悪役令嬢だって幸せになりたい

空月 若葉

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7話 プレゼント

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 あれから何日かして10月12日がやってきた。私、ガーベラの誕生日だ。今日は朝起きた時からウキウキしていた。今日で私は6歳になるのだが今日の夜、家で開かれる私の誕生日パーティーには私の婚約者としてロー様もきてくださるらしい。それが嬉しくてたまらないのだ。ロー様は私の婚約者であり、私の好きな人であると同時に私が唯一知っている同年代の子供でもある。私の中身は優香が死んだのは16歳の時だからもう私は二十代お姉さんなのだが、体に引っ張られるのかどうも私の精神年齢は幼い。
 そういえば、お父様とお母様が私のために素晴らしいプレゼントを用意してくれたらしい。お昼ご飯のタイミングで呼ぶとかおっしゃっていたな。呼ぶということは生き物なのだろうか。可愛い小鳥とかだったら嬉しいな。私は前世でも小鳥を買っていたから、鳥は大好きだ。窓の外の可愛らしい小鳥たちを眺める。そろそろメイドが昼食だと呼びにくる時間だろうか。そう思ってドアの方を振り返ると、コンコンコン、とノックの音が聞こえてきた。来たんだ。
「お嬢様、お昼の時間でございます。皆様がお待ちです」
笑顔でメイドについていく私に、メイドも笑顔で応えてくれた。
 食堂に着くと、もうすでにお父様とお母様もいらっしゃった。その横には、見知らぬ男の子がいる。メイド長や執事長もいる。もしかして、プレゼントって。
「ガーベラ。この子がプレゼントだよ」
やっぱりそうか。人がプレゼルとだなんて、私の両親も面白いことを考えるものだ。
「ありがとうございます」
一言お父様とお母様にお礼を言って、私はその男の子に向き直った。茶色の髪を後ろで束ねていて、顔立ちの整った綺麗な男の子。彼は執事の服を着ていた。おそらくこれからは私専属の執事として仕えてくれるのだろう。
「彼は家の前で行き倒れていてね。私が拾ったんだ」
私はその男の子に手を差し出し、握手を求めた。男の子は戸惑いながらも私の手を握ってくれた。
「よろしくね、私はガーベラ。あなたは」
私が男の子の手を握り返すと、その男の子ははにかみながら私の手を両手で優しく包んだ。
「マテオと申します。よろしくお願いします」
なんだかこっちまで恥ずかしくなりそうだ。
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