとパンケーキ? それ全部、一人で食べる気?」
「合流したら、いったん離れたいんだけどな」
「エリザがダメだって。うちに着いたら好きなもの出前していいから」
それからダリアちゃんはマリーちゃんと話し込んでいるようだった。
エリザちゃんに対する不安な気持ち──私は助けてくれたことをエリザちゃんに感謝しているけれど、彼女がクロキさんから百万円を脅し取ったのは怖かった。それに彼女は本当に、妹のハナちゃんと同い年の、中学一年生なのだろうか。
私は落ち着いてきたので、エリザちゃんから体を離す。
「あの、エリザちゃん……ありがとう……」
「どういたしまして」
エリザちゃんが優しく微笑む。
「あと、このこと、お母さんやハナちゃんには……」
「もちろん言ったりしませんよ」
「ありがとう……」
「ただ、その代わり──」
エリザちゃんが何か言いかけたとき、マリーちゃんが戻ってきた。
「回収してきた」
「ありがとう、マリーちゃん。それじゃ行こうか」
「待って、私まだ食べてる!」
「私も食べる」
「ちょっと──」
マリーちゃんはダリアちゃんの隣に座り、パンケーキとコーヒーを奪って食べる。ダリアちゃんが食べる間もなく、あっという間になくなった。
* * *
私はエリザちゃんたちと一緒に、ダリアちゃんの家に来た。彼女の家は大きな一軒家で、庭もあり、いわゆる豪邸というものだった。ダリアちゃんの部屋にいたっては、私たちの住む団地の部屋より広いのではないだろうか。家の中の小物や置物も高級そうで、お金持ちの家にありそうなものばかりだった。
本当はまっすぐ家に帰りたかった。今頃ハナちゃんは一人でお留守番していると思うと心が痛い。土日は、前は一緒に動画を見たり、お絵描きしたり、折り紙を折って遊んだりした。最近はクロキさんに潰されて、彼女と二日連続で会うこともあった。どうしても後ろ暗い気持ちがあって、家に帰ってもハナちゃんと面と向かって話すことができなかった。
ただそれも今日まで。お金も十分たまったので、これでハナちゃんやお母さんに、何か買ってあげようと思った。
「すぐには帰れないでしょ? バイトってことで出てると思うから。ちょっと時間を潰してから帰りましょう」
「うん……」
エリザちゃんの言う通りだった。
それにエリザちゃんにちゃんと事情を話して、このことをお母さんやハナちゃんには言わないよう、念押ししたかった。信じていないわけではないけれど、エリザちゃんの考えていることがわからない。
ダリアちゃんの部屋には、ソファにテレビ、大きなベッドがあった。部屋に入るなり、マリーちゃんがソファの前のローテーブルに札束を置く。それはクロキさんから回収した百万円だった。それをエリザちゃんが何枚か手に取ってばら撒く。
「あはは、本当にある」
エリザちゃんは声を立てて笑った。
「ちょっと、散らかさないでよ」
「あの人の持っているカードの、ATMの上限がわからなかかったから、せいぜい二十万か五十万円かと思っていたけど、ちゃんと百万円あるよ」
「このお金どうするの?」
「ダリアちゃんはいくらほしい?」
「私はいらないわ」
ダリアちゃんは百万円もの大金に気後れしている感じはなく、本当に興味がない様子だった。エリザちゃんを横目に、ソファに座って、スマートフォンを取り出していじり始めた。
「それじゃマリーちゃん、預かってて。とりあえず私はこのぐらい使うかな」
エリザちゃんは何枚か無造作にとった。
「はい、お姉さん」
エリザちゃんはそのうちの十枚を私に差し出した。
「これお姉さんの取り分」
「え、そんな……受け取れない……」
「ハナちゃんやママのために必要なんでしょ?」
「うん……」
「だったら、受け取ってください」
私は受け取ったけれど、エリザちゃんが怖くて仕方なかった。
脅迫でこんな大金を回収し、表情ひとつ変えないマリーちゃん、気にも留めないダリアちゃん、彼女たちを従えるエリザちゃんのことが怖かった。
エリザちゃんの本当の目的はお金だったのではないだろうか。
「あと、こんなの持ってた。いちおう回収しておいた」
マリーちゃんが鞄から何か、パッケージに入ったものを取り出す。
それはピンク色で、U字型をした棒状のものだった。三十センチほどの長さで、手で握れるぐらいの太さ。蛇か何かの幼虫に見えた。
マリーちゃんがそれをパッケージから取り出して、左右の端を持って曲げ伸ばしする。
「ちょっとマリーちゃん、なにそれ?」
エリザちゃんはお腹を抱えて笑い出した。
「お金を受け取ったあと、ついでに身分証とクレジットカードを出すように言ったら、これを投げて逃げてった」
「最初から逃げればよかったのにね。ちょっと考えれば、こっちも表沙汰にするわけにいかないから、写真や動画を拡散しないってわかるのに」
「だから考える時間を与えなかったんでしょ。いつもの手口じゃない」
ダリアちゃんが呆れたように言うのに、エリザちゃんは笑った。
それからエリザちゃんは、マリーちゃんからさっきの謎の物体を受け取り、ぐねぐねと動かして遊ぶ。私も見るのは初めてだった。クロキさんはそれを使って私に何をするつもりだったのだろうか。
「ねぇ、お姉さん。これ、どうやって使うんですか?」
「え、わからない……」
「でも使う予定だったんですよね?」
「知らない……」
「そうなんだ。どうやって使うんだろう。両端で太さが違うんだ」
「お尻に入れるんじゃないの?」
ダリアちゃんの指摘に、エリザちゃんが勢いよく振り向く。それにダリアちゃんは面食らったようだった。
「そうなの?」
「だって、それ、そういう道具じゃないの?」
「ダリアちゃんは使い方わかるの?」
「いや、知らないけど……形から、前と後ろの穴に同時に入れるんじゃないの? それか二人同時に入れるとか……知らないけど……」
「ああ、なるほど」
「それ、わざと言ってるでしょ……」
「なにが?」
「なんでもない……」
エリザちゃんが私に向き直る。楽しそうに笑っていた。この年頃なら、こういう下ネタが楽しいのかもしれない。
「それじゃお姉さん、これ使ってみてください」
「いい……いらない……」
「そうじゃなくて、今ここで、これを使っているところを、私たちに見せてください」
「え……?」
私はエリザちゃんが今言ったことが、信じられなかった。
聞き間違いだと思った。彼女はいつもと変わらない顔で微笑んでいたから。
* * *
エリザちゃんは私の目の前で、あのピンクの棒状のものをぐねぐねさせていた。その隣にダリアちゃんとマリーちゃん。私は三人に囲まれて、逃げることもできなかった。
「だってお姉さん、あのおばさんにお小遣いもらって、体を売っていたんですよね?」
「それは……違って、そんなことしてない……」
「そうなんですか? それじゃ本当は何をするつもりだったんですか?」
「えっと、あの……」
「あの人と、ホテルで何をするつもりだったんですか? あそこって普通のホテルじゃないですよね? 会うのだって、もう何回も」
エリザちゃんは最初から、私のことを疑って監視していた。今さらどう誤魔化すこともできないと思うけれど、本当のことを言うのはためらわれた。
「何も……二人でお風呂に……そう、サウナに入るだけ……!」
「へぇ、わざわざ?」
「あのラブホテル、サウナがついてて、自分で温度とか調整できるの! クロキさんとは、本当にそれだけで……」
「そっか、何もなかったんだ。よかったぁ。これでハナちゃんも安心するだろうな」
「なんで、ハナちゃんが……? ハナちゃんはこのこと、知らないんでしょ……?」
「うん。だけどハナちゃん、最近お姉さんが元気ないの心配してたから。大人の女の人と一緒にお風呂に入ってお金をもらってただけだから安心してって、教えてあげないと」
「さっきハナちゃんには言わないって……」
「だってお姉さん、私のお願いを聞いてくれないじゃないですか」
「え?」
「このオモチャを使っているところを見せて、って、お願いしたじゃないですか。そもそもこんなものまで用意して、お風呂だけなんて無理がありますよ。そのことをハナちゃんとママに秘密にしないといけないなんて、二人を裏切るようで私、心が痛いです。私にそんなひどいことをさせて、それなのにお姉さんは私のお願いを聞いてくれないんですか?」
エリザちゃんはいつものように微笑んでいた。
同じ顔で、何かの悪い冗談を言っているだけ、そう思いたかったけれど、エリザちゃんは顔色ひとつ変えずにクロキさんから百万円を脅し取った。
「どうして、そんなこと……」
「だっておばさんにはさせる予定だったんですよね? おばさんにはさせて、私のお願いは聞いてくれないんですか? お金だってさっき払ったじゃないですか。足りませんでしたか? あといくら払えばいいですか?」
「そうじゃなくて、どうして私にそんなことをさせるのかって……別に、私にできることなら、ほかのことでもいいでしょ……?」
エリザちゃんの目的が分からない。私をクロキさんから助けて、今度はそのことで私を脅す。私を脅迫してひどいことをするのが目的なら、いつの間に私はエリザちゃんに恨まれるようなことをしたのだろうか。
「私、一人っ子だから、お姉ちゃんていうのが、姉妹ていうのがどんなものか、わからないんですよね。アヤナお姉さんは、妹のハナちゃんのために、いつも一生懸命ですよね。ハナちゃんとお姉さんのやりとりを見ていると、なんだか羨ましいなって。姉妹って、家族っていいなって思ったんです。だから私のために、私のためだけに頑張ってくれるお姉さんが見たいんです」
「それなら、エリザちゃんのために、毎日ご飯つくるし、欲しいものとか買ってあげるから……」
「私もお姉さんの料理、大好きですよ。だけどそれはハナちゃんのついでですよね? 欲しいものも、別にお金に困ってませんから。それに私の欲しいものはお金じゃ手に入らないんです」
「じゃあ、何が欲しいの……?」
エリザちゃんがにっこりと微笑む。あの八重歯がのぞいた。
「お姉ちゃん、です。ねぇ、アヤナさん。私のお姉ちゃんになって」
「それは、いったいどうすれば……」
「お姉ちゃんは妹のわがままやお願いを、なんでも聞いてくれるんだよ。だからアヤナお姉ちゃん、これを使っているところ見せて」
それがどうしてこんなことに結びつくのかわからない。彼女が何を言っているのか、私は理解できなかった。
「やだ……」
それにエリザちゃんの顔から表情が消えた。
「残念だなぁ。ハナちゃん悲しむだろうな。優しいママが悲しむところ、見たくないなぁ」
私はエリザちゃんが怖くて仕方なかった。それはエリザちゃんの言動が、クロキさんに感じた怖さに、言葉や暴力で私を支配しようとするところが似ていたから。
「お願い……ハナちゃんや、お母さんには言わないで……」
「どうしようかなぁ」
私はどうしたらいいのだろうか。エリザちゃんに言われた通りにするしかないのだろうか。
「エリザ、手伝ってあげたら?」
「え?」
不意にダリアちゃんが口を挟んだ。眉を寄せて、険しい顔をしていた。
「それ、一人で使うものじゃないでしょ? あなたが入れてあげたら?」
「それもそうだね。手伝ってあげる。それじゃ服を脱いで、アヤナお姉ちゃん」
エリザちゃんがにっこりと笑った。
私はエリザちゃんに逆らうことができない。私は諦めて、彼女の言いなりになった。結局私は助かったのではなく、クロキさんからエリザちゃんに飼い主が代わっただけだった。
もっと状況は悪くなったかもしれない。妹の友達に脅されて、まるで無邪気な子供の手によって、その羽と脚をもがれる虫になったような気分だった。
エリザちゃんだけでなく、彼女の友達が二人いる前で、私は服を脱ぎ、下着姿になった。
そのときエリザちゃんが声をあげる。
「え、なにその下着⁉︎」
私はすっかり忘れていた。クロキさんに着るように渡された下着を、私は着ていたのだった。それはもとから透けているのに、わざわざ胸の先と股の間に、切れ目の入った下着。それを見られるのは、なぜか裸を見られるよりも恥ずかしかった。
「こんなの着て、変態じゃないですか」
「すごい下着ね……」
ダリアちゃんも呆れているようだった。
私は恥ずかしくて泣けてきた。二人がどんな顔で私を見ているか、怖くて見ることができなかった。
私は急いでその下着を脱ごうとした。
「待って! せっかくだからそのままで」
私はエリザちゃんに止められて、それを脱ぐことができなかった。せめて胸元と股を手で隠そうとしたけれど、エリザちゃんにつかまれて阻止される。
「よく見せて」
私の前にエリザちゃんがきて、じっくりと見てくる。
「乳首と割れ目が丸見えだ。こんなの着て恥ずかしくないんですか?」
「恥ずかしい……」
「恥ずかしいのが好きな変態なんですか?」
「違う……」
「だって濡れてますよ」
エリザちゃんの指が私の股の間の割れ目に触れた。
「ひゃっ!」
私はそのエリザちゃんの手首をつかむけれど、彼女の指は割れ目の中に入って、私の中へ潜り込もうとするようにまさぐってきた。
「あ、うっ……」
エリザちゃんの指は細くて小さくて、クロキさんの指とは違って、そこまで怖くはなかった。けれど妹の友達にそんなところを触られるのは、恥ずかしくて悔しかった。
「ふふ。お姉さんの中、あったかい。ぬるぬるしてる。私の指で感じてくれてるんですか?」
「ちがう……これは……」
私の体はクロキさんに改造されていた。こんなことをして、今まで一度だって興奮したり、気持ちがいいと思ったことはない。
私は一時期濡れることがなくなった。それに怒ったクロキさんが、何時間もかけて私の体を責め立てたことがあった。それから私は恐怖を感じたり、不安になると濡れるようになってしまった。
エリザちゃんが指を引き抜く。次に何をされるのかわからなくて、私はエリザちゃんの手を離せなかった。
「手、離して」
「はい……」
ただ私はエリザちゃんの命令に逆らえない。
「それじゃ次は、ソファに座って、自分で開いて見せてください」
妹と同い年の子たちの前でそんなことをするのは抵抗があったけれど、私はどうすることもできないことがわかっていたので、それに従った。
ソファに座り、両足を抱えるようにして股を開く。それをエリザちゃんは楽しそうに見ていた。ダリアちゃんは腕組みして、顔をしかめている。どこか私のことを蔑むような、憐れむような様子だった。マリーちゃんは無表情に私のことを見ていて、何を考えているのかわからなかった。
「広げて見せてください」
私は割れ目を両側から広げた。それをエリザちゃんが顔を近づけてのぞく。彼女の鼻息が当たってくすぐったかった。
「まあ当然ですけど、お姉さん、初めてじゃないんですね。なんだかショック。初めては誰だったんですか? あの人ですか?」
「違う……」
「じゃあ誰なんですか?」
それだけは絶対に言いたくなかった。私が黙っていると、エリザちゃんに指を突き入れられ、乱暴にかき回された。
「いっ……痛い……!」
「教えてください。ハナちゃんにあのこと話してもいいんですか?」
どんなに恥ずかしくて、情けなくて、悔しくても、私はエリザちゃんに逆らうことができなかった。
「ハナちゃんの、リコーダー……」
「え?」
「中学一年のときに、ハナちゃんのリコーダーで……痛くて、最後までできなかったけど……」
「あはっ、お姉さん、最高。私、お姉さんのこと、もっと好きになっちゃいました」
エリザちゃんは私の中に指を入れたまま、楽しそうに笑っていた。
私は悔しくて泣くことしかできなかった。
* * *
エリザちゃんは私から指を抜くと、あのピンクの棒状の物体をU字に曲げ、それをダリアちゃんに手渡す。
「それでこれってどうやって使うの?」
「いや、だから、前と後ろの穴に……」
エリザちゃんがダリアちゃんの顔をじっと見る。どこかからかうような、意地の悪そうな笑みを浮かべていた。それにダリアちゃんは嫌そうな顔をしていた。
「ダリアちゃん、使って見せて」
「え?」
「お姉ちゃんとね、自分の友達が仲良く遊んでいるところが見たいの。それって家族ならではだよね」
いったいエリザちゃんがどのような家族観をもっているのか、なぜそのような家族観をもったのか。どうしてこんな恐ろしい少女が生まれたのだろう。彼女は歪んでいて、狂っている。私はそう思った。
「わかったわよ……やればいいんでしょ……」
「やだ……やめて……」
ダリアちゃんがピンクの物体を手に、私の股の間にある二つの穴に、その先端を押し当てた。お尻の穴は、クロキさんにいじられたり舐められたことはあったけれど、何かを入れられたことはなかった。
「痛い……怖い……」
「いいから黙って、力抜いてよ」
ダリアちゃんは険しい顔をしていた。彼女も私のように、エリザちゃんに脅されているのだろうか。
先端がぐりぐりと押し込まれ、私のお尻の穴をこじ開けて、私の中に潜り込んできた。まるで排泄物が逆流してくるような不快感があった。それ一つでも耐えがたいのに、前の穴からも入ってくる。あまりの気持ち悪さに吐き気がして、息が苦しかった。
「すごい、入った!」
エリザちゃんが手を叩いて喜んでいた。
「グロい」
マリーちゃんがかすかに顔をしかめて、そう呟いた。
「好き勝手言わないでよ」
その間にも、ダリアちゃんの棒を私の中へ押し込む力が強くなってくる。
「痛い痛い痛い!」
私の中に沈んでいくにつれて、少しずつ棒が太くなっていく。ぎりぎりとお尻の穴が広げられ、鋭い痛みが走った。
「わぁ、血が出てる。痛そう」
エリザちゃんがひとごとのように言った。
私はエリザちゃんをじっと見た。どんなに彼女を見つめても、私のことを助けてくれる様子はなかった。彼女は苦しむ私を見て、楽しそうに、琥珀色の瞳を細めていた。
あの棒が、私の二つの穴をえぐり、ずるずると這入り込んでくる。
痛い、気持ち悪い、怖い、誰か助けて──
私はあまりの痛みに息が苦しくて、声も出せなかった。このまま死んでしまうんじゃないかと思った。
「それでダリアちゃん、入れたらどうするの? このまま?」
「出し入れするんじゃない?」
「じゃあやって」
「わかったわよ……」
ダリアちゃんが私の中に潜り込んだそれを、ぐっと引き抜く。
「あぅ……うぅ……」
内側がめくれて、内臓ごと引き抜かれてしまうのではないかと、恐ろしい気持ちになった。
「苦しそう。ねぇ、マリーちゃん。私たちでお姉ちゃんを気持ちよくしてあげよう」
「わかった」
まるで善意からのようにいっているけれど、それなら今すぐこんなことやめてほしかった。
エリザちゃんは私の左胸に顔を近づけ、下着の穴からのぞいた先に口をつけた。マリーちゃんは右胸を掴み、乱暴に揉む。
「いたっ……!」
「マリーちゃん、優しく揉んであげて」
「わかった」
エリザちゃんは舌を出して、私の胸の先を舐めた。
「んん……」
彼女の舌先が、飴玉を転がすように、私の胸の先をもてあそぶ。その最中も、ダリアちゃんが手にもったあれを、私の中に再び押し込んできた。
「あああ──」
それに私は悲鳴を漏らした。
内側を抉られ、外側を責められて、痛みに涙が溢れ、頭の中をぐちゃぐちゃにされて、私が壊れてしまうような気がした。
エリザちゃんは口を離すと、私の胸を揉む。
「お姉ちゃん、けっこう胸大きいよね。お姉ちゃんもママと同じぐらい、将来は大きくなるのかな?」
「知らない……」
「私たちで育ててあげよう。どこまで大きくなるかな」
まるで小学校の課題で、植物の成長を観察するかのような口ぶりだった。
「ねぇ、いつまでするの?」
ダリアちゃんが不満げに言った。私は今すぐにやめてほしかった。
「そうだね。私たちがしてあげたんだから、次はお姉ちゃんにしてもらおうか」
それにマリーちゃんは手を離し、ダリアちゃんがあれを引き抜く。抜けた瞬間、私はうんちが漏れそうな気がして、急いでお尻の穴に力を入れた。
「汚っ……」
ダリアちゃんが手に持つあれには、私の体液や、うんちがついていた。
私はようやく解放されたので、自分で股を押し広げた惨めな姿勢を崩そうとした。しかしそれをダリアちゃんに怒られる。
「そのままでいて! ソファが汚れる! マリー、拭くものちょうだい」
マリーちゃんはローテーブルに置いてあるティッシュの箱を取る。ダリアちゃんはそこから何枚か取り、私に投げつけた。
「自分で拭いて。汚い」
妹と同い年の三人にもてあそばれ、私は情けなくて惨めな気持ちになった。涙が出てきたけれど、私は惨めな気持ちを堪えて、股を開いたまま、それを取ってお尻を拭く。拭うと、濡れた感触がした。ティッシュにはうんちと血がついていた。お尻の穴も前の穴もまだ痛い。
「それよりこれ。マリー、なんか袋ある?」
「ない」
「えぇ、これどうするのよ……」
ダリアちゃんは私の中に入れたそれを、汚物を見るような目で見ていた。
エリザちゃんがそれに笑う。
「洗ってきたら? まだ使えるし」
「うう……」
ダリアちゃんは心の底から嫌そうな顔をしていたけれど、エリザちゃんに従って、それを持ったまま部屋を出ていった。
彼女が出ていくと、エリザちゃんが私を向く。
「それじゃお姉ちゃん、次は何をしようか?」
彼女は楽しそうに笑っていた。私の悪夢はまだおわらなかった。
「ねぇ、お姉ちゃんは、あのおばさんと今までに、どんなことをしたの?」
「お互いの、あそこを、手や口でしたり……縛られて、ずっといじられたり……」
「ふーん。そう。それじゃお姉ちゃん、おばさんにしたように、私のここにもして」
エリザちゃんが服を脱ぐ。彼女の細い肢体と、白い肌が露わになった。
ベッドに腰掛けて、今度は彼女が股を開く。
「来て」
私は言われた通り、エリザちゃんの前に立つ。少し歩くだけで、股の間に響いて痛かった。
「舐めて」
エリザちゃんは右足をあげてベッドに乗せ、右手で割れ目を開く。
私は彼女の前にひざまずいて、まだ熟れていない果実のような裂け目に口をつけた。
クロキさんには何度も何時間も舐めさせられたから、いまさら抵抗もなかった。
舌先で彼女の、裂け目の上にある、笠を被った突起を舐める。
「あっ、んっ……」
エリザちゃんが声を漏らした。
彼女を満足させられたら、この悪夢から解放してもらえるかもしれない。
私は舌先で突起の笠を、皮を剥く。そして剥き出しになったそれを唇で挟む。
「あああっ……!」
エリザちゃんが声をあげて、私の頭を掴み、押しつける。クロキさんにされたよりも全然力がなかった。彼女には窒息するのではないかと思うほど、股の間に顔を押しつけられた。それに比べたら大したはことなかった。
私は剥き出しになったそれを、舌の中心も使って舐め上げる。
「んんん──」
エリザちゃんの体が震えた。
しばらく舐めたり、唇で吸ったりしたあと、私は彼女の裂け目に顔を沈めて、肉の花弁に沿って舐め上げる。
「すごい……! お姉ちゃん、すごい……!」
肉弁を何度かなぞり、さらに内側を探ると、彼女の穴を見つけた。舌を中に差し込む。
「あ、待って! お姉さん、ストップ!」
エリザちゃんは体を震わせた。私の顔を割れ目の中に押しつけて、短く体を震わせた。
「んん……!」
エリザちゃんの私の頭を押さえる力が緩んだので、私は彼女の股の間から顔を離した。そこは赤く充血し、私の唾液と彼女の体液で濡れて、ぬらぬらと光っていた。
エリザちゃんは体をベッドに横たえて、荒い呼吸にその薄い胸を上下させていた。
今彼女が、性的に達した状態だというのは、クロキさんに何度もさせられ、されたことからわかった。達すると、体が震えたり、膣が痙攣したり、頭の中が真っ白になって何も考えられなくなる。それは自分の意思ではどうすることもできない。
これでエリザちゃんも満足してくれただろうか。
「ちょっと、ベッド汚さないでよ……」
いつの間にか戻っていたダリアちゃんが呆れたように言った。
「二人とも、お姉ちゃんすごいよ。してもらったら?」
「私はいい……」
まださせられるのかと思ったけれど、ダリアちゃんは乗り気ではなかった。
エリザちゃんがベッドを降りて、ダリアちゃんからあのピンクの棒状のものを受け取る。それを手にしながら、私を見て微笑む。
「とりあえずお昼にしようか。お姉ちゃん、何食べたい? まだ一日は長いからね。おばさんとする予定だったこと、全部しようね」
私はエリザちゃんの言葉で、まだこの悪夢がおわらないことを思い知らされて、気が遠くなった。
* * *
それからも私は、土日になるとエリザちゃんに呼び出された。
家族には変わらずバイトに行っているふりをした。エリザちゃんには、いきなりバイトをやめたら家族が心配するので、しばらく演技をするように言われたけれど、私を呼び出すための口実だった。
学校のある平日はいつものように、何食わぬ顔で、素知らぬ顔でエリザちゃんがうちに来た。そしてお母さんやハナちゃんの目を盗んで、お尻を触ってきたり、下着に手を入れられることもあった。
エリザちゃんがうちに来て、夕飯を食べてから帰ったあと、私は見送りもせず、ぼんやりと座っていた。
「アヤちゃん」
不意にお母さんに呼びかけられて、私は我に返った。
「あ、ごめん、片付ける」
「いいよ。それよりも、アヤちゃん。無理してない?」
「え、なんで?」
「疲れた顔しているから」
「別に……」
お母さんに心配をかけたくない。お母さんだって疲れた顔をしている。私が我慢すれば、エリザちゃんからお金がもらえるし、それで家計を助けることができる。
「あの、お母さん……」
「なに?」
「これ、バイト代」
渡そうと準備していたお金を出す。貯金は五十万円ほど。ただその全額を渡したら怪しまれる。とりあえず十万円を渡すことにした。
「アヤちゃん、こんなに受け取れないよ! これはアヤちゃんが頑張って稼いだお金でしょ?」
「いいの。これで少しは家計の助けになるでしょ? お母さんも、もっとお休み増やしてよ」
「ダメよ。自分のことにつかいなさい」
「私のことなんかより、ハナちゃんのためにお願い」
私が体を売って稼いだお金だ。そんな私が自分のためにお金を使っても仕方ない。
お母さんが受け取ってくれなくても、ハナちゃんにだけは、可愛い服を買ったり、もっと美味しいものを食べたり、友達と遊んだりして、幸せになってほしかった。
そこでハナちゃんの友達──エリザちゃんがハナちゃんの友達であることを、改めて思い出した。
あんな邪悪な子が、果たしてハナちゃんと、普通の友達をしているのだろうか。
ハナちゃんがエリザちゃんの見送りから帰ってきた。乱暴に、前髪のピンを外した。それはエリザちゃんから誕生日プレゼントにもらったものだった。
「ハナちゃん」
「な、なに……?」
ハナちゃんが怯えたような目で私を見た。
いつからかハナちゃんの元気がなくなった。ナスミちゃんがうちに来るようになって、その時も、ハナちゃんは元気がなかった。それと入れ替わる形でエリザちゃんが迎えに来るようになって、ハナちゃんは元気を取り戻した。けれどある日から、ハナちゃんはエリザちゃんが迎えに来ても、うつむきがちで暗い顔をするようになった。
「エリザちゃんと、何かあった?」
「え……?」
ハナちゃんが目をそらす。
「なにも……」
私は背筋が冷たくなった。
ハナちゃんもエリザちゃんに何かされているのではないだろうか。
もしもハナちゃんがひどい目に遭っていたら、私はエリザちゃんを許せない。
* * *
いつものように私はエリザちゃんに呼び出された。ダリアちゃんの部屋で、ダリアちゃんもマリーちゃんもいた。まだダリアちゃんのお母さんに会ったことがないので、留守の日に私のことを呼び出しているようだった。
もしもエリザちゃんがハナちゃんにも何かしようとしても、こうして土日は私が相手をすることで、ハナちゃんに手を出すことはできないはず。家に来る日も、必ず私かお母さんがいるから、きっと平気だと思いたかった。
私とエリザちゃんは裸になって、ダリアちゃんのベッドの上で絡み合う。横になった彼女の右足にまたがり、左足を私の脇に通す。それから私の股の間を、彼女の股の間にくっつける。それにお互いの割れ目が触れ合った。
「なにこれ? 大人ってこんなこともするの?」
エリザちゃんは楽しそうだった。
受け身になるといいようにされるので、なるべく私から積極的に動くようにした。時間いっぱいかけて、エリザちゃんを満足させることができれば、ひどいことをされずに済む。
私はエリザちゃんの割れ目に、腰を打ちつけるように、私の割れ目をこすりつける。お互いの体液が絡み合ってぬるぬると滑った。
「あ、お姉ちゃん……! あっ……!」
エリザちゃんが切なげな声を上げる。
ダリアちゃんとマリーちゃんは、一緒に混ざることもあれば、テレビを見たり、スマートフォンでゲームをしていた。今は漫画を読んでいるようだった。
私はエリザちゃんが果てたのを見届けて、体を離した。
「お姉ちゃん、キスして」
エリザちゃんが寝そべり、胸を上下させながら、両手を私の方に伸ばしてくる。
私はその腕の中に体を沈め、エリザちゃんにキスをした。
そのまま抱き合って横になる。
「お姉ちゃん、大好き。今度は私がお姉ちゃんを気持ちよくしてあげるね」
エリザちゃんが私の上にまたがり、両手で胸を揉んでくる。次はエリザちゃんが私を攻める番だった。
彼女の額は汗に濡れて、髪が張りついていた。頬や胸元の白い肌も微かに赤らんでいた。
私はエリザちゃんが機嫌をよくしている気がしたので、あのことを聞いてみた。
「ねぇ、エリザちゃん。エリザちゃん、ハナちゃんにも、変なことしてない……?」
「ん? 何も」
エリザちゃんが微笑む。いつもと変わらない様子で、嘘をついているかどうかわからなかった。
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
「ハナちゃんが、元気ないから……」
「それってお姉ちゃんのせいでしょ? お姉ちゃんが私とのことを秘密にしているから」
「どういうこと……?」
「だって大好きなお姉ちゃんが影でこっそりこんなことしてるんだよ。自分は家で一人でお留守番。かわいそう。ハナちゃん一人でさびしいだろうな」
「それは、あなたのせいじゃ……」
「私のせい? お姉ちゃんは家族のため、バイトしているんでしょ? お姉ちゃんがどんなバイトをしていたか、大切なハナちゃんにも秘密にして、こうしてお姉ちゃんのバイト代も出してあげているのに?」
「ごめんなさい……」
エリザちゃんの指が、私の胸の先をつねった。痛みに私は涙が出た。
エリザちゃんは否定したけれど、それを信じることはできなかった。
ハナちゃんには、エリザちゃんと遊ばないようになんとか説得しよう。もしもエリザちゃんがそれに対して不満なようなら、私がこの体を差し出せばいい。
* * *
次の日も私は呼び出された。
私は胸と股の間に穴の空いたあの下着を着させられた。
それからダリアちゃんの部屋のベッドの上で、両手と両足首をそれぞれ拘束され、大の字になって寝かされた。六月も末になり、部屋には冷房が効いていて、股や胸の先だけでなくお腹も冷えた。
拘束具は内側にクッションのついた、ピンク色のベルトのような形をしていた。それを両手足首に取りつけられる。そのベルトの留め具には紐がつながれていて、それはマットレスの下を通して四隅から伸びていた。
クロキさんにも同じようなことをされたことがある。まったく身動きできなくされて、一方的に責め立てられて、死ぬほど怖かった。
ただそのときよりも拘束は緩く、肘や膝を曲げたりすることができた。ただ拘束を解こうと、もう一方の手に触れることはできなかった。
「それじゃお姉ちゃん。私たち、少し出かけてくるから。待っててね。マリーちゃん、留守番よろしく。お姉ちゃんと遊んでてもいいよ」
「わかった。あと、炭酸とポテトチップス。炭酸は強いやつがいい」
マリーちゃんの注文に、ダリアちゃんが顔をしかめる。
「映画を見るんじゃないんだから……」
それをエリザちゃんが取りなす。
「まあ同じようなものだから。買ってくるね」
「よろしく」
エリザちゃんとダリアちゃんは、私とマリーちゃんを残して出ていった。
私はどうすることもできず、部屋の中を見回すか、天井を見ているしかなかった。
いったいこれから私は何をされるのか、不安で恐ろしいけれど、エリザちゃんの姿が見えなくなったことで、少しだけ気が楽になった。歯医者で順番待ちをしているような気分だった。私の番はまだこないけれど、いずれは順番が回ってくる。そのときまでの暗い安穏に似ていた。
マリーちゃんはソファに座って、テレビを見ていた。何かアニメを見ているようだった。首をあげれば少しは見ることができるけれど、こちらからだと画面が斜めになっていて、彼女が何を見ているのかわからなかった。
エリザちゃんはマリーちゃんに、私と遊んでていいと言った。ただマリーちゃんは私に興味がないようで、私の方を見向きもせず、ずっとテレビを見ていた。
ダリアちゃんやマリーちゃんは、エリザちゃんの命令がなければ、私に対して何かすることはない。
ただ私はマリーちゃんのことも怖かった。ダリアちゃんはエリザちゃんに嫌々従っている感じがした。私のように何か弱みを握られているのかもしれない。しかしマリーちゃんは、エリザちゃんに怯えている様子はなく、むしろ気が合っているようだった。
それでもこの状況をどうにかするには、彼女たちの関係や、エリザちゃんの目的を知る必要があった。私に姉になるように、エリザちゃんは求めてきたけれど、それが本当の目的とは思えなかった。
ただ私のことをもてあそぶことが目的で、その様子を楽しんでいるだけだったら、私にはどうすることもできない。その場合は、子供の手に捕まった羽虫のように、その羽と手足をもがれて、息絶えるまで凌辱されるかもしれない。
何にせよ、このままいいようにされていたら、私はどうなってしまうのかわからない。
もしほかに本当の目的があれば、そこからこの状況を変えるヒントが見つかるかもしれない。
私はマリーちゃんから、少しでも情報を聞き出すことにした。
「あの、マリーちゃん……」
「何ですか? エリザちゃんのお姉さん」
エリザちゃんは姉妹ごっこを、彼女の友達にも徹底しているようだった。
「その、お姉さんっていうのだけど……」
マリーちゃんはソファに座ってテレビを見たままで、ベッドに拘束された私の方を見向きもしなかった。
「エリザちゃんは、どうしてこんなことをするの……?」
「家族がほしいから」
それがどういう意味なのか、どうしてなのかわからない。
「どうしてエリザちゃんは、家族がほしいの?」
「家族がいないから」
「え? でも、エリザちゃんにも家族がいるでしょ?」
「あれは家族じゃない」
やはりエリザちゃんの家庭は複雑なようだった。それでこんなことをする子供になってしまったのか。
「エリザちゃんは、家族と仲が悪いの?」
それにマリーちゃんは答えてくれなかった。
しばらく黙って待っていたけれど、答えてくれそうにないので、話題を変えることにした。
「マリーちゃんは、どうしてエリザちゃんの言うことを聞くの?」
もしも彼女も何か弱みを握られているのなら。その弱みがわかれば、私たちは助け合うことができるのではないだろうか。
「別に。友達だから」
マリーちゃんは相変わらず感情をうかがわせない声音だった。
ふと、以前エリザちゃんが言っていたことを思い出した。
『ダリアちゃんとは、私がこっちに引っ越してきてからの、小学校からの友達なんです。マリーちゃんとは小学校が別だったけど、三人でよく遊んでました』
それならマリーちゃんは、エリザちゃんたちとどこで接点をもったのだろうか。
「マリーちゃんはエリザちゃんと、いつから友達なの? 小学校は違ったんだよね? 中学校から?」
それにマリーちゃんは無言だった。
私は少し待ってから、もう一度、踏み込んで聞いてみた。
「マリーちゃんもエリザちゃんに弱みを握られているの?」
「別に」
そう短く返された。
仮に弱みがあったとしても、わざわざ私に話してくれることとも思えなかった。下手なことを聞いて、エリザちゃんに告げ口されても怖いので、これ以上は聞かないことにした。
「エリザちゃんとダリアちゃんは私を助けてくれた。私は二人のためなら、なんだってする」
マリーちゃんから話しかけてくることはないと思っていたけれど、意外なことに彼女から話し始めた。
「それは、どういうこと? 助けてくれたって?」
マリーちゃんが立ち上がり、私の方に歩み寄ってくる。テレビから、何かが爆発するような戦闘の音と、少女たちの悲鳴が聞こえてきた。
「私は小学校の時、ずっといじめられていた」
「そう、だったんだ……」
マリーちゃんが私の足元の方に立った。無表情に、暗い瞳で私を見ていた。
私は体を起こして彼女の方を向こうとしたけれど、手足首を拘束されていて、肘と膝を曲げることで、わずかに上体を起こすことができる程度だった。肘を支えにして、背中と首の筋肉に力を入れて、なんとか彼女を見る。慣れない姿勢に、ふるふると体が震えて痛かった。
「殴られたり、蹴られたり、階段から突き落とされて、骨が折れたこともある。死にそうな目に何度も遭った」
マリーちゃんがベッドに乗り、私の股の間に進む。思わず閉じようとしたけれど、膝の頭を合わせて閉じることができなかった。
「そのせいで私は、痛みも何も感じない体になった」
マリーちゃんの指が、私の股の間に触れた。
私は腰を引こうとしたけれど、ベッドに縛られて逃れることができない。
「もう痛みがどんなだったか、思い出すこともできない。大好きなダリアちゃんに触れられても、私は痛みも何も感じることができなかった。ねぇ、人に触れられるってどんな感じなの?」
マリーちゃんの指が私の中に入ってくる。
「う……くっ……」
もう何度も、指以外のものも入れられたけれど、いきなり指を入れられるのは痛かった。
「お願い、もう少し……優しく……」
エリザちゃんやクロキさんが時間をかけて、私を凌辱するのに対して、マリーちゃんの指は強引で乱暴だった。
「痛い? 苦しい? 怖い? それがどんなものか、私に教えてよ」
「やめて……痛い……」
「それってどんな感じなの? どうやったら感じられるの?」
マリーちゃんは、いつもの無表情とは違って、どこか焦っているような、怒りにも似た表情を浮かべていた。目が吊り上がり、その暗い瞳で私を睨んでいた。
不意にドアが開く。私は驚いて心臓が止まりそうになった。
「ただいま」
エリザちゃんの声だった。
「ふふ。マリーちゃん、遊んであげてたんだ」
「うん」
マリーちゃんが指を抜く。
私は解放されたけれど、このあと三人にされることを思うと、暗い気持ちになった。
「おねえ、ちゃん……?」
その時、三人とは違う、聞き覚えのある声がした。それに私は背筋が凍りついた。
彼女たちの方を見ると、エリザちゃんとダリアちゃんの後ろに、私の妹のハナちゃんがいた。
ハナちゃんは目を見開いて、青ざめた顔で私を見ていた。
私はエリザちゃんを見た。
「ハナちゃんには、言わないって……」
そんな約束を守ってくれるような子でないことは、わかっていたはずなのに。それでもこんな裏切りはあんまりだった。
「言ってないよ。一緒に遊ぼうって誘っただけ」
私と目があっても、エリザちゃんはその琥珀色の瞳を細めて、いつものように微笑んでいた。
「なんで、どうして……? ひどい、こんなの……」
こんな姿をハナちゃんに見られてしまった。私は必死に拘束を解こうと、拘束具を引っ張ったけれど、少しも緩むことはなかった。
「お姉ちゃん、なんで……?」
「違うの! ハナちゃん、これは……!」
ハナちゃんは唇を震わせていた。小刻みに手や肩も震えていた。
エリザちゃんがハナちゃんの肩に手を置いて、私の方に押しやる。
「お姉ちゃんは今、バイト中なの」
「どういう、こと……?」
「これがお姉ちゃんのしているアルバイトだよ」
「え……?」
「お姉ちゃんはね、ハナちゃんやママのために、体を売ってお金を稼いでいるの」
「そんな……」
「ハナちゃんもお姉ちゃんのお手伝いをしてあげて」
ベッドに拘束された私の足元の方から、ハナちゃんは怯えたような顔で私を見ていた。その隣でエリザちゃんは微笑んでいる。
私はエリザちゃんを睨んだ。それに彼女は表情ひとつ変えなかった。
「ハナちゃん、お姉ちゃんのこと、気持ちよくしてあげて」
「え……?」
「お姉ちゃんのあそこ、濡れているでしょ? 自分で慰めることもできなくて、かわいそう。ハナちゃんが慰めてあげて」
マリーちゃんに痛ぶられたせいで、私のあそこは濡れていた。恥ずかしくて隠そうとしたけれど、股を閉じることはできず、惨めにすり合わせることしかできなかった。
「できない……そんなこと……」
「ハナちゃんがしないのなら、私がするけど? ただその場合、お姉ちゃんにひどいこと、痛いことをするかもね」
「だ、ダメ!」
ハナちゃんの悲鳴のような大きな声に、あのエリザちゃんも怯んだようだった。一瞬、あの微笑みが消えて、戸惑ったような顔をした。
ハナちゃんがこんなに大きな声を出したのは、ずっと子供のころに、お母さんが仕事に行くのがさびしくて、駄々をこねたときぐらいだった。
「そう。なら、ハナちゃんが、口でしてあげて」
「わかった……」
ハナちゃんが私に向き直ると、ベッドに乗り、私の股の間に座る。
「お姉ちゃん、ごめんなさい……ごめんなさい……」
「ハナちゃん、どうして……?」
どうしてハナちゃんがエリザちゃんの言うことを聞くのかわからない。
私が人質にとられているからか、それとも何か弱みを握られているのか。
ハナちゃんは私の股の間に顔を近づける。
「ダメ! ハナちゃん、そんなことしちゃダメ!」
ハナちゃんの息が、私のあそこに触れた。
マリーちゃんに乱暴にされて、私のそこはもう濡れていた。ハナちゃんが私の割れ目に舌を這わせると、ぴちゃぴちゃと音が鳴った。
ハナちゃんが、ハナちゃんの舌が私のそこに触れている、そのことに私の体は、熱いものが込み上げて、漏れそうになるのを感じた。こんなこと、姉妹で許されることではないのに。
ハナちゃんの舌はおぼつかない様子で、私の割れ目をなぞって、何度目かに突起に触れた。そのむず痒い、たどたどしい感触に、私は身悶えた。
「ああっ……!」
ハナちゃんの唾液で私のそこは生温かく濡れた。それに私のおしっこの穴はふやけて、今にも漏らしてしまいそうだった。
「ハナちゃん、こんなことダメ! 私たち、姉妹なんだよ⁉︎」
私はハナちゃんのことが大好きだ。私の可愛い妹。けれどこんなことを、姉妹でするなんて間違っている。
クロキさんの指でも、舌でも、エリザちゃんでも、私は感じたことはなかった。けれどハナちゃんに触れられて、私はむず痒く、切ない気持ちになってしまった。
それなのに、誰に何かをされるよりも、胸が痛くて、苦しかった。
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