5 / 6
5話 デタラメ?
しおりを挟む
ざわざわとあたりがざわめく。いったいなぜ。そんな声が両手で抱え切れないほど聞こえてくる。
「ふむ。シャーロット王女、理由を聞いても構わんかね」
リアム様が驚いて私の方を見ている中、王様だけは冷静だった。もしかしたらご存知だったのかもしれない。
「はい、それはリアム様が沢山の御令嬢方と恋愛関係にあるからです」
そこに愛はないのだろうが、あえて恋愛関係と言い放つ。これは浮気なのですと、なるべくわかりやすく伝えるために。
聞こえてくる声が一気に小さくなった。心当たりのある人がいるからだろう。もしかしたら自分たちにも何かあるかもしれない。それを恐れているのではないだろうか。
「それは事実かね」
髭を撫でながら王様は私たちを見下ろした。ここで弱気になってはいけない。最後まできちんと笑顔でやり通さないと。
「はい、王様。これをご覧ください」
窓という窓に映像が映し出される。
「ねえ、リアム様。私たちのこと愛していますか。婚約者の王女様よりも」
注意、プライバシー保護のためリアム様以外の顔と声は変えさせていただいております。
「ああ、もちろんさ。あんな弱そうな女」
私達王家の人間は1人に1つずつ魔法の付与された道具が配られる。ウィリアムの記録する魔道具でこの映像を記録し、イザベラの映し出せる魔道具でそれを窓に映し出す。そして私の全てを隠せる魔道具で御令嬢方の声と顔を隠させていただいたのだ。
「で、デタラメだ」
リアム様の声が響く。その声は耳が痛くなるほど大きかった。
「この女が嘘をついているんだ。そんなもの魔法でいくらでも作り出せるだろ」
確かに、そうだそうだと小さな声が聞こえてくる。浮気に加担していた方達はなかったことにしてしまった方が都合が良いのだろう。
けれど、確かにリアム様の言う通りなのだ。魔法のあるこの世界。映像を作り出そうと思えばいくらでも偽造できる。だからこそ重要なのはどれだけの人に信じてもらえるかだったのだが、まさかこんなに浮気に加担している者が多いとは思わなかった。
「それが偽物ではないと言う証拠を見せてみろ」
なんと返せば良いのかわからない。私は動くことすらできずに彼を見ていた。そんな時。
「まあ、浮気の件がなくとも兄上は王位継承権を失うことになりますがね」
救いの声が上がった。
「ふむ。シャーロット王女、理由を聞いても構わんかね」
リアム様が驚いて私の方を見ている中、王様だけは冷静だった。もしかしたらご存知だったのかもしれない。
「はい、それはリアム様が沢山の御令嬢方と恋愛関係にあるからです」
そこに愛はないのだろうが、あえて恋愛関係と言い放つ。これは浮気なのですと、なるべくわかりやすく伝えるために。
聞こえてくる声が一気に小さくなった。心当たりのある人がいるからだろう。もしかしたら自分たちにも何かあるかもしれない。それを恐れているのではないだろうか。
「それは事実かね」
髭を撫でながら王様は私たちを見下ろした。ここで弱気になってはいけない。最後まできちんと笑顔でやり通さないと。
「はい、王様。これをご覧ください」
窓という窓に映像が映し出される。
「ねえ、リアム様。私たちのこと愛していますか。婚約者の王女様よりも」
注意、プライバシー保護のためリアム様以外の顔と声は変えさせていただいております。
「ああ、もちろんさ。あんな弱そうな女」
私達王家の人間は1人に1つずつ魔法の付与された道具が配られる。ウィリアムの記録する魔道具でこの映像を記録し、イザベラの映し出せる魔道具でそれを窓に映し出す。そして私の全てを隠せる魔道具で御令嬢方の声と顔を隠させていただいたのだ。
「で、デタラメだ」
リアム様の声が響く。その声は耳が痛くなるほど大きかった。
「この女が嘘をついているんだ。そんなもの魔法でいくらでも作り出せるだろ」
確かに、そうだそうだと小さな声が聞こえてくる。浮気に加担していた方達はなかったことにしてしまった方が都合が良いのだろう。
けれど、確かにリアム様の言う通りなのだ。魔法のあるこの世界。映像を作り出そうと思えばいくらでも偽造できる。だからこそ重要なのはどれだけの人に信じてもらえるかだったのだが、まさかこんなに浮気に加担している者が多いとは思わなかった。
「それが偽物ではないと言う証拠を見せてみろ」
なんと返せば良いのかわからない。私は動くことすらできずに彼を見ていた。そんな時。
「まあ、浮気の件がなくとも兄上は王位継承権を失うことになりますがね」
救いの声が上がった。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢を追い込んだ王太子殿下こそが黒幕だったと知った私は、ざまぁすることにいたしました!
奏音 美都
恋愛
私、フローラは、王太子殿下からご婚約のお申し込みをいただきました。憧れていた王太子殿下からの求愛はとても嬉しかったのですが、気がかりは婚約者であるダリア様のことでした。そこで私は、ダリア様と婚約破棄してからでしたら、ご婚約をお受けいたしますと王太子殿下にお答えしたのでした。
その1ヶ月後、ダリア様とお父上のクノーリ宰相殿が法廷で糾弾され、断罪されることなど知らずに……
愚者(バカ)は不要ですから、お好きになさって?
海野真珠
恋愛
「ついにアレは捨てられたか」嘲笑を隠さない言葉は、一体誰が発したのか。
「救いようがないな」救う気もないが、と漏れた本音。
「早く消えればよろしいのですわ」コレでやっと解放されるのですもの。
「女神の承認が下りたか」白銀に輝く光が降り注ぐ。
【完結】クラーク伯爵令嬢は、卒業パーティーで婚約破棄されるらしい
根古川ゆい
恋愛
自分の婚約破棄が噂になるなんて。
幼い頃から大好きな婚約者マシューを信じたいけれど、素直に信じる事もできないリナティエラは、覚悟を決めてパーティー会場に向かいます。
「本当の自分になりたい」って婚約破棄しましたよね?今さら婚約し直すと思っているんですか?
水垣するめ
恋愛
「本当の自分を見て欲しい」と言って、ジョン王子はシャロンとの婚約を解消した。
王族としての務めを果たさずにそんなことを言い放ったジョン王子にシャロンは失望し、婚約解消を受け入れる。
しかし、ジョン王子はすぐに後悔することになる。
王妃教育を受けてきたシャロンは非の打ち所がない完璧な人物だったのだ。
ジョン王子はすぐに後悔して「婚約し直してくれ!」と頼むが、当然シャロンは受け入れるはずがなく……。
完 さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。
水鳥楓椛
恋愛
わたくし、エリザベート・ラ・ツェリーナは今日愛しの婚約者である王太子レオンハルト・フォン・アイゼンハーツに婚約破棄をされる。
なんでそんなことが分かるかって?
それはわたくしに前世の記憶があるから。
婚約破棄されるって分かっているならば逃げればいいって思うでしょう?
でも、わたくしは愛しの婚約者さまの役に立ちたい。
だから、どんなに惨めなめに遭うとしても、わたくしは彼の前に立つ。
さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。
まさか、今更婚約破棄……ですか?
灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
チャールストン伯爵家はエンバー伯爵家との家業の繋がりから、お互いの子供を結婚させる約束をしていた。
エンバー家の長男ロバートは、許嫁であるチャールストン家の長女オリビアのことがとにかく気に入らなかった。
なので、卒業パーティーの夜、他の女性と一緒にいるところを見せつけ、派手に恥を掻かせて婚約破棄しようと画策したが……!?
色々こじらせた男の結末。
数話で終わる予定です。
※タイトル変更しました。
婚約者に土下座をされています
相馬香子
恋愛
侯爵令嬢である私、リモーネ・テルペンは婚約者であるアルジェント様に土下座をされてしまいました。
うん?他に好きな人ができた?
なるほどなるほど、分かりました!
――ここは私が、一肌脱ぎましょう!
気さくな侯爵令嬢と拗らせ王子のドタバタラブコメディーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる