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2話 ルーカス様
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あのお方こと、この国の第二王子ルーカス様には、恐れ多くも私が勉強を教えている。私しか教える人がいないのだから、自然とそうなってしまったのだが、今でもなお恐れ多い気持ちでいっぱいだ。
ルーカス様は……国中の貴族に、嫌われている。ルーカス様と兄である第一王子の母、王妃様は、ルーカス様を産んだ日に亡くなられてしまった。国中から愛されていた王妃様が亡くなられれば、その原因に目がいってしまっても仕方がないのかもしれないが。
それでも、貴族たちの、この国の王族のやることは度が過ぎている。世話をする者も自ら志願した私1人。それなのに、私にルーカス様に関わること以外の仕事もさせる。そのおかげで、ルーカス様と過ごせる時間はほんの少ししかない。
教師だってつけないし、学園にだって通わせてもらえない。唯一の話し相手が同じ歳のメイドだなんて、悲しすぎるだろう。せめて私が男だったら、共感できる話の一つくらいできたかもしれないのに。
「リリィ、本当に変ですよ。大丈夫ですか」
ルーカス様は本当に心配そうな目で私を見ている。心配してくださるなんて……私はなんて幸せ者なんだろう。
「ありがとうございます、大丈夫です。さあ、行きましょうか」
私はにっこり笑顔を作ると、ルーカス様の背中を押した。
勉強が終わると、ルーカス様は小さくため息をついた。いつもは強い面だけを見せてくれるルーカス様。何かあったのだろうか。
「聞いてください、リリィ」
ルーカス様が話を聞いて欲しいだなんて。珍しい。いつもは私が話を振らないと、あまりルーカス様の話はしてくれないのに。
私が頷くのを確認すると、ルーカス様は辛そうな表情で話し始めた。
「父う……国王陛下が、今日おっしゃっていたんです。私を勘当すると」
私は驚いたふりをして、口を手で覆う。ルーカス様の目には、目の前にある机しか映ってはいないだろうけど。
「明日の王太子様のお誕生日パーティーで、そのことを公表なさるそうです」
口は笑っていても、目が笑っていない。長い間お仕えしたわけでなくても、そのくらいはわかる。
「そうすれば、もうリリィとも一緒にいられなくなりますから、伝えておかなければと思って」
ルーカス様はそれだけ言うと、私を部屋から追い出した。どこまでもお供します。1人にはしません。そう言いたかった。辛そうなあの顔を見て、私も涙が溢れ出そうだった。けれど、私はあえて何も言わなかった。
ルーカス様は……国中の貴族に、嫌われている。ルーカス様と兄である第一王子の母、王妃様は、ルーカス様を産んだ日に亡くなられてしまった。国中から愛されていた王妃様が亡くなられれば、その原因に目がいってしまっても仕方がないのかもしれないが。
それでも、貴族たちの、この国の王族のやることは度が過ぎている。世話をする者も自ら志願した私1人。それなのに、私にルーカス様に関わること以外の仕事もさせる。そのおかげで、ルーカス様と過ごせる時間はほんの少ししかない。
教師だってつけないし、学園にだって通わせてもらえない。唯一の話し相手が同じ歳のメイドだなんて、悲しすぎるだろう。せめて私が男だったら、共感できる話の一つくらいできたかもしれないのに。
「リリィ、本当に変ですよ。大丈夫ですか」
ルーカス様は本当に心配そうな目で私を見ている。心配してくださるなんて……私はなんて幸せ者なんだろう。
「ありがとうございます、大丈夫です。さあ、行きましょうか」
私はにっこり笑顔を作ると、ルーカス様の背中を押した。
勉強が終わると、ルーカス様は小さくため息をついた。いつもは強い面だけを見せてくれるルーカス様。何かあったのだろうか。
「聞いてください、リリィ」
ルーカス様が話を聞いて欲しいだなんて。珍しい。いつもは私が話を振らないと、あまりルーカス様の話はしてくれないのに。
私が頷くのを確認すると、ルーカス様は辛そうな表情で話し始めた。
「父う……国王陛下が、今日おっしゃっていたんです。私を勘当すると」
私は驚いたふりをして、口を手で覆う。ルーカス様の目には、目の前にある机しか映ってはいないだろうけど。
「明日の王太子様のお誕生日パーティーで、そのことを公表なさるそうです」
口は笑っていても、目が笑っていない。長い間お仕えしたわけでなくても、そのくらいはわかる。
「そうすれば、もうリリィとも一緒にいられなくなりますから、伝えておかなければと思って」
ルーカス様はそれだけ言うと、私を部屋から追い出した。どこまでもお供します。1人にはしません。そう言いたかった。辛そうなあの顔を見て、私も涙が溢れ出そうだった。けれど、私はあえて何も言わなかった。
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