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5話 道中
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王子に恋をしないようにとは言っても、私は王子に会いたいと思っていた。何故なら我儘で結婚をお願いしたことを謝りたいと思っていたからだ。お父様から聞いたのだがもう婚約は決定してしまっているらしい。王家との婚約は喜ばしいことなので今更なかったことに、とは言い出しづらい。バッドエンドさえ回避できれば、王子と結婚しても問題ないだろう。ローガンは結構私のタイプだし。……まだあっていないからゲームの姿しか知らないけどね。
私は早速お父様にお願いをして、どうにかローガン王子と会えるように申請をしてもらった。返事は案外すぐに帰ってきた。会ってくださると言うことだ。しかも今日。私はお母様とともにメイド達の手を借りながら大急ぎで支度を済ませ、城に向かった。
馬車にお母様と乗り込む。お母様はどこか不安そうな顔をしていた。
「どうかしましたか、お母様」
私が心配して話しかけるとお母様は私を安心させるように微笑んだ。
「大丈夫よ」
今はもうお昼を過ぎているから眠いわけではないのだろう。だからこそ心配だ。
「よければ話してください。力にはなれないかもしれませんが、お話を聞くことくらいはできまふ」
肝心なところで舌を噛んでしまい、少し恥ずかしくなってしまった私だが、お母様は喜んでくださったようで私のことを抱きしめてくれた。
「ありがとう。でも、大したことではないのよ」
そう言いながらもお母様は話してくれた。
「あなたをお嫁さんにやるのが不安でね……。王子、それも王太子相手の婚約なんて簡単には破棄できないし」
私もそれで悩んでいた。ローガン王子はこの国唯一の王子で王太子でもある。けれどゲームのでの王子はとてもいい性格だったし、そこまで不安になる意味がわからない。もしかしたら、お母様は王子様に会ったことがないのかもしれない。
「大丈夫ですよ、お母様。たとえどんな結果になろうとも、自分で選んだ道ですから、後悔なんて致しません」
私がにっこり笑ってお母様にハグを返すと、お母様は安心したように笑った。
お城に着くと、お父様が出迎えてくださった。どうやら少し前から門の前で待ってくださっていたようだ。
「行こうか。王太子様がお待ちだ」
お父様はお母様の背中に手を当て、私と手を繋ぐと王太子様のいらっしゃるお部屋まで連れていってくれた。
私は早速お父様にお願いをして、どうにかローガン王子と会えるように申請をしてもらった。返事は案外すぐに帰ってきた。会ってくださると言うことだ。しかも今日。私はお母様とともにメイド達の手を借りながら大急ぎで支度を済ませ、城に向かった。
馬車にお母様と乗り込む。お母様はどこか不安そうな顔をしていた。
「どうかしましたか、お母様」
私が心配して話しかけるとお母様は私を安心させるように微笑んだ。
「大丈夫よ」
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