春の残骸

葛原そしお

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第二章

第八話

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 五年前に読んだ本や文章の内容を思い出すことはできても、文字列を一言一句違えず鮮明に思い出すことはできるだろうか。さっき見たペットボトルのラベルに書かれた成分表さえ、完全に記憶して思い出すことは私には難しく感じる。
 この過去の世界で私は、過去の通りにテストを受けた。そこで出された問題用紙に書かれた文字は、一文字ずつリアルで、輪郭が崩れていることもなかった。また整合性のある文章で、夢の中のように支離滅裂なものではない。
 もし薬物によって意識レベルの低下した私に、退行催眠がかけられたとして、ここまで明瞭に記憶の世界が再現されるだろうか。
 仮にこれが夢の世界だと仮定して、私の無意識下にある記憶が再構築されているとしても、ここまで忠実に再現されるだろうか。記憶というのは、見たものがそのまま記憶されるわけではなく、色や形、特徴ごとに分解され、その分解された要素同士を関連づけて記憶する、というプロセスだったはず。その過程で失われている情報もあるはずなので、完全に記憶が再現されるとは思えなかった。
 そう考えるとこれは本当に過去の世界なのだろうか。
 またテストでは、意外と覚えていた、というよりも、この当時の私の頭の中にある記憶から、テスト問題をすらすら解答することができた。それは私には私の意識があるが、勝手に体が動いているような奇妙な感覚だった。
 私は二時限目のテストを手早く終えて、図書館に行って涼むことにした。
 校舎の外に出ると、日差しはしっかりと暑く、私の体からは汗も流れ、喉も渇いた。これがやけにリアルな夢だとしても、いつまでも起きる気配はなかった。もともと私は明晰夢のような、はっきりとした夢を見たことがない。そのため、この世界が本当に実体を持っているように思えた。それでもまだこの世界が夢なのか現実なのか、それぞれ確信を抱くことができなかった。
 日陰を選んで歩いていると、不意に私のスマートフォンが振動する。小夜子からの連絡だった。
『もう大学?』
 私はそれに嬉しくなった。これが夢か幻覚かなど、どうでもよくなった。
『今図書館にいくとこ』
『私三限からだから。その前にお昼食べようと思ったけど、今起きたから無理だ』
『三限のテスト、早く終わったら連絡して。私、次は四限だから。それまで時間あるよ』
『分かった! そしたらお昼一緒に食べよ。先に食べててもいいから。あとで合流しよう』
 小夜子に会える。
 私はその事実と、やりとりに嬉しくなり、思わずスマートフォンを抱きしめた。
 当時、私たちは講義の合間など、空いた時間は一緒にいることが多かった。何時間も、ずっと一緒にいるよりも、少しでも空いた時間を共有したり、会おうとしてくれることが嬉しかった。
 ほかの同期生、主に小夜子の友人だが、私たちがよく一緒にいるのを、付き合ってるのかと揶揄されたことがある。私はそう見られていることが嬉しかったのと、この私は小夜子に恋人がいることを知っているから、そのたびに胸が切なく痛んだ。
 私は小夜子に返信した後、イスカのことを思い出した。例のサイトにアクセスすると、返信の通知がきていた。
『なほちゃん、ひどいよー。今日この後会える?』
 イスカからだった。
 本来、この時点で私たちに接点はなかった。私は彼女のことを知りもしなかったし、彼女も私のことは知らない。ただこの反応は──私のことではあるが──初対面の相手に暴言を送るような奴に対する態度ではなかった。それに私のアカウント名は『ホタル』だ。『なほ』とはどこにも書いていない。
 私のことが誰か分からなければ、あの暴言から、こんな返信をするとは思えない。私の知っているイスカもこの世界にいる。
『五限にテストあって、そのあと友達と夕飯食べると思うから、十九時ぐらいでもいい?』
『小夜子さんね。いいよ、ゆっくりね。なほちゃんの大学の近くまで行こうか?』
『うん。お願い』
 私たちは駅前で待ち合わせをすることにした。
『あとこれ私のID。こっちでやりとりしよう』
 彼女の個人連絡先のIDだった。私は嫌だったが仕方ないので登録し、念の為そこにメッセージを送った。
『ほたるのです』
 それにすぐイスカから返信が来た。
『イスカです。よろしくね、なほちゃん』
 私は次のテストまで間があるのと、小夜子との約束の時間まで暇なので、イスカに気になったことを聞く。
『この世界って本当に過去なの?』
『そうだよ。試しに飛び降りたり、後遺症の残るようなことはしないようにね。未来に持ち越すことになるよ。それと過去で死なないように。私のフォローにも限界があるから』
 これが仮想現実ではないか確かめるために、私が飛び降りるとでも思ったのだろうか。
『あと、あまり深く干渉しない方がいいよ。南帆ちゃんの場合は、危ういバランスで今があるから、過去が変わりすぎると、どんな影響があるか分からない』
 そんな私をこんなところに誘い込んだのは、ほかでもないイスカだった。その無神経さと、自己本位な強引さに怒りを覚えた。
『分かった。で、戻る時はどうすればいいの? ずっとこのままじゃないんでしょ?』
『寝れば戻れると思うよ。私も最初の頃はそうだったから。南帆ちゃんの場合は、薬で私に近づけてるだけだから、そんなに持続力がないはず。知りたいことや確かめたいことがあるなら、まだ寝ない方がいいよ』
 いちいち無責任な話だが、現在に、現実に戻れず、ずっと過去にいることになっても、それはそれで便利かもしれない。私は未来の記憶をもって過去にいるのだから、これからの人生をいろいろと有利に運べるかもしれない。
 そう思うと当然の疑問があった。
『この世界が過去なのは分かったけど、記憶が再現されているとかじゃなくて、本当に実体があって、存在しているの?』
 催眠術で、焼けた鉄の箸と思い込ませ、それを押し当てると本当に火傷する、といった話を聞いたことがある。過去の世界で死ぬと本当に死ぬというのは、その類のものではないだろうか。たとえば過去に大怪我をしたと思い込むことで、本当にその痕跡や後遺症が現実の肉体にも現れるのではないか。とも考えられた。
『本当に存在しているし現実だよ。過去のこの時点から見たら、私たちがいたのは未来でしょ。この時点の人たちにとっては、これが今現在で、現実なの。私たちはアカシックレコードを経由して、過去のこの時点にアクセスしているだけ。南帆ちゃんがいたもとの世界と、この過去の世界に違いはないよ。厳密には基準となる世界の座標があるんだけどね』
 これに返信するのも億劫だった。
『それについてはあとで会った時に詳しく教えて』
『いいよ!』
 それから私は念の為、もしこれが本当の過去の世界だった場合に、テスト勉強をする。その最中、散発的に思いついたことや気になったことをイスカに送った。

   *  *  *

 私は先に食堂で、小夜子のために席を確保しておいた。
 昼時を過ぎていたが、テストの合間で暇な学生が多く、それなりに混んでいた。
「ごめん、お待たせ」
 不意に後ろから肩に触れられ、振り返るよりも先に、小夜子が私の前に回り込んだ。私の横を通り過ぎた際、微かに彼女の匂い、石鹸の爽やかな香りがした。
「小夜子……」
 少し声が上擦ったかもしれない。
 たとえこれが夢や妄想だったとしても、こうして彼女と再会できて嬉しい。私は懐かしくて泣きそうになった。
 小夜子は夏らしく、黒のカットソーにパンツスタイル。袖から彼女の細く美しい腕がすらりと伸びていた。深めの鋭角の襟元から、彼女の鎖骨と胸元がのぞいていた。汗ばんだ額に前髪が張り付いている。
 彼女との再会の喜びも通り過ぎて、私は彼女の肢体に生唾を飲み込んだ。
 やけにリアルな夢だ。しかしイスカの言葉を信じるなら、これは夢などではなく、本当に過去ということになる。
 小夜子はリュックサックを椅子に置き、中から財布を取り出す。
「もうお昼食べた?」
「うん。スタミナ定食」
「あれ何の肉か分かんないけど美味しいよね。私もそれにしようかな」
 彼女は荷物をそのまま椅子に置いて、カウンターに向かった。
 私は彼女の後ろ姿を見守る。終わったはずの恋なのに、彼女を前にすると、あの頃に戻ったようだった。いや、この私はまだ彼女に恋していた私だから、その感情が当然なのかもしれない。感情や思考は過去の私に引きずられてしまうようだった。
 そのうち小夜子がトレーを持って戻ってくる。
「焼き肉丼にした」
「安くて美味しいけど、量少なくない?」
「南帆もそんなに量ないやつでしょ。夕飯も学食で済ませようかと思って。南帆はどうする?」
「私も食べていこうかな」
 少しでも小夜子と一緒にいたいから、過去の私も同じようなことを考え、口にした。
 私は小夜子が丼を片手に食べている様子を、頬杖をついて見守った。
 あまり表情のない彼女は無愛想にも感じるが、こうして動いているのを見ていると可愛いと思えた。
「どうしたの?」
 小夜子が口の中に食べ物を含んだまま笑う。
「いや、ご飯食べてるなって」
「そりゃ食べてるよ」
 私もつられて笑った。
 小夜子が相変わらず口に食べ物を入れたまま話してくる。
「テストどうだった?」
「意外と平気だった」
「南帆なら平気でしょ。私はさっきのちょっとやばいかも」
「早かったもんね」
「三十分で終わらせた」
 私は彼女の成績が心配で、そんなふうに誰かを心配する自分が嬉しかった。
 小夜子が食べ終わるまで軽く談笑をした。
 彼女が食べ終わったのを見守って、本来なら聞くのに抵抗があったことを私は切り出す。
「そういえば、小夜子の彼女ってどんな人なの?」
「うーん。とにかく美人」
 小夜子が少し恥ずかしそうに、はにかんだように笑った。
 私はそれに胸が締めつけられた。どの過去でも彼女がそんな表情を私に向けてくれたことはなかった。
 私はもう聞きたくなかったが、知らなければいけない。そのことを知るために過去に戻ったのだから。それに小夜子はもっと話をしたい様子だった。
「名前は、なんていうの?」
「アンナ」
 その名前を耳にして、分かっていたことだが、やはりあの時会った女が彼女の恋人だと確定した。
「写真見る?」
「うん」
「これ高校卒業したあと、二人で旅行した時の」
 小夜子がスマートフォンのカメラロールを開き、私に画面を向ける。ぎこちない表情の小夜子と、優しそうに笑うアンナの写真だった。私が見た女性と同じ人物だったが、私に向けられた笑顔とは大違いだった。
 本当はそこにいるのは私だったのに、そう嫉妬するよりも、何か不気味なものを感じた。
 私は小夜子に悟られないよう、感情を押し隠す。感情を隠すのは得意だった。この私も、どの私も慣れている。
「いつから二人は付き合っているの?」
「ちょうどさっきの写真を撮った日。私からというよりも、アンナからも告白されて、変な話なんだけど、ちょっと記憶が曖昧なんだよね。まあお互いに緊張してというか、私も舞い上がってたところあるから」
 惚気話に付き合うのは苦行だったが、適度に聞きつつ、質問を重ねていく。
「どこで知り合ったの?」
「中学が一緒だったんだ。まあ、なんていうか私の一目惚れで声かけて、そこから仲良くなって」
「そうなんだ」
 じわじわと胸が痛くなった。
 これは私自身の感情だろうか。過去の私が感じているものだろうか。
「今度、紹介してよ」
「いいよ!」
 小夜子は乗り気だった。私はアンナと過去に接点を持ちたかった。過去が変わることで何がどうなるか分からないが。
 そしてそのアンナは、小夜子の失踪に関わっている可能性がある。大学三年の夏に失踪した小夜子。その五年後に偶然再会した彼女は手足を失い、アンナに車椅子を押されていた。この失われた五年間を、アンナは知っているのではないだろうか。あるいは関わっているかもしれない。
「でも夏休みの間、アメリカに短期留学に行っているから、帰ってきたらだね」
「それって、夏休み明け?」
「うん。そのぐらいの時期になるかも。アンナに聞いてみるよ」
「分かった。よろしく」
 こんなに楽しみじゃない約束は初めてだった。

 私は小夜子と別れ、それぞれ四時限目のテストに向かう。
「終わったら図書館で合流しよう」
「五限のテストの範囲、あとで教えてもらってもいい?」
「いいよ」
 私は苦笑した。
 小夜子は予習や復習をろくにしないので、いつもギリギリの成績だった。
「またあとでね!」
 小夜子が手を振って去っていく。
 教室に向かう途中、私はイスカの返信を読み返す。あれからも私は、気になったことを質問した。
『今の私がもとの時間に戻ったら、過去の私は、未来の私が来てたことを覚えているの?』
『ここに来る前、記憶の鍵の話をしたよね? 私たちの記憶は別の場所に保存されていて、二つの記憶にアクセスできるのは、未来の南帆ちゃんだけ。過去の南帆ちゃんはそれができないから、未来の記憶を保持できない。また未来の記憶に基づいた行動も、思考や意思というのは短期的にしか保持されないから、その動機を覚えておくことができない。ただ未来の南帆ちゃんがした行動や、それに伴う結果は、熱力学的プロセスで形成されたシナプスの回路によって、過去の南帆ちゃんが「自ら選択して行動した結果と解釈した記憶」として、過去の南帆ちゃんの中に残るよ』
『さっきも聞いたけど、もしこの世界で、前とは違う行動をした場合どうなるの? 些細なことでも未来が変わる?』
『たとえば一年前の何の変哲もない日、朝何時に起きて何を食べて、何をして過ごして、どんな話をして何を聞いて、何を見て何を思ったかなんて思い出せる? 覚えていられないようなことなら、多少違う行動をしても、運命自体の修正力のようなもので、未来はほとんど変わらない。たださっきも言った通り、決定的なこと。意図的に事故を起こしたり、重傷を負ったり、それこそ命を絶ったりしたら、未来は大きく変わる。そういう物理的なことだけでなく、あなたにとって何か重要なこと、大切なことを、なかったことにしたり、起こしてしまったら、どうなるかは分からない』
 ここが過去の世界だからといって、現実と何も変わらないということだった。ただ私たちは過去に起きたことと、これから先の未来を知っているにすぎない。

   *  *  *

 五時限目のテストは、試験時間が終わる前に解答が完了した。
 私の席の前には小夜子がいた。私たちは学籍番号が前後だった。私は小夜子の後ろ姿、後ろ髪からのぞく首筋、背中を眺めていることにした。
 講師にもよるが、だいたいのテストは解答が終わったら退室してもいい。ただ小夜子の様子を見るに、テスト問題を解いているのではなく、背筋をのばしたまま器用に眠っているようだった。
 私はまだ眠るわけにはいかないので、呑気に眠る小夜子を羨ましく思うと同時に、理不尽な怒りを抱いた。テスト時間が終わると、私は起こすべく、彼女の背中を突いた。
「ひゃっ!」
 変な声をあげて反り返る小夜子に、私は声を抑えて笑った。
 小夜子が不思議そうに振り返る。
「テスト終わったよ。ちゃんと名前書いた?」
 そうからかうと、眠そうに小夜子がうなずいた。まだ寝ぼけている様子だった。こういうところも可愛い。
 それから私たちは再び食堂に来た。昼ほどではないが、そこそこ学生の姿があった。
 小夜子は生姜焼き定食を注文。私は小夜子より先に昼食を食べたが、彼女は食べ終わって三時間ほどしか経っていない。小夜子はいくら食べても太らないので羨ましい。ただ私は食欲に負けてメンチカツ定食にした。
 口に食べ物を入れながら、テストのことや夏休みの話をする。
「そういえば──」
 さっきは聞きそびれてしまった。私は小夜子に確認しなければならないことがあった。
「小夜子、何か悩んでいることない?」
「え、なに? どうしたの?」
「いや、別に……」
「特にないけど」
 聞くまでもなく、小夜子に悩んでいる様子はなかった。恋人との関係も順調で、期末テストも終わり、思い悩むことなどなさそうだった。
 私の方が抱えきれない感情と悩みがある。小夜子ではなく私が失踪しそうなものだった。
 この世界の記憶が正しければ、本当はこの後、私は彼女に告白をしたのだが、私はその感情を抑える。
 小夜子が失踪した理由を知るために、彼女の信頼できる友人であり続けなければならない。それにこのまま私たちが友達でいられたら、お互いに傷つけあうこともない。
 とにかく今は、夏休みの間、彼女と会う約束を取り付けたかった。
「小夜子は夏休みどうするの? アメリカに行くの?」
「いや、私は行かないよ。英語話せないし。バイトとかして過ごす予定」
「休みの日は?」
「今のところ予定ないけど」
「それじゃ一緒に遊ばない? 私も博物館か、図書館に行くぐらいの予定しかないから」
「あ、そしたら映画行こうよ! あとカラオケ!」
「いいよ。何か見たいのあるの?」
 なるべく夏休みの間、彼女と一緒に過ごせば、失踪の理由が分かるかもしれない。あるいは失踪自体を阻止できるかもしれない。
 イスカの話では、この世界で過去を変えることができる。それに伴う影響は内容次第だった。もしかしたら私自身が死んだ世界に戻ってしまうかもしれない。そうならないようにこの時点でイスカと接点を持ったのだが、彼女にどこまで期待できて、信頼できるか分からない。
 ただそうして過去が変わった場合、私は変わったことと、それに伴う変化を覚えていることができるのだろうか。それについてはあとでイスカに聞くことにした。

   *  *  *

 私たちは駅前で別れた。
「家族にお土産買って帰りたいから。またね」
 そう適当な理由をつけた。
「じゃあ夏休みの予定はあとで計画しよう。あとで連絡するね」
「うん、分かった」
 私は改札で小夜子を見送る。
 本当はもっと一緒にいたかった。彼女に抱きしめてもらいたかった。しかしそれはこの過去の世界では、今の私のいる世界線では叶わない。
 私は憂鬱な気持ちで、駅前の待ち合わせに指定した場所で彼女を見つけた。ファストフード店の前だった。
 イスカはゆったりと流したミディアムヘア。花柄のワンピースに、胸高に帯を巻いていた。
 この世界での用事は済んだので、彼女と会う必要は感じなかったが、過去でもイスカと接点を持つことで、途中で私が死んでしまった場合、それを修正してくれるとのことだった。
「こんばんは、南帆ちゃん」
 イスカがあの微笑を浮かべる。
 本当に彼女も過去にいて、私を認識していた。
「どう? 何か分かった?」
「何も」
 彼女に対して隠すつもりはなく、本当に何も分からなかった。ただ小夜子が失踪するとは思えない。今の時点ではまだその理由がないだけかもしれないが。
「ねぇ、私お腹空いちゃった。南帆ちゃんまだ食べられる?」
「軽くなら」
「さっきからソースの美味しそうな匂いがしてて気になっていたの」
 イスカが先導して向かったのはお好み焼きの店だった。
 小麦粉の塊に千円近く払う気分になれなくて、行くのは初めてだった。
 店内は各テーブルに鉄板があり、自分自身で焼くスタイルだった。客には同じ大学と思われる学生や、年配の講師や教授の姿もあった。
 席に着くと、イスカがメニューを広げる。
「どれにしようかな。南帆ちゃんは何がいい?」
「私はいい。好きなの注文すれば。ちょっとだけちょうだい」
 店内のソースの焼ける匂いで私も小腹が空いてきた。
 イスカは真剣な顔でメニューを見ている。
「時間を自由に移動できるってことは、行ったり来たりすれば、その気になれば全部の料理を食べることができるってこと? なんならお金も払わないで」
「その気になればね。ただ時間は有限だから」
「ずっと過去に戻り続ければいいんじゃないの?」
「そうもいかないんだ。もしそんなことができたら、私たちは死ぬことができないし、永遠に時の牢獄に閉じ込められてしまうから。たぶんね、基準になる時間、世界が存在していると思うの」
「そうなんだ」
 あまり話題を広げるつもりはなかったが、イスカは続ける。
「私は未来で何度も死んだんだけどね、必ず戻る時間があったの。そしてその時間は、少しずつ進んでいる。たとえば過去や未来で一日を過ごせば、同じだけの時間じゃないけど、その基準世界も時間が進んでいるみたいなの。たぶん地球の宇宙の中における座標と、重力が関係しているんだと思うんだけど、私にも詳しいことは分からない。私も、その基準時間より前に死ねば、本当に死んでしまうと思う」
 そんな話をされても、私はそうなのか以上の感想がなかった。
「結局、これはどういう仕組みなの? 意識が未来や過去に行ける意味が分からない」
 そこで店員が来たので私は黙った。
「豚玉とエビ玉。あと、二つともトッピングでタコを。あ、南帆ちゃん、何か飲む?」
「私はいい」
「じゃあ温かいウーロン茶を二つ。料理と一緒で」
 イスカは注文を終えると、メニューを戻し、私に向き直る。
「南帆ちゃんは眠っている時、夢を見る方?」
「たまに見るけど」
「それじゃ、夢のない眠りの時、その時のことを覚えている?」
「夢を見ていない時?」
 その瞬間を思い出してみようとしたが、何も思い出すことはできなかった。今朝、目を覚ます前、私はどんな夢を見ただろうか。夢を見ていない時、私は何を見ていただろうか。いつの間にか寝て、気づくと朝になっていたことしか思い出せない。
「寝てるから何も覚えていない」
 そう答えることしかできなかった。
「夢のない眠りの時、私たちの意識はどうしているんだろうね」
「寝てるんじゃない?」
「不思議に思ったことない? 夜眠ると朝になっていること」
「朝まで寝ているだけでしょ」
 イスカが何の話をしているのかよく分からなくなってきた。私は時間移動の仕組みを質問したはずだった。
 イスカは続ける。
「私たちの意識のない間も地球は自転し続けている、太陽を公転している、時間は進んでいる。私たちは目覚めると、それだけの時間が経ったことを知る。私たちは夢のない眠りの間、そのことを知ることができない」
「つまりどういうこと?」
「無になっているんじゃないかってこと。私たちは、意識だとか自我だとか魂があると思っているけど、その間は無になっている。魂なんて存在しなくて、生命活動の副産物として意識がある。魂なんて存在しない」
「私は、そうは思わないけど……」
「どうして?」
 私はそれに答えられなかった。あると思うからある。あとその考えはあまりに悲観的すぎる。そうは思ったが、ただロジカルに答えられないことに抵抗を感じて、私は黙るしかなかった。
 イスカは答えないのを見守って、
「だけどこうも考えられないかな。私たちの意識は別のところに保存されていて、肉体が眠ると、肉体が起きている次の瞬間に意識が移動すると」
「肉体と意識は別ってこと?」
「そう。そして意識は通常、最短で、目覚めている次の瞬間に移動するんじゃないのかな」
「言っている意味は分かるけど、それが本当か納得はできない……」
「どうして? そう考えた方が合理的じゃない? 魂が存在しないと考えるよりも、意識は最短で次の瞬間に移動すると考えた方が説明がつかない? 私たちの意識やその主観性は、こうして存在しているのに、夢のない眠りの間、知覚も記憶もできないから、魂が存在しないと考えるより合理的だと思うけど」
「どっちも極論すぎる気がする……」
 それにどちらもイスカが言っていることだ。
「魂が存在すると仮定して──記憶がアカシックレコードに保存されている話はしたでしょ? まあこのアカシックレコードっていう言葉は、説明するために便宜的に使っているだけで、同じものかは分からないんだけどね。それと同じように、この世界とは、私たちが存在している場所とは別の次元に、私たちの魂は保存されていて、この世界に存在する私たちの肉体と紐づいて、交信している。その際に、あたかも私たちの意識はこの世界に存在しているかのように錯覚している、そう私は考えているの。そして私たちの場合は、特定の条件下で、意識が移動する時間点を選ぶことができる。それが時間移動の仕組み」
「つまり私たちの意識はこの世界を超越した場所に保存されていて、この世界にある肉体を通してアクセスしている。そしてこの世界の過去や未来に、私やあんたは、任意の時点にある肉体に移動することができた。ってこと?」
「そういうこと」
 仕組みはなんとなく分かった。
「なぜ私たちはそんなことができるの? アクシックレコード? 記憶の鍵と関係があるの?」
「こうして南帆ちゃんが過去に戻ることができたように、脳を特殊な状態になることで、意識のある次元と、この世界の座標が曖昧になって、それで時間を移動できる、というのが私の仮説。おそらく重力が意識とこの世界を結びつけていると思うんだけど、私も原理や法則がすべて分かっているわけじゃない」
 そこでお好み焼きの具と生地の入ったボウルが届く。私は店員がいなくなるまで黙った。
 豚玉とエビ玉。それらにタコがトッピングされていた。
「美味しそう!」
 イスカは楽しそうに、そのうちの豚玉から鉄板に生地を広げ、ヘラを使って丸く整える。
 ここに至って私は、今までイスカのパーソナリティについて、まったく興味がなく、何も知らないことに気づいた。
「あんたって何者なの? あんたはいつから時間を移動できるようになったの?」
「そんなことよりも──」
 イスカは鉄板で焼けるお好み焼きから、私に視線を移す。そして目を輝かせ、にっこりと笑った。時折彼女が見せる人間らしい仕草に、私は気味が悪く思えた。
「恋バナしようよ!」
「は?」
「こうして過去で私と接点をもったけど、私たちの関係が希薄だと、もしかしたら過去の南帆ちゃんが私の話を聞いてくれないかもしれない。もう会ってくれないかもしれないじゃない。だから、お互いの秘密を打ち明けることで親友になろうよ」
「えぇ……」
 イスカは楽しそうに笑っていた。
「南帆ちゃんは、音瑠ちゃんと小夜子さん、どちらが好きなの?」
「え?」
「やっぱり小夜子さんの方が好きだから、こうして過去を知ろうとしているの?」
「そういうわけじゃない」
 どうしてこいつにそんなことを教えなければいけないのか。
 私が話したくないのを気にした様子もなく、イスカはお好み焼きをヘラでひっくり返しながら、楽しげに続ける。
「南帆ちゃんは、もし小夜子さんの失踪の理由が分かって、見つけだしたらどうするの? あるいは過去が変わって彼女が失踪しなくて、お友達のままの世界になったらどうするの?」
「別にどうもしない。どちらにしても友達のまま」
「じゃあ音瑠ちゃんと付き合うの?」
「別に私たちはそういうのじゃない」
 さっきからイスカは私のことをからかっているのだろうか。
「そろそろ焼けたかな?」
 イスカは鉄板の上のお好み焼きを二つに切る。
「食べごろだね」
 その切り分けたお好み焼きの一つを、私の皿の上にのせる。それからもう一つを自分の皿にのせた。
「ソースや青のりはお好みで」
「ありがとう」
 今回はイスカも私の目の前で食事をしていた。
「そもそも南帆ちゃんは、どうしてそんなに小夜子さんの失踪した理由が知りたいの?」
「友達だから。もしも今でも困っているのなら力になりたい。失踪するほどの理由があったのなら、それを知りたいし、私にできることなら助けたい」
「素敵だね。本当に大切なんだね」
 そう彼女に評され、陳腐化されたようで不快だった。
「私にも大切な人がいるんだ。私はその人が幸せに生きられる世界にしたいの」
「どういうこと?」
 イスカは恋バナにしては、スケールの大きな話を始めた。
「もしも世界の破滅を自分だけが知っていて、それによって大切な人も死んでしまうことを知ったら、あなたならどうする?」
「その人に未来のことを教えるか、世界中の人にそのことを教えて、破滅自体を防ぐ」
「それができたら簡単なんだけどね」
「運命を変えると自分が死ぬってやつ?」
「それもあるけど。その破滅が人の手によらないもの、自然災害だったら?」
「その地域に近づかないように警告する。信じてもらえるかは分からないけど」
「そうだね。じゃあ、もしこの世界のどこにも逃げ場がないとしたら?」
 そこで彼女のいう世界の破滅がおおよそ想像がついた。
「巨大隕石の衝突?」
「そんなところ。約6600万年前、メキシコのユカタン半島に落下したチクシュルーブ衝突体は、直径10キロ以上の隕石で、衝突速度は秒速約20キロ。衝突時に発生した地震はマグニチュード11以上。これは2万キロ、地球の直径の半分に相当する断層のずれで発生するエネルギーだから、まず地球の地殻変動では発生しないほどのもの。またその衝突で、300メートル以上の津波が発生。数十億から数百億トンにもおよぶ粉塵が舞い上がると、太陽光を遮り、植物の光合成は止まり、食物連鎖が崩壊した。さらに急激な気温の低下も発生。その状況が数年から数十年続いたとされる。その結果、地球上の生物の4分の3が死に絶えた」
「それが起こるっていうの?」
「仮に私の命と引き換えにして、そのことを教えても、世界中の誰も信じないどころか、ドゥームズデイ・カルトに利用されるだけ。その隕石を観測可能になった時点で、世界で起きたことは社会の分断と混乱。だからね、こう考えたの。世界中の誰もが私と同じように未来を知ることができれば、その破滅に備えて、乗り越えることができるんじゃないかって」
 もし私がこうして過去の世界に戻っていなければ、彼女の話をとてもじゃないが信じることはできなかった。
 そして彼女の行動が腑に落ちた。
「あんたはそれを一人でやってるの?」
「一人じゃないよ。いろんな人に助けてもらっている。そして南帆ちゃん、あなたが私の希望なの。私と同じように時間移動をできるようになった原因、そのプロセスを解明して、ほかの人にも適用できれば、人類を救うことができる」
 イスカは二つ目のお好み焼きを作り始める。
 途方もない話だったが、私は少し彼女のことが理解できたような気がした。
 少し打ち解けたような気分になった。私もできる範囲で彼女に協力してもいい気がした。ただどこまで本当の話かは分からない。無条件に協力するのは危険だ。
「つか私がそんなに重要なら、イスカも私のこと手伝ってくれてもよくない? 過去の私に小夜子の失踪する時期を教えて、失踪自体を阻止するように誘導してくれても」
 そこまでする義理はないと言われればそれまでだが、対価を要求される場合、ある程度は飲むつもりだった。
「まずは今回の結果を戻って確認してから、どうするか相談しよう。それにね、音瑠ちゃんのこと、大切にしてあげた方がいいよ。南帆ちゃんが生きているのは、この世界につなぎとめているのは彼女かもしれないから」
「どういうこと?」
「南帆ちゃんが死ぬことで彼女の未来が変わるとしたら。彼女の未来がより強く運命に刻まれていて、その整合性を保つために、南帆ちゃんの死ぬ過去が変わったのかも。推測でしかないけどね」
 私はイスカの言葉から、あることを警戒していることが分かった。
「もし小夜子が失踪しない世界線になったら、私が死ぬかもしれないから、今は困るってこと?」
「正直に言えば、そうだね」
 イスカは決まりが悪い様子だった。
「まあ、今の話を聞けば理解はできる。交換条件みたいな感じだけど、私もあんたを手伝うから、あんたも私を手伝ってよ」
 イスカはそれに嬉しそうに笑った。
「ええ、もちろん」
「追加でほかの料理も頼んでいい?」
「いいよ。ここ私が出すから、なんでも頼んで」
「割り勘でいいよ。あ、私、普通にステーキ食べたい」
「いいね」
「あとちょっと飲もう」
「じゃあ私も」
 私たちはメニューを開き、指をさして笑い合った。

   *  *  *

 帰宅後、私はベッドに寝転がり、小夜子に連絡した。
『映画、何見に行く?』
『いくつか見たいのあるんだよね』
 小夜子が三つほどリンクを添付して、それぞれの魅力を解説して送ってきた。
『迷うね。いっそ三本見ちゃう?』
『でもそのあとカラオケ行きたいからな』
『映画のあと、カラオケオールしちゃえば?』
『いいね! 限界に挑戦しようか!』
 その日一日だけじゃなく、他の日も会いたい。この世界になる前は、二人で旅行して、そのあと私から告白して付き合うことになった。それなのにこの私は、小夜子の恋人の次で、彼女の空いた時間にしか会えない。それが悔しかった。
『今度、小夜子の家に遊びに行ってもいい?』
 思わず送ってしまった。
『いいよ! バイトある日でも、終わったら暇だから、うちで飲もうよ』
 それに私は胸が高鳴った。
 そのうち瞼が重くなってくる。眠れば現実──いや、本来の時間に戻る。
 これ以上小夜子に余計なことを送りたくないが、もう少し彼女と繋がっていたかった。
 私はまだ小夜子のことが好きで、やり直したいと思っているのだろうか。

   ◇  ◇  ◇

 私は目覚めると、見慣れない天井に、もとの世界に戻ったことを知った。
 咄嗟に跳ね起きた。何かが変わっているかもしれない。
 部屋の中を見回すと、イスカと音瑠が床に座って談笑していた。
 音瑠が私に気づいて振り返る。
「おはよう、南帆ちゃん。疲れとれた? 急に寝ちゃうからびっくりしたよ」
 私は音瑠の反応で、すぐに理解した。
 私はイスカを睨む。
「お前、とんでもないものを作ったな」
 イスカは悪びれた様子もなく微笑んでいた。
「同じ脳の状態を再現すると言ったけど、人によって分量は違うはず。私用に調整されたものを準備していたとは思えない」
「うん。その通り。アラベスクは個人個人に用意したものじゃない」
「お前、今まで何人殺してきた?」
「誰も死んでないよ」
「死ぬたびに過去を変えて、なかったことにしてきただけだろ」
 私は全身に鳥肌が立つような感覚がした。怒りや恐怖で耳鳴りがした。
 音瑠は私がアラベスクを飲んだ記憶が、別のものに置き換わっているようだった。
 つまり私は死んだのだ。
 こんなことを彼女はどれだけ繰り返してきたのだろうか。
 彼女は平然と、あの人喰いの微笑を浮かべていた。
「中途半端な量で、可能性を十分に検証できなければ意味がないからね」
「それで致死量、それ以上の量を飲ませて、確実に同じ状態にするってわけ?」
「だからこうして成功した」
 私は急いで起き上がり、不思議そうにしている音瑠の腕を掴み、立ち上がらせる。
「音瑠、帰るよ」
「え、待って、南帆ちゃん? どういうこと?」
「こいつとは二度と関わっちゃいけない」
 こんな場所にいてはいけない。少しでも気を許した私が馬鹿だった。こいつは怪物だ。
 玄関に向かう私たちに、イスカは珍しく大きな声を出す。
「南帆ちゃん、無駄だよ! 私と南帆ちゃんは過去に接点を持ってしまったから。過去のあなたはこのことを知らない。必要があれば私は過去でこのことを再現するし、そのままにしておくかもしれない」
 私は振り返って、もう一度彼女を睨んだ。
「この、クサレビッチ……」
「一回だけでいいよ。あと一回、私のお願いを聞いてくれたら、もう南帆ちゃんには、音瑠ちゃんにも干渉しないって約束する。それに小夜子さんのことも解決してあげる」
「もう一回、そいつを飲めばいいの?」
「そうだけど、今じゃない。今度は脳の状態を測定しながら、服用前と服用後の違いを検証したい。それが済んだら、二度と干渉しないって約束する」
「それはいつ?」
「三日後。あとで場所を送るね。それにこれは南帆ちゃんにとってもいいことだと思うよ」
「うるさい!」
 あの過去の世界の出来事が、この世界と地続きになっているのなら、私のスマートフォンには、すでにイスカの連絡先が入っているだろう。
「自分が殺される運命にあること、本当なら死んでいるはずだってこと、忘れないで。南帆ちゃんの命は、南帆ちゃんが思っている以上に危ういよ」
 ほかならぬイスカ自身が私を殺しておいて、よくもそんなことが言えたものだ。
 私は音瑠の手を引いて、イスカの家を出た。
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