50 / 111
50話
しおりを挟む
少しゆっくりめに歩くと、エラの息もだんだん落ち着いてきて、エラはもう大丈夫と言うように私に笑いかけた。感謝の意もこもっているのかもしれない。
城が近づいてくる。それにつれて、仲間の緊張感も増していった。冬菜達が言うには、魔力の量が一定以上から増えないらしい。精霊にしては少なすぎると言うその魔力は、人間のものにしては多く、私たちを混乱させた。けれど、冬菜にはわかったようだ。この魔力は、水の五大精霊のもので間違いないと。
魔力は、それぞれ個性がある。得意な属性があったり、不得意な属性があったり、量だったり、質だったり。全く同じものなど何一つない。それが魔力だ。
冬菜は前に、水の五大精霊にあっている。そのときに感じた魔力の質と同じだと判断したのだろう。
いよいよ城の前までやってきた私達は、閉じている門の前で止まった。どうやって進もうか。精霊達は羽があるが、私たちにはない。やっぱり、魔法の出番だろうか。
お城の中に入ったことのある人は、私たちの中では誰もいない。転移魔法は使えないだろう。
どうやって入るの。
心の中で、念を飛ばすように話しかけると、冬菜が私の方を振り返った。
私たちが先に入って、魔法で転移させるわ。
私たちの体重を軽くして、4人に運んでもらうのもありなのだろうが、途中で何かにぶつかって音でもしては大変だ。後から行く方がいいだろう。
高い高い城壁に、冬菜達の姿が消えていく。小さなゼラ達が見えなくなって、次に冬菜が壁に隠れて見えなくなる。
4人のことが心配なのか、エラが不安げな様子で小さくなっていく4人を見上げていた。
お姉ちゃん。私、足手まといなのかな。
頭の中に、エラの声が響く。悲しげな目で、エラは私に訴えかけていた。
歩くことさえままならない体。病み上がりでほぼないに等しい必要な知識。それだけを考えれば、エラは確かに足手まといかもしれない。けれど。
エラちゃん、大丈夫だよ。エラちゃんは賢いんだから、みんな頼りにしてるよ。
エラは小さくニコッと笑う。安心させてあげることができたのかはわからないが、笑ってくれただけでもよしとしよう。
エラは賢い子だ。10歳でテレパシーが使えることが、その証拠だ。私もそれなりに魔法は使えるが、精霊に囲まれて育つエラはもっと多くのことを吸収するだろう。私ももっといろんなことを知っていて、役に立てていると思えたらいいのに。今からでも、頑張るしかないが。
城が近づいてくる。それにつれて、仲間の緊張感も増していった。冬菜達が言うには、魔力の量が一定以上から増えないらしい。精霊にしては少なすぎると言うその魔力は、人間のものにしては多く、私たちを混乱させた。けれど、冬菜にはわかったようだ。この魔力は、水の五大精霊のもので間違いないと。
魔力は、それぞれ個性がある。得意な属性があったり、不得意な属性があったり、量だったり、質だったり。全く同じものなど何一つない。それが魔力だ。
冬菜は前に、水の五大精霊にあっている。そのときに感じた魔力の質と同じだと判断したのだろう。
いよいよ城の前までやってきた私達は、閉じている門の前で止まった。どうやって進もうか。精霊達は羽があるが、私たちにはない。やっぱり、魔法の出番だろうか。
お城の中に入ったことのある人は、私たちの中では誰もいない。転移魔法は使えないだろう。
どうやって入るの。
心の中で、念を飛ばすように話しかけると、冬菜が私の方を振り返った。
私たちが先に入って、魔法で転移させるわ。
私たちの体重を軽くして、4人に運んでもらうのもありなのだろうが、途中で何かにぶつかって音でもしては大変だ。後から行く方がいいだろう。
高い高い城壁に、冬菜達の姿が消えていく。小さなゼラ達が見えなくなって、次に冬菜が壁に隠れて見えなくなる。
4人のことが心配なのか、エラが不安げな様子で小さくなっていく4人を見上げていた。
お姉ちゃん。私、足手まといなのかな。
頭の中に、エラの声が響く。悲しげな目で、エラは私に訴えかけていた。
歩くことさえままならない体。病み上がりでほぼないに等しい必要な知識。それだけを考えれば、エラは確かに足手まといかもしれない。けれど。
エラちゃん、大丈夫だよ。エラちゃんは賢いんだから、みんな頼りにしてるよ。
エラは小さくニコッと笑う。安心させてあげることができたのかはわからないが、笑ってくれただけでもよしとしよう。
エラは賢い子だ。10歳でテレパシーが使えることが、その証拠だ。私もそれなりに魔法は使えるが、精霊に囲まれて育つエラはもっと多くのことを吸収するだろう。私ももっといろんなことを知っていて、役に立てていると思えたらいいのに。今からでも、頑張るしかないが。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

転生したら使用人の扱いでした~冷たい家族に背を向け、魔法で未来を切り拓く~
沙羅杏樹
恋愛
前世の記憶がある16歳のエリーナ・レイヴンは、貴族の家に生まれながら、家族から冷遇され使用人同然の扱いを受けて育った。しかし、彼女の中には誰も知らない秘密が眠っていた。
ある日、森で迷い、穴に落ちてしまったエリーナは、王国騎士団所属のリュシアンに救われる。彼の助けを得て、エリーナは持って生まれた魔法の才能を開花させていく。
魔法学院への入学を果たしたエリーナだが、そこで待っていたのは、クラスメイトたちの冷たい視線だった。しかし、エリーナは決して諦めない。友人たちとの絆を深め、自らの力を信じ、着実に成長していく。
そんな中、エリーナの出生の秘密が明らかになる。その事実を知った時、エリーナの中に眠っていた真の力が目覚める。
果たしてエリーナは、リュシアンや仲間たちと共に、迫り来る脅威から王国を守り抜くことができるのか。そして、自らの出生の謎を解き明かし、本当の幸せを掴むことができるのか。
転生要素は薄いかもしれません。
最後まで執筆済み。完結は保障します。
前に書いた小説を加筆修正しながらアップしています。見落としがないようにしていますが、修正されてない箇所があるかもしれません。
長編+戦闘描写を書いたのが初めてだったため、修正がおいつきません⋯⋯拙すぎてやばいところが多々あります⋯⋯。
カクヨム様にも投稿しています。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる