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第七話②
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加藤さんをいじめるのをやめるように、砂村さんにお願いすると約束したけれど。本当に助けてほしいのは私だった。
エリザちゃんや砂村さんのしたことは、許せない気持ちがある。死んでほしい、消えてほしいと思う気持ちもある。
あの二人が私にしたこと。私の心をバラバラにして、ズタズタに引き裂いた。今でも私のことを苦しめ続けている。
お腹の奥に、重たくて冷たい、ドロドロした、真っ黒なものがあった。
それは私の心を冷たくして、いつも嫌な気持ちにさせる。
二人に死んでほしい。それでも私の記憶は、されたことはなくならない。
梅雨の曇った空。私の心はもっと灰色で、真っ暗だった。
明日が来ることが嫌だ。エリザちゃんがいるから。ずっとこのまま明日なんて来なければいいのに。いつまでも太陽は沈んだままで、夜に包まれて、私は眠り続けることができたら。もう何も考えたくない、感じたくない。エリザちゃんなんて死んでしまえばいいのに。
いつまでこんなことが続くのだろう。学年が上がってクラスが変わったら。それでも今と変わらないだろうし、最悪エリザちゃんと同じクラスになるかもしれない。中学を卒業したら、高校生になったら。自由になれるだろうか。それでもエリザちゃんの悪夢のような夢を知ってしまったから。どこまで本気か分からないけれど、エリザちゃんは私の子供を産みたいと言った。あの恐ろしい方法でつくられる怪物を。
エリザちゃんに飽きられたら、嫌われたら、私は捨ててもらえるだろうか。用済みになった加藤さんを、砂村さんを使っていじめつづけているのだから、いらなくなった私も殺されてしまうかもしれない。
それならエリザちゃんが死ねば、全部解決するんじゃないか。
エリザちゃんが死ねば、エリザちゃんを殺せば、私は自由になれる。
あの映画では、少女の姿をした機械人形のドロシーを、主人公の少女と彼女の養母が暴力で倒し、主人公や世界に平穏が訪れた。
けれどエリザちゃんは人間だから、殺した場合、私は警察に捕まってしまう。私が捕まれば、きっとお母さんもお姉ちゃんも悲しむ。それだけじゃなく、二人が人殺しの家族として、嫌な思いをするかもしれない。
それなら誰かに私がされていることを相談して、助けてもらえないだろうか。先生や警察、大人の人に相談すれば。けれど先生は砂村さんの暴力に屈したし、警察にどうやって相談すればいいのかも分からない。いじめで逮捕してくれるのだろうか。そもそもエリザちゃんが私にしていることがいじめなのかも分からない。そんなことで相談するなと怒られるかもしれない。それにお母さんやお姉ちゃんにも知られてしまうかもしれない。二人には絶対に知られたくない。
クラスのみんなは、私が砂村さんにいじめられていた時、誰も助けてくれなかったのに、エリザちゃんにいじめられているのなら助けてくれるだろうか。あの砂村さんさえも従うエリザちゃんに、誰か立ち向かってくれるだろうか。私だって加藤さんがブタになっても、助けようともしなかった。ただ目を逸らした。私にはどうすることもできないことだから、と。きっと誰も助けてくれない。
けれどお母さんとお姉ちゃんに相談したら、私のことを助けてくれるはず。でも二人にだけは、このことを知られたくない。お母さんやお姉ちゃんはきっと悲しむ。それは嫌だ。私なんかのことで、二人が悲しむのは嫌だ。だからお母さんにもお姉ちゃんにも相談できない。
もし私がエリザちゃんを受け入れたら、誰も不幸にならない。ただ暴力と恐怖で人を支配する、彼女を愛せると、私には思えなかった。
なら、もう私が死ねばいいのかな──
エリザちゃんや砂村さんのしたことは、許せない気持ちがある。死んでほしい、消えてほしいと思う気持ちもある。
あの二人が私にしたこと。私の心をバラバラにして、ズタズタに引き裂いた。今でも私のことを苦しめ続けている。
お腹の奥に、重たくて冷たい、ドロドロした、真っ黒なものがあった。
それは私の心を冷たくして、いつも嫌な気持ちにさせる。
二人に死んでほしい。それでも私の記憶は、されたことはなくならない。
梅雨の曇った空。私の心はもっと灰色で、真っ暗だった。
明日が来ることが嫌だ。エリザちゃんがいるから。ずっとこのまま明日なんて来なければいいのに。いつまでも太陽は沈んだままで、夜に包まれて、私は眠り続けることができたら。もう何も考えたくない、感じたくない。エリザちゃんなんて死んでしまえばいいのに。
いつまでこんなことが続くのだろう。学年が上がってクラスが変わったら。それでも今と変わらないだろうし、最悪エリザちゃんと同じクラスになるかもしれない。中学を卒業したら、高校生になったら。自由になれるだろうか。それでもエリザちゃんの悪夢のような夢を知ってしまったから。どこまで本気か分からないけれど、エリザちゃんは私の子供を産みたいと言った。あの恐ろしい方法でつくられる怪物を。
エリザちゃんに飽きられたら、嫌われたら、私は捨ててもらえるだろうか。用済みになった加藤さんを、砂村さんを使っていじめつづけているのだから、いらなくなった私も殺されてしまうかもしれない。
それならエリザちゃんが死ねば、全部解決するんじゃないか。
エリザちゃんが死ねば、エリザちゃんを殺せば、私は自由になれる。
あの映画では、少女の姿をした機械人形のドロシーを、主人公の少女と彼女の養母が暴力で倒し、主人公や世界に平穏が訪れた。
けれどエリザちゃんは人間だから、殺した場合、私は警察に捕まってしまう。私が捕まれば、きっとお母さんもお姉ちゃんも悲しむ。それだけじゃなく、二人が人殺しの家族として、嫌な思いをするかもしれない。
それなら誰かに私がされていることを相談して、助けてもらえないだろうか。先生や警察、大人の人に相談すれば。けれど先生は砂村さんの暴力に屈したし、警察にどうやって相談すればいいのかも分からない。いじめで逮捕してくれるのだろうか。そもそもエリザちゃんが私にしていることがいじめなのかも分からない。そんなことで相談するなと怒られるかもしれない。それにお母さんやお姉ちゃんにも知られてしまうかもしれない。二人には絶対に知られたくない。
クラスのみんなは、私が砂村さんにいじめられていた時、誰も助けてくれなかったのに、エリザちゃんにいじめられているのなら助けてくれるだろうか。あの砂村さんさえも従うエリザちゃんに、誰か立ち向かってくれるだろうか。私だって加藤さんがブタになっても、助けようともしなかった。ただ目を逸らした。私にはどうすることもできないことだから、と。きっと誰も助けてくれない。
けれどお母さんとお姉ちゃんに相談したら、私のことを助けてくれるはず。でも二人にだけは、このことを知られたくない。お母さんやお姉ちゃんはきっと悲しむ。それは嫌だ。私なんかのことで、二人が悲しむのは嫌だ。だからお母さんにもお姉ちゃんにも相談できない。
もし私がエリザちゃんを受け入れたら、誰も不幸にならない。ただ暴力と恐怖で人を支配する、彼女を愛せると、私には思えなかった。
なら、もう私が死ねばいいのかな──
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