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2話 シャーロットのみた現実
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飛び込んだ部屋。乱れた髪。荒れた呼吸。それを見て部屋にいたメイド達は慌てて私に駆け寄ってくる。そして、何があったのかと心配するように私を取り囲んだ。
私は婚約者であるリアム様にご挨拶を、と思いリアム様の部屋に向かっていた。その時、見てしまったのだ。リアム様が自室に入って行く様子を。それだけなら問題はない。けれど問題なのは両側に花のような女性達をたくさん引き連れ、その中の1人にキスをしながら部屋に入って行ったということだ。
上がった息を整え、心配するメイド達を1人を除いて下がらせる。残したのは幼い頃から一緒のアメリアだ。彼女はわたしが結婚してもついてきてくれるといっているほど、私たちは仲が良く、いつも一緒にいた。そんな信用できるアメリアにだから、話そうと思えたのだ。
「……アメリア。リアム様のお部屋を調べてきて。もしかしたら……いいえ、もしかしなくても、浮気してるわ、彼」
わたしがそういってもアメリア驚いた顔一つ見せずに悲しそうな顔をした。そして私を優しく抱きしめる。
「言ってしまおうか迷っていたのですが……知ってしまわれたのですね、姫様」
それが全ての答えだった。アメリアの家はもともと情報収集に長けた隠密を得意とする家だ。そのアメリアがいうなら間違いない話なのだろう。
「このこと……お父様とお母様は……」
戸惑いを隠せない。上に立つものは常に堂々としていろと教えられてきたけれど、今だけはどう頑張っても無理だとわかる。
「ご存知です。国際問題になるのを恐れて言い出せずにいるとのことでした」
国際、問題。そっか、私が言い出したら国単位の問題になるんだ。場合によっては戦争になることもあり得る。私達と婚約は、もともと両国を結びつけるためのものなのだから。
……え。じゃあ、私、あの人と結婚するの。私の国は一夫一妻制だ。獣人刻はそうではないそうだが、私たちが婚約する際に妾は持たないことが取り決められている。婚約中の浮気もいいわけがない。
それなのに、文句さえ言えないの。私はあんな男を本当に愛せるの。彼の愛を得られるの。幸せになれるの。
幸せなんて考えてはいけないことはわかっていた。今まで国民の血税で贅沢させてもらってきた分、教育を受けていた分、私は結婚するなり何なりして国民に返さなくてはいけない。それでも、それでも。
「……シャーロット」
私を抱きしめたままのアメリアがぽそりと呟く。懐かしい。昔は身分なんて気にせずに接してしたものだ。もちろん、怒られてしまうので2人きりの時のみだったが。
「両陛下はシャーロットの好きにすればいいと言っていたわ」
好きに……。それで国民が苦しむことになったらどうするのよ。
「……ねえ、シャーロット。あなたはもう十分頑張ったじゃない。王妃教育も、王家という重圧にも耐えてきたわ。あなた1人が苦しめばいいなんて、国民も思わないわよ」
アメリアは私の頭を優しく撫でて、私を苦しいくらいに抱きしめて。
「だから、大事なのはシャーロットがどうしたいかなのよ」
これはわがままじゃないんだから。
ポロポロと涙が溢れてきて。やっと現実を受け入れられた気がした。
私は婚約者であるリアム様にご挨拶を、と思いリアム様の部屋に向かっていた。その時、見てしまったのだ。リアム様が自室に入って行く様子を。それだけなら問題はない。けれど問題なのは両側に花のような女性達をたくさん引き連れ、その中の1人にキスをしながら部屋に入って行ったということだ。
上がった息を整え、心配するメイド達を1人を除いて下がらせる。残したのは幼い頃から一緒のアメリアだ。彼女はわたしが結婚してもついてきてくれるといっているほど、私たちは仲が良く、いつも一緒にいた。そんな信用できるアメリアにだから、話そうと思えたのだ。
「……アメリア。リアム様のお部屋を調べてきて。もしかしたら……いいえ、もしかしなくても、浮気してるわ、彼」
わたしがそういってもアメリア驚いた顔一つ見せずに悲しそうな顔をした。そして私を優しく抱きしめる。
「言ってしまおうか迷っていたのですが……知ってしまわれたのですね、姫様」
それが全ての答えだった。アメリアの家はもともと情報収集に長けた隠密を得意とする家だ。そのアメリアがいうなら間違いない話なのだろう。
「このこと……お父様とお母様は……」
戸惑いを隠せない。上に立つものは常に堂々としていろと教えられてきたけれど、今だけはどう頑張っても無理だとわかる。
「ご存知です。国際問題になるのを恐れて言い出せずにいるとのことでした」
国際、問題。そっか、私が言い出したら国単位の問題になるんだ。場合によっては戦争になることもあり得る。私達と婚約は、もともと両国を結びつけるためのものなのだから。
……え。じゃあ、私、あの人と結婚するの。私の国は一夫一妻制だ。獣人刻はそうではないそうだが、私たちが婚約する際に妾は持たないことが取り決められている。婚約中の浮気もいいわけがない。
それなのに、文句さえ言えないの。私はあんな男を本当に愛せるの。彼の愛を得られるの。幸せになれるの。
幸せなんて考えてはいけないことはわかっていた。今まで国民の血税で贅沢させてもらってきた分、教育を受けていた分、私は結婚するなり何なりして国民に返さなくてはいけない。それでも、それでも。
「……シャーロット」
私を抱きしめたままのアメリアがぽそりと呟く。懐かしい。昔は身分なんて気にせずに接してしたものだ。もちろん、怒られてしまうので2人きりの時のみだったが。
「両陛下はシャーロットの好きにすればいいと言っていたわ」
好きに……。それで国民が苦しむことになったらどうするのよ。
「……ねえ、シャーロット。あなたはもう十分頑張ったじゃない。王妃教育も、王家という重圧にも耐えてきたわ。あなた1人が苦しめばいいなんて、国民も思わないわよ」
アメリアは私の頭を優しく撫でて、私を苦しいくらいに抱きしめて。
「だから、大事なのはシャーロットがどうしたいかなのよ」
これはわがままじゃないんだから。
ポロポロと涙が溢れてきて。やっと現実を受け入れられた気がした。
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