21 / 32
な
しおりを挟む「でも俺はやっぱり自分の作ったこの国が大好きでなぁ。
子孫たちも可愛いし、国民も可愛い。
ずっとこの国のことばかり見ていたんだよ。
そうしたらそれが創造神にバレてな。
もっと満遍なく見ないとダメだって叱られたんだ。
確かにそうだよな、ひとつの惑星、それもひとつの国だけを見るなんて神として失格だ。
だけどどうしても俺はお前たちのいるこの国を見ていたかったんだ。
だが創造神の忠告を無視していたのがわるかった。
ついに他の惑星で問題が起きたんだ。
でも運が悪かったのはこの国でも問題が起きた。
なんと俺の子孫が殺されて、黒魔術にやられているじゃないか。
国民たちも洗脳されてしまって、俺はもちろんこの国を先に何とかしようとしたんだ。
そしたらそこに創造神がやってきた。
俺はこの国の方が大切だが、創造神から言わせりゃほっとかれた挙句問題が起きても何もして貰えない惑星の方が可哀想なんだと。
それで俺は強制的にこの国をほったらかしてその惑星の対処に当たらされた。
急いでやったんだが、それでも戻ってきた時には既に遅かった。
お前さんたちは殺されて、国民も辛い毎日を送っていたんだ。」
「そうだったんだ…」
初代が神の子だったことに驚いたけれど、私たちが死にかけているうちにそんなことが天界で怒っていたとは…。
本当にタイミングが悪かったのね。
よしよしと私を撫でるじい様。
「それでお前さん達があまりにも可哀想で可哀想で、創造神に頼み込んだんだ。
何とか時を戻してくれとな。
さすがに号泣して頼み込む俺の熱意に負けたのか、自分がほかの惑星を優先させたことに負い目があったのか、時を巻き戻してくれると約束してくれたんだ。
ただし、時を巻き戻すにはルールがあってな。
何かを基準に時を戻さなければならない。
分かりやすく言うと、例えば枯れた花を種の状態まで戻したい時、その花の時を戻すと、実は周りの時にも少しその影響が出るんだ。
花の寿命くらいなら戻るまではいかなくて、時の進みが多少遅くなる程度だがな。
この場合、時の進みを遅くした、とも言えるが、花の時を戻した、とも言えるだろ?
このように、世界全体の時を操作する時は、花のような基準の一個体が必要になるのだ。」
「なるほど。
そのきじゅんってもしかして。」
「ああそうだ。
今回1番戻しやすかったのがお前さんだったんだよ、アリス。
本当はお前さんのお父さんにするつもりだったんだが、お前さんたち我が子が死んだのを知らないから、そのまま運命を受け入れてしまっていたんだ。
時を戻すのは創造神の力だけよりも、戻したいと、戻りたいと願っている本人の力が助けになるんだ。
お前さんのお父さんはその意思が小さすぎたから基準に選ぶのをやめたんだ。
その点お前さんは諦めたように見えてまだ心に炎が見えた。
だからお前さんにしたんだよ。」
「そうだったんだ…。」
「ここまではいいか?」
「うん。じいさま、ありがとうございます。」
「いいんだ。俺が未熟だったせいで止めることが出来なかったんだから。」
「ううん、じゅうぶんだよ。ありがとうございます。」
「そうか…。」
私とじい様がしんみりしていると、目の前のテーブルにはいつの間に用意されたのか、クッキーを頬張る妖精2人がいた。
「そうだ、アリス。
お前さん、こいつらに名前をやったか?」
「なまえ…。あっ。」
名前と聞いてバッと振り向く2人。
「名前、もしかして忘れてたんだぜ?」
「忘れてたわね。」
「忘れてたのか…。」
うっかりしてたわ。
そういえば名前はなんというのかしら。
ワタワタしていていつも2人とか妖精とか呼んでたわね。
「もとのおなまえ、ないの?」
「うーん、こいつらは識別する必要があまりないからなぁ。
俺は色で呼んでたな。」
「いろ…。」
「だからパパって呼ばれないんだぜ!
ふーん!だぜ!」
「王様は名前をくれないのよ!」
「こ、これにも理由があるんだぞ!?
お前さんらに契約してくれる人が現れたとき、既に名前があったら新しく名前を付けてもらいにくいだろうが!」
「その名前を紹介すればいいじゃない!」
「た、たしかに!?」
「王様あんまりかしこくないんだぜ!」
どうしよう。
じい様、急に残念な人に見えてきた。
「わ、わかった。なまえつけるよ。」
「わーい!なんだぜ!」
「きっと王様よりはセンスのいい名前を付けてくれるんだぜ!」
「ふふん!まかせて。」
しゅーんと、椅子から降りてジメジメしているじい様は無視して私は胸を張った。
今更ながらじっくり2人を観察する。
だぜ!ってよく言う方は、赤茶色の髪にこげ茶色の瞳。
クリームの服に緑の短パン。ヤンチャな男の子って感じ。
女の子の方は赤い髪の毛にオレンジの瞳、赤いワンピース。
白のピアスに白のヒールを履いていてオシャレさんね。
ふむふむ。
よーし、いい名前をつけてあげるわ。
私はうーんうーんと考えはじめた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!
七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ?
俺はいったい、どうなっているんだ。
真実の愛を取り戻したいだけなのに。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる