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6話 ロー様
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ついた部屋はとても豪華な部屋だった。煌びやかな調度品が飾られていて、お父様の部屋にあるものと同じくらい豪華なものではないだろうか。さすがお城だ。
お父様がドアをノックすると、中から返事が返ってきた。
「どうぞ」
声に招かれるようにドアをくぐる。そこにいたのは、美しい男の子だった。私の容姿もなかなかのものだが、この子もかなり美しい。とてもイケメンだ。さすが攻略キャラ。
一瞬身惚れそうになりながらも落ち着いてお辞儀をする。
「お初にお目にかかります。ガーベラ・サフランと申します」
チラッと後ろを見ると後ろで父と母も同じようにお辞儀をしていた。
「はじめまして、ガーベラ。私の名前はローガン・クラバネス。これからよろしくね。ローガンと呼んでくれて構わない」
顔を上げると、ローガン様はお父様とお母様に一度下がるように指示をした。私が話があってきたのをわかっているのかもしれない。
「さて、聞こうか」
謝るというのは、すごく勇気がいるものだ。特に、本当に悪いことをしたと自分で思っているときには。
「私たちの婚約は、私の我儘から始まったのです。今では恥ずべきことだと思います。申し訳ありませんでした」
私が再び頭を下げると、ローガン様は私の方に寄ってきた。そして、私の頭を優しく撫でてくださった。
「君のように、素直に謝れる子、僕は好きだよ」
私が顔を上げると、ローガン様は私の頭から手をのけた。そうして、こう続ける。
「それに、悪いことだとは思わない。どちらにせよ貴族はいつか婚約する」
素晴らしい方だと思った。こんなにできた人間になるまでにどれだけの苦労をしてきたのだろう。
「君には許してもいいかな。……私のことはローと呼んでくれ」
ロー。それは、ローガン様の愛称で家族である王族のみが呼ぶことを許されている呼び方だ。これは将来の家族として認められたということだ。
「はい、ロー様」
顔が勝手に笑顔になる。どうしてこんなに嬉しいのだろうか。そんなことは今どうでもいい。もう少し、ロー様と話していたい。
帰路についても私はまだニヤニヤしていた。顔が勝手に笑顔を作るのだ。
「まあ、ガーベラったら。そんなに王子様と会えたのが嬉しかった」
私が頷くと、お母様とお父様も幸せそうに笑ってくださった。
ロー様は素晴らしいお方だった。これではゲームのガーベラがあそこまで惚れ込んでしまうのも無理はないだろう。かくいう私も自分の気持ちに嘘がつけなくなるほどロー様のことを……。ああ、五歳児に惚れるなんて、私……。
お父様がドアをノックすると、中から返事が返ってきた。
「どうぞ」
声に招かれるようにドアをくぐる。そこにいたのは、美しい男の子だった。私の容姿もなかなかのものだが、この子もかなり美しい。とてもイケメンだ。さすが攻略キャラ。
一瞬身惚れそうになりながらも落ち着いてお辞儀をする。
「お初にお目にかかります。ガーベラ・サフランと申します」
チラッと後ろを見ると後ろで父と母も同じようにお辞儀をしていた。
「はじめまして、ガーベラ。私の名前はローガン・クラバネス。これからよろしくね。ローガンと呼んでくれて構わない」
顔を上げると、ローガン様はお父様とお母様に一度下がるように指示をした。私が話があってきたのをわかっているのかもしれない。
「さて、聞こうか」
謝るというのは、すごく勇気がいるものだ。特に、本当に悪いことをしたと自分で思っているときには。
「私たちの婚約は、私の我儘から始まったのです。今では恥ずべきことだと思います。申し訳ありませんでした」
私が再び頭を下げると、ローガン様は私の方に寄ってきた。そして、私の頭を優しく撫でてくださった。
「君のように、素直に謝れる子、僕は好きだよ」
私が顔を上げると、ローガン様は私の頭から手をのけた。そうして、こう続ける。
「それに、悪いことだとは思わない。どちらにせよ貴族はいつか婚約する」
素晴らしい方だと思った。こんなにできた人間になるまでにどれだけの苦労をしてきたのだろう。
「君には許してもいいかな。……私のことはローと呼んでくれ」
ロー。それは、ローガン様の愛称で家族である王族のみが呼ぶことを許されている呼び方だ。これは将来の家族として認められたということだ。
「はい、ロー様」
顔が勝手に笑顔になる。どうしてこんなに嬉しいのだろうか。そんなことは今どうでもいい。もう少し、ロー様と話していたい。
帰路についても私はまだニヤニヤしていた。顔が勝手に笑顔を作るのだ。
「まあ、ガーベラったら。そんなに王子様と会えたのが嬉しかった」
私が頷くと、お母様とお父様も幸せそうに笑ってくださった。
ロー様は素晴らしいお方だった。これではゲームのガーベラがあそこまで惚れ込んでしまうのも無理はないだろう。かくいう私も自分の気持ちに嘘がつけなくなるほどロー様のことを……。ああ、五歳児に惚れるなんて、私……。
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