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に
しおりを挟む「ちゃちゃ!」
「茶色だからなんだぜ!?」
「あか!」
「それはただの色の名前だわ!」
うーむ。
みんながひと目でわかる名前にしたのに何故か不満みたい。
「どうしていやなの。」
「ただの色の名前はあまりにもダサいんだぜ!」
「もっとこう、なんというか、オシャレでゴージャスなやつがいいのよ!」
「お前さんらわがままだなぁ。」
「じいさま、どうしよう。」
「うーん、そうだな。
アリスは色がこの子達の特徴の一つと考えているんだな?
じゃあ色から何かを連想して、そのものの名前にするとか、それをいじってみるとか、してみたらいいんじゃないか?」
「そっか。ひとてま、くわえる。」
じゃあ茶色の子はなんだろう。
茶色、茶色…。ショコラ?
でも可愛すぎるわね。
あ、そういえば木も茶色ね!
確かツリーと呼ぶ地域があったはず。
「つーり。つーりはどう?」
「おお!ツーリ!いい名前なんだぜ!」
良かった!気に入ってくれたみたい!
「次は私ね!オシャレな名前にしてよね!」
赤かー。
あっ。お母様の口紅。
「ね、るーじゅはどう?」
「いいじゃない!大人っぽくてセクシーね!」
「うんうん、2人とも満足したようだな。」
「よかった。
あらためて、これからよろしくね。
つーり、るーじゅ。」
「「よろしく!」だぜ!」
「さて、そろそろ帰らなくていいのか?」
「え?」
「侍女の子が心配してるだろ。」
「あっ。どうしよう。」
「謝るしかねぇなあ。俺もよく叱られたもんだ。」
「うぅ。やだなぁ。」
よいしょとじい様の膝から降りた。
「あのモヤから帰れるからな。また来るんだぞ!」
「はい。ありがとうございました。」
「仕方がないんだぜ!一緒について行ってあげるんだぜ!」
「私も一緒に怒られてあげる!」
「ふたりはみえないからおこられないじゃない。」
笑いながら私をからかう妖精2人にちょっとだけむすっとしながら私たち3人は紫のモヤをくぐった。
「殿下ああああああああ!」
「どこにいらっしゃいますかあああああ!」
わあ、わぁ!?
すごく沢山の人の声がする!?
どうしよう、はやく出ていかないと!
「いたああああああ!殿下あああああ!」
ひょい!と私を抱き上げたのはマリだった。
「殿下!殿下ああ!どこにいらっしゃったんですか!お声が聞こえなくなって心配したんですよおおお!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめるマリには本当に申し訳ないことをした。
「マリ殿!見つかりましたか!」
「みづがりまじだあああ!」
わあ!泣きすぎだよ!鼻水も!
「まり、ごめんなさい。なかないで?」
「無理ですー!もう少し抱っこさせてくださいーー!」
うわーんと泣き続けるマリだけど、ここはあの低木が沢山植わっていた所ではなかろうか。
しかも紫のモヤに入った場所と同じだ。
壁際まで来てくれたのか。
よく見るとマリの髪の毛には葉っぱがたくさん絡まっているし、お仕着せも土で汚れて茶色くなっている。
木はマリが通ってきた道がはっきり分かるくらい枝がバキバキに折れていた。
周りでも捜索をしてくれている騎士が15人くらい。
この調子だと城内も大変なことになっている気がする…。
でもそんなに長くいたかな?
「まり、わたしのこえがきこえなかったの、いつから?」
「20分前からですーー」
あれ?そんなに経ってたの?
それは心配するかもしれない…。
「アリス、夢中でお話してたんだぜ!」
「私たちの名前もかんがえてたわ!」
あっほんとだ。
かなり時間がたってたのね。
「ごめんなさい。まり。しんぱいさせちゃった。」
「心配じまじだあーー!では両陛下にお会いじに行ぎまじょうぅぅ!」
「え?おとうさまとおかあさま?」
「もぢろんでずっ!ずび、お返事がない事が確認できてから直ぐに連絡をいれまじだ!ずびっ。」
「えぇ!はやいね!」
「あたりまえですよぅ!こういうことはすぐ連絡するのが1番大切なんです!私一人ではできることが限られていますから!しかも殿下が居なくなるなんて国家の一大事です!」
本当に申し訳ないことをしたわ。
「ほんとうにごめんなさい。」
「もう居なくならないなら、いいですよ!
ささ、一緒に叱られに行きましょう!」
わあ、さっきツーリとルージュに言われたのとは重みがちがうわ。
私は思わず2人の方をじとーっと見た。
「な、なんなんだぜ!?」
「どうしてそんな目で見るのよ!」
べつに…。
「おとうさまとおかあさまは、ふたりがみえるもんね。」
ふんっとほっぺたを膨らませてマリの肩に乗せた。
ガーンと青い顔をした2人が見える。
が、知らない。一緒に怒られるのだ。
「では殿下、両陛下に連絡をいたしましたので向かいましょうね!」
「はぁい…。」
マリは私を抱えながらずんずんバキバキと木の隙間を通って中庭に出た。
途中ですれ違う騎士さんたちにごめんなさいとありがとうを込めて会釈をしておく。
そうしてずんずんと進んでお父様とお母様がいらっしゃるという中庭に一番近い客室についた。
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