5 / 8
第1章 とりあえず入れ物=アバターゲットだぜ?
登録して宜しいですか? YES or No
しおりを挟む
「あー、疲れたー、終わったーもう動けない」
「俺たち24時間働けるよ?」
死人の社畜ジョークやめろ。本当に終わりがないからエンドレス社畜になりそうで怖い。
というわけで異世界役場登録が終わった。
「異世界役場、これ通称なんですよね、このシステムを現世に持ち込んだせいか、今度は死者の方が、異世界ギルドとか言い出して。実際手続きを終えると、んー、なんか役場言った気分」
とおっしゃるんです。
私の時にはまだお役場なんてなくて、最初は不思議でしたねぇ。
私ですか?私の頃は、安土桃山時代って言うらしいです!皆さんこれ言うと羨ましがるんですよー
私織田信長様のとこで働いてたんです!
とにこやかな女性。わお、リアル戦国時代な人だ。凄い。
「天界門登録所が正式名称なんだよ。ここはいわゆるあの世の入口だからね」
「どっちかというと免許センターみたいって私は思ったけどね」
現世で犯罪を犯した人はこの登録が済むと違反者講習のように何ヶ月も教育DVDを見てポイントを稼いだり、学校で成績を上げてポイントを稼がないと認識番号が発行されないらしい。
番号が発行されても大概の人はゼロに近いポイントからのスタートだけれど、犯罪を犯した人はマイナススタートだからそこを補うわけ。
発行後、効率よくポイントを稼ぐならスキルがあった方がいいからと学校で学ぶ人もいれば、実践を地道に重ねていく人もいる。
ポイントは売買不可だから、自分の身だけが頼りだ。
地獄はあの世にはなかった。
一部の、本当にどうしようもないものだけを集めた矯正施設はあるらしいが。
そしてあの世は現世よりも地獄だった。
捉え方はそれぞれだ。
さて。
次の通過地点は一周忌か。ここで今後しばらくどうするか。決めてもいいし、体験という形の仮登録でもいい。というのが方針らしい。
本登録は三回忌がリミットだが、一周忌、三回忌。どちらで本登録をかけたとしても、ポイントが貯まれば変更もし放題とのことだ。
また、例えば異世界役場の末端職から始めたとして、頭角を表せば、スカウトという形で出世していくというパターンもあるそうで、その場合ポイント加算はあれど消費はない。なんてお得なのだろう?
「どうする?体験までの1年まだ学校には通えないけど、見学は出来るし、色んな人に話を聞きに行くのも手だ。進路が決まってるからと2年のんびりする奴も中にはいるな」
何をしたいか。何が出来るのか。
分からない。分からないならやってみるしかないだろう。動かねば始まらないのだ。
「動くって顔だな。でもその前に、ちょっとだけ休憩しないか?」
あの世歓迎会ってことでさ。兄ちゃんの奢りだから安心しな。
まぁ確かに。体は元気だけれど、気持ちは摩耗する。
休息は、思考前の大事なプロセスだ。
「綺麗な景色見に行こうか。飲み食いは出来ないけどな。心の栄養ほど大事なものもないだろ?」
そうだ。無意識に煮詰まりそうな私をそうやって連れ出してくれたのだ。
思考癖のある私はたまに歯止めが効かずオーバーヒートしたように眠り込むこともあったけれど。
今日は。
「行こう」
風が気持ちいい。空は青くなくて、太陽は輝かない。星もない不思議な世界なのに。
頬に受ける風は変わらないのだと。
1歩。こちらの世界へと踏み出した。
「俺たち24時間働けるよ?」
死人の社畜ジョークやめろ。本当に終わりがないからエンドレス社畜になりそうで怖い。
というわけで異世界役場登録が終わった。
「異世界役場、これ通称なんですよね、このシステムを現世に持ち込んだせいか、今度は死者の方が、異世界ギルドとか言い出して。実際手続きを終えると、んー、なんか役場言った気分」
とおっしゃるんです。
私の時にはまだお役場なんてなくて、最初は不思議でしたねぇ。
私ですか?私の頃は、安土桃山時代って言うらしいです!皆さんこれ言うと羨ましがるんですよー
私織田信長様のとこで働いてたんです!
とにこやかな女性。わお、リアル戦国時代な人だ。凄い。
「天界門登録所が正式名称なんだよ。ここはいわゆるあの世の入口だからね」
「どっちかというと免許センターみたいって私は思ったけどね」
現世で犯罪を犯した人はこの登録が済むと違反者講習のように何ヶ月も教育DVDを見てポイントを稼いだり、学校で成績を上げてポイントを稼がないと認識番号が発行されないらしい。
番号が発行されても大概の人はゼロに近いポイントからのスタートだけれど、犯罪を犯した人はマイナススタートだからそこを補うわけ。
発行後、効率よくポイントを稼ぐならスキルがあった方がいいからと学校で学ぶ人もいれば、実践を地道に重ねていく人もいる。
ポイントは売買不可だから、自分の身だけが頼りだ。
地獄はあの世にはなかった。
一部の、本当にどうしようもないものだけを集めた矯正施設はあるらしいが。
そしてあの世は現世よりも地獄だった。
捉え方はそれぞれだ。
さて。
次の通過地点は一周忌か。ここで今後しばらくどうするか。決めてもいいし、体験という形の仮登録でもいい。というのが方針らしい。
本登録は三回忌がリミットだが、一周忌、三回忌。どちらで本登録をかけたとしても、ポイントが貯まれば変更もし放題とのことだ。
また、例えば異世界役場の末端職から始めたとして、頭角を表せば、スカウトという形で出世していくというパターンもあるそうで、その場合ポイント加算はあれど消費はない。なんてお得なのだろう?
「どうする?体験までの1年まだ学校には通えないけど、見学は出来るし、色んな人に話を聞きに行くのも手だ。進路が決まってるからと2年のんびりする奴も中にはいるな」
何をしたいか。何が出来るのか。
分からない。分からないならやってみるしかないだろう。動かねば始まらないのだ。
「動くって顔だな。でもその前に、ちょっとだけ休憩しないか?」
あの世歓迎会ってことでさ。兄ちゃんの奢りだから安心しな。
まぁ確かに。体は元気だけれど、気持ちは摩耗する。
休息は、思考前の大事なプロセスだ。
「綺麗な景色見に行こうか。飲み食いは出来ないけどな。心の栄養ほど大事なものもないだろ?」
そうだ。無意識に煮詰まりそうな私をそうやって連れ出してくれたのだ。
思考癖のある私はたまに歯止めが効かずオーバーヒートしたように眠り込むこともあったけれど。
今日は。
「行こう」
風が気持ちいい。空は青くなくて、太陽は輝かない。星もない不思議な世界なのに。
頬に受ける風は変わらないのだと。
1歩。こちらの世界へと踏み出した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

テクノブレイクで死んだおっさん、死後の世界で勇者になる
伊藤すくす
ファンタジー
テクノブレイクで死んでしまった35才独身のおっさん、カンダ・ハジメ。自分が異世界に飛ばされたと思ったが、実はそこは死後の世界だった!その死後の世界では、死んだ時の幸福度によって天国か地獄に行くかが決められる。最高に気持ちいい死に方で死んだハジメは過去最高の幸福度を叩き出してしまい、天国側と敵対する地獄側を倒すために一緒に戦ってくれと頼まれ―― そんなこんなで天国と地獄の戦に巻き込まれたハジメのセカンドライフが始まる。
小説家になろうでも同じ内容で投稿してます!
https://ncode.syosetu.com/n8610es/
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
世界中にダンジョンが出来た。何故か俺の部屋にも出来た。
阿吽
ファンタジー
クリスマスの夜……それは突然出現した。世界中あらゆる観光地に『扉』が現れる。それは荘厳で魅惑的で威圧的で……様々な恩恵を齎したそれは、かのファンタジー要素に欠かせない【ダンジョン】であった!
※カクヨムにて先行投稿中

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる